MAJORで吾郎の兄になる   作:灰猫ジジ

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第四十六話

「さてと……みんな忘れ物はないな?」

「ないない。早く行こーよ」

 

 横浜リトル戦当日。全員はバスに乗り込み、安藤スポーツ用品店の前にいた。

 日曜日の集客できる日に”本日休業”の張り紙を貼り、シャッターを閉める安藤。

 そして、安藤が大きな籠2個分に入った硬球を持とうとして──

 

「監督、それ重いからみんなで持ちますよ」

 

 大地は安藤が持とうとするのを止めた。

 「元高校球児のわしにとったらなんてことない」と強がっていたのだが、原作でぎっくり腰になってしまうというハプニングがあったのでそこだけは防ごう動いていた。

 そして防ぐ理由の1つとして、桃子に子供用のユニフォームを着てほしくないというのもあったのだ。

 

(前世ならともかく、誰が好んで母親にピチピチの服なんて着せたがるんだよ……てか誰得だよ)

 

 結果、誰も怪我することなく試合会場に向かうことが出来ていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

『準々決勝第一試合は、8対4で江ノ島リトルが勝ちました。このあと第二試合、横浜リトル対三船リトルの試合を行います』

 

 アナウンスが流れ、横浜リトルの選手が守備練習のため先にグラウンドに出てくる。

 大地達もベンチに入って荷物を置き、グラウンドに足を踏み出す。

 

「で……でけぇ」

「ここが……あの横浜スタジアムかぁ……」

「人工芝じゃーん!」

 

 初めて入る横浜スタジアムのグラウンドに圧倒される三船メンバー。

 そこで大地と吾郎は懐かしむように過去を思い出していた。

 

(おとさんとの思い出は……)

(いつも……ここだったな)

 

 茂治の野手復帰ホームランを見たとき。

 誕生日にキャッチボールしたこと。

 ジョー・ギブソンとの対戦。

 

 すべての思い出が2人の中に蘇ってくる。

 その思い出の地で、茂治の出身チームである横浜リトルと対戦できる喜びを噛み締めていたのであった。

 

「よーし、みんな! 最っ高の1日にしよーぜ!!」

「「「「おうっ!!」」」」

 

 大地の合図で全員が守備練習に入る。

 全員がもう緊張することもなく、楽しげにプレーをする様子を見て、安藤も嬉しさでいっぱいだった。

 ノックが終わり、試合開始の挨拶をするために、ホームベースのところでチームごとに一列に並んで向き合う。

 

「それではこれから横浜リトルと三船リトルの試合を始めます。礼!」

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

 礼が終わると横浜リトルメンバーは先攻のためベンチに戻り、後攻の三船リトルメンバーは守備位置に向かう。

 

◇◇◇◇◇◇

 

◇スターティングメンバー

1番:セカンド 長谷川

2番:レフト 前原

3番:キャッチャー 小森

4番:ピッチャー 吾郎

5番:ショート 大地

6番:サード 夏目

7番:ファースト 田辺

8番:センター 沢村

9番:ライト 清水

 

控え:鶴田

 

◇◇◇◇◇◇

 

「もう大地君達と戦うとは思わなかったね。寿也君」

「うん……いい勝負が出来ると良いんだけど……そうもいかないんだろうなぁ」

「……そうね。気の毒だけど。大地君と吾郎君だけだと私達には勝てないわね」

 

 横浜リトルのベンチで涼子と寿也が話していた。

 要注意人物は大地と吾郎のみで、あとは取るに足らないメンバーだと思っている。

 他の横浜リトルのメンバーも、三船リトルのことを見下した発言を繰り返して笑っていた。

 

「おい! 見下すのは勝ってからにしろ! 間違っても手を抜くなよ。初回から全力で叩きのめせ!」

「「「「は……はい!!」」」」

 

 横浜リトル監督の樫本に注意され返事をするが、内心では不満があるようだ。

 監督に聞こえない声で何人かが話していた。

 

「まだまだ信用無いようだね、俺たち」

「オッケー。じゃあコールドゲームでもやっときゃ満足してくれるだろ」

 

 全力で叩きのめして、力の差を樫本と三船リトルに見せつけようと意気込む横浜リトルメンバー。

 そしてプレイボールの合図とともに1回の表が始まったのであった。

 

 吾郎が振りかぶり、初球を投げる。

 内角真ん中に決まり、ワンストライクとなる。

 

「伊達! 見なくていいぞ! どーせそいつにはまっすぐしかねーんだ!」

「オッケー!」

 

 伊達は軽く返事しながら、吾郎が投げるボールを叩きつけるように振る。

 しかし、ボールは伊達のバットに当たらずにキャッチャーミットに吸い込まれる。

 

「ストライクツー!」

「なっ……!?」

 

 伊達は信じられないような顔をするが、吾郎はボールを受け取りながら「へっ!」と笑い、3球目を投げる準備をする。

 

(ようやく形になってきたストレートを簡単に打たれて……たまるかよっ!)

 

 吾郎は夏の合宿から練習し始めて、ようやくある程度形になってきたジャイロボールを投げ込む。

 伊達はバットを振るが、ボールの下を振ってしまい空振り三振してしまう。

 

「だ……伊達が当てられない……だと……!?」

「何の変哲もないストレートじゃねーか!」

 

 伊達が三振してしまったことを信じられない様子の横浜リトルのメンバー。

 樫本だけが黙って腕を組んで吾郎を見つめていた。

 2番の村井、3番の江角も同じくボールに触れることもなく三振してしまう。

 

「な……なんなんだ……? 別に打てないスピードじゃないだろう……!?」

「江角! どういうことだ!」

 

 ベンチに戻ってきた江角に真島が詰め寄る。

 江角は不思議そうな顔をしていた。

 

「い、いや……分からないんだ。ちゃんと当てたと思って振ったんだが……ボールに当たらないんだ……」

「ボールに当たらないだと?」

「ああ……」

 

 少し動揺している江角だったが、守備があるため急いでグローブを持って真島を置いてグラウンドに向かっていった。

 その様子を見た真島は微かに笑っていた。

 

(江角が……よく分からないというレベルの球か……面白いじゃねーか。次の回が楽しみだぜ)

 




吾郎のジャイロボールはまだまだ習得には至っていません。

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『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
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