黒い球の戦士達   作:黒猫キッド

4 / 11
0004・新しい朝 行って下ちい

 依頼を受けた後、雪乃と祐樹は、何とかガンツの武器を手に入れるべく、再びガンツのある民家へと行った。

「…戻ってきたけど…誰も新しいメンバーが居ないね」

 ガンツだけが置かれている部屋を見回しながら、雪乃が言った。

「今はミッションが行われないんだろ。それより何とかガンツを開けないと、俺ら丸腰だぜ」

 そう言って祐樹が、ガンツに近づこうとした。その時…

『あーたーらしーい あーさがきた』

「「!?」」

 ガンツからラジオ体操の歌が流れだした。

『きぼーうの あーさーが』

「おいちょっと待てガンツ! 俺らだけで星人とやりあうのかよ!?」

 祐樹が戸惑った声を上げた。幾ら二人がガンツの世界の知識に豊富だとしても、流石に現実で二人だけでミッションを行えるとは思えなかったからだ。

 しかしガンツはお構いなしに歌を続けて、やがてこの文章が現れた。

 

 てめえ達の命は、

 無くなりました。

 

 新しい命を

 どう使おうと

 私の勝手です。

 

 という理屈なわけだす

 

「僕達死んだわけじゃないのに、何でこの文章?」

「さぁな。ノリじゃないのか?」

 雪乃の疑問を、祐樹が冗談交じりで返答する。

 

 てめえ達は今から

 この方をヤッつけに行って下ちい

 

 ゴブリン星人

 

 特徴

  小さい 沢山ゐる

 

 好きなもの

  女 肉 森

 

 口ぐせ

  グギャギャ

 

「何時もの役に立たない情報だけど…これって…」

「俺達がギルドで選択した『ゴブリン退治』の依頼じゃないか…もしかしてこのガンツは、俺達が請け負った依頼がミッションとして表示されるのか?」

 祐樹がそんな疑問を呟いた時であった。

 

 ガシャン

 

「「!!!」」

 大きな音と共に、ガンツが開いた。其処には多数の銃器が収められていた。

「すげぇ…本物だ…」

 祐樹が感動のあまり、声を漏らした。二人は銃器に目を向けながらも、ガンツの脇を通って、後ろから出ているラックを見た。其処には二つのケースがあった。

 

 ゆきの

 

 ゆうき

 

 ケースの表面には、手書きのフェルトの様な文字で、雪乃と祐樹の名前が記載されていた。

「ガンツスーツだ…」

「兎に角着替えようぜ、いつ転送が始まるか分からないからな」

「そうだね」

 二人はケースを開けて、中のスーツを取り出した。

 

※           ※

 

 ガンツスーツに着替えた二人は、お互いの姿を見た。

「まさか此れを着られる日が来るなんて、思いもしなかったね」

「そうだな…次は武器だけど…雪乃はどうする?」

 雪乃と祐樹は、ガンラックに収められている銃器に目を通した。雪乃は左のラックから、ⅩガンとⅩショットガンを取り出した。

「僕は今回は此れにするよ…Yガン持っていこうか悩んだけど…」

「そうか…じゃあ俺も同じにするか」

 そう言って、祐樹もXガンとXショットガンを取り出した。

「祐樹、あっちはどうする?」

 そう言いながら雪乃が示したのは、ガンツの奥の扉であった。

「…ガンツソードとガンツバイクは、今回はいいだろ」

「どうして?」

「ガンツがゴブリン星人の好きなものに、『森』ってあったろ? 転送先が森の可能性もあるから、その二つは使いにくいだろ…まあガンツソードの場合は木ごと切断する方法もあるけどな…それにもう時間ないみたいだし」

「えっ?」

 雪乃はガンツを見てみると、『行って下ちい』という文章が表示されていた。

「制限時間の表示が無いね」

「オニ星人の途中やぬらりひょんの時みたいに、制限時間がないんだろ…おっ!」

 

 ジジジジジ… 

 

 そう祐樹が言っていると、祐樹の頭が徐々に消えていった。転送が始まった様だ。

「先に行っているぞ」

 祐樹はそう言い残し、転送されていった。残された雪乃は咄嗟に右のラックに行き、Yガンを左足のホルスターにセットした。

「一応念の為…」

 そう呟くと、今度は雪乃が転送されていった。そしてガンツ部屋には誰も居なくなった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。