MAJORで吾郎の兄になる   作:ねここねこねこ

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ついに…ついに…!本当に嬉しいです!
これからもよろしくおねがいします!

それとアンケートを実施したいと思います。
吾郎sideの進学先をどうするかですね。
確実にアンケートの結果のルートに行くと決めたわけではないのですが、ぜひご協力をいただけたら嬉しいです!



第六十二話

 海堂高校野球部編成担当部長の北川から開始の合図があり、セレクションがスタートする。

 納得できる説明もなく、いきなり始まったことに()()()()()()()が困惑をしていたが、前の選手が走り出すと深く考えずについていこうと走り出すあたりは日本人によくある傾向といえよう。

 そして、「今年は何人受かりますかな?」と笑いながら話している海堂高校のセレクション担当者達の横で、1人の男(大貫)が双眼鏡越しにグラウンドを眺めていた。

 

(き、来たのか……! あの様子だと来る確率は3割を切っていたと思ったが……と、とりあえず何でもいい! この難関をダントツで突破してうちの()()()()()()()にお前達の凄さを見せつけてくれ!!)

 

 

 

 開始から5分。大地達は先頭を走っていた。何人かは後ろについてきているが、それでも2番手集団とは10m以上突き放した状態であった。

 そして更に差が生まれつつある中、受験生の殆どが大地達に対して疑問を持っていた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということだ。

 

 2番手集団以降に関しては全く差がなく──人数の関係上、最下位との距離の差はあるが──ほぼ全員が体力温存の様子見だった。

 しかしそんな中、1人の受験生が2番手集団から抜け出した。

 

「うわっ! あいつ、もうスパートかけやがった!」

 

 先頭集団(大地達)を上回るスピードで走り出した男は、少しずつ大地達との距離を詰めていく。

 

(あの3人は最初から気に入らなかったんだよな。さっきも全員が歩いている中、試験官の顔色伺って走っていったりしちゃってよー。

それに、()()()()()()()こと、この多岐川(たきがわ)様の前を走るなぞ、絶対に許せん!!)

 

「大地君! 後ろからスピード上げてくる人がいるよ!」

 

 多岐川がスピードをどんどん上げていくのに気付いた寿也。

 このセレクションで誰かに負けることが許されない大地達は、たとえ1回でも多岐川に抜かれるわけにはいかない。

 吾郎と目を合わせた大地は、寿也に告げる。

 

「じゃあ俺らもペースを上げようか。準備運動はこの辺にしておこう」

 

(よっしゃ! もうすぐ追いついちゃうよ〜! ま、君達のような()()()()()()レベルじゃ、この俺様の足には勝てないのよ…………って、あれ?)

 

 大地達のところまであと2、3mといったところから、多岐川は全く追いつけなくなっていた。

 それどころか、徐々に差が開いていったのである。

 

(な、なんで……!? 多岐川様より足の速いやつなんぞいるわけが……!)

 

 多岐川のペースが落ちたわけではない。むしろ多岐川は自身の最高速度(トップスピード)で走っていた。

 先程までの2位集団との差はかなり開いているということからも、多岐川の足はセレクションの受験生の中でもトップレベルだということは分かる。

 ではなぜ追いつけないのか? これは、単純に()()()()()()()()()()()()()()()()()からなのである。

 

「210、18、79、41、12、113、126、62、179、失格!」

 

 大地達がスピードを上げたのもあり、最下位集団はどんどん抜かれて脱落していく。

 その様子を見て、北川は淡々と失格者の番号のみを告げていく。

 

「111、51、92、205、141、17、失格!」

 

 更に受験生が脱落していく中、多岐川は心の底から不愉快な気持ちになっていた。

 生まれてからの15年間、多岐川は同世代に足で負けたことはなかった。

 陸上部やサッカー部といった足に自慢があるやつですら、多岐川の足には全くといっていいほど勝てなかったのである。

 

 その事実に多岐川の自尊心を存分に満たし、有頂天となり、彼の自信となっていた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

 しかしながら、今現実に起こっているのは自分よりかなり先に3()()()()()()()()がいるという事実。

 

(そ、そんなことがあってはならねぇ! この俺様の前に誰かが走っているなんて……あ、あれ?)

 

 焦りや緊張は、いつも以上に身体へ疲労を溜め込む。足は速いが体力が無い多岐川にとって、このことは致命的である。

 徐々に太ももに違和感を覚えて、足が上がらなくなってくる。

 そう、完全なスタミナ切れである。スタミナが切れた多岐川はスピードが目に見えて落ちていく。

 

 大地達は更にスピードを上げて最下位グループを失格にしながらも、多岐川との差を広げていく。

 そして、多岐川が疲労で走れなくなる直前で、笛の音が大きくなるのであった。

 

「それまで!!!」

 

 笛の音と北川の声を聞いて、受験生がその場に倒れ込む。多岐川もそれに漏れず、大きく息をしながらへたり込む。

 その中で大地、吾郎、寿也の3人は息1つ切らさずに立ったまま、全員の様子を伺っていたのであった。

 

(一次テストは問題なさそうだな。さすが横浜シニアを全国大会優勝に導いた3人ということか。()()()()()()()()()()()()とはレベルが違うな)

 

 大貫は一次テストの様子を見て、ほうっと息をつく。

 その横では教頭が一次テストについて北川と話していた。

 

「一次テストの通過者は102名か。しかし北川君、こんな乱暴な一次テストでいいのかね?

これじゃあ、中・長距離の苦手な者は全員失格になるじゃないか。陸上部のセレクションじゃあるまいし……」

「教頭、”走り”は運動能力の基本ですよ。この程度の中・長距離で周回遅れになるような基本の出来ていない奴は、海堂(うち)には必要ありません。

ホームランしか打てないデブのスラッガーに商品価値はない──海堂ブランドが作り上げる()()は、打って走って守れる本物のユーティリティープレイヤーなんですよ。

とはいえ、今年は()()()()()()()()()()が、過去に類を見ないほど多いですがね。商品価値のない奴ら(ゴミ屑)の中に、最高級ダイヤモンドの原石が混じっていますから」

 

 そう言って北川は大貫を一瞥した後、大地達を見る。

 もちろん江頭から大地達のことを知らされているため、もしセレクションに来た場合は──特別待遇はしないが──能力の調査をするように言われていた。

 持久力、スピードともに特待生と比べても勝るとも劣らない能力の高さに軽く笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 ────海堂高校野球部セレクション一次テスト、287名中102名突破────

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「一次テスト通過者102名。続いて第二次テストに入る。

第二次テストは基礎筋力テストだ! その場で結構。腕立て、及びスクワットを合計千回行ってもらう」

「「「「「ええっ!? せ……千回ーーーっ!?」」」」」

 

 一次テストでヘトヘトになっている受験生に対し、非情とも思える回数が告げられる。

 驚きの声を上げる受験生を無視して、北川は淡々と説明を始める。

 二次テストの内容を聞いて吾郎と寿也は大地を見るが、大地は気付いていないフリをしてそっぽを向いていた。

 

「号令についてこられない者、こちらから見て正式な方法で続けられなかった者は当然不合格となる。

腰を浮かして肘だけ軽く曲げただけの腕立てなど即失格だ。スクワットも両手を後頭部に付けた状態で背筋を伸ばし、膝をきちんと折っている状態でないと認められない」

 

 その言葉に対して、ざわめく受験生たち。

 そこに北川からの救済措置──とは一切思えないが──が与えられる。

 それは腕立てとスクワットで()()()()行えば良いというものである。どちらかを千回行っても良いし、一定の回数ごとに腕立てとスクワットを切り替えても構わないという内容だ。

 ただの嫌がらせにしか思えない回数に対し、不満の顔を見せる受験生達だが、そんなことはお構いなしとばかりに北川から開始の合図が告げられる。

 

「では用意!始め!」

 

 北川とは別の試験官が数字を数えていく。

 200回くらいまでは誰も脱落することなくこなしていたが、そこから先になると一次テストの疲労もあり徐々に遅れ始める者が出てくる。

 

「90番失格! …………13番、175番失格!」

 

 そんな中、大地達は遅れることもなくついていく。

 それもそのはずだ。実は、大地達は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のである。

 吾郎と寿也は、なぜ大地がこんな練習メニューを行おうとするのか全く理解出来ていなかったのだが、今は大地の言うとおりやっていて良かったと実感していた。

 

 

 

 回数はどんどん進んでいき、終盤に差し掛かっていた。

 

「九百六十五…………九百七十八………………九百九十八、九百九十九……千!!」

 

 笛の音とともに、二次テストの終了の合図が出る。

 吐きそうになっている受験生がいるほどの過酷な内容にも関わらず、大地達3人は汗をかいて息を切らしてはいるものの、座り込むこともなく余裕が感じられていた。

 

「はあ、はあ……ま、まだこれで二次テストかよ」

「もうダメだ、俺……」

 

 弱音を吐いている者達がいるが、一次テスト終了時と同じく北川からそんなことは関係ないとばかりに三次テストについて告げられる。

 

「では引き続き三次テストを行う!! 全員後方の体育館に移動!」

「体育館!?」

「ええっ……もう動けねーぞぉ!」

 

 なかなか立ち上がらない受験生達に対し、「駆け足!!」と非情な言葉を投げかけてすぐに移動するように話す北川。

 受験生達はふらふらよろめきながらも体育館へと移動していくのであった。

 

(二次テストでは流石に厳しい顔を見せるかと思ったが……ここまで楽々クリアするとはね)

 

 大貫は携帯を取り出し、一本電話を掛ける。

 

「ああ、お疲れ様です。大貫です。今、二次テストまで終わりました。

ええ、()()も来ています。今のところ楽々クリア……というよりかは次元が違うレベルでクリアしていますね」

「そうですが。最終テストからは私も見に行けそうなので、そこまでで合格基準に満たしているようであればまた連絡ください」

「分かりました。四次テストが終わる段階でご連絡します」

 

 そう言って電話を切る大貫。

 そして北川のみ体育館へ向かい、残りの試験官は昼食に出掛けるのであった。

 

 

 

 ────海堂高校野球部セレクション二次テスト、102名中71名突破────

 




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『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216813/

『テイルズ オブ デスティニー〜7人目のソーディアンマスター〜』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/218961/


『ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/226246/

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