なので少し更新遅れてごめんなさい!
「「行ってきまーす!」」
「行ってらっしゃい。頑張ってね」
大地と吾郎は商店街チームとの試合に向かって行った。
桃子は朝食の洗い物をして、応援に行く準備をする。
そして、ふと本棚に飾ってある茂治の写真に目が行き、「おとさんも……一緒に行く?」と独り言を漏らしていた。
三船グラウンドでは商店街チームがノックをしていた。
市の大会で準優勝するだけあり、動きは経験者のモノであった。
半分以上は高校野球の経験者とのことで、三船リトルのメンバーはほとんどやる気がなくなっていた。
「おい、アレのどこが商店街チームなんだよ……」
「あーあ、これじゃあ試合になんねーよなー」
「まーいいじゃん負けたって。どーせドルフィンズは無くなっちゃうんだからさ」
三船リトルメンバーに諦めムードが漂う中、三船リトル監督の安藤の車が到着した。
そこには大地、吾郎、清水も同乗しており、中からはバットやユニフォームなどを取り出して持ってきたのであった。
「じゃあおじさんは車を置いてくるから」
「あ、ちょっと待って! 清水さん、着替えるところないでしょ? ここで先に着替えなよ」
「え……あ! そっか! 本田兄、気が利くじゃん!」
原作で着替える場所がなく、男子に囲まれながら着替えたシーンを見ていた大地は、流石に現実でそれをやるのはまずいだろうと車の中で着替えるように勧める。
安藤も清水の着替えまでは考えてなかったようで、申し訳ないと謝っていた。
清水が着替えている間、三船リトルのメンバーに新しいユニフォームを渡していた。
「おお! 新しいユニフォームじゃん!」
「うそぉ! 解散するのに、なんで今さら……!?」
「いや、実は前から作ってはいたんだけどね。試合する機会がなかったから、倉庫で眠っていたんだよ」
「今日でこのユニフォームを着るのは最初で最後になるだろうけど、最後は楽しんで良いお別れ会にしよう」と話す安藤に対し、大地と吾郎が反論する。
「何言ってんだよ、おじさん!」
「そうだよ! 俺らは勝つつもりでこの試合に臨むんだから、お別れ会なんて縁起でもないこと言わないでよな!」
「大地君、吾郎君……」
商店街チームの実力がどれほどでも勝つつもりでいる大地と吾郎。
そこにサッカー少年団の監督である沢村父がやってくる。
「やあ、どーも。今日はまぁ楽しくやりましょ。商店街チームにも手加減するように言ってありますから」
「……いい加減に──」
「──吾郎」
「……ちっ」
沢村父に突っかかろうとしようとしたところを大地に止められて、舌打ちをする吾郎。
その姿を見て戻っていこうとする沢村父。そこに大地が話しかける。
「あ、そうそう。沢村のお父さん。手加減するなら、中途半端なことはしないでって伝えておいてもらえますか?」
「……なに?」
「俺らも必死にやるんで、そっちも最後まで”全員”に対して必死に手加減よろしく!」
笑いながらサムズアップで沢村父に言う大地。大地なりの反抗であり、明らかな挑発であった。
沢村父もその挑発に気づいたのか、明らかに表情が変わる。そしてもう1つ表情が変わる出来事があった。
「ん? 涼太!? 涼太じゃないか!」
「あ、これはこれはお父さん……」
なぜ三船リトル側に沢村がいるかを問い詰める沢村父。
沢村はクラスメイトのために手伝っていると主張するが、沢村父はサッカー少年団の専用グラウンドになるかどうかがかかっている試合なんだぞと怒鳴る。
「第一、いくらクラスメイトでも友達は選ばなきゃダメだろ! なんでこんな連中と──」
「──お、俺が誰を友達にしようと勝手だろ! 野球やってりゃみんな悪者かよ!」
沢村が父に対して反抗する。その姿を見て大地達は嬉しそうな顔をするが、沢村父は「もうすぐ大会なんだから、くだらないプレーをして怪我するなよ」と渋々認めて去っていく。
沢村父と入れ替わりで来たのは、商店街チームの監督である。ジャンケンをして先行と後攻を決めたのだが、吾郎が勝手にジャンケンをして負けてしまった。
商店街チームは後攻を選び、まずは三船リトルチームからの攻撃となった。
◇◇◇◇◇◇
◇スターティングメンバー
1番:セカンド 長谷川
2番:ライト 前原
3番:キャッチャー 小森
4番:ピッチャー 吾郎
5番:ショート 大地
6番:サード 夏目
7番:ファースト 田辺
8番:センター 沢村
9番:レフト 鶴田
控え:清水
◇◇◇◇◇◇
「って、やっぱり私がベンチなの!?」
「まぁ仕方ないだろ。お前下手なんだから」
「吾郎……大丈夫だよ。ちゃんと清水さんの出番も来るからね!」
1番の長谷川は相手ピッチャーの投球練習を見て明らかにビビっていた。
小学生にはとても打てるようなボールではなかったからだ。
大地は緊張してガチガチになっている長谷川の隣に行き、耳元で話しかける。
「長谷川君、大丈夫だよ。相手は手加減してくれるって言ってたんだから、かなりスローボールで来ると思うよ」
「え……でも……」
「この中で足が速いから1番になってるんだし、どうせなら初球を思いきり叩きつけて全力で走ってみようよ! 大丈夫! 長谷川君ならできるって!」
「……分かった! やってみる!」
長谷川は意気込んでバッターボックスに入る。
商店街チームのバッテリーはマウンドで「相手は子供だから、ちゃんと手加減しよう」と話し合っていた。
そして試合が始まる。
「プレイボール!」
ピッチャーが明らかに手加減しているとわかるフォームからスローボールを投げる。
長谷川は初球を思い切り叩くという大地のアドバイスだけを頭の中に入れているため、来たボールに対しタイミングを合わせて思い切り叩きつける。
すると、ボールはワンバウンドして高く上がっていく。
サードはキャッチして、急いでファーストに投げるもギリギリのところでセーフになる。
「いやぁ、最近のボーズは足が速いんだねぇ」
「本当だよ。しかもアレ、多分狙ってたぜ」
「ああ。ま、なんとかなるだろ」
続いて2番の前原が「よーし、俺も!」と気合を入れてバッターボックスに向かうが、そこでも大地がまた声を掛ける。
「前原君、最近バッティング練習ってしてた?」
「……そういえばあまりしてなかったかも」
「だったらさ、”バント”をしてみない?」
「バント〜!?」
「そうそう! おじさんがわざわざ2番にするくらいだから、バント得意なのかなって思ってたんだけど……違った?」
「ふふふ、よく分かったな! 俺は三船リトル1のバントの名手なんだよ!」
前原の性格上、ちょっと褒めてやる気にさせれば実力を発揮できると思っていたので、送りバントをしてもらうように誘導する。
「よっしゃー!」と言って気合いを入れつつ、バッターボックスに入っていく。
(
ピッチャーがまたしても軽く投げたところに、前原がバントの構えをして三塁方面に転がす。
サードが前進をしてボールを取り、二塁を見るが間に合わないと判断し一塁に投げて
「おーーー! 前原、ナイスバント!」
「ふふふ。さすがだろ!」
チームメイトに褒められて嬉しそうな前原。
そんな様子を笑いながら見ていた大地は、小森にはなにも言わずに見守ることにした。
小森はスローボールを上手くセンター返しして、
「やったぁぁ! さすが小森! ナイスバッティング!」
「よーし! いけ本田弟ぉぉ!」
「頼むぞ! 吾郎君!」
吾郎は「任せろ」と言ってバッターボックスに入る。
(いーねぇ、子供相手はほのぼのとしてて。やっぱ草野球はお互いに楽しくやんなきゃな)
まだまだ三船リトルを舐めている商店街チームのピッチャーは、ニヤニヤしながら軽く投げる。
そこに吾郎がキャッチャーに話しかける。
「いいの? こっちの実力を確かめずにこんなことしてて……」
「え?」
「子供に負けてから悔しがっても──知らないよ」
スローボールを思い切り振り、大きな音を立ててボールはレフトのフェンスを越えていく。
さすがの光景に三船リトル、商店街チームの両方が驚きを隠せない。
「「「「やったーーー!!! いいぞ本田弟ぉぉ!!」」」
ホームに帰ってきた吾郎は、沢村父に「早くボードに3って書いてよ。スリーランホームランでしょ?」と言って挑発する。
沢村父も呆然としていたが、すぐに「分かっているよ!」と言ってボードに3の数字を書き入れる。
「すごいね、吾郎君。いきなり場外ホームランなんてびっくりしたよ」
「ハハハ、スローボールだろ? 打っても嬉しくねーよ。……多分次の大地も打つだろうしね。まぁこれでひとまず安心だ。あとは俺らのチームで逃げ切れるように頑張ろうぜ!」
大地の言葉が頭に残っているのか、”俺”ではなく、”俺らのチーム”とはっきり言った吾郎。
その言葉を聞いていた大地は、嬉しそうな顔をして打席に向かうのであった。
「なんだよ。あんな小学生がいるなんて聞いてねーぞ!」
「まぁまぁ落ち着けよ。あの小学生くらいだろ、上手い子なんて。次抑えて、逆転すればいいのさ。そもそも俺らは全力でやってないんだから」
「……そうだな。いつでも追いつけるか」
商店街チームのバッテリーは落ち着きを取り戻して、次のバッターをアウトに取ることだけを考えていた。
そして、大地の打席である。
ピッチャーは先ほどと同じくスローボールを放ってくる。ど真ん中にしか投げてこないので、大地は笑いながらバットを振り、吾郎と同じくレフトのフェンスを越えてホームランにする。
「俺らに手加減してくれるって聞いてるんで、本当に助かってます。沢村さんにも言ったんですけど、
大地はキャッチャーにそう言って、ベースを一周する。
吾郎に続いての連続ホームランに、商店街チームは絶句し、三船リトルは大歓声で盛り上がっていた。
ホームに帰ってきた大地は、ベンチに戻るとみんなにもみくちゃにされていた。
そして1回表で4点を獲得して、裏の守備に移るのであった。
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