『選択』 〜ヒーローになるための〜   作:りんごあめ

2 / 27
いないと思って書いていたらDグレのティキとヒロアカで小説を書いてる方が他にもいらっしゃった…しかもめちゃくちゃおもしろい

まぁでも自分は主人公をヴィランにさせる気はないので丸被りすることはないでしょう(^^;




第2話 象徴との遭遇

「そんじゃ、行ってきまーす」

 

あくび混じりにそう言って家を出る。学校に行く前にいつも通りあいつの家に寄る。

通い慣れた団地のいつもの部屋。インターホンを鳴らす。

 

「はーい。あ、ノアくんごめんね…あの子ったらまた……。」

 

出てきたあいつの母親、申し訳なさそうにしていることからまたいつものことかと察する。

 

「あーまたヒーロー見に行ったんすね、りょーかいです、俺もそっち行くんで」

 

「ほんっとごめんね、あの子近くにヒーローが来るとすぐ飛び出してっちゃうから…」

 

「いやいや、お構いなく。いつものことですし、じゃお邪魔しましたー」

 

ひらひらと手を振り団地をあとにする。

 

 

 

「さーて。どこでやってんだ〜?」

 

スマホでニュースサイトを見ながら呟く。リアルタイムで更新されるニュースサイト。現在起きているヒーローとヴィランの戦闘、その中で近くで起きているものは……。

 

「ひったくり犯が追い詰められ暴れるヴィランと交戦中……なーんだ、たいしたことなさそうなヴィランだねぇ」

 

学校までは少し遠回りにはなるがまぁ問題ないだろう、早足でその場で向かった。

 

 

 

 

 

 

案の定たいしたやつじゃなかったらしく俺が着いた頃にはヴィランは既にヒーロー達によって撃退され警察に引き渡されていた。見物していた野次馬達をきょろきょろ見回しヤツを探す。既に散り始めていたこともあってすぐに見つけることができた。すれ違う人達の間を縫って野次馬達の1番前、ぶつぶつ言いながらノートへ書き込む少年の肩をぽんと叩いて声をかける。

 

 

 

「カッコいいヒーローの活躍は見られましたか?……少〜年!」

 

 

 

「え……うわぁノア君!あ…ごめん!また君のこと置いてちゃった…」

 

「や、別にいいけどさ?早く学校行こうぜ、いつもと違う道通るから遠回りになっちまう。遅刻はゴメンだぜデックン」

 

「あ、そうだね。うん行こう」

 

 

 

 

緑谷出久。俺がこっちに来たばかりの頃から仲がいい友達。あの時いじめっ子達の前に立ち塞がり手を差し伸べてくれた俺の中では立派なヒーローなヒーローオタク。

 

 

世界総人口の約8割が何らかの特異体質を持つ超人社会となった現在では珍しい何の個性も持たない「無個性」と呼ばれる人間。だから周りの連中からは馬鹿にされてしまう。個性を持っていないだけなのに。

一部のやつは出久という名前からデクと呼び馬鹿にする。

俺はイズクよりデクの方が呼びやすいし響きが好きだから、そんな理由でデクくん…ちょっと短くして「デックン」。そう呼びたいと言うったらと本人も快く受け入れてくれた。だから昔っから俺はこいつのことをデックンと呼んでいる。

 

 

 

「……それでシンリンカムイがね…ってノア君聞いてる!?」

 

「ん〜?あーわりぃ聞いてなかったわ。ちょっと昔のこと思い出してた」

 

「なんで急にそんなことを?」

 

「俺達出会ってからずーっと一緒にいるなって思ってさ。ほら、後1年したらもしかしたらってこともあんだろ?」

 

「……うん、そっか。そうだよね」

 

 

いじめっ子クン達からデックンが助けてくれた数日後、運よくいじめが先生にバレてそいつらは大目玉をくらった。そん時の先生が本気でお説教をしてくれたらしくそれでいじめも何事もなかったかのように無くなり元通り普通の生活が送れるようになった。その頃からデックンとはよく一緒にいるようになった。…というかお説教1つでいじめがなくなったって俺の周りお利口さん過ぎるな、よくよく考えたら。

 

あれから約9年…俺達は中学3年生。高校受験の年になった。

 

「つっても受けようとしてるとこ同じだろ?お互いがんばろーぜ。」

 

「……うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「えー今から進路希望の紙を配るがぁ……」

 

学校に着くと担任によるホームルームが始まる。担任は険しい表情でそう言い手に持つプリントを配る………と思ったら、

 

「だいたいみんなヒーロー科志望だよねぇ!」

 

バサッーとプリントを投げ捨て笑った。

 

周りのやつらも自分の個性を見せびらかしながら大騒ぎする。

 

まったくこんな事でバカ騒ぎしてどうすんだ。そうほくそ笑んでいると1人の生徒が行儀悪く机に足を投げ出しながら声をあげる。

 

「センセ〜!みんなとか一緒くたにすんなよ。こんなボツ個性どもと底辺なんざ行かねえよぉ」

 

そりゃねぇだろ!とかなんとか周りの連中はそいつに一斉にブーイングを送る。まあ本人はまったく気にもとめない様子だけどな。

 

 

 

 

爆豪勝己。やたらと自信過剰で他者を見下すやつ。小学校から同じだがどうもこいつは好きになれない、ぶっちゃけ俺はこいつが嫌いだ。

 

「あ〜爆豪は雄英高か」

 

担任の一言で教室がざわめく。そりゃ当然だろう。雄英高校といえば偏差値79、倍率300を超えるオールマイトをはじめとする数々の有名なプロヒーローを輩出する超エリート校だ。そんなとこ無理だと早々に諦め他のヒーロー科を受けるやつも多い。

 

模試でA判定ここで唯一の合格圏内、いずれはオールマイトをも越えてトップヒーローになって必ずや高額納税者ランキングに名を刻む!……ってことらしいです、正直どうでもいい。

 

「…そういや緑谷と三神も雄英志望だったな」

 

その一言でデックンと俺……というかほとんどの視線がデックンに集まった。

 

オイオイ、勘弁してくれよ先生…。なーんでこの雰囲気それ言っちゃうかなぁ……。俺は気まずそうに顔を逸らす。

 

「「「「あははははは!」」」」

 

そして起こる大爆笑、ここにいるほぼ全員がデックンへそれを向けた。

 

「緑谷〜!?無理っしょ!」

 

「勉強できるだけじゃヒーロー科は入れねぇぞ!」

 

飛び交うヤジ、。それにビクビクしながらもデックンはそんな規定はない、前例が無いだけだと反論するが爆豪の1振りがデックンの反論も周りのヤジも全て打ち消し静まり返らせた。

 

 

 

「こらデクゥ!ボツ個性どころか無個性のテメェがなんで俺と同じ土俵に立てるんだァ!?」

 

これまたビクビクとしながら「やってみなきゃわからないし」と答えると爆豪は更に激昂した様子で声を荒らげる。

 

「何がやってみないとだァ!?記念受験かぁ!?」

 

掌から煙を噴かせ更に個性を使おうとしているようだったし他のやつらもクスクスと2人のやり取りを見て笑っているのが不愉快だったから手を上げ先生を呼ぶ。

 

「センセ〜。爆豪が机真っ二つにぶっ壊しやがったんで新しいの持ってきたいんすけどー」

 

席を立ち爆豪が個性を使い飛び込んで来たことで煙を上げ真っ二つに割れたデックンの机を持ち上げてやると担任はあぁ、と呆気に取られたようなマヌケな声で頷いた。

 

「あ、あぁそうだな。よし三神その机持ってきてくれ。爆豪お前もやりすぎだ。早く席に着けー」

 

 

 

担任の進路希望の紙ちゃんと出せよの一言と共に新しい机を運びこんできてもらい物騒なホームルームは幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「なぁ三神おまえ雄英受けるんだってな!?頑張れよ〜?」

 

「……ん、まぁねせっかく家から通える距離にあるしどうせなら雄英入ってヒーローになりたいじゃん?」

 

 

その日の放課後、掃除当番で一緒にゴミ捨てに行ってるやつにそう言われた。

デックンのことは笑ったクセに俺にはそう言うんだなって言いたくなったけどそれは堪えて胸の中に留めておいた。

 

ゴミ捨て場でそいつと別れ教室に戻ると残っていたのは4人。ゴミ捨てに行った俺を待っていたデックン。そして爆豪とその取り巻き2人。

 

爆豪がノートを奪い取り爆破して窓から投げ捨てようとしていた。

俺はすぐに窓まで駆け寄り手を伸ばす。投げ捨てた窓の隣、しっかりと鍵まで閉められた窓だったが何も気にすることなく窓の外に向かって手を突っ込んだ。

 

 

 

 

 

俺の手はそこに窓なんて無いかのようにするりと窓をすり抜け、空中でノートをがっしりと掴んだ。よし、間に合った。そのまま手を引っこめる。「あ〜あ。」とその場にいた全員に聞こえるくらいわざと大きな声で声をもらした。

 

「あ〜あ。危ないねー俺が取らなきゃ真っ逆さまに外に落っこちゃうとこだったな。デックン」

 

ひょいとノートを返してやるとデックンはほっとしたように顔をほころばせた。

 

「ノア君あ、ありがとう…」

 

「チッ!おいノアてめぇ余計な事すんじゃねぇよ…!」

 

舌打ちをして俺にガン飛ばしてくる爆豪にニヤリと笑いながら向き直る。おーめちゃくちゃイラついてんな〜コワイコワイ。

 

「物体を通り抜けるたぁ便利な個性だなァ?でもそんだけだろ?それでこの俺と同じく雄英受かろうとしてんのか、ハッ!無理だね!てめぇはそこらのモブ共と同じ底辺がお似合いだぜ!」

 

「ふ〜ん…あっそう。ていうか、ずいぶんとご機嫌ナナメだな?そんなにも俺らに雄英受けてほしくねぇわけ?」

 

「一線級のトップヒーローはたいてい学生時から逸話を残してる。俺はこの平凡な私立中学から初めて!唯一の雄英進学者っつう箔をつけてえのさ、まぁ完璧主義なわけよぉ。」

 

 

…………は?

 

「ッハハハハハハ!おまえ、それ本気で行ってんのか!?そんで俺らに受けるなって言ってるワケね、なるほど…ハハッ!」

 

「ッテメェ!何がおかしいンだよォ!調子に乗ってんじゃねえ!」

 

腹抱えて笑いだした俺に爆豪をまた一層イラついたように顔を歪める。ここまで言われちゃ言わなきゃダメかな。

 

「お前そういうのは自然とそうなるからこそカッコいい逸話になるんじゃねえの?それをお前、ッフフ!周りを脅すとかカッコ悪すぎだっての!全ッ然ヒーローっぽくないね!お前ヴィランの方がお似合いだよ間違いなく!」

 

爆豪がブチ切れていまにも俺に飛びかかろうとしてきているが取り巻き2人が必死にそれを抑えてる。もう少し言ってやるか。

 

「お前考えてみろって、仮にそれでプロになってから実は中学時代周り脅してそんな事実を作り上げてました!ってバレたら恥ずかしいと思わねぇか?なんてみみっちい男なんだって世間に思われたらお前どうよ?」

 

机に手をつき睨み返してやる。

 

「だから俺らも雄英受けるてやるよ。そうすりゃお前が将来恥ずかしい思いしなくて済むからな。ハイじゃあこの話お終〜い!もう帰ろうぜデックン」

 

爆豪の怒号を背にデックンの腕を引っ張り半ば強引に教室を後にした。

 

 

 

 

 

「あんなこと言って大丈夫かなぁ……」

 

後ろを振り返りながら心配そうに呟く。

 

「気にすんなって、元々あいつらが悪いんだし…それよりノート無事か?」

 

「ボロボロにはなっちゃったけど中身は無事だよ。さっきはありがとねノア君」

 

「さっき礼は言われたしもういいって、そんくらいお易い御用だ」

 

そう言ってデックンの肩をバシバシ叩く。

 

「あはは……ノア君はほんと優しいね。それにいい個性も持ってるし…」

 

「いい個性ねぇ……言うほどいい個性か?」

 

「すごい個性だよ!触れられる物を『選ぶ』個性なんてどんな所でも活躍できるじゃないか!炎や瓦礫の中でも自由に動けるんだしたくさんの人を救える個性だよ。それこそオールマイトみたいにさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『選択』

それが俺の個性。俺はこの世のあらゆる物に対して選ぶ権利を持っている。俺が触れたくないと『選択』した物を『拒絶』すれば俺と俺の身に付けているものはそれをすり抜けちまう。

さっきデックンのノートを空中で取ったのも窓だけを『選択』して『拒絶』したからだ。ノートは『拒絶』していなかったから触れることができたってワケ。自由がきく個性だが結構デカい欠点もある。選ぶことができないモノがある。

 

そんなことをいつも通る住宅街にある小さなトンネルを通りながら話していた時だった。

 

「まぁ確かに災害救助とかじゃ便利かもしれねぇがよ、ヴィランを相手にするのがちょっとねぇ…ヒーローならやっぱ捕まえたいじゃん?」

 

「それはそうだけどさ、すごい個性であることに変わりは………!?」

 

デックンが後ろを向いて固まり、不自然に会話を途切れさせたのを不思議に思い俺も振り返る。

そうして俺もその場で固まってしまう。

 

「「ヴ、ヴィラン!?」」

 

現れたのはぐちょぐちょと音を鳴らして、不気味に笑う人の原型をなしていないヘドロのようなモノ。俺達はすぐにヴィランだと理解した。

 

突然のことに驚いて固まる俺達を一瞥するとソレはデックンに飛びかかった。一瞬にしてデックンを包みこんだ。

 

「あ…ああぁっあ!!」

 

『大丈夫、カラダを乗っ取るだけさァ。落ち着いてェ…苦しいのは約45秒、すぐ楽になれるさ…!」

 

「くそっ、離せ!ぐっ……掴めねぇ!おい離せっつてんだろ!!」

 

『無理に決まってるだろ、流動的なんだからァ!』

 

俺の個性でデックンだけを『選択』すればこのヘドロ野郎から引き剥せるだろう。でも俺にはそれができない。必死に爪を立てて引っ張りだそうと試みる。

 

 

 

 

 

 

「クソッ…なんで個性は選べねぇんだよ…!俺の個性は!!!」

 

 

 

あらゆる物を触れるか否か選択できるこの個性の弱点。

それは他人の個性に対しては『拒絶』してすり抜けられないこと。

このヴィランは個性で身体を流動的に変化させているため俺にはどうすることもできなかった。

 

 

目に涙を浮かべ苦しそうに顔を歪ませるデックンを俺は助けられない。

 

もう駄目だ、そう諦めかけた時だった。突然俺の後ろでマンホールが宙を舞った、かと思うと圧倒的な存在感が現れた。突然それを感じ取り振り返る、と同時に目を見開く。ヴィランもそれを感じたらしく動きを止め振り返り驚愕する声をあげた。

 

 

 

 

「もう大丈夫だ少年達!」

 

そこにいたのは誰もが知るあの男。

 

小さい頃俺の父親を捕まえ、その姿に強い憧れを抱抱かずにはいられなかったあのヒーロー。

 

「私が来た!!」

 

NO.1ヒーロー『オールマイト』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「TEXAS SMASH!!!」

 

そこからは一瞬の出来事だった。

ヴィランの攻撃をあっさりと避けると強く引き絞られたパンチ1発がとてつもない爆風を引き起こし、ヘドロ状のヴィランをいとも容易く吹き飛ばしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱオールマイトすげえ……。パンチ1発であんなぶっ飛ぶかよ普通。

テレビとかでオールマイトは何度も見た事はあったがやっぱり本物は違った。

 

実際に目の前で見てみると迫力が違いすぎるわ………

 

 

「そこの少年!すまないが力を貸してくれないか?」

 

目の前で起こった光景に呆気にとられていると突然オールマイトが手にぶら下げたコンビニの袋をゴソゴソさせながらこちらに来た。

 

「へ……?あ、も、もちろん!俺にできることなら何でも!」

 

「あのヴィランをこのペットボトルに詰めたいんだ。

……あのぉ、コレ全部飲んでくれない?1本は私が飲むからさ!」

 

何を言われるのかドキドキしていると、差し出されたのは炭酸ジュース。あまりに予想外すぎるお願いに思わずズッコケそうになった。

 

 

「あ……了解っス。任せてください」

オールマイトの頼みなら仕方ねぇ。すぐにフタを開け一気に喉に流し込む。これ結構炭酸強いやつだから正直めっちゃキツイ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッハア、ハア……。ぜ、全部飲みましたオールマイト!」

 

なんとか飲み干すことに成功し空になったペットボトルを手渡す。

 

「よし!協力感謝するぞ、少年!」

 

「うっ……!こ、このくらいお易い御用ですよ……?」

 

 

 

 

 

 

 

……この後めちゃくちゃゲップが出そうになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございました!

主人公の外見はDグレのティキとほぼ同じです。性格もノリが軽めだったりと同じですが、ピンチの時には取り乱したりとちょっと幼いところがあります。

主人公の個性もティキの能力とほぼ同じです。原作のインセンスが弱点なのをモチーフにこの作品では個性に対しちょっと弱いという設定にしています。何でもすり抜けられると流石に強すぎるかなと思ったので(^^;
次回もよろしくお願いします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。