黒い球の戦士達   作:黒猫キッド

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0010・パーティ名

 二人がギルドに入ると、先程の受付嬢がまだ受付に居た。その受付嬢は二人に気づいた。

「あっ、先程のお二人方…何かまだご用ですか?」

「いや、依頼達成の報告をしにきたんだけど…」

「…えっ?」

 祐樹の言葉に受付嬢がフリーズした。

「…? どうしたんですか?」

 雪乃が訪ねると、受付嬢はハッとして正気に戻った。

「そ、そんな筈ありません。依頼のゴブリンの居る森は、徒歩で行ったら往復で三時間は

かかる場所にあるんです。貴方達がギルドを出てから、一時間しか経過していないんですよ!?」

 捲し立てる様に受付嬢は叫ぶが、祐樹はある物を差し出した。

「じゃあ、これは何かな?」

 そう言って差し出したのは、ゴブリンの討伐照明の耳とゴブリンの魔石であった。

「俺達が倒したゴブリンとデカいゴブリンの耳と魔石だ…これでも疑うか?」

「……」

 受付嬢は魔石と祐樹の顔を何度も見比べた後、白い球体状の物を取り出した。

「…申し訳ありませんが、貴方方が嘘を言っていないか、この鑑定石で確認させて下さい。もし嘘を言っていたら、この石は黒くなります。その場合今回の依頼は無効とさせていただきます」

 受付嬢にそう言われ、雪乃と祐樹は溜息を吐いた。

「分かった…その石に触ればいいんだな?」

「はい」

 受付嬢の確認を受けると、まず祐樹から石に触れた。

「……」

 石の色は変わらずに、白のままであった。

 次に雪乃が触れたが、当然ながら色は白のままであった。

 それを見た受付嬢は頭を下げた。

「申し訳ございません。疑ったりして」

 受付嬢は謝罪の言葉を述べるが、二人は気にした様子を見せない。

「別に良いですよ。普通なら不可能な時間で、依頼達成を成し遂げたんですから、疑うのも当然ですよ」

と、雪乃は言った。

「そうですけど…でもどうやってそんな短時間で依頼を達成したのですか?」

 受付嬢に尋ねられて、二人は言葉を詰まらせる。

「『まさか、ガンツに転送してもらったとは言えないし…』…それは個人的に秘密なんで、言えないです」

 そう誤魔化すしかなかった。

「…分かりました」

 受付嬢は納得していない様子だったが、とりあえず誤魔化すことは出来た。

「それはそうと、討伐依頼の達成の報酬と魔石の買い取り金を計算しますので、少々お待ち下さい」

 受付嬢はそう言うと、ゴブリンの耳と魔石を持って、カウンター奥へと歩いて行った。

「まさかあの森が、此処から往復三時間も掛かる場所にあるなんて、思わなかったな。明日にすれば良かったかもな」

「でも今日はもう仕方ないよ。次からは気をつけようね」

 受付嬢が戻るまで、雪乃と祐樹はその様な会話をしていた。暫くすると、袋を持った受付嬢が戻ってきた。

「お待たせしました。今回の報酬です」

 そう言って差し出されたのは、受付嬢が持っていた袋。

「ゴブリン二十体とホブゴブリン一体の討伐と魔石で、銀貨2枚と銅貨200枚です」

 銀貨は日本円で言えば千円札であり、銅貨は百円玉くらいの金額である。

「あのデカいのは、ホブゴブリンだったのか」

 祐樹は自分が倒したボスゴブリンを思い浮かべながら呟いた。

「それと此れは今更なんですが、お二人はパーティですよね?」

「そうだけど」

「でしたら、パーティ名をお付けになったらどうでしょうか?」

「パーティ名か…雪乃、どうする?」

「…僕達のパーティ名なら決まっているじゃないか!」

と、得意げに言う雪乃に、祐樹は一瞬分からない様な表情を見せたが、すぐにその言葉の意味が分かった。

「ああ、成程! アレだな」

 祐樹が理解した事に、雪乃は満足そうに頷いた。そして受付嬢に言った。

「僕達のパーティ名は…ガンツ!」

「分かりました。ではパーティ名『ガンツ』で登録します」

 こうして雪乃と祐樹の冒険者パーティ・ガンツは正式に結成されたのであった。

 

 




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