MAJORで吾郎の兄になる   作:ねここねこねこ

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第三十五話

「だ、大丈夫……?」

「う、うん……ありがと……」

 

 吾郎と女の子は見つめ合いながら、顔を赤くしていた。

 

「何? その大げさな助け方………いおい、なんか怪しいぞ、この2人!」

「この雰囲気って……一体……」

「…………」

 

 沢村と小森が女の子にまたがっている吾郎を見て、冷やかすように話していた。

 その横で清水はずっと黙ったままだった。その顔は衝撃的なことが起こりすぎて、脳がショートしているようであった。

 

「吾郎……お前……」

「え……? あ、あはははは! ごめん! つまずいちゃってさ!」

 

 すぐに女の子からどき、右手を頭の後ろにやりながら笑って誤魔化すのであった。

 大地は女の子に手を差し伸べ、起き上がらせようとする。

 女の子はその手を見て顔を赤くして、手を取るか悩んでいたが最終的に恐る恐る手を取って起き上がるのであった。

 

(やばい……このままだと清水が野球やりたくないとか言い出しかねないぞ……)

 

 原作知識を覚えていた大地は、これがきっかけで面倒なことになるのを恐れていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 その夜。大地と吾郎は自動販売機でジュースを買って、旅館にある卓球台の横のソファーに座っていた。

 

「吾郎……あの女の子に謝るの忘れてただろ?」

「え? なんで謝るの?」

「おま……! 押し倒しておいてそのままはまずいでしょ!」

「え……! へ、変なこと言うなよ! あれは転んだだけだって!」

「ふーん、ま! いいけどね」

「てか、別にあの子のこと好きだったんならまだしも、そういうのよく分かんねーから」

「あれ? 好きになったわけじゃなかったの?」

「うん。別にまだそういうの興味ないからさ」

 

 大地はわざとらしく納得したような感じの声を出して、部屋がある方向をチラッと見た。

 すぐに誰かが隠れるような気配がしたので、ちょっとトイレ行ってくると吾郎にジュースを渡してその場を離れる。

 

「……やっぱり清水さんだったか」

「……げっ! いや、あの、その……覗いていたわけじゃなくて……えっと……」

「今の話聞いてたでしょ? 吾郎にはその気ないみたいだから安心して大丈夫だよ」

「え! な、なんで私がアイツのことで安心するのさ!」

「ふふふ。まぁ今日はそろそろ寝なよ。明日からも練習厳しそうだからさ」

「わ、分かったよ!」

 

 そう言って少し嬉しそうな清水を部屋に戻す大地。

 トイレに行き、吾郎のいたところに戻ると浴衣姿で風呂桶を持った女の子が吾郎と一緒にいたのであった。

 

「あれ? こんな時間にお風呂に行ってたの?」

「え、あ、うん! 寝れなくって……実は私、一昨日アメリカから帰ってきたばかりなの。お父さんの仕事の都合で」

「アメリカから……!?」

「ええ。だからまだ時差ボケが直ってなくて……今朝早くにあそこにいたのも散歩していたの」

「そうなんだね。そういえば自己紹介していなかったね。俺の名前は本田大地。こっちは弟の吾郎」

「本田……大地君と吾郎君……。あ! わ、私は川瀬涼子!」

 

 お互いに自己紹介をしたあとに、涼子はそろそろ寝ようと部屋に戻ろうとする大地達を引き止め、なぜか涼子の提案で卓球をすることになった。

 

「でも風呂上がりで卓球って大丈夫?」

「うん、まだ帰っても寝れそうになくて……だめかな?」

「大地、本人が言ってるんだし別にいーでしょ! でも手加減しないよ?」

「もちろんよ! 私は女だからってこういうので手加減されるの嫌いだから!」

 

 それから卓球を始めた3人だったが、涼子は大地と吾郎に一切歯が立たなかった。

 そして双子だが、卓球は大地の方が才能あるらしく、その吾郎も大地には勝てなかった。

 

「ふっふー! 俺の勝ちね! どうする? 今度は2対1で勝負する?」

「ムカつく! 涼子ちゃん! コイツぶっ倒そうぜ!」

「え……ええ! そ、そうね!」

「じゃあ罰ゲーム用意しようか」

「罰ゲーム?」

「うん。負けた人が勝った人の言うことをできる限り1つだけ聞くこと!」

「え……ええ!?」

「……なに? 2人とも俺に勝てる自信無いの?」

 

 挑発してくる大地に対して、吾郎と涼子はムキになって勝負を受けるのであった。

 

 

 

 

(大地……何だコイツ! 卓球選手にでもなったほうがいいくらい強いんじゃねーの!?)

 

 序盤の攻防は一進一退で、2人対1人なのに大地は全く互角の勝負を繰り広げていた。

 大地がポイントを取れば、吾郎達も負けじとポイントを奪い返す。

 

「まだまだだね」

 

 ドライブショットを決めた大地のこの言葉が非常に腹立つのか、どんどんヒートアップしていく2人(吾郎と涼子)

 

「さぁ……リズムに乗るぜ!」

 

 途中から今まで手加減していたかのように、大地のスピードが上がる。

 吾郎と涼子も必死に喰らいつくが、結果は大地の圧勝だった。

 息が上がっている吾郎と涼子の前に、ニヤニヤと笑いながら歩いてくる大地。

 

「さ、俺の勝ちだね! 何をしてもらおうかなぁ……」

 

(え……私……大地君に何されちゃうの……?)

 

 身の危険を感じた涼子は自分の身体を抱くようにして後ずさりするが、大地はすぐに満面の笑みになった。

 

「じゃあ今度また遊ぼうよ! 野球とかもしたいし!」

「え? や……野球!?」

「うん。……あれ? もしかして嫌だったかな?」

「あ、いや、ううん! ぜひお願いします!」

「吾郎はまだ保留にしとくわ!」

「え!? マジかよ! てか卓球やってるときの大地のセリフがウザすぎるんだけど!」

 

 大地なりに盛り上げようと某漫画のセリフを使ってみたのだが、かなり不評だったので思わず苦笑いをした。

 このあと、連絡先を交換した3人はもう寝るのでと別れた。

 

(大地君と吾郎君と卓球したの楽しかったなぁ……連絡先も交換出来たし、あの時間にお風呂に入っていて良かった!)

 

 凄い嬉しそうな顔をして部屋に戻っていく涼子。

 合宿所から家に戻ってから、本田家に毎日電話が鳴り、1時間以上話に付き合わされることになるのだが、それはまた別のお話。

 




テニスの王子様がすごい好きな方…中途半端に出して本当にごめんなさい!
本当であれば卓球のシーンだけで1話丸々使って、もっとたくさん色んなセリフや描写を出したかったのです。
というか、実は没ネタで作ったんですけど、作ったあとに気付いたんです。
そういえば、私が書いているのって野球漫画の二次小説だったって。
結構気合い入れて書いたのに没になりました(笑)


『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216813/

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