お前本当にレベル1?   作:千点数

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・・・・・・【超加速】はアニメ版の取得方法でお願いします(ボソッ)
何時か書き直すかもわかりませんが。その時はまた、前書きにて修正したことを書きます。


レベル1と極振り《後》

 ニーミはここで、片手で持った自らの大剣『暴食の(あご)』をだらん、と下ろした。

 臨戦態勢を解いたのだ。

 

「・・・・・・あれ? せめて来ないの?」

 

 対戦相手のメイプルは、不思議そうな顔でニーミを見る。

 対するニーミは無表情で、何を考えているのか判らない。表情からして、リザイン・・・・・・即ち、降参というわけではなさそうである。

 

(『暴食の顎』に不随しているスキル【暴食】はたったの一ダメージでもダメージを与える事が発動条件。これ以上大剣装備で戦ったとしても意味が無い・・・・・・)

 

 彼は脳内で、メイプルを倒す為の様々な戦略を考えながら言う。

 

「少し、攻め方を変えようと思ってね。どうせ今のままでは、僕が不利だ」

 

 ニーミは、だから、と続けると。

 (おもむろ)にシステムウインドウを開き、装備を変えはじめた。

 とは言っても、変化はたった一つ。

 大剣を仕舞った。今彼がただそれだけである。

 故に、今彼が装備しているのはパーカーのような装備『ネメアの外套』とプロテクター付きズボンの『猫獣の足』だけ。

 だが、メイプルは装備の数が減ったというのに、逆にニーミが強くなったように感じて仕方がなかった。

 

「行くよ・・・・・・ただ、武器を仕舞っただけとは思わない事だ」

「・・・・・・ふぇ、素手ぇ!?」

 

 ニーミは無手の状態で構える。

 確かに、先ほどの短い間に大剣『暴食の顎』装備のままでは勝てない、負けはしないが勝てない事が判った。メイプルも、大剣には傷一つ付けられる事は無いと、声を大にして言えるレベルの防御能力を兼ね備えている。

 ・・・・・・ましてや素手の攻撃で傷一つ付く事は無い。そう考えている。

 だが。実際、思った通りには行かなかった。

 

「【ストレートパンチ】っ!」

 

 ニーミは【拳法Ⅸ】のスキルが発動した拳で、メイプルのみぞおちを的確に狙った拳を突き出した。その手には、肘までを覆うナックルガードのようなオーラが纏わり付いている。

 縮歩、というのだろうか。スキルも発動せず、ただステータス値のみで動いただけ。

 それなのに、メイプルは反応出来なかった。

 気がつけば、懐に入り込まれていた。

 『闇夜(やみよ)(うつし)』での防御は間に合わない。メイプルは思わず目を剥いてしまう程に、ニーミの攻撃は速く、それ以前に()()()()()()()()()()()()()()()()()。予備動作が全くと言っていい程になかったのだ。

 

「ッ、______!?」

 

 故に、咄嗟にか、無意識か。

 余り意味は無いが、それでもと言って、メイプルはみぞおちの前で腕を十字に組み防御姿勢をとる。少なくとも吹き飛ばされる事は無いだろう。そんな期待をして、迫る恐怖に目を閉じる。

 瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「いったぁー・・・・・・うぇ!? ちょっぴりHP減ってる!」

「・・・・・・今のでほんのちょっぴり、か。だいぶきついなぁ」

 

 防御能力に極振りしている為にHPは一割も削れてはいないが、それでも、メイプルに対する明確なダメージ源として彼の拳は保障された。

 

「・・・・・・行くよ。ここからは僕の独壇場だ」

 

 ガッ、とニーミの足が大地を蹴る。

 よほどの衝撃があったのか。蹴られた箇所は蜂の巣状のクレーターを形成し、その踏み込みの威力を物語る。

 ・・・・・・実はニーミ。地味にステータスはSTR特化だったりするのだ。

 

「わわわぁ!?」

 

 先ほどと同じようにはならないと、メイプルは慌てつつも慣れた手つきで大盾を手前へと構える。

 完全に、ニーミと大盾がぶつかり合うコースだ。

 どうやら、メイプルの持つ凶悪なスキル。何もかもを食い荒らすスキル【悪食】による短期決戦を選んだようだった。

 だが、その考えが甘かった。

 

「シッ、甘いっ!」

「______!?!?」

 

 大盾の眼前でニーミは横捻りを肉体に加えると、回し蹴りでメイプルのがら空きの脇腹を蹴り抜いた!

 闘技場に、乾いた音が響くと同時にそのまま横に吹き飛ばされるかのように思われたメイプル。

 だが、メイプルもそう簡単には終わらない。

 

「___【毒竜】・・・・・・っ!」

 

 攻撃が当たった瞬間。つまりゼロ距離の状態で踏ん張って、自らの最強のスキルを用いたのだ。

 ニーミは【毒竜】の至近距離、それも距離が一切存在しないゼロ距離からの攻撃には、流石に反撃や、回避は難しい。

 片腕が、毒の嵐の餌食となってしまう。

 

「っ、グガァっ!?」

 

 ジワジワと削れるニーミのHP。彼は【毒耐性大】を持っているが、それでも最強の毒は耐え切る事は無理なようだ。

 さて。今は決闘中。ポーションの類は使えない。

 つまり、このスリップダメージは解く術が無い、という事である。

 

「ゼロになる前に終わらせる・・・・・・!」

「相手が倒れるまで防御する!」

 

 ニーミは【拳法Ⅸ】、【体術Ⅹ】、そして、自らの装備『猫獣の足』に付属している【獣の足】による、素手のダメージアップが載った拳を武器に、殴る。

 それは一連の流れ。川の水が澱みなく流れるかのように、思わず見惚れてしまうような連撃をメイプルに食らわせる。

 

 メイプルもただではやられるつもりは無い。寧ろ勝つ。お菓子の為に!

 拳を【悪食】が付与された大盾で、ニーミの拳を防ぐ。

 ・・・・・・だがここで。

 

(・・・・・・忘れてた。今日の分使い切っちゃってたんだぁっ!?)

 

 メイプル。内心焦る。

 スキルさえも食い尽くす大盾は、果たしてただの硬い大盾であった。

 ゲップを漏らすかのようにふしゅう、と蒸気を上げて、魔力の結晶を表面に浮かべている大盾はスキルを発動させず、うんともすんとも言わない。

 だが、第一回イベントでこれでも、三位に入ったプレイヤーだ。

 ニーミの十連撃を全て、大盾で捌き、受けきったのである。

 

「大盾で全部防がれた、か」

「ふぅ、危なかった・・・・・・どうだ、私の大盾の練習の成果!」

 

 攻撃を全て防がれ、スリップダメージによってニーミのHPは残り三割。対するメイプルはまだ、余裕がある。

 辛い。ニーミにとって、ここまでのピンチはあの巨大な化け猫以来であった。

 だが。だからこそ、燃えるというのもある。

 ニーミは拳を突き出すようなスタイルで構えると、一歩、足を踏み込み______

 

『【拳法Ⅸ】が【拳法Ⅹ】に進化しました』

『出力条件を満たしました。【拳法Ⅹ】及び【体術Ⅹ】が統合、武装スキル【無手】に進化しました』

「・・・・・・へ?」

「・・・・・・ほ?」

 

 と、ここに来て地味な機械音声が鳴り響く。

 その瞬間、マヌケな顔を晒すニーミに変化が起こる。

 ・・・・・・()()になったのだ。

 裸足。固定の初期装備である革靴ではなく、裸足である。

 通常、何らかの装備が外された場合、プログラムによって固定された装備が出現するはずなのだ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()。バグであろうか。

 

「オイオイ、何なんだ急に足先装備が消えたぞ!?」

「え、え?」

 

 たった一つの機械音声。

 それがこの場の混沌(カオス)の原因になろうとは、誰が思ったか。

 急に装備が強制排除されれば、誰だって焦るであろう。ニーミの今の反応は、通常は正しい。

 だが今彼は、決闘中なのだ。

 そして、何より・・・・・・

 

「あれ?」

「あ、ヤバいHPが______」

 

 スリップダメージ、継続中の身だった。

 故に。

 

「こんな負けありなのかぁ______!?」

「に、ニーミさぁああああああんんんんん!?!?」

 

 ワタワタしている最中にHP切れ。

 ニーミ、スリップダメージにより敗北。

 即ち。

 

『WINNER_メイプル!!』

「あ、あんまり嬉しくなぁあああああああああい!」

 

 *

 

 その後。

 膝を抱えて落ち込むニーミと、最後の一つの和菓子を彼と分け合って食べるメイプルの姿が見えたという。




ーーーーーーーーーー
【無手】
______(出力条件を満たしていません)
______(出力条件を満たしていません)
・取得条件
【拳法Ⅹ】、【体術Ⅹ】を取得している状態かつ、両手に装備を持っていない状態で、どちらか片方の()()()を突き出す(攻撃ではなくても可)。
ーーーーーーーーーー
効果は次回。

・・・・・・メイプルを倒す明確な手段があんまり思い浮かばなかったなんて言えない。

※ちょっと取得条件が公平さに欠けるという意見が出たので変えてみました。

このレベル1、どんなプレイヤーと戦わせますか?

  • 防御極振りの天使(化け物)
  • PSヤバイ回避盾ポニーテール
  • 炎帝
  • 第一回イベント一位のヤベー奴
  • 質実剛健、常識的な大盾使い
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