MAJORで吾郎の兄になる   作:ねここねこねこ

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第四十一話

「じゃあ行ってくるね」

「行ってきます」

「いってらっしゃーい! 母さんも後で応援に行くから、頑張るのよ!」

 

 本牧リトルとの対戦から1週間が経ち、大地と吾郎は2回戦の対戦相手である戸塚西リトルとの試合のために球場へ向かっていた。

 前回と同じように集合場所で全員が集まり、バスに乗って安藤の運転で向かうのである。

 バス内は和やかな雰囲気であった。

 

 球場に到着してからはアップをして、試合に備える。

 そして戸塚西リトルの守備練習を見て、全員が驚くのであった。

 

「え、戸塚西ってベスト4じゃなかったの? ポロポロこぼしてばっかりじゃん!」

「これならうちも勝てるかもしれないなー!」

 

 五年生達が侮っているところに大地が声を掛ける。

 大地が指をさし、その方向で投球練習をしているピッチャーを全員で見ると、落差のあるフォークボールが投げられていた。

 

「あのピッチャー相手に打てれば勝てるとは思うんだけどね……」

「そっか……あのボールが打てないから守備がダメでも勝てていたのか」

「やべえ、急に自信無くなってきた……」

 

 吾郎はその様子を見て、見下したり自信無くなったり忙しい五年生だなと心の中で思っていた。

 だが、それを見てみんなが和むから悪くないよなと考え直し、どうやってフォークを打つかを考えていた。

 

「あのピッチャーからはそう簡単に点が取れないかもしれない。そうなったら三船リトル(こっち)も守り抜くしか勝ち目はない! だからこそ、作戦通りにやってみるぞ!」

「「「「はいっ!!!」」」」

 

 安藤の号令で全員が気合を入れたところで、先行が戸塚西リトルで試合が始まる。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

◇スターティングメンバー

1番:セカンド 長谷川

2番:ショート 前原

3番:キャッチャー 小森

4番:レフト 吾郎

5番:ピッチャー 大地

6番:サード 夏目

7番:ファースト 田辺

8番:センター 沢村

9番:ライト 清水

 

控え:鶴田

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

『只今より、Aブロック二回戦、三船リトル対戸塚西リトルの試合を行います』

 

 大地がマウンドに上がり、投球練習を始める。

 

「な! 今日は1回戦のピッチャーじゃないのか!?」

「しかもボールがすごい速いぞ!!」

「う、打てるのかな……あんな球……?」

 

 戸塚西リトルは吾郎が投げると思っていたので、同じ以上の球速で投げてくる大地を見て不安になっていた。

 しかし戸塚西リトルの監督である宇沙美は、見下しながらも優しく話しかける。

 

「ははは、打てるわけがないだろう、君たちが」

「「「「……!?」」」」

「いいんだよ、君達はいつも通り気楽にやれば。球太1人でうちは十分に勝てるからな」

「「「「は、はい……」」」」

 

 宇沙美の言葉を聞いて落ち込むように俯く戸塚西リトルのメンバー。

 そんなことを気にもせずに、宇沙美は息子の球太に声を掛ける。

 

「球太! ピッチャーは変わったが、お前なら打てるはずだ!」

「はい」

 

 そして、球太がバッターボックスに向かっていく。

 

『1番ピッチャー宇沙美君』

「プレイボール!」

 

 大地は戸塚西リトルのベンチの雰囲気を見て苦々しい顔をしたが、まずは試合に集中しないといけないと思い直す。

 そして振りかぶって初球を投げる。

 

「ストライク!」

 

 左打ちである球太のインハイにストレートが入り、ワンストライクとなった。

 小森からボールを受け取り、足でマウンドを均す大地。

 そこで、監督の宇沙美が帽子のつばに指先をつける仕草をし、球太はそれを確認すると頷く。

 

(ふふふ……確かにこいつもいい球を投げる。その速さでコースに決められたら、どんないい打者もそうは打てまい。

……だが、ピッチャーは変わってもキャッチャーがサインを出していることは変わらないんだよ。

インハイのあと、キャッチャーが次に要求する()()()()()は──87%の確率で外角低め(アウトロー)だ!)

 

「……なっ!」

「ストライーク!」

 

 ボールは()()()()()()()()()()()()()

 小森は大地にボールを投げながら、心の中で笑っていた。

 

(ふふ。大地君の言ったとおりだったね。相手は僕の配球の癖を掴んでいる可能性が高い)

 

 実際に宇沙美親子は小森の配球の癖を分析して知り尽くしていた。

 だからこそ確実に打てると踏んでいたのだ。

 しかしそれは大地によって見抜かれており、対球太に関してだけは大地がどこに投げるか、何を投げるかを決めていたのであった。

 

(な、なんだとぉぉぉ!! 私の分析が間違っていたというのか……!?)

 

 宇沙美は自身の分析が外れたことに動揺を隠せないでいた。

 それは球太も同じであり、すぐに宇沙美を見る。

 

「球太! いちいちこっちを見るな! お前の力なら打てるはずだ!」

「……はい」

 

 しかし大地の低めに制球されたボールを打つことができずに、球太は三振してしまう。

 トボトボと歩いてベンチに戻ってきた球太の顔を宇沙美は思い切り叩く。

 

「球太! あの程度の球を打てないとはどういうことだ!」

「ご、ごめんなさい」

 

 戸塚西リトルのベンチだけでなく、三船リトルのベンチも審判もその光景を見て黙ってしまっていた。

 そして大地はこのやり取りを見て不快に思っていた。

 それは吾郎も同じであった。

 

(原作で見ていたときも不愉快だったけど、実際に見るとこんなに胸糞悪くなるんだね)

 

 大地は若干の苛つきを覚えながらも2番、3番打者を三振に仕留める。

 球場内の空気が悪くなりつつも、三船リトルの攻撃が始まるのであった。

 




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