お前本当にレベル1?   作:千点数

5 / 9
樹王まで頑張って行きますよーっていう物語。

文章だとかでこういう所可笑しい、というようなものあれば誤字報告機能か感想にてどうぞ。(小声)


レベル1と___
レベル1と運営


 New World Online第一層、あるダンジョンの中。

 

 周囲を骸骨剣士に囲まれた少年がいた。

 群青色のパーカーに、真っ黒い革プロテクター付きのズボン姿、手には出刃包丁をそのまま大きくしたかのような両手剣を()()()持っている。

 新見智明・・・・・・プレイヤーネーム23(ニーミ)である。

 

「・・・・・・確か、躱すといいんだったな?」

 

 骸骨剣士の攻撃を、彼は躱す、いなす、避ける。

 紙一重。和紙一枚分のギリギリで、ニーミはその剣を避ける。

 身の丈程の巨大な出刃包丁・・・・・・『暴食の顎』を持っているというのに、その動きは実に軽やかで、一切の無駄と余分な力を抜いた自然体だ。

 

『スキル【体捌き】を獲得しました』

『スキル【攻撃逸らし】を獲得しました』

『【気配察知Ⅳ】が【気配察知Ⅴ】に進化しました』

「よし。じゃあ、お疲れ様。【スラッシュ】」

 

 横凪。暴風にさらわれた紙切れのように、五匹のモンスターはポリゴンとなって消えた。

 

 暴食猫との戦いから、早いもので凡そ()()()が過ぎ去った。

 暴食猫を倒した際に手に入れたスキル【ザ・ワン】のお陰でレベルが上がらなくなったニーミは、とにかくプレイヤースキル(略してPSとも)と、自らが持つスキルの強化、そして未だ獲得していない新スキルの獲得を狙い、現在判明しているダンジョンに潜り込んでいるのである。

 

 【ザ・ワン】というスキルは、レベルが1固定となり、上がらなくなる上、ステータスポイントが手に入らないというデメリットが存在する。つまり、レベルの上昇、又はある一定のレベルが条件のスキルを獲得出来ないのである。

 レベル制VRMMOという大前提を見事に崩しているが故の弊害である。

 

 故に、彼は一つでもそれ以外の、冒険、探索していれば手に入るスキルや、スキルショップで手に入るスキルを獲得しようと、モンスターを倒して素材を売って、お金を稼いではスキルショップにてスキルを買い込んで、ダンジョンに潜っては様々なスキルをありったけ試し、そして新たなスキルをとにかく手に入れようと躍起になっているのだ。

 幸い、ステータスは【ザ・ワン】の効果で化け物ランクの為、彼は主に、常時発動するステータス強化、被ダメージ削減スキルを探している。

 魔法は余り使わない。あんまりにも種類が多く、把握が出来なくなるから。

 

「【体捌き】に【攻撃逸らし】・・・・・・待望の被ダメージ削減スキルが来たなぁ」

 

 という訳で、今の彼は様々な支援(バフ)スキルと軽減(ダメージカット)スキルによって超強化された、正に怪物なのである。とてもレベル1とは思えない。

 

「後は噂の【超加速】、水中戦闘を考慮しての【水泳Ⅰ】、【潜水Ⅰ】くらいかなぁ。やっと、ここの周回もおしまいだね」

 

 そんな怪物はどこまでいくのだろうか。

 彼の行く先が気になる所である。

 

 *

 

 所変わって、運営のアバタールーム。

 そこには、脂汗を垂らしているアバターが一人、いた。

 何を隠そう、New World Onlineの開発者の内の一人である。

 

「あの野郎【ザ・ワン】取りやがった!」

 

 彼は焦る。何せ、どうせ誰も出来る筈が無い。そう思っていたのに、彼はアッサリとスキルのみで強さを補填し、見事に勝ってしまったのだ。レベル1の初期装備状態で、ボスモンスターに!

 

「ええ・・・・・・あんな鬼畜条件スキル取っちまうなんてやるじゃん。何か変なスキル持ってるの?」

「いや、ありゃただのプレイヤースキルだ。リアルの方で格闘技か何かやっている動きをしている。攻撃の逸らしかたや、攻撃を躱わす時の体捌き・・・・・・後は武器喰われた後の動きが、すり足とか縮歩だとかそれっぽいから、多分黒帯レベルのガチ武道家じゃあないかな?」

「チックショー、マジで何なんだよあいつ。レベル1で、しかも初期装備で! 何で勝てるんだよボスなんかに! ()()()()()()()()()()()()()!?」

「まぁまぁ、あんな腕前の格闘家プレイヤー他にそうそういないから。アイツの他には多分取る奴いないよ。それに、このレベル制VRMMOで、レベルが上がらなくなるなんてスキル、取った所で破棄する人の方が多いと思うし」

 

 実際、全てのステータスの()()()が百になるというメリットは大きいが、レベルが1固定という文面を見れば、レベルを上げる事で取得出来るスキル全てが獲得出来なくなると誰しも予想はつく。

 そうなれば、絶対に取得する者はいない。

 そして、取得したとして、自分でステータスも割り振る事の出来ない、強力だが器用貧乏な所が否めないステータス。

 そんなものより、自分で特化型に割り振り、レベルで手に入るスキルを手に入れた方が遥かに強くなりやすいのは目に見えている。

 レベル制VRMMOの世界観でまず、どスキル制VRMMOをやるメリットが存在しないのだ。

 

 ()()()()()

 

 しかし、怪物はそんなものお構いなしだ。現に、バフスキルを大量に手に入れ、器用貧乏感は拭えないが全ステータス実数値百五十を軽く超えてしまっている。通常のプレイじゃ手に入りにくく、尚且つSTR値百以上が取得条件のスキル【破壊王】や、同じく、ある程度のVITが無ければ手に入らない【絶対防御】といった強力なスキルも手に入れて、しかも『効果が及ぶステータス以外は上がりにくくなる』というデメリットを【ザ・ワン】の効果で無視して使いこなす。

 運営は泣いていい。

 

「だ、大丈夫だ。奴は【器用貧乏】のスキルを獲得し、破棄せずに持っている。あのスキルのデメリットで、例え化け物STR値から繰り出される『暴食の顎』での攻撃も、与えるダメージは確実に少なくなっているから!」

「・・・・・・あれ? でも確かアイツの手に入れたユニークシリーズの『猫獣の足』に付いているスキルって・・・・・・」

 

 その瞬間、しぃん、と押し黙る運営のアバタールーム。

 

「意味ねぇじゃん! 【器用貧乏】のデメリット意味ねぇじゃん!」

 

 運営は泣いた。




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【獣の足】
腕、手、又は足による肉弾攻撃時、与ダメージ40%上昇。
・取得条件
ユニークシリーズ『猫獣の足』付属スキルの為、取得不可。
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どしどし感想どうぞ。よろしくお願いします。
アンケートもよろしくお願いします。

このレベル1、どんなプレイヤーと戦わせますか?

  • 防御極振りの天使(化け物)
  • PSヤバイ回避盾ポニーテール
  • 炎帝
  • 第一回イベント一位のヤベー奴
  • 質実剛健、常識的な大盾使い
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