MAJORで吾郎の兄になる   作:ねここねこねこ

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いつも誤字脱字のご報告、ありがとうございます。

つい先日、ようやくFF7Rをクリアしました。
むむむむ!って感じの内容でしたね!
1周目は攻略を一切見なかったので、2周目はトロコン目指してハードモードもやろうと思います!



第二十一話

 三船リトルと商店街チームは7対1で三船リトルの勝利に終わった。

 全員が礼をして挨拶したあと、最後のバッターをしていた人が大地のところに来ていた。

 

「君、1つ聞きたいことがあるんだけど、いいかい?」

「はい、なんでしょうか?」

「最後の球……あれはなんだったんだい? ただのカーブじゃないだろ?」

「ああ、あれは”ナックルカーブ”ですよ。まだ不安定だったので、本当ならこの試合では使うつもりなかったんですけど……」

「そうか……あんな球を小学生に投げられちゃ、俺らも打てねーわ!」

 

 笑いながら大地の背中をバンバン叩く。

 大地は痛いと思いつつも悪気がないのはわかっているので我慢していた。

 

「……というわけで、三船リトルは存続決定だな」

「そりゃそうだろ。市の大会準優勝の俺らに勝ったんだから。こんな熱いガキ達からまだグラウンドを取り上げようなんてするなら、自治会の年寄りはどうかしてるぜ」

「沢村さんが反対しても、この話は俺達が味方するから安心しな」

 

 商店街チームの全員が三船リトルの存続に賛成し、盛り上がっているところに沢村父が現れる。

 

「やれやれ……あんたら、私1人を悪者にする気かい? ……まあいい。グラウンドの件は自治会に掛け合って私が必ずなんとかしよう」

「と、とーさん!」

「沢村さん!」

 

 沢村父の言葉に沢村と安藤が喜びの声を最初に上げ、そして全員が喜び合ったのであった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 商店街チームとの試合が終わった日の夜。

 桃子がお祝いにと少しだけ豪華な食事を用意してくれたので、大地と吾郎は喜んで食べていた。

 

「「……え? 俺達が横浜リトルに?」」

「うん、安藤監督がね、あなた達は三船リトルにいていいような器じゃないって。2人くらい実力がある子達は、今のうちから一流のチームでちゃんとやるべきだって言ってたわよ」

 

 吾郎が桃子の言葉に対して、「せっかく三船リトルが生き残ったのに、今さらチームを変えるのはおかしい」と言う。

 大地も桃子に聞いてみる。

 

「俺も吾郎の意見に賛成なんだけど、母さんとしてはどっちがいいの?」

「んー、母さんとしても同じ意見かな。おとさんみたいなプロ野球選手になるって夢は大切だけど、助けてくれた友達を見捨ててまで行かなきゃいけないようなチームなのかは疑問に思うからね」

「そうだよ! これからみんなで三船リトルを一流のチームにすればいいんだから!」

 

 3人の意見が一致したので、その日の夜は美味しい料理をたくさん堪能出来た吾郎と大地。

 しかし、明日までの宿題が終わっていない吾郎は、桃子に急かされながら必死にやるのであった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 次の日。大地と吾郎が教室に入ると、清水が机に身体を預けて辛そうにしていた。

 

「あれ? 清水、朝からどうしたんだよ?」

「いやさ、昨日の試合で筋肉痛になっちゃって……」

「まぁ仕方ないよね。いきなり試合をやるってなったら緊張もするし、清水さんも一生懸命にやっていたもんね」

 

 昨日の試合について3人で話していると、沢村と小森が一緒に登校してきて大地達のところへやってくる。

 沢村父が掛け合ってくれたおかげで、日曜の午前中はそのまま三船リトルが使っても良いということになったと沢村から聞く。

 沢村は午後にサッカーの練習があって少しハードにはなるが、野球の楽しさも分かってくれたのか早く試合に出れるように頑張ろうと盛り上がる。

 

「まぁ大地君と吾郎君がいれば、リトルリーグ復帰もそう遠くないよ!」

「あとは全員で上手になるために練習しようか!」

 

 大地の呼びかけで、今まで通り休み時間は守備練習、放課後は守備練習を軽くした後に打撃練習をするという流れになっていた。

 吾郎と小森はピッチングもしつつ、沢村と清水の練習を見て教えたりもしていた。

 大地は商店街チームの時のように急に登板もあるかもしれないため、小森と投げ込みも増やすことにしており、その間の吾郎はスタミナをつけるためにランニングをして、沢村と清水はお互いにボールを転がして捕ってから送球するといった練習をしていた。

 

 

 そして、待ちに待った日曜日。新生三船リトルの初練習の日である。

 

「えー、今日より新生三船リトルがスタートする。みんなのおかげで解散の危機を逃れてこんな日がまた来るなんて、とても幸せだ。このよき日に……」

「おじさん、話が長いから早く練習しようよ」

「う、うむ。そうだな。ではまず全員でベースランニングを5周だ!」

「「「「「えーーーー!!!」」」」」

 

 安藤の話が長くなりそうだったため、吾郎が話を遮り、練習をするように促す。

 そして初めからランニングをすることになり、メンバーの一部は不満を漏らすが、大地と吾郎、小森はとても楽しそうだった。

 準備運動をした段階で、元々いた三船リトルのメンバーは疲れ果てていたが、大地と吾郎は息一つ切らしていなかった。

 

(それにしてもこの子達(大地と吾郎)は……一切疲れた様子すら見せないとは……)

 

 キャッチボールやノックをしている時も安藤は大地と吾郎を観察していたが、指摘するところが一切見当たらずレベルの違いが明らかになっていた。

 外野ノックでは全員がフライのボールを捕ることに苦戦していたため、大地が一緒に混じって教えていた。

 

「えっとね、外野フライの基本はボールの落下点を予測することなんだ」

「落下点の予測?」

「そうそう。初めは難しいんだけどね。ほら、ボールがどっちに行ったとかは分かるでしょ?

その精度を上げていくとこんな感じに……よっと。ボールが前に落ちるのか後ろに落ちるのかとかも打った瞬間に分かるようになるんだよ」

「えー! そんなの無理だよ!」

「うん、初めは難しいからそこまでしなくて大丈夫だよ! まずはボールをよく見て、どの方向に行ったかを予測する。次に今いる位置から前なのか、後ろなのかを見て判断出来るようになっていけばいいからさ」

 

 大地のアドバイスでも、初めは一切出来ていなかったが、大地が1人ずつ手を繋いで誘導してあげることにより徐々にコツを掴んできたようであった。

 最初に捕れるようになったのは沢村。誘導をするようになってからすぐに捕れるようになっていた。

 清水は苦戦して捕れるようになったのは最後の1球だけだったが、1人で出来るようになっていたのでとても喜んでいた。

 

「よーし! 今日はここまで! みんなお疲れ様!」

「あー、疲れた」

「やっぱまだ硬球は怖いよな」

 

 まだまだ硬球に慣れていないため、恐怖感から抜け出せていないメンバーもいたが、ようやくチームとして動き始めたことに嬉しそうな顔をしていた。

 そしてみんなが帰ったあと、大地と吾郎は安藤に呼ばれていた。

 

「どうしたの?」

「あのね、この話はみんなの前ではしにくいんだけど……やっぱり今日の練習を見て思ったんだ……」

「横浜リトルのこと?」

「え……」

 

 安藤は先に吾郎に言いたいことを当てられて驚くが、桃子から聞いたと聞いて納得した。

 しかし横浜リトルには行くつもりがないと言った吾郎に対して、安藤は説得を続ける。

 

「じゃ、じゃあさ! 電車賃上げるから、これから練習だけでも見てきなよ。全国レベルの練習がどんなもんなのかを見るだけでも違ってくるから」

「まぁいいけどさ……それでも俺らの気持ちは変わらないと思うよ?」

「それでもいいさ。でもおじさんはさ、大地君と吾郎君はもっと自分を磨ける場所を求めて行くべきだと思うんだ。

()()には、2人のようにプロを目指している子供達がゴロゴロしているからさ!」

「んー、大地はどうしたい?」

「えっとね、見るだけなら見てもいいんじゃない? 強豪チームは見てみたいし、()()()()()()()()()()なら尚更どれくらい強いのか気になるしね」

 

 吾郎は大地の言葉に驚く。安藤も知らなかったのか、同じように驚いていた。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

「吾郎って本当に知らなかったの? おとさんのアルバムって一緒に見てたじゃん」

「い、いやー、チームのことまでは気にしてなかったから」

 

 電車内で大地と吾郎は先ほどの話の続きをしていた。

 吾郎は一緒に茂治のアルバムを整理していたが、小さい頃の茂治を見てはいても、どのリトルリーグにいたかまでは把握していなかったのだ。

 

「まぁでもおとさんがいたチームでも関係ないけどね」

「え……大地はおとさんのいたチームに行きたいとは思わないの?」

「うん、興味無いよ」

「なんでさ? おとさんと同じユニフォームで野球出来るんだよ!?」

「ご、吾郎、落ち着けって! 俺はむしろ燃えてきたんだけど……吾郎は違ったの?」

「……え?」

「だってさ、三船リトルならおとさんがいたチームと戦えるんだよ? そこに完勝したら気持ちいいって思わない?」

 

 吾郎は大地の言葉を聞いてハッとしていた。

 茂治がいたチームで野球をやってみたいという気持ちが強くなりすぎてしまって、野球本来の楽しみ方を忘れていたのだ。

 

「初めに自分で決めて、友達まで集めたチームを辞めてまで、おとさんは自分のいたチーム(横浜リトル)に行って欲しいとは思わないだろうし」

「……そっか。そうだよね……うん、俺どうかしてたわ。むしろ強豪チームを倒せた時の喜びの方が楽しいもんな!」

「そうそう! 今日は敵情視察ってやつだよ。どれだけ強いのか分かれば、これからの目標も分かりやすくなるからさ!」

「……だな!」

 

 吾郎がこのあと迷わないように説得できたことに安心した大地は、寿也と会うのを楽しみにしていた。

 




『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216813/

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