『選択』 〜ヒーローになるための〜   作:りんごあめ

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第5話よろしくお願いします。


第5話 入学試験

入試当日。オールマイトによる授与式を済ませてから俺とデックンは雄英高校の門をくぐった。

 

「毛飲んだけどほんとに授かったんかな……」

 

「オールマイトが嘘つくとは思えねぇし大丈夫なんじゃね?」

 

「そう…だよね。うん、大丈夫。大丈夫……」

 

俺達がそんなことを言っていると後ろから不機嫌そうな声が飛んでくる。

 

「おい、どけよ」

 

「あ、かっちゃん…!」

 

振り返ると心底機嫌が悪いといったご様子で俺達にガン飛ばしてくる爆豪がいた。

 

「俺の前に立つな殺すぞ……!」

 

「殺すってお前、ここはヴィランじゃなくヒーローを育てる学校だぜ?受けるトコ間違ってんぞ?」

 

「舐めんてのかテメェ殺すぞ、俺はヒーローになりに来たに決まってんだろがァ!」

 

「はいはい、そんなムキになるなって。てか前に立ってほしくないならもっと早く来てりゃいいだろ、相変わらずみみっちいね〜」

 

「うるせェ!!」

 

適当におちょくってあしらうと爆豪はすたすたと俺達を追い抜いて校舎へ入った。実は昔からあいつを今みたいにおちょくるのを楽しんでいたりする。まぁアイツが気に食わないからっていうのも勿論あるが。

 

「そういえばあの日以来、かっちゃん僕に何もしてこない…なんでだろ」

 

「言われてみりゃそうだな。まぁ、いいことなんじゃね?面倒ごとがちょっとは減ったんだし。さ、そろそろ行こうぜ」

 

「う、うん。そうだね早く行こっ………か!」

 

……あ。

 

そう言って歩きだそうした矢先、デックンは足を引っかけ真っ直ぐ前に倒れる。

どうしてもいつもいつもそんな残念なことになるんだよ。見てるこっちも悲しくなってくるよほんと……。

 

前のめりに倒れ地面に顔面を強打する……かと思いきやそんなことはなく、デックンはそのままの体勢でぷかぷか宙に浮いていた。

 

「これ、君の個性?」

 

コケそうになる寸前、パッとデックンのリュックに触れた女子。その直後体が宙に浮いたことから分かってはいるが一応聞いてみる。

 

「うん、私の個性。勝手にごめんね、でも転んじゃったら縁起悪いもんね!」

 

そう言うと彼女はニコッと微笑んだ。

わぁ〜優しい、この人絶対いい人だ。そういう雰囲気がすっごい出てるし。

 

「確かに。ありがとな、俺のダチ助けてくれて」

「ううん、全然!たいしたことじゃないよ。それにしても緊張するよね〜」

 

「へ!?あ、あのえ、ええ〜とぉ……!」

 

「お互い頑張ろ、じゃ!」

「おう、ありがとな〜」

 

軽く手を上げ歩いていく。その姿を見送りながらデックンは目を輝かせる。

 

「ノア君…僕女子と喋っちゃったぁ!」

「いやどこがだよ、喋ってたの俺だからな」

テンパってあたふたしていただけでもコイツの中では会話していたことになっているらしい。

 

「ほらとっとと行くぞ!ちょ、叫ぶなって悪目立ちしてんだよ、おいやめろお前…おい!」

「ふぉおぉおおぉお!」

 

喜びを爆発させているデックンの首根っこを掴みズルズル引きずって俺達は校舎へ入った。

 

 

 

 

 

どデカい階段教室に入り指定された席につく。それからしばらくすると部屋の電気が落ち1人の男が現れた。

 

「受験生のリスナー、今日は俺のライブにようこそ!これから実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ、アーユーレディー?」

 

イエーイ!……と返事を返せるような雰囲気ではなく会場はこれはもう見事にシーンと静まり返った。

 

「ボイスヒーロープレゼントマイクだ…!ラジオ毎週聞いてるよ感激だな雄英の講師はみんなプロのヒーローなんだぁ……!」

 

「「うるせえ」」

「お、珍しく意見があったな?」

「うるせェ」

 

目を輝かせ興奮ぎみに早口になるデックンに声をかけると珍しく爆豪と被った。ちょっと声かけただけなのにそんな冷たくあしらうとは、やっぱ釣れないね〜。

 

 

 

 

 

 

「……て、感じだ。質問があるリスナーはいるかい?」

 

プレゼントマイクの話をまとめると、

10分間の模擬市街地での演習を指定された演習会場に分かれ行う。

そこで仮想ヴィランを自分の個性を使って行動不能にさせる。

ヴィランは個体ごとに1〜3ポイントに分かれていてそれを倒しポイントを稼ぐ、というのが試験の内容らしい。

 

 

「質問よろしいでしょうか!」

プレゼントマイクの説明が終わった直後、1人の男子生徒が手を上げた。

 

「プリントには4種のヴィランが記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態。我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求め、ここに座しているのです!」

 

確かに、スクリーンには3種類しか映っていない。そんな気にすることでもないかなと思ってたがこの場で堂々とあんな風に言えるってアイツすげえな。

と、感心していると突如後ろを振り向いた。……あれ、しかも俺達の方向いてね?

 

「ついでにそこの縮れ毛の君達!先程からブツブツと…気が散る!物見遊山なら即刻!ここから去りたまえ!」

 

ちぢれ…!?まぁ、確かに俺もくせっ毛だし間違っちゃいねぇか……。さっきから何回かデックンとコソコソ話してたしまぁ俺らが悪いよな……よし。

 

「おいおい言われてんぞ、爆豪」

「なわけねぇだろ!俺は縮れ毛じゃねェ…!刈るぞ」

 

爆豪になすりつけてみた。

予想通りギロりと睨まれた。…にしても刈るぞって、ほんと物騒なやつだなコイツ。

 

とりあえずすいませんと軽く頭を下げておく。

と、そこでプレゼントマイクが声をあげた。

 

「ナイスなお便りサンキューな。4種目のヴィランは0ポイント。そいつは言わばおじゃま虫だ。各会場に1体大暴れしてるギミックよ、倒せないこともないが倒しても意味はない。リスナーには上手く避けることをおすすめするぜ?」

 

なるほどなと彼の話しに耳を傾けているとどうやら説明は終わったらしく締めに入る。

 

「最後にリスナーへ我が校の校訓をプレゼントしよう。真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者!

さらに向こうへ『 Plus Ultra!!』」

 

「なるほどね〜俄然やる気出てきたなデックン?」

 

「うん、頑張ろう…!」

 

「それではみんな……良い受難を!」

 

鼻息荒く頷くデックンと共にそんな不穏な言葉をかけられ試験会場に向かった。

 

 

 

 

演習会場B。受験番号が連番の爆豪とは違う試験会場だった。ダチ同士で協力させないためとかアイツは言ってたが、

 

「俺達、会場一緒だったな」

 

「そう、だね。なんでだろ。僕もかっちゃんの言う通りだと思ってたんだけど」

 

「さぁ?何かしらの手違いとかじゃねえの」

 

俺とデックンは同じ試験会場に振り分けられていた。まあ細かいことは気にしないでおこう。

 

「周りの人達すごい自信ありげなんだけど……ノア君は緊張してる?」

 

「そりゃ多少はしてるさ。……そうだ、デックン最初に言っておくけど今回は協力しないからな」

 

「うん分かってるよ、自分の力でやらなきゃ意味がない…!お互い頑張ろうね!」

 

そんなことを話しながら他の受験生達を見回していると、見覚えのあるある顔を見つけた。

 

「おいあの人、校門で助けてくれたやつじゃない?」

 

「あ、同じ会場だったんだ。そうだ、ちゃんとお礼言ってくる」

「おう、いってらー」

 

そう手を振って送り出そうとしたが後ろから2人揃って肩を掴まれ止められた。

誰かと思って振り返ると、掴んでいたのはさっきの説明会で質問したり俺達を注意してきたりしていた大柄でメガネをかけた真面目そうな男子だった。

 

「…なんだよマジメくん、何か用か?」

 

「あの女子は精神統一を図っているんじゃないか?君達はなんだ、妨害目的で受験しているのか!」

 

「え!あ、いやそ、そんなことは……」

「ちげーよ、コイツはただお礼を言いに行こうとしてただけだよ」

 

デックンが萎縮してあたふたしている中、俺はすっぱり切り捨てる。

 

「朝に校門で助けてもらった時にちゃんとお礼言えなかったから今言おうとしてただけだ。俺からすりゃ妨害目的か、なんていちゃもんつけて掴みかかって来たお前の方こそ妨害しに来てると思うんだけど?あー傷ついたなー、あーあ〜!」

 

俺がわざとらしくそう言うとマジメくんはぴくりと眉を動かした。

 

「そ、そうか。それはすまな………」

『はいスタート!!ど〜した!?実践にカウントなんかねぇんだよぉ!走れ走れ、賽は投げられてんぞぉ!』

 

話の途中でプレゼントマイクの声が響き渡る。走りだす受験生。状況が飲み込めず棒立ちになっているデックンの背中をバシッと叩き後を追う。

 

「ほらとっとと走れ、出遅れるぞ!」

「え。……!出遅れたあぁぁぁぁ!」

 

 

 

…グダグダながらに演習試験が始まった。

 

 

 

 

「じゃ、試験終わったらまた会おうぜ」

「う、うん。じゃあね!」

 

デックンに一言かけてから更に加速させて走る。

 

物に触れたりする瞬間に拒絶することで力を加える方向に威力を上乗せして弾き飛ばすことができる『反射』。こいつは方向を調整することができる。これを上手く使えば普通より速く走ることだってできちまう。

 

足が地面に着いてから離れる瞬間、その僅かな間に進む方向に上手く反射させればビューン、とエンジンでも付いているかのようなスピードと飛距離で走ることができる。ちなみにこれ、前じゃなく横向きに反射を使うと前を向いたまま直角に横っ跳びができたりと便利な能力になっている。まぁ、調節できるようになるまで苦労したけど。

 

 

 

『反射』を使い街を駆ける。すると建物を突き破って来る物が現れた。仮想ヴィランだ。

 

『標的捕捉………ブッコロス!!』

 

なーんて物騒なこと言いながら突進して来る。

 

「そんじゃ、始めるか」

 

ニヤッと口角を上げ仮想ヴィランの懐に飛び込み頭を狙い思い切り拳を振り下ろす。『反射』を使い威力が増した拳は簡単にヴィランを行動不能にさせた。

 

「へー、思ってたよりか楽にいけるな。これならどんどんポイント稼げそうじゃん!」

 

自分の個性がちゃんと通用していることに安堵し次なる獲物を探し走る。仮想ヴィランの数は思いのほか多く、次々に現れそれを殴るなり蹴るなりして吹き飛ばす。そんな中ふと、思いついた。

 

「そうだ、ロボットなら中の部品引きずり出しちゃえば簡単に動き止まるんじゃね?」

 

突進して来るヴィランを拒絶し『透過』する。そのままヴィランに腕を突っ込み中の部品だけに触れることを選択し、一気に引き抜く。

 

『透過』は触れた物の一部分だけを選択することで中身だけを何の切り口なども付けずに引き抜くことができる。これを利用すれば身体から心臓だけを引っこ抜いて殺す、なんてこともできちまう。まあやるつもりはないけど。

 

 

俺の予想通り部品を引っこ抜かれたヴィランはガクンと下を向き活動を停止した。いちいち振りかぶって殴りかかるよりこっちの方が断然楽だし速い。よしこっからはひったくり作戦でいこう。

 

俺は爆走する仮想ヴィラン達に飛びかかってはパーツを引き抜いて投げ捨てる、という作業を黙々とこなしポイントを稼いでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

倒したヴィランによるポイントが50に差し掛かった頃、俺は近くをある程度見渡せる建物の上にいた。やはり試験開始から時間が経ちほとんどが破壊されているようだった。ここまでかなと見切りをつけてさっきまでのことを振り返る。

 

自分の個性により呆気なく動きを止めるヴィラン。

矢継ぎ早に襲ってくるヴィランから逃げ惑っていた他の受験生の日常では見せない恐怖の色で引きつった顔、そしてそのヴィランを俺が倒した時。

 

 

それらを思い出しているといつの間にか自らの手で顔を覆っていた。と、同時に湧き上がる感情に釣られ笑みを浮かべる。

あ〜あ、と唸りそうして一言。

 

 

 

「アァ、壊すのって楽シイ……。」

 

胸を高鳴らせ出た言葉。何故このように感じこんな言葉が出たのか自分でも分からない。何かが身体を這い回るような嫌悪感に体を震わせる。だがそんなのお構いなしに自らの意志に反し口は開く。

 

「もっと、もっと壊シ………」

 

 

しかし、ひとりでに動いた口は地鳴りと建物の崩れ去る轟音により声を発することを中断される。

 

「……ッ!なんだ…?」

 

はっと我に返り、顔を覆っていた手を離す。

見えたのは次々に崩れ倒れ去る建物と大きく舞い上がる砂埃、そしてその中から現れたモノ。

 

「なるほど、これかぁ……」

 

入試の説明を思い出す。

ポイント0の言わばおじゃま虫。避けることをおすすめするなんて言ってたけどこりゃ避けなきゃヤバい。

 

「いくらなんでもデカすぎるだろオイ…!」

 

あまりのデカさに苦笑してソイツを見上げる。

見た限り1番高いであろう建物、その上から顔を覗かせていたソレは地面目掛けて巨大な拳をフルスイングで叩きつけた。

 

その衝撃で起こった揺れと暴風に体勢を崩される。

自分のことも含めいろいろと気になることはあるが今はそれどころじゃない。とりあえずここから離れることが最優先だ。

 

ふと下を見下ろすと逃げ惑う人の中、1人腰を抜かしてへたり込んでるヤツが。協力しないと言ってたが声かけに行って一緒に逃げるくらいはいいだろう。ため息をつきながら俺は何のためらいもなくここから飛び降りた。

 

 

普通なら骨折、下手すりゃ死ぬくらいの高さ。でも俺の個性ならなんの心配もいらない。

 

俺は触れたい物を自由に『選べる』。言い換えりゃ空気だって踏みつけられる。途中で1回空気を踏みつけてから個性を解除すれば無傷で下に降りられちゃうってワケ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいデック〜……はッ!?」

 

地上に降りて声をかける。そのつもりだったのにその相手は一瞬にして姿を消しあろうことか空中ですれ違い俺の頭上、遥か高く空に飛び出していた。

地上に降り再度空を見上げる。飛び出しっていた彼はあっという間に巨大なヴィランの手をくぐり抜け顔面に強烈なパンチを叩き込んだ。

 

「っははは!オイオイ…マジかよ!」

 

皆が恐れをなし逃げ出したヴィランをあんなにも豪快にぶっ飛ばしやかった。その清々しさに思わず笑いが込み上げてきた。

 

 

とその時あることに気づき理解する。俺の前で瓦礫に足を挟まれ動けなくなっている人がいた。もしかしてデックンはあの人を助けるために飛び出しってたのか?だとしたらほんっと、お前はやっぱりヒーローだよ。後で褒めちぎってやろうっと。

 

その人に駆け寄り動けるように『反射』で瓦礫を弾き飛ばしてやる。そして手を差し伸べる。

 

「大丈夫か……って朝校門で会った人じゃん!すごい偶然だな……」

「へ?あ!ほんとだ…!あの、ありがとね」

 

「いいって、というな礼ならあいつに言ってくれ」

 

「う、うん。でもあれ大丈夫なんかな……」

 

心配そうな顔をする彼女の指さす方を目で見上げ……俺も顔を曇らせた。

 

「…マズくないかあれ」

 

カッコよくヴィランをぶっ飛ばしたデックン。しかしあの勇姿はどこへやら、いまにも泣きそうな顔で真っ逆さま。うん、あれほんとにやばい。協力しないなんて言ったがこりゃ助けなきゃ死ぬかもしれない。

 

「あいつがあの高さから無事に降りられるワケねぇし…どうする。俺の個性で上手く助けられる方法……」

 

なんとか助けられる方法はないか、必死に頭の中で考えを巡らせるが考えが思いつかずテンパっていると浮かせた瓦礫の上でぐったりしていた彼女が上を見ながら呟いた。

 

「…あと1回くらいなら………」

 

じっと降ってくるデックンを見つめ狙いすまし手を伸ばす。

 

 

パンッ!といい音を立てて伸ばした手は頬に触れた……いや、あれは最早ビンタか。彼女のビンタをくらいデックンは地面に激突する寸前にフワッと宙に浮かびゆっくり地面に落ちた。

 

「大丈夫かデックン……ってお前その腕!それに足も…」

 

その姿を見て血の気がサッと引いた。ヴィランは殴り飛ばした右腕は酷く変色し両足と共にぐにゃりと変な方に曲がっていた。オールマイトも肉体への反動は覚悟しておけなんて言ってたけどここまで酷かったのか、この怪我じゃもうこれ以上試験は……。

 

「……ッ、せめて1ポイントでも!!」

 

「な、やめとけ!そんな身体じゃまともに動けもしねぇだろ!」

 

そんな身体になっても尚、残った左腕で必死に地面を這い進む。それを止めようと手を伸ばすがその直後、サイレンが鳴り響く。

 

『試験終〜〜了!!!』

 

「ッ!!!!」

 

「え…お、おーい……?」

 

その言葉を聞き涙と鼻水で顔をグシャグシャにしながら糸の切れた人形のように体を投げだすデックン。肩を揺すってもピクリとも動かない。

 

「おやまあ……自身の個性でこうも傷つくかい」

 

「…?あ、先生ですか?こいつ身体中ケガしてて!病院連れてかないと……!?」

 

言いかけた所で現れた老婆がタツノオトシゴみたいに口を伸ばしてデックンの頭に吸い付いた。ババアッ!と俺や近くにいたやつらは身を震わせる。

いやババアッ!ってなんだよ。

 

するとデックンの身体が光りだし、みるみるうちに腕の変色や足が元の方向に曲がり治っていく。

なるほどケガを癒せる個性なのか。癒す方法がかなり衝撃的だったけど。

 

「はい、あんたもグミお食べ。

ちゃっちゃと行くよ〜他にケガした子いるかい?」

 

もらったグミをポイと口にほおりこむ。

 

「……ん、美味い」

 

この時もらったグミはいつにも増して美味く感じられた。

その甘さを噛みしめながらデックンをそっと抱き起こし俺たちは演習会場を後にした。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの後目を覚ましたデックンと家に帰ったんだがあの時ほど気まずいと思うことはもうないかもしれない。それくらいしんどかった。

 

デックンは演習で1ポイントも取れなかったらしい。倒したのはあの0ポイントのヴィランのみ。合格は絶望的、この世の終わりみたいな悲壮感丸出しのデックンにかける言葉も見つからず…お互いほぼ無言のまま、あの日は家路についた。

 

 

 

 

あれから1週間、俺は今自分の部屋の机でにらめっこをしている。

相手は1枚のちっこい封筒、雄英から送られて来た物だ。おそらくこの中に合否の結果が……。

筆記は自己採点で合格ラインを越えていた、実技も悪くはなかったはず。大丈夫だ。……大丈夫だよな?まぁとりあえず……開けるかー。

 

呼吸を整え覚悟を決める。それが揺らがぬうちに封筒を開く。

 

「……なにこれ」

 

てっきり入っているのは書類だと思っていたのに中から出てきたのは何やら丸い機械。

なんだこれは手に取り確かめようとすると光りだしモニターが現れた。

 

 

『私が投影された!!』

 

「オールマイト!?どういうこと?」

 

モニターには黄色いスーツに身を包んだオールマイト。雄英からなのになぜ、なんて考えているうちに画面の彼は話を続ける。

 

『実は私がこの街に来たのは他でもない、雄英に勤めることになったからなんだ!いろいろ手続きに時間がかかったりして君達に連絡が取れなかった、すまない!』

 

それでこの街にわざわざ来てたのか〜と目を丸くしているうちになるほど、と合点がいく。

 

この街に突然来たのは雄英に勤めるため、そしてそこで自分の後継者を見つけにきたってことか。負っているケガや言っていた個性の性質上おそらくそういうことだろう。まぁその個性は既にデックンに託しちゃったけど。

そんなことを考えながら再度画面に意識を向ける。

 

「さて早速本題に入ろう。

君のポイントは49ポイント!なかなか悪くない…だが』

 

そこで切られ息を呑む。その言い方はダメだったってことか?やっぱり雄英合格なんて夢のまた夢だったか……。

 

『人救け!正しいことをした者を評価しない、ましてや排斥しちまうヒーロー科などあってたまるかって話しさ。レスキューポイント!しかも審査制、我々が見ていたもう1つの基礎能力!』

 

そうして画面に点数が表示される。その結果を見て思わず目を見開き固まる。

 

『三神乃亜、ヴィランポイント49、レスキューポイント24合計73ポイントで同率3位!そして緑谷出久60ポイント!

2人とも合格だってさ…!』

 

おいおいマジか、こんなのってアリかよ…心配させやがって!

必死ににやける口元を抑えようとするがそれも意味はなく、とうとう笑い声までこぼれ出した。入試の時に感じた黒い感情から出る笑みではなく、胸が熱くなるような明るく白い感情から出る笑み。

 

 

 

 

『来いよ三神少年、ここが君のヒーローアカデミアだ!』

 

差し伸べられたその言葉に大きく、力強く俺はうなずき返し笑みを見せた。

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございました!

なんとか1話で試験合格の所までいきたいと詰め込んだ結果、割と長くなってしまいました。本当はもう少し短くしたいんですけどね(^^;

これからもまったり更新でやってくことになると思いますが気長に待っていただけるとありがたいです。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m
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