これから徐々にパワプロステータスも活かされてくるはずなので、よろしくお願いします!
それと、テイルズオブデスティニーの二次創作も始めました。
私が好きなだけの完全な趣味になっていますが、良かったらご覧くださいませ。
『7人目のソーディアンマスター』
https://syosetu.org/novel/218961/
第十二話
ある晴れた日のこと。桃子はお墓の前で手を合わせていた。
(あれからもう3年……不思議なものですね。悲しみは時が癒してくれるといいますが、最近やっとあなたのアルバムを懐かしく眺めることができるようになりました。
大地君と吾郎君は元気です。仕草や目元が、日に日にあなたに似てきてドキッとさせられます)
「大地ー! いくぞー!」
「おー! ……ってどこ投げてんだよ!」
「あー、わりー!」
「だ、大地! 吾郎! こんなところでキャッチボールなんてしないの! お墓に当たったらどうするの!」
「大丈夫、大丈夫! 大地ならなんでも捕ってくれるから!」
「そういう問題ではないの!」と桃子に叱られながらも、茂治の墓に手を合わせて挨拶をする大地と吾郎。
(おとさん、おかさんと仲良くやってる? 俺ら、今日から四年生だよ。もちろんリトルリーグに入るつもりさ。
大地と一緒にトレーニングを積んできたけど、その成果を出していこうと思っているんだ。
見ててよ、おとさん。今日から俺たちで……おとさんに一歩ずつ近付いていくかんね!)
(おとさん、あれからもう3年が経ったんだね。おとさんが死んじゃったとき、母さんと吾郎がいなかったら俺はきっと潰れてた。
立ち直ってからは、家族に恩返しすることだけを考えて今までやってこれたんだ。
おとさん、見てて。絶対に吾郎を潰させはしないから。俺が……兄貴として絶対に守るよ!)
◇◇◇◇◇◇
茂治の墓参りの後、学校まで車で送ってくれた桃子だが、門の手前で吾郎が降ろせとわがままを言う。
桃子は、子供とは成長すると母親をどんどん煙たがっていくのかと残念に思っていたが、
「あれ? 大地は降りないの?」
「ん? 当たり前じゃん。母さんがわざわざ送ってくれるのに、門までお願いしないでどうするのさ?」
「だ、大地……! あんたはなんでそんなに素直なのに……双子の吾郎は性格似てないのかなぁ〜」
「あはは。むしろ吾郎の態度の方が年相応なんじゃない?」
門まで送ってもらった大地は桃子に礼を言って、門のそばで走ってくる吾郎を待つ。
「あ! 大地ずるいぞ! 1人だけ先に行くなんて!」
「そう思うなら、お前も母さんに門まで送ってもらえば良かったじゃないか」
正論を言う大地に吾郎は何も言えなくなる。
大地は軽く笑い、クラス替えを見にいこうと促す。
四年生用の下駄箱の先に”新年度四年生クラス替え発表”という張り紙が貼られている。
吾郎は新しいクラスに三年生まで仲良くしていた友達がいなく、その友達は全員同じクラスという己の不運さに絶望する。
「おっ! また同じ組かー! やっぱり俺たち離れられない運命にあるんだなー!」
「また3年間よろしく頼むぜ、小森くーん!」
「い、痛いよ沢村君! 100円あげるから手を離してよー!」
小森と呼ばれた少年は、同い年の男の子にヘッドロックをされており、100円を支払って離してもらっていた。
しかしその後、ランドセルを3人分持たされて教室まで運ぶように強要されていた。
その様子を見ていた吾郎はバカらしいと一瞥していた。
「お、吾郎。俺ら同じ組じゃん!」
「……え! そうなの!? やったー!! 大地と一緒ならもう大丈夫だ!」
大地とは低学年のときは違うクラスだったため、同じクラスになれた喜びで小森たちのことはすでに忘れてしまっていた。
HRが始まるため、急いで教室に向かう2人。
「あー、今日から3年間、みんな仲良く勉強に運動に頑張っていこうな!」
クラスの担任の挨拶の後、学級委員を決めたいという話になる。
学級委員長をやりたい人がいるか立候補を募るも誰も手を上げない。
そんなとき沢村と呼ばれていた少年が手を上げる。
「おお! 沢村が立候補するか!」
「いえ、僕は体力的に自信がないので……小森君を推薦したいと思いまーす!」
急に推薦されて困惑する小森。しかし沢村の取り巻きも賛成をして、担任が小森に決定しようとするが、
「先生! 私やります!」
「おお! 清水が立候補するか!」
担任は嬉しそうにし、小森はホッとして、沢村は邪魔をされて嫌そうな顔をする。
吾郎は隣の席に座っていた清水に「物好きだな」と言うが、
「うるせー! 明らかなイジメを見て見ぬフリをして平気なあんたらよりマシだろ!」
その言葉を聞いて図星をつかれた吾郎がカッとなって立ち上がろうとするが、前の席に座っている大地に止められる。
そして大地が代わりに立ち上がる。
「だ、大地……」
「吾郎。言いたいこともあるかもしれないが、自分から嫌だって言えない奴だっているんだ。自分基準で意見を押し付けるな」
「でもさ──」
「えっと、清水さんだっけ? うちの弟がごめんね。結構カッとなりやすいやつなんだけど、悪いやつじゃないんだよ」
「い、いいよ。私も言い方悪かったし」
お互いに謝るように促して、仲直りする2人。
担任はその姿を見て、今年のクラスは仲良くなりそうだなと笑うが、
「先生。そりゃないでしょ」
「な、なんだ?」
「いやいや。今の光景を見て、小森がイジメられてるなんて誰でも分かるのに、無視して学級委員長を押し付けようとした先生に問題があるって言ってるんですけど」
「なんだと!?」
「何か間違ったこと言っていますか? 清水さんやうちの吾郎がイライラしてしまったのも、それが原因でしょ」
「な、なんだその口の利き方は!」
一旦騒動が収まったにも関わらず、火に油を注ぐ大地。
大地は原作時にも不思議に思っていた。この
優先すべきが吾郎の幸せのため、この担任にははっきりと言っておこうと思っていた。
そのせいで今後小学校にいる間、この担任に目をつけられることになってしまったのはまた別の話である。
結局、立候補以外の学級委員はジャンケンで決めることになり、清水も吾郎も委員に入ることはなかった。
そして放課後。
「やめてよー! 僕の靴返してよー!」
大地と吾郎は、校庭で小森がまた沢村達に虐められているのを目にする。
2人は目を合わせて、お互いに移動する。
沢村が、小森の靴を池の中に向かって思いっきり蹴り、小森はジャンプするが靴に届かなかった。
「ああっと、キーパー取れません! 入るかーー!?」
靴が池に向かって飛んでいった時に、大地がジャンプをして靴をキャッチする。
そして沢村達に向かって睨みつける。
「て、てめー! 何しやがる!」
「……は? お前こそ何してんの?」
大地はHRのときの担任の態度のせいでキレる寸前だったため、いつもよりも強い口調で沢村達に話す。
今回吾郎が素直に従っているのも、こうなったときの大地の恐ろしさを何回も味わっているからだ。
大地はもう1つの靴を拾い、小森のところへ行って靴を履かせる。
「大丈夫?」
「……う、うん。ありがとう」
「お前、確か本田とか言った……うわぁぁ!」
沢村は大地のところへ歩いて行き、何かを言おうとしたところで派手に転ぶ。
吾郎が足を掛けて転ばせていたのだ。
「おいおい。俺のことも忘れないでくれよ」
「……く、くそ! おい! お前ら行くぞ! このままで済むと思うなよ!」
そう言って立ち去ろうとした沢村達の前に大地が立ち塞がる。
「……は? お前、このまま帰れると思うなよ。……選べ」
「……え? うわ!」
「小森に謝るか、俺らにボコボコにされるか好きな方を選べ」
そう言って、沢村の足を引っ掛けて再度転ばせる。
上から見下ろす大地の顔が沢村にはとても恐ろしく感じたのか、小森に謝るとすぐに立ち去っていった。
「小森、大丈夫か?」
「う、うん。本田君たち、ありがとう」
「気にすんなよ! まぁほとんど大地がやったんだけどな!」
そう言って笑う吾郎。小森もそれに釣られて笑う。
大地もようやく気分がスッとしたのか、同じようにみんなと笑い合っていた。
(ふーん。本田兄弟か。ちょっとは良さそうな感じじゃない。……でも兄貴の方は怖いわね)
清水が小森を助けた様子を見ていて、大地と吾郎のことを値踏みしていた。
その後、小森は大地達と一緒に帰り、明日からは俺らと一緒に遊ぼうと言う吾郎に頷き、別れた。
そして今週末からはリトルリーグに参加するので、家に帰ってからすぐに野球の練習に打ち込む2人であった。
『小森大介をいじめから助けたため、ボーナスポイントを付与します』
『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216813/
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