『選択』 〜ヒーローになるための〜   作:りんごあめ

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前回から1ヶ月以上経っちゃいました、すみませんm(_ _)m

第7話よろしくお願いします。


第7話 戦闘訓練①

雄英のヒーロー科、といっても別に毎日朝から晩までヒーローについて勉強するわけじゃない。

午前は英語などの必修科目がありここは他の高校生達と対して変わらないだろう。

 

「じゃ、この英文のうち間違っているのは?」

 

まあ、その英語の授業をプロヒーローのプレゼントマイクが教えてるってとこはなかなかシュールだし他じゃそうそうありえないだろうな。

他のやつらもみたいだけど思ってた以上に普通でちょっとびっくりしてる。

 

 

 

そんな感じで昼飯も食って午後、こっからが本番だ。

 

「私がああぁぁ〜!……」

 

誰もが知るあの声が廊下から聞こえてきて教室がざわつきだす。

 

そして……!

 

「普通にドアから来た!!」

 

派手な演出と共に……!ではなくホントに普通にドアを開けオールマイトが教室に入ってくる。

 

それと同時に生徒からは「おお〜!」と歓声が上がった。無理もない、いままでテレビとかで見るばかりだった彼が目の前に先生として現れたんだ、そりゃみんなテンション上がらないわけないよな。

 

「私の担当はヒーロー基礎学、ヒーローの素地を作るため様々な訓練を行う科目だ。単位数も最も多いぞ!

早速だが今日はコレ、戦闘訓練!」

 

『BATTLE』と書かれたカード共に言い放つオールマイト。

 

そして、戦闘という言葉にそれはとても嬉しそうにしている血の気の多いヤツが1名。

 

…爆豪っていうヤツなんですけれどもね。

 

「そしてそいつに伴って……コチラ!」

 

オールマイトが指さすと壁から番号の書かれたケースの積まれた棚が現れた。

 

「入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえたコスチュームだ!着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ」

 

「「「「は〜い!!」」」」

 

「コスチューム着れるのってなんかテンション上がるよね、ノアくん!」

 

「まぁ……そだな」

 

歯切れの悪い俺の反応にデックンが首をかしげる。

 

「ん?どうしたの、なんか全然そう思ってないようにみえるんだけど…」

 

「ま、いいからいいから!ほら、とっとと着替えに行こうぜ」

 

話を無理やりに終わらせ俺達は教室を出た。

 

 

 

グラウンドβ、入試の時にも使われたビルなどの建物が密集する模擬市街地。ここで今日の授業をやるらしい。大きなゲートを通りグラウンドに入る。そこではオールマイトが仁王立ちで待ち構えていた。

 

「格好から入るってのも大切なことだぜ少年少女。

自覚するのだ、今日から自分はヒーローなんだと!

いいじゃないかみんな……カッコイイぜ!

さあ始めようか、有精卵ども!」

 

オールマイトがコスチュームを身にまとった俺達を見てそう笑った。

 

 

 

他のやつらを見回すとマスクやスーツ、装備など個性に合わせたいかにもヒーローといった感じの物を着たやつがほとんどだ。オールマイトの言うとおりカッコイイ。

そんなコスチュームの数々と自分が着ているのを見て改めて思う。

 

 

 

 

……なんでこうなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

被服控除。

入学前に個性届、身体情報、デザインとかの要望を出せば専属のサポート会社が最新鋭のコスチュームを用意してくれるっていうありがた〜いシステムだ。

 

話はだいたい3週間前に遡る。

 

「あ〜〜どうしよ」

 

「乃亜、そんなにため息ついてどうしたんですカ?」

 

リビングのソファーで紙とにらめっこしている俺に千年公が紅茶を運んで来ながら聞いてきた。

 

「要望書けばその通りコスチュームを作ってくれるらしいんだけどな、全ッ然いいのが思い浮かばなくて。サポートアイテムも特に要らねえし、デザインもなぁ…絵下手だし特にこれがいいってのも無いしで書くことが浮かばなくて、動きやすけりゃいいかなってぐらいしかないんだよなぁ」

 

「ほほう、それなら我輩がコスチュームのデザインしてあげますヨ♡」

 

突然の提案に俺は目をパチクリさせる。

 

「え、千年公できんの?」

 

「我輩絵を描くのも得意ですから!機能性も抜群で乃亜にピッタリなコスチューム作ってあげます。どーんと任せてくださイ!」

 

ドンと胸を張り自信満々な千年公に気圧され俺は素直に頷いた。

 

「そ、そっか。じゃあ全部任せるわ、楽しみにしとくよ」

 

その翌日にはデザインを完成させ送ってくれた。

千年公が作ったなら大丈夫だろと確認しなかった。ま〜これが今覚えばマズかった。

 

 

「そういやコスチュームのデザインってどんなのにしたの?」

 

「はいコレ、コピーとっておきましたヨ」

 

「お、どれどれ〜……え、マジ?」

 

鞄から取り出された紙を受け取り俺はおもわず絶句する。そんな俺を見て千年公はフフフと笑う。

 

「素材も動きやすい物だしほら、ヒーローのコスチュームのことをスーツとも言うじゃないですカ」

 

「そうだけどよ、こりゃスーツ違いだろ!なんでコスチュームがタキシードなんだよ!?」

 

デザインが書かれた紙にはおとぎ話なんかでよくある社交界に居そうなタキシード姿の紳士が書かれていた。ご丁寧にシルクハットまで付いていやがる。

 

「絶対に似合うから大丈夫ですって!いや〜懐かしいですね、我輩も昔はこんな格好で旅してましたヨ〜♡」

 

感慨深そうに頷く千年公に俺はため息をつきながら問う。

 

「それ関係なくね?てか旅ってあれか、海外でサーカスやってたってやつ?」

 

「ええ、もう随分昔のことですが、たくさんの人を笑顔にしたくて。道化師としていろんなとこのサーカス団に入ってお客さんを笑顔にしてきました。

ヒーローだって人を救ける、そうやって笑顔にするみたいなとこあるでしょ?それでつい昔の自分と重ねてしまってね…サーカスも途中で辞めてしまいちょっと心残りになっていテ…」

 

懐かしむような声で静かに言う千年公に俺も冷静になる。

 

「そっか。なら千年公の夢、俺がヒーローとしてバッチリ叶えてやるよ。人を笑顔にさせる道化師(クラウン)モチーフのコスチュームってことね〜。いいじゃん、そう考えりゃカッコイイよ」

 

俺がそう笑いかけると千年公も嬉しそうに笑っていた。

そんなふうにしてるあの人の姿が見れたのも親孝行ってことにして俺も喜ぼう。

そもそも任せっきりにした俺の自業自得だしな〜!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうは決めたがやっぱり他と路線が違い過ぎて目立ってるよなこれ…。ちょっと恥ずかしい。まぁ自分で納得してこれ着てるワケだから別にいいんだけどな。そのうち慣れるだろうし。

 

黒のタキシードを身にまとい、髪をかきあげオールバックにしてシルクハットを被る俺を数人が興味深そうにチラチラ見ていた。いっそのこと誰かにツッコまれた方が俺も楽なんだけどな〜……と内心呟いていると

 

「あ、もしかして三神君!?デザイン凝っててカッコイイね!すっごいおしゃれだ!」

 

「そう?うちの爺さんにデザイン頼んだらこうなったんだ。麗日はなんか、こう……ま、いいと思う!」

 

「そ、そう?要望ちゃんと書けばよかった、パツパツスーツになっちゃったよ……恥ずかしい」

 

そう照れ笑いをする麗日。確かに本人の言う通り身体のラインが丸わかりなパッツパツなコスチュームになっていた。正直ちょっと目のやり場に困る……。

 

「あれデク君じゃない?お〜い!」

 

俺達より少し遅れてやってきたデックンを見つけて麗日は手を振って近寄っていった。

 

デックンのコスチュームはジャンプスーツをベースにちょっとした装備を加えただけのシンプルなやつだ。まあ、ウサギみたいな耳と歯を見せて笑う笑顔みたいなデザインの頭の部分はオールマイトをイメージしてるんだろうな……あ、ほら本人にもこっち見て一瞬笑ったよ。分かりやす過ぎるぞデックンよ。

 

 

 

 

それから少ししてオールマイトが戦闘訓練の説明を始めた。

 

「ヴィラン退治は主に屋外でみられるが統計でみれば屋内の方が凶悪ヴィランの発生率は多いんだ。真の賢しいヴィランは屋内(やみ)に潜む。

これからヒーロー組とヴィラン組の2つに分かれ2対2の屋内戦をしてもらう」

 

「基礎訓練無しに?」

 

「その基礎を知るための実戦さ。ただし!今回はぶっ壊せはOKなロボじゃないのがミソ!」

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ぶっ飛ばしてもいいんスか」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」

「どのような分かれ方をすればよろしいんですか!」

「このマントヤバくな〜い?」

 

解説聞いた生徒達が口々に質問を投げかける。

 

……ん、ちょっと待て1人変なの混じってなかったか?

とりあえず俺も乗っかって質問をしてみる。

 

「2対2って言ったけど21人いるから1人余ると思うんスけど?」

 

 

「んん〜聖徳太子ィィ!!!」

 

オールマイトが独特な困り方でプルプルと震えている。ちょっとおもしろい。

 

「いいかい?状況設定はヴィランがアジトのどこかに核兵器を隠していてヒーローはそれを処理しようとする。

ヒーローは時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収すること、

ヴィランは核兵器を守るかヒーローを捕まえること。さっき人数について質問があったが1チームは3人で組んでもらう。ただし制限時間が他より短いこと、ヒーロー組固定であることなどハンデ付きだ!数の有利を上手く活かすことをオススメする!」

 

と質問に答えつつ詳しい訓練の内容を解説した。

……カンペを見ながら。

 

「コンビや対戦相手はクジだ!さぁ、早くやろう!」

 

 

 

クジを引きチームが決まった。俺のチームはA、そしてメンバーは……

 

「すごい、縁があるね!2人ともよろしくね!!」

 

「ううう、うん!よろしく!」

 

まさかのデックンと麗日だった。ほんと、縁があると言うしかないなこれは。まぁ仲いいやつとの方が連携しやすいかもしんないし楽だからいいか。

 

「最初の対戦相手は〜?コイツらだあぁ!」

 

ヴィラン組とヒーロー組同時に箱からボールを取り出す。そうして引き当てられたのは…

 

「Aチームがヒーロー、Dチームはヴィランだ!」

 

俺達のチーム、そしてその対戦相手がまさかの爆豪。オールマイトめ、初っ端すごい引きをしやがったな。

 

オールマイトの指示のもと、他の連中がモニタールームに向かう中爆豪が鋭くこちらに、いや。デックンに睨みを利かせていた。それに気づいて気まずそうにうつむくデックンに俺は肩を叩きわざと明るい声で笑う。

 

「トップバッターとは緊張するな〜!まぁ気楽にいこうぜデックン?」

 

「そう、だね……!」

 

一度は目を逸らしたデックンは拳を握り再度爆豪を見る。それに気づいてより不愉快そうに睨みつけてくる爆豪をよそに俺達は指定された建物へ向かった。

 

 

 

 

 

「相手は爆豪と飯田かぁ〜どっちも手強い相手だよな」

 

「そうだね。あ、そうだ三神君の個性詳しく教えてもらってもいい?その方が作戦立てやすいだろうし!」

 

「おう、俺の個性は簡単に言うと物をすり抜けたり思いっきり弾き飛ばせる個性かな。弱点は他人の個性はすり抜けられないこと。まぁ例外もあるけど」

 

「へ〜!どんなの?」

 

「個性で他の物を操作してたり性質を変化させている場合、そん時は操作されてる物ならすり抜けられる。例えば麗日が個性で何か浮かしたらそれはすり抜けできる。逆にお前が俺を浮かせようとしてきた時、俺はお前の手自体をすり抜けることはできないって感じかな」

 

「なるほど…じゃあ爆豪君と飯田君の攻撃はすり抜けられそうにないね」

 

俺の説明に納得したように麗日が頷いた。

麗日の言うように手から爆発するモンを出す爆豪や足に付いたエンジンで戦う飯田はすり抜けられない。

 

「あとは、個性によって創られた物なら24時間経てばすり抜けられるようになるぐらいか」

 

例えば何もなかった所に土出せる個性で土の壁を創ったとする、できたばかりのうちは透過できないが24時間経ちさえすりゃその壁は透過できるようになる。

発動してすぐに爆発して消えるし爆豪の個性はどのみち透過できない。もちろん飯田にも無理。やっぱり相性が良いとは言えない相手だな。

 

「つーわけで考え無しに突っ込んでも勝てないから何か考えないとな〜」

 

「そうだね、まあでも相澤先生みたいに罰とかないみたいだしちょっと安心でき…安心できてないね!?」

 

建物の見取り図を見ながら自然に声をかけるといきなりぎょっとした声を上げた。それにつられて俺もふと見取り図から顔を上げると真っ青になって震えるデックンがいた。

 

「い、いやその…相手がかっちゃんだから……飯田君もいるし。だいぶ身構えちゃって」

 

「そっか…、爆豪君バカにしてくる人なんだっけ……。」

 

「すごいんだよ。嫌なやつだけど…目標も自信も体力も個性も。僕なんかより何倍もすごいんだ」

 

いままで下を向いて自虐的になっていたデックンがスっと前を向き、力のこもった眼差しで言う。

 

「でも、だからいまは……負けたくない!なって」

 

それを聞いて俺はふっ、と笑みをこぼす。

やっぱりデックンはすごいやつだと改めて思った。

昔から自分に絶対の自信があった爆豪。大きくなるにつれ態度もどんどんデカくなっていった。

最初は俺だってなんでもできるアイツにすげぇなって思うことも多かった、でも次第にそんな気持ちは薄れただただ嫌なヤツだと敬遠するばかりだった。

でもデックンは違った。小さい頃からの憧れも忘れることなく持ち続け、そして今そんな相手に立ち向かおうとしている。

 

いつもいつもデックンの心の強さには驚かされてばっかりだ、だからこそ俺もやってやるぞって勝手に背中押してもらってる。

きっとこれからもそういう場面がたくさん来るんだろうなぁ…。

 

「そっか!男の因縁ってやつだね!」

 

「ご、ごめん!2人には関係ないのに……!」

 

「あるよ!チームじゃん、がんばろ!」

 

「ああ、俺だって爆豪には一泡吹かせてやりたいしな、勝とうぜ!」

 

俺と麗日の言葉にデックンは嬉しそうに微笑んで頷いた。

それからすぐにオールマイトの声が響く。

 

『Aチーム対Dチームによる屋内対人戦闘訓練、スタート!!』

 

 

 

「いい作戦をくれることを期待にしてるぜ、デックン!」

 

「うん、頑張るよ…絶対に勝つんだ!」

 

 

決意を胸に俺達は窓から建物に飛び込んだ。

 

 

 

 

「…侵入成功」

 

「死角が多いから気をつけよう」

 

「おう、先頭は任せたぞ」

 

窓から忍び込み警戒しながら壁をつたって進んでいく。自分が行くと言いだしたデックンを先頭に俺、麗日の順だ。

敵チームの2人が攻撃してくるのを警戒して慎重に進んでいるわけなんだが大体の予想はついてる。来るとすれば恐らく……

 

 

 

何度目かの曲がり角を渡ろうとしたその時ヤツは現れた。角から飛び出すと同時に爆撃を仕掛けられる。いち早く気づいたデックンがすぐに振り返り俺達を突き飛ばしながら後退する。

 

「2人とも大丈夫!?」

「ありがとう…っデク君!」

 

デックンを見ると顔を覆っていたマスクの半分が破けていた。

 

「かすっただけだから!」

「やっぱりいらっしゃったなぁ〜、さてどうするデックン?」

 

立て膝をついてそう問いながらそう笑うと随分と不機嫌な顔をした爆豪と一瞬目が合った。

 

「こらデク!逃げてんじゃねェよ…!」

 

俺には興味なしってことかよちくしょう。

すぐに目線をデックンに移した爆豪が言った。

よろめきながらも爆豪を睨み返しながらデックンが立ち上がる。

 

「かっちゃんが敵ならまず僕を殴りにくると思った!」

「ハハッ、だよな!んでどうする?2人で殴りにいくか」

 

「いいや……」

デックンが小さく首を横に振った。

 

「中断されねぇ程度にぶっ飛ばす!」

 

そこへ爆豪が突っ込んでくる。迎え撃とうと身構える俺に対しデックンは真っ直ぐ駆け出すとするりと懐に入り込みがっしりと爆豪の腕を掴んだ。

 

「すごい、達人みたい!」

 

なんの迷いもなく飛び込み掴みかかった正確無比な動きに麗日が声を上げた。そしてそれを見ていた俺と実際に掴まれた爆豪は驚き目を見開く。

そうしたのも束の間、デックンはそのまま投げ飛ばし背中から地面へと叩きつけた。

 

「がっ!……」

 

「…かっちゃんはたいてい右の大振りなんだ、どれだけ見たと思ってる…!すごいと思ったヒーローの分析は全部ノートにまとめてあるんだ、君が爆破して捨てようとしたノートに!

いつまでも雑魚で出来損ないのデクじゃないぞ、かっちゃん!僕は…

 

 

頑張れって感じのデクだ!!」

 

爆豪を見据えファイテングポーズをとりそう高らかに叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございました!

タキシード着てるティキがめちゃくちゃ好きなので主人公のコスチュームはティキと同じくタキシードにしようと決めていたのですがいかがだったでしょうか。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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