MAJORで吾郎の兄になる   作:ねここねこねこ

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私が好きなだけの完全な趣味になっていますが、良かったらご覧くださいませ。
『7人目のソーディアンマスター』
https://syosetu.org/novel/218961/



第二十九話

「村上さん!」

 

 安藤が久喜リトルの監督をしている村上に声をかけると、村上も少し嬉しそうに近寄って来て握手を交わした。

 上河内(かみがうち)のバッティングを褒める安藤に、「あわやノーヒットノーランをやられるところでした」と村上は苦笑いで返すのであった。

 

「安藤さんがいるということは、今年は三船リトルもこの合宿所へ? 2〜3年は顔を出されていなかったようでしたが…」

「え……ええ。ここんところすっかりサッカーに子供達を取られてしまって……。久喜リトルさんは昨年も全国大会に出ていましたよね」

「いやいや、ベスト4止まりでお恥ずかしい」

 

 社交辞令を交わす大人2人に大地、吾郎、小森が近付いていく。

 

「あれ? おじさんの知り合いだったんだ?」

「あ……ああ」

「それなら明日って練習試合出来たりしないんですか?」

「あ、明日!?」

 

 突然の大地の提案に驚く安藤。

 吾郎も同じことを言おうとしていたらしく、嬉しそうな顔をしていた。

 安藤は仕方がないという顔で村上を見ると、「ええ、大丈夫ですよ」と笑って了承してくれた。

 

「おお! ありがとうございます! では朝の10時からでよろしいですか?」

「ええ、大丈夫ですよ」

 

 合宿所に来てすぐに練習試合が決まり、4人とも嬉しそうな顔をするのであった。

 

「え!? あのデブ選手だったの!?」

「いやいや、沢村。突っ込むところはそこじゃないでしょ。……って明日すぐに練習試合なの!?」

「うん、去年の北関東代表チームだよ」

「「「なんだってぇ!!」」」

 

 いきなり強豪(全国ベスト4)と戦うことになったメンバーは驚きのあまり叫ぶ。

 しかし大地と吾郎は問題なさそうな顔をしていた。

 

「いきなりそんなとこと試合して大丈夫なのかよ……」

「まぁ大丈夫じゃないかな? それにせっかく強いチームから色々と学びに来たんだから、試合しないと意味ないじゃん!」

「む……そ、そうだよなぁ」

 

 大地の言葉に納得はした一同。

 それでも不安は隠せないところで吾郎が立ち上がる。

 

「大丈夫だって! 商店街チームの時だってみんなで協力して勝ったじゃん! あれからみんなもだいぶ上手くなっているし!」

「そうかー。まぁ大地と吾郎がいるからね。やってみるかぁ!」

「……ってさりげなく俺と吾郎に任せないでよ! みんなで頑張ろう!」

 

 大地の言葉に全員が笑う。

 安藤もチームのムードが良くなっていることに気付く。

 

(これは大地君の力なんだな。周りの雰囲気を良くする力だ。吾郎君は周りの不安を吹き飛ばす力を持っているし……本当に良い兄弟なんだねぇ)

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

◇スターティングメンバー

1番:セカンド 長谷川

2番:レフト 前原

3番:キャッチャー 小森

4番:ピッチャー 吾郎

5番:ショート 大地

6番:サード 夏目

7番:ファースト 田辺

8番:センター 沢村

9番:ライト 清水

 

控え:鶴田

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

「あれ? 今日は俺、ベンチなの?」

「ああ、この合宿は色々と試したいからね。ちゃんとみんなで交代してやっていくから大丈夫だよ」

 

 鶴田が清水と交代でベンチにいることに疑問を伝える。

 安藤が色々と試すと言ったため、特に気にすることなくベンチに座る。

 先攻の久喜リトルのメンバーはベンチ前で集まり村上の話を聞いていた。

 

「いいか! 序盤はとりあえずボールをよく見ていけ! まだどういう球を投げるか分かっていないからな!」

「はい!」

 

 そして1番バッターが打席に立つ。

 

「プレイボール!」

「よっしゃ! こーい!」

 

 吾郎のリトルリーグでの初めての練習試合が始まった。

 1球目を吾郎が投げる。外角真ん中に投げられたストレートを見て、相手チームが驚く。

 

「な、なんだよあの球」

「め、めちゃくちゃ速いじゃんか!」

 

(む、むう……なんだあの球は……安藤さん、どこであんな逸材を拾ってきたんだ……?)

(は……速い。速すぎるぞ! こんな球、どうやって打てばいいんだよ!)

 

 すぐに追い込まれて動揺してしまったバッターは、高めのボール球を振ってしまい三振となる。

 

「バ、バカ! ボール、よく見ていけって、い、言っただろ!」

「すいません」

 

 監督の村上も動揺していて呂律が回っていなかった。

 そして2番、3番とすぐに三振となる。

 

「ナイスピッチング! 完璧だよ!」

「まーな!」

「えーかっこするなよ!これじゃ練習にならねーよ!」

 

 沢村にもっと打たせろと言われたが無視をする吾郎。

 それよりも吾郎は全国ベスト4がこのレベルだったことに疑問を持った。

 このレベルならガッカリだよと思っていたら、大地が吾郎のところに来た。

 

「吾郎、ナイスピッチング」

「お、おう」

「でもな、まだ油断するなよ。試合終わるまでは大したことないかどうかは分からないからね」

「え……あはははは! わ、分かってるよ! ……やっぱり俺が何考えてるか分かるもんなの?」

「お前の兄貴だぞ、俺は。とりあえず一巡を全力で抑えることができたら、守備練習兼ねて打たせるピッチングの練習もしてみようか」

「えー! 俺が抑えちゃえばいいじゃん!」

「ばーか。リトルリーグの公式戦は長いんだぞ。毎回全力で投げていたらどうなるか分かるだろ?」

「う……体力のペース配分を考えろってやつか」

「そう、それだよ。これからおとさんと同じプロ野球を目指しているなら、尚更肩や肘に負担を増やさないようにしていこう」

 

 吾郎は大地の言葉にハッとする。

 目指すべきは茂治と同じプロの世界なのだから、きちんとペースを考えてやっていかないといけないと改めて気付く。

 

(なーんか毎回大地にいいように言われて騙されている気もするんだけど……でも言ってることは間違ってないし、俺のことを思って言ってくれてるのは分かるからなぁ)

 

 

そして1回の裏の攻撃が始まる。

 




『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216813/

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