いつも本当にありがとうございます!
それとアンケートは本日で一旦締め切らせていただきます!
「最終テストまで残った23名の諸君。いよいよ君らが海堂の一員となれるかどうかを決する五次テストを行う!
グラブやバットを使わないここまでのテスト内容に内心納得していなかった者もいるだろう……。
だが安心したまえ。最終テストは思い切り野球の技術を競ってもらう」
北川が最終テストの説明を始める。
今並んでいる列の受験生でチームを組み──A〜Eの5チーム編成である──トーナメント試合を行うこと。
そして、トーナメントに勝ち残ったチーム全員が晴れて海堂野球部セレクションの合格者になる。
そこまでの説明を聞き、その変則的な試合に対して、異議を唱える者が現れた。
「ちょ、ちょっと待ってください! 5人でまともな試合なんて出来ないですよ!
しかも個人の能力と関係ないじゃないですか! もし下手な奴と組んで負けたりしたら──」
「──バカか、貴様らは」
異議に対して同調をして「運だ!」、「すごい良いピッチャーのいるチームが有利だ!」といった言葉を一蹴する。
「そんな下手くそや、そんな良いピッチャーが
ここまで残った奴らにそんな下手がいるわけがない。ましてや
つまり大差ないってことだ…………
北川は小馬鹿にしたように薄く笑っていたが、すぐに真顔になる。
大地の並んでいる列をちらっと見たあと、話し続ける。
「貴様らの何人が知っているかはどうでもいいが……そこにいる55番、56番、57番は
シニアの全国大会で優勝した”横浜シニア”のメンバーだ。ベストナインにも選ばれている。
色々あって今回のセレクションに参加しているが、今までを見ていて分かったであろう──貴様らとどれだけ能力の差があるのかを」
「だ、だったら余計に不利じゃないですか!! そんなメンバーがいるチームが有利に決まって──」
「──何度も言わせるな。列に並んでいる
「そ、それは……」
他の受験生の並んでいる4列は5名でチームが出来ているのだが、大地のチームだけは大地、吾郎、寿也の3人だけだった。
大地達のEチームは3人だけで他のチームに勝たなくてはならないのだ。
「そして、ここから合格条件に追加をする。Eチームは
もしEチームに勝つことが出来れば、その場合はトーナメントで優勝してなかろうと、全員を合格にしてやろう。
そしてEチームが合格する条件は、4チームに完勝することだ。トーナメントに参加することは許さん」
Eチームに対して、明らかに不利な条件。ここまで特別扱いされているEチーム──もちろん悪い意味だが──を見て、誰も文句を言わなくなった。
大地は北川の後ろに並んでいる1人の男に対して睨んでいた。
その男は自分が睨まれていることに気付き、大地に向かって笑みを見せるのであった。
(あの野郎……ここまでやるのか。……上等じゃねーか)
大地は心の中で悪態を付き、なんとしても合格してやろうと意気込む。
説明が終わり、チーム別のゼッケンが配られて付け替える。
ちなみにチームは原作とほぼ変わりがなく、吾郎と寿也がいたところに山根と小森が入っていた。
【チーム分け】
Aチーム:山根、小森、泉、寺門、三宅
Bチーム:高山、松宮、西沢、江口、矢部
Cチーム:香取、唐沢、宮本、佐々木、森本
Dチーム:新見、田中、高見、松本、小林
Eチーム:大地、吾郎、寿也
トーナメントの一回戦はAチーム対Dチーム、Bチーム対Cチームで始まった。
Aチームが後攻で試合が始まる。大地達は少しでも全員のデータを得ようと試合を観戦していた。
ポジションはほぼ変わらず、ピッチャーが寺門でキャッチャーが小森、一・二塁間に三宅が入り、二・三塁間に泉が入っていた。
ただし、ここからは大地が思っていたポジションと違っていた。山根が外野を守ると思っていたのだが、外野には誰もいなかった。
その代わり、
もちろんこれは小森の作戦である。小森はリトル時代に全国優勝した実績を知られており、それが寺門達に意見を言える立場を獲得していた。
そして、寺門の球を受けて今回の作戦を考えついたのであった。
(寺門君の重い球は、簡単に外野には飛ばせないからね。もしバント作戦なんて来られたら、それだけでかき回されてしまうし)
今回の作戦。山根にバント処理を任せ、それ以外の打球を泉と三宅がフォローするというものだ。
寺門が低めに投げれば、今回の作戦は可能だと判断していた。
実際にこの作戦がハマり、1回表をAチームは無失点で切り抜けるのであった。
「な、なんやあいつ……」
「中学の部活とは言え、伊達に県大会準優勝はしていないってことか」
「ああ、俺だったらあの打球は絶対に処理できなかった」
1回表にあったこと、それは山根による守備の上手さにあった。
Dチームの1番打者が、シニアで寺門と同じチームだった新見のアドバイスで、寺門に打球処理をさせようと一塁側にバントでボールを転がすが、そのバットの角度を見た山根が一塁線へと猛ダッシュをする。
そのままボールを捕り、三宅に投げて
それを見た2番打者は思い切りボールを引っ張り、山根の手前にボールを叩きつけることに成功する。
しかし山根は、最も捕りづらいハーフバウンドをした鋭い打球を難なく捕球し、
こうなると一塁側に流すかしかないと思われるが、内角低めに投げられる寺門の打球を流してもボテボテになるのは目に見えていた。
3番で入った新見はAチームが上手く考えたと思い、それならばと寺門に向かってピッチャー返しをした。
寺門はどうしても投球後のボールへの反応が遅い。それはシニア時代から指摘されていたことであり、海堂の推薦に選ばれなかった理由の1つでもあった。
(よし! これで抜ければランニングホームラン──)
新見の思惑通り、ピッチャー返しに成功したのだが、寺門と小森の間に
山根が打球に反応をして飛び込んでいたのだ。そしてこの回の全てのアウトを山根1人で処理をして、チェンジとなった。
1回裏。寺門からの情報で、新見はシュートとチェンジアップを武器にしていると分かる。
特にシュートのキレは寺門から見てかなり鋭いとのことだった。
Dチーム自体もそれを意識して、三塁側へ守備を固めていた。
1番打者は本人の希望により、山根が入ることとなった。
1回表の守備を見せられた後では、誰も文句が言えないのも当然である。
そして、初球──────
────大きな打球音とともに、ボールはそのままレフトのフェンスを越えていった。
「「「「おっしゃああああっ!! サヨナラーーーっ!!」」」」
山根はゆっくりとベースを一周して戻ってくる。
新見は自身のシュートを柵越されたことに対して、青い顔をしていた。
周りのチームも山根の飛距離に対して驚きの声を上げるのであった。
◇◇◇◇◇◇
試合は順調に進み、決勝はAチーム対Cチームの試合となる。
Cチームの先攻により、試合がスタートする。ここで、初戦でほとんど動いていなかった小森が動きを見せる。
おもむろに立ち上がると、1番の香取、2番の唐沢を敬遠したのだった。
「あ、あのキャッチャー、何考えてるんだ!?」
サドンデス方式でなるべくならば1点も与えたくない状況なのであれば、わざわざチャンスを相手に与える必要はない。
それをわざわざ
しかし、ここからの3人は初戦と同じく山根の守備で守りきり、
「あのキャッチャーと前進守備しているあの子……やるわね」
「ああ、まさか
「セレクションに受かるのはあたし達に決まってると思ってたけど、最後の最後にちょっと面倒な邪魔が入ったわね」
香取と唐沢は真剣な表情に変えて、守備につく。
1番打者は小森。初戦でのデータはないため、香取達は勝負をする。
初球。香取の高速スライダーが外角低めいっぱいに決まり、ワンストライク。
小森は
(……嫌な見逃し方をするな。コイツは歩かせるか?)
(何言ってんのよ。あたしの高速スライダーが打てるわけないじゃない!)
香取は唐沢の敬遠指示を断り、高速スライダーを続けて投げる。
小森はバットを振るが、空振りをしてツーストライクと追い込まれる。
(ふふふ。そんなスイングじゃあ……打てないわよボクぅ!!)
小森の空振りに気を良くした香取は、3球続けて高速スライダーを投げる。
三振に仕留めたと思った香取だったが、小森はボールに当ててファールにする。
(粘るじゃない……これでどうかしら!)
またもや高速スライダーを投げるが、またもやファールボールにする小森。
そこから意地になった香取は唐沢の指示を無視して、高速スライダーを投げ続ける。
小森は冷静にバットにボールを当て続け、17球ほど続けたのちフォアボールとなって一塁へと進む。
「「「よっしゃ! 続け続け!」」」
「……ちっ」
「アイツには粘られたな。初めから打つ気がなかったのか?」
「そうかもね。あたしの高速スライダーは一朝一夕で打てるようなものではないから」
「まぁ次のバッターに集中すればいいさ」
唐沢は苛立つ香取に声を掛けて、守備位置に戻っていく。
次のバッターの山根が打席に入る。
(コイツは要注意人物だぞ! 最悪歩かせろ)
(……分かったわ)
唐沢の指示に今度は従い、香取は初球ボール気味に高速スライダーを投げようと足を上げた──瞬間、香取の後ろから「走った!」という声が聞こえた。
しかし、香取は投球体勢に入ってしまっているので、もう投げる以外は何もすることが出来ない。
コントロールを乱さないように気を付けるので精一杯だった。
(初球
唐沢は油断していた。20球近く粘ってフォアボールを選んだ小森よりも、1試合目でホームランを打った山根に集中していたためだ。
結果、盗塁は成功し、
続けて、2球目。小森は再度走り出し、ギリギリではあったが、3盗に成功するのである。
「……どうする?」
「どうもこうもないわよ。前進守備で固めるしかないわね」
Cチームはスクイズを警戒して1人を三塁側に置き、前進守備。
香取が一塁側のバントのカバーをして、残った選手がセカンドとショートのやや後ろに立って、強打への警戒を行った。
バントをされなかったとしても、香取は高速スライダーを外野まで打たれないという自信があったのだ。
香取が構えて、投球モーションに入った瞬間に山根がバントの構えをして、小森が走り出す。
三塁で前進守備をしていた宮本が走り、香取も投球後に一塁側寄りに前進する。
山根のバットにボールが当たり、香取と宮本が処理できると思ったのだが──
──ボールは前進してきた宮本の頭を越えて、三塁ベースの手前で止まったのだった。
そして、小森がその間にホームを踏んでサヨナラとなる。
((プ、プッシュバント……だと!?))
この試合、全ては小森の指示だった。
香取と唐沢は前の試合で連続ホームランを打っているため、無闇に勝負するのであれば歩かせたほうが被害は少ないと思い、敬遠した。
その後の守備に関しては、山根がいれば問題ないと判断。サヨナラにならない
1回裏の攻撃に関しては、小森の実力であれば高速スライダーからヒットを打つことは出来た。
しかし、高速スライダーの軌道をきちんと見極めたいということと、香取へプレッシャーを与えるため、そしてその後の盗塁を少しでもCチームの頭から排除するために粘ってフォアボールを選んだ。
そこで山根を次の打席に入れることにも意味があった。
山根は前の試合でサヨナラホームランを打っているため、香取と唐沢からすると警戒するべき打者である。
最悪歩かせても良いくらいの気持ちで、厳しいコースに投げてくると小森は読んでいた。
だからこその初球スチールをして相手の意表を突き、その後の3盗にも成功することが出来ていた。
極めつけは山根のスクイズによるプッシュバントである。
これは1度しか成功しないであろう作戦だが、小森には十分勝算はあった。
ここまででCチームはかなり混乱していたため、バントされる可能性は考えても、プッシュバントでサードの頭を越えてくるとまでは考えられなかった。
香取が一塁側にバントカバーへ入るのは読めていたため、マウンドに向かってバントをすることも小森は考えていた。
しかし、万が一香取がマウンド側もカバーできるように動いていた場合も考えると、サードの宮本の頭を越える方が確率は高かった。
そう。小森は
賭けになる部分もあったが、山根の実力を考えると分が悪い賭けではなかった。
結果としてその作戦は全てハマり、Aチームは優勝を果たしたのだった。
喜んでいるAチームを横目に、香取と唐沢はホームベースの横に立っていた。
「完璧にしてやられたわね」
「ああ。あそこまで小細工されて見事にハマると、逆に気持ちいいもんだ」
「あの2人…………もしかしたらテスト入部で海堂のトップを脅かす存在になるかもね」
山根は原作の寿也ポジですね。
怪我をしていないので、かなり魔改造されています。
というか、こもりんと山根の活躍の場を書きたかった……のです!
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