次回から中学生編に移りますね。
それは三船リトルが3年連続の全国大会で優勝したあとのことだった。
「やったぁーー!!! 3年連続で全国大会優勝だ!」
「まさか俺たちがここまで出来るなんてな!」
「ほんとだよ! これも大地君と吾郎君がいてくれたからだよね!」
清水、沢村、小森が帰りのバスで喜んでいた。
今や三船リトルはかつて強豪と言われたチームではなく、リトルリーグをやっているのであれば誰しもが注目するチームとなっていた。
そして2年前には人数不足で存続すら危うかったチームが、40名を越えるチームにまで増えていた。
六年生である大地達が5人しかいないため、来年になれば更に人数は増えることであろう。
「そういえばみんな中学上がったらシニアに行くとか考えてるの?」
小森が何気なく全員に話を振る。
沢村は首を横に振って答える。
「俺は行かないかな。中学に入ったらサッカーをやるって決めてるからな」
「そっかぁ……沢村君は今も三船サッカー少年団と掛け持ちしてるんだもんね」
「ああ。あっちも全国出場できるくらい強くなったし、サッカーでジュニアユースチームのセレクションにも受かったからな」
沢村はプロサッカー選手の下部組織であるジュニアユースへの入団が決まっていた。
6月頃から10月頃に行われるセレクションに合格することで入ることが出来るため、三船リトルの傍ら色々と受けに行っていた。
「清水さんはどうするの?」
「私は三船東中でソフトボール部に入ろうかなって思ってるよ。女子の中で一番目指してやってみたいんだ!」
清水はソフトボールに興味を持っていた。
野球が嫌いになったわけではなく、単純に面白そうというところから色々と調べていた。
「吾郎君は?」
「ん? 俺? 俺は……何でもいーよ。野球が出来ればそれでいいかな。シニアもありだし、三船東で野球部入るのも悪くねーな」
「え!? そうなの!? 僕も三船東で野球部入ろうと思ってたんだよ!」
「何だよ、小森はシニアに行かねーのか?」
「うーん……正直に悩んだんだけど、ここら辺だと横浜シニアだろうし……僕には荷が重いかなって……」
「そんなことねーと思うけどなぁ。だって全国優勝チームの正捕手だぞ!?」
「うん……それでもお金的にも厳しいだろうし……それより吾郎君がもし三船東の野球部に入ってくれたら、一緒に出来るかもって思うと嬉しいよ!」
吾郎は特に何も考えているわけではなく、小森は金銭面の事情も有り、横浜シニアには行かないと決めていたようだった。
「大地君はどうするの?」
「んー、正直ちょっと悩んでる。シニアもいいなって思うし、中学で野球やるのも楽しそうだし」
「え!? そうなったら三船東中で本田兄弟と小森が野球やるのかよ! そんな豪華メンバーだと中学も全国制覇しそうだな」
沢村が「俺もジュニアユースと三船東の野球部を掛け持ちでやろうかな」と真面目な顔をしてぶつぶつと言い出したところで、安藤が話に入ってくる。
以前は安藤が運転も兼任していたのだが、三船リトルが全国大会で優勝をしたときから近所やチームの父兄のお手伝いなども増えたため、そういったことはしなくなっていた。
「みんな、すまんね。
安藤はがっくりしていたが、シニアチームを作るにはあまりにも人手や環境に不足がありすぎて難しかったのだ。
それでも安藤には全員が感謝をしていた。
家族との時間を割いてまで、三船リトルへの時間を増やしてくれ、初めは自分でお金も色々と負担してくれていたのだ。
そのことを知っている六年生達は安藤に対して不満など一切無かった。
「ま! まだまだ時間はあるし、これから悩みますかね!」
そんな楽観的な大地と吾郎が家に帰ったとき、驚くべきことが待ち構えていたのであった。
◇◇◇◇◇◇
「海堂附属中学!?」
「ええ。我々はまだ数年前に開校したばかりの附属中学なのですが、ぜひ本田君達には
高校野球の名門で知られている海堂高校。そこがさらに中学時点から環境を揃えて海堂高校へ送り出そうとするために創設したのが海堂附属中学であった。
まだ出来たばかりだが、既に全国大会への出場もしているくらいの強豪である。
今そのスカウトが大地達の家に訪問しており、桃子と一緒に話を聞いているのであった。
「特待生って……具体的にどういうことなのですか?」
「ええ、入学金・授業料は一切無料です。全寮制なのですが、寮費も一切かかりません。ただし、
無料という言葉を聞いて桃子が喜びの声を上げる。
吾郎も全国に行っているくらいのところであれば、環境に問題も無いようで行っても構わないくらいのレベルで考えていた。
その場で大地だけが難しい顔をしていたのであった。
◇◇◇◇◇◇
「それでは、是非ご検討ください。本日はお邪魔しました」
スカウトの男性と女性が頭を下げてマンションから出ていく。
そして少し歩いたところで会話を始める。
「大貫チーフ。本田兄弟はいかがでしたか?」
「……申し分ないな。全国大会での結果を見てもだが、実際に見ると
「弟の吾郎君は乗り気でしたが……兄の大地君は終始難しい顔をしていましたね」
「ああ。弟もピッチャーとして是非欲しいが、なるべくなら兄弟一緒に獲りたいな。海堂高校への特待生枠を交渉材料に使ってでも獲りに行くぞ!」
「はい!」
(せっかくドッジボールチームから
大貫と部下の女性はなんとしても本田兄弟を獲得するべく動いていたのであった。
◇◇◇◇◇◇
スカウトの大貫が帰ったあと、桃子と大地と吾郎は先程の話について改めて話し合っていた。
「大地、吾郎。良いんじゃないかなって私は思うんだけど……どう?」
「俺も良いなって思ってるんだけど…大地が難しい顔をしているからさぁ」
「…………」
大地は未だに難しい顔をしていた。
なかなか返事をしない大地に、吾郎が少し強めに話す。
「大地! 何を悩んでるん──」
「……俺さ。やっぱり三船東中に行くよ。吾郎は海堂附属中学に行けばいいさ」
「「え!?」」
大地が顔を上げて、桃子と吾郎に返事をした。
急な返事に2人は驚き、吾郎は困惑もしていた。
「な、なんでだよ! あんなに
条件について吾郎が話していたが、実際吾郎は
「ああ、確かに良い条件だよな。環境も良いだろうし。……でもな。俺は全寮制で母さんと離れるなんて出来ないよ。
おとさんが死んじゃったあと、血の繋がっていない俺達をここまで育ててくれた母さんを1人にするなんて絶対に出来ない……」
「だ、大地……」
そんなこと気にしなくていいと桃子は言いたかった。
だが、真剣に考えてくれる大地の気持ちをどうしても無下には出来なかった。
「……るいよ」
「……え?」
「大地ばっかりずるいって言ってんだよ! そんなこと言われたら、俺だって同じだよ! 母さんを見捨てるなんて出来るわけ無いだろ!」
「吾郎……」
吾郎は大地の言葉を聞いて、今までどれだけ自分のことしか考えていないのかを反省していた。
そして、実の両親である千秋、茂治と同じくらい大切に思っている桃子のことを考えて泣きそうな顔になっていた。
桃子は2人の話を聞いて嬉しそうに笑った。
「大地……吾郎……。ありがとう。でも、あなた達はあなた達の道を進みなさい。母さんは確かに寂しいけど、あなた達が元気に野球をやってくれるのが嬉しいから。きっと、おとさんもおかさんも同じ気持ちよ」
「……いや、母さん。それだけじゃないよ。俺らはプロ野球選手を目指してるんだよ。そこで軟式野球をずっとやるわけにはいかないんだ。
だから、俺は三船東中に行って、横浜シニアに入ろうと思う。少し負担を掛けちゃうかもしれないけど、お願いします」
大地がそう言って桃子に頭を下げる。吾郎も慌てて一緒に頭を下げると、桃子はそんな2人を抱きしめる。
「そっかぁ。じゃあ母さん、甘えちゃおうかな。まだ一緒にいてくれるんだよね?」
「うん、そうだよ」
「……って恥ずかしいから!」
素直な大地とツンデレな吾郎に囲まれて幸せな気分になる桃子であった。
(茂治さん……私、
ちなみに設定上だけでまだ出てこないのですが、大河君も三船リトル入ってます笑
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