MAJORで吾郎の兄になる   作:ねここねこねこ

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今日は先に進まず、日常回になっています。
次回から話を進めていきます。

前回の間話があんなに好評だとは思いませんでした笑
また面白くなるようなら間話も書いていきますね。



第三十七話

「吾郎、宿題やった?」

「……え?」

「夏休みの宿題だよ! もうすぐ夏休み終わるだろ?」

「…………え?」

 

 大地はため息をついて吾郎を見る。

 毎年のことなのでもう慣れっこなのだが、いい加減にして欲しいと思う気持ちは変わらない。

 

「やるぞ。今からすぐに」

「う……。だ、大地のを見せてくれれば早いじゃんか!」

「お前なぁ……好きなことしか出来るようにならなくてどうするよ」

 

 桃子も呆れているが、毎年このやり取りをしているのでもう大地に任せるようにしていた。

 

「じゃあまずは算数のドリルからだよ」

「わあ、大地! 外はあんなにいい天気だよ! 一緒にキャッチボールでもしないかい?」

「うっせ! 早くしろ!」

 

 大地は宿題を早めに終わらせるタイプなので、さっさとやって残りを自分の時間に費やしていた。

 吾郎はその間、野球を観たりゲームをしたりと好き勝手に遊び回っていたのだ。

 

「この問題が分かんねー」

「ん? えっとね、これは……」

 

 毎年大地が丁寧に教えているため、小学校3年生までの内容はある程度出来てはいた。

 あくまで()()()()ではある。

 人には向き不向きというものがあるのだと思い知らされる日々であった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「よーし! じゃあ夏休みの宿題を提出しろー!」

「やべ! コレやんの忘れてた!」

「あ! 持ってくるの忘れてたー!」

 

 各々が夏休みの宿題を提出する中、吾郎は余裕であった。

 その余裕そうな吾郎を見て、清水が意外そうな顔をする。

 

「ん? なんだ吾郎は宿題ちゃんとやってきたのか?」

「ふっふっふ。当たり前だろ! 俺にかかればこの程度の宿題なんて大したことないね!」

「ふーん……どうせ大地のを見せてもらったか、教えてもらうとかして手伝ってもらったんでしょ?」

「な……! なんでお前がそれを知ってるんだよ!?」

「え、だって大地って頭いいじゃん。しかも運動神経もいいから、結構女子にモテてたりするんだよ?」

「な! なん……だと……!」

 

 清水の衝撃発言に吾郎は固まる。

 吾郎が思い返してみると、たしかに大地は女子生徒から話しかけられる頻度が吾郎よりも多かったような気がしていた。

 ()()()()()()というのは、吾郎がそこまで興味を持っていないので覚えていないのだ。

 

「しかも顔もイケメンだもんな。性格もいいし、モテるのも分かるよね」

「か、顔って俺だって大地と双子なんだから一緒の顔だぞ!」

()だけはね! 女子はそれだけで判断しないってこと!」

 

 恋愛などにはまだ興味が無いとはいえ、清水にそこまで言われてしまうと負けず嫌いの性格が出てしまう。

 休み時間になると、大地に宣戦布告をする。

 

「大地! 俺と勝負だ!」

「いいけど…何で勝負するの?」

「えっと……野球はどうだ!?」

「いや、俺ら結構頻繁に勝負してるじゃんか。それとは違う意味なんだろ? なら違う内容でやらないとじゃん」

 

 沢村と小森も大地と吾郎の話を聞いて集まってくる。

 

「なんだなんだ! 兄弟喧嘩か!?」

「ちょっと沢村君……本当に喧嘩だったらまずいよ……」

 

 そこに清水も加わり、状況を説明する。

 沢村と小森は双子の勝負と聞いて面白そうな顔をした。

 

「じゃあさ、単純に人気投票とかどうだ?」

「んー、それだと大地君の圧勝じゃないかな? 勉強とかは?」

「いや、それも大地の圧勝でしょ」

 

 沢村、小森、清水の3人がガヤガヤと話しているが、吾郎はその横で何なら大地に勝てるかを考えていた。

 

(う〜ん、身長は同じだし、野球はいつもやっているし、運動系はほぼ同じくらいなんだよな。

勉強は絶対に負けるし……あれ? 俺って大地に勝てる要素……無いのか?)

 

 衝撃の事実に気付いた吾郎は、驚きの表情で大地を見る。

 大地も急に勝負と言われて戸惑っていたのだが、コロコロ変わる吾郎の顔にさらに戸惑っていた。

 

「なあ吾郎……勝負はいいんだけど、俺らがそんなことして何か得ってあるのか?」

「だ、だって大地に勝てる要素がないって清水が……!」

「……はぁ。清水さん」

「や、やぁ! 大地君! どうしたのかな!?」

「あんまり吾郎をからかわないの。こいつ単純なんだから、ちょっとしたことでも本気にしちゃうって」

「あ、あははははは! ごめんごめん! まさかここまで本気にするとは思ってなくて!」

 

 清水は大地に優しくたしなめられるが、笑いながら反省していた。

 

「吾郎もそんなことでいちいち本気に受け取らないの。俺らはたった2人の兄弟なんだから争っても仕方ないでしょ」

「そ、そうだよな……」

「じゃあこの話は終わり! もうすぐ授業始まるから準備しないとだよ!」

 

 そう言って席に戻るように伝える大地。

 沢村は「なんだ、つまんねー」と言っていて、それに対して小森は苦笑いをしていたが素直に席に戻る。

 清水と吾郎も同じように席に戻るが、清水から話しかけていた。

 

「吾郎、からかってごめん……」

「ん? もう別に気にしてねーよ」

「大地もいいところあるけど……ご、吾郎もいいところ……た、たくさん……あるから……な」

 

 最後らへんは声が小さくなりすぎて、隣の席の吾郎も届かない声だった。

 しかし清水は顔を少し赤らめて勇気を出していたのであった。

 

 

 

 そして大地と吾郎の話は、実は教室にいたクラスメイトのほとんどが聞いていた。

 吾郎の声がでかいのもあったが、基本大地は女子生徒から見られていることが多いのだ。

 

((((大地君ってやっぱりかっこいいなぁ! なんか……大人だよね!))))

 

 前世の精神年齢もあるからか、基本的には落ち着いている大地に大人の魅力を感じるのは無理もない。

 大地自身は見られている感覚はあったが、別に害がないので気にしていなかった。

 それがまた余裕がある雰囲気を出してしまい、さらに女子生徒から人気になっていたのであった。

 




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『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
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