いつも感想ありがとうございます。
皆様の感想や評価がとても嬉しくて結構書くスピードが上がっています。
こんな状況下で大変だとは思いますが、これからもぜひよろしくお願いします。
それと話数の横に「※」が入っているときがあります。
大地のステータスを載せたときに入れてありますので、参考にしてくださいませ。
横浜リトルの練習場に着いた大地と吾郎はフェンス越しに練習風景を観察していた。
どうやら守備側と攻撃側に分かれての実戦練習をしているようであった。
「馬鹿野郎、ショート! スリーワンでゲッツー体制取るな!エンドランの高い可能性を考えたら、前進守備に切り替えてバックホームだろ!ぼんやりやってんじゃねーよ!」
「は、はい!すみません!」
横浜リトルの練習でサングラスをかけた監督らしき大人が怒鳴っているのを見て、吾郎は少し嫌な顔をしていた。
「確かにレベル高そうだね。吾郎はどう思った?」
「うん、同じ意見かな。でも俺、あの監督みたいな偉そうな人好きじゃないんだよね」
「あはは、吾郎らしいね。それなら尚更横浜リトルに行かなくてよかったじゃん」
「まーね」
2人が見ている中、少年がピッチャーからヒットを打ち、監督から褒められていた。
「ナイスバッティングだ! お前、今年から入った新四年生か? 名前は!?」
「はい、ありがとうございます! 佐藤寿也です!」
佐藤寿也と名乗った少年を見ていたボーッと吾郎であったが、徐々にどこかで聞いたことある名前だと思い出す。
「え、え……もしかして……佐藤、寿也って……」
「うん、多分寿くんだね」
「寿也ーーーーーっ!!!!!?」
◇◇◇◇◇◇
『寿くん……俺たちね、明日、隣町の三船町ってところに引っ越すんだ』
『え!? じゃあもう大地君や吾郎君とキャッチボール出来ないの!?』
『わかんない……でも会いにくくなるとは思う。隣町でもきっと遠いし。……今は野球から離れたいんだ』
大地と吾郎はそのまま寿也の家から自分の家に帰ろうとする。
それを寿也は追いかけてきて、2人を呼び止める。
『ま、待って! 会うのが最後になるなら、2人の球を1球だけ捕らせてよ!
それにダメだよ……野球をやめたら! 会えなくなっても僕は2人から教わった野球はやめない!
だから大地君も吾郎君も! おとさんにもう会えなくなっても……おとさんに教わった野球をやめちゃダメだよ!』
そう言って、吾郎にボールを渡す寿也。その言葉に心を動かされる大地と吾郎。
そして互いに1球ずつ寿也にボールを投げる。
『今は会えなくても……きっと一緒にまた野球やろうね!』
『『うん!!』』
◇◇◇◇◇◇
茂治の死から一切会っていなかった吾郎は、寿也に久々に会えたことにとても驚いていた。
眼鏡をしていないが、面影は確かにあった。
横浜リトルの練習が終わって、全員がグラウンド整備をしようとしたときに吾郎が寿也を大声で呼んだ。
「とっ、寿くーーーん!!」
「……え?」
「俺だよ! オレオレ! 俺だよ! 本田茂治の息子の本田吾郎だよ!」
「何っ? 本田茂治の息子だって!?」
「ご、吾郎君!?」
急に呼ばれた寿也はびっくりしながら近付いてきて、茂治の息子だと聞いた監督も驚いていた。
グラウンド整備が終わって、全員が帰り支度をしているとき、大地と吾郎、そして寿也はグラウンドにあるベンチの椅子に座って話していた。
「びっくりしたなぁ。まさかこんな風に寿くんに会えるなんて思っていなかったよ!
しかも横浜リトルでやってるなんてびっくりじゃん!」
「そうだね。僕もびっくりしたよ。吾郎君とはあの日以来、会っていなかったからさ。あ、大地君も数週間ぶりだね」
「うん、元気してた?」
「うん、相変わらずだよ。大地く──」
「──え、待って! 大地は寿くんと会ってたの!?」
「そうだよ。俺からたまに会いに行ってた」
「な、なにーーー!?」
寿也との再会だけでなく、大地がたまに寿也に会いに行っていた事実を知り、さらに驚く吾郎。
「な、なんで1人で行ってるんだよ! 俺にも声掛けてくれたっていいだろ!」
「え、何回か声掛けたじゃん。その度に眠いからとか、観たいテレビあるからとか言って断ってたから、そこからは声掛けてないんだよ」
「……え? ……あ、そうだっけ……?」
「吾郎君……」
さすがに寿也もそのことを聞いて苦笑いをしたが、吾郎が笑って誤魔化す。
とはいえ、久しぶりに会ったので話は尽きない。
「そういえば三船リトルに入ったんだね。人数が足りないって聞いたけど、集まったんだ?」
「まぁね。俺と吾郎で友達集めて再結成したよ。今から猛特訓して強くならないとだけどね」
「そうなんだ。けどもったいないなぁ……大地君達なら横浜リトルでも十分に通用するのに」
「おい、佐藤。その子達、あの本田選手の息子ってのは本当か?」
話の途中で、監督が割って入ってきて茂治の息子が本当か尋ねてきた。
吾郎は茂治のことを覚えていてくれる人がいたことに喜ぶ。
「その格好を見ると、君達も野球をやっているみたいだな。得意なポジションはどこだ?」
「え……そうだね、どこでも出来るけど。まぁ一応ピッチャーかな」
「俺はショートかな。ピッチャーも少しだけやりますけど」
「そうだ! せっかくだから大地君と吾郎君のピッチングを監督に見てもらいなよ! 監督! ぜひ見てあげてください! 2人ともすごいですから!」
「うむ……ぜひ見たいね」
「ハハ……そりゃどーも」
「あっと、俺は遠慮しておきますね。今日はもう疲れたので」
疲れたことを理由に大地は監督に見てもらうことを断る。
吾郎は断り切ることが出来ずにマウンドに行くことになり、寿也がキャッチャーをしてくれることになった。
(大地、ずるいなー! 1人だけ逃げやがった。まぁ寿君と久々にキャッチボール出来るって思えばいいのかな)
まだ残っていた小学生や監督が見ている中、吾郎は振りかぶってストレートを投げる。
あまりのスピードに、寿也は思わず目を瞑ってしまうが、大きな音を立ててミットにボールが収まる。
(は……速いよ! やっぱり吾郎君はすごい!)
「ナイスボール! 吾郎君!」
「……もういい。実力は分かった。合格だ。来週からうちのユニフォームを着ろ。プロへの階段を登らせてやる」
「え……? 何が?」
「す、すごいよ、吾郎君! たった1球投げただけで入団テストに受かったんだよ!」
三船リトルをやめて一緒にまた野球をやろうという寿也に対して、吾郎が冷たく話す。
「わりーけど、俺そんな気は全然ないんだよね……別に合格しようとか思って投げて見せたわけじゃないし」
監督も寿也も入団テストに合格しないと入ることが出来ない名門チームを断った吾郎に対して驚く。
だが、吾郎も仲間を裏切れないなどの事情を話して、入るつもりはないと言う。
そのことに対して監督は、
「お前はどうなんだ?」
「え……?」
「仲間とか親の考えとか、そんなクソにもならん事情はどうでもいい。
問題はお前自身が将来野球で飯を食っていきたいかどうかだ」
「それって横浜リトルに入らなきゃ、将来プロになれないっていうわけ?」
「確率の高さを言っているまでだ。どうせやるなら、環境や設備の充実した中でプロを目指すのが自然だろう」
監督が理路整然と話そうとするが、吾郎はそれでも断る。
そこに大地も入ってくる。
「まぁここまで吾郎が入らないと言っているんですから、仕方ないですよ」
「む……お前はどうなんだ?」
「え? 俺ですか? もちろん入りませんよ」
「……なぜだ? お前もこいつと同じくらいの才能があるのだろう?」
「んー、どうせなら吾郎と楽しく野球をやりたいので。その中で
監督は単純に野球を軽く楽しもうとしているのではなく、先を見据えて話していることに気付き、これ以上の勧誘をするのを諦める。
「……分かった。だが、うちに簡単に勝てるとは思わないことだな」
「「もちろん! だからたくさん練習をするさ!」」
サングラスを外し、お互いに笑顔で話す監督と
後日寿也から監督──名前は樫本というらしい──が元プロ野球選手で茂治と同世代でプロを目指していたと聞き、なおさら負けられないと闘志を燃やす2人であった。
『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216813/
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