MAJORで寿也の兄になる   作:ねここねこねこ

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いつも誤字脱字のご報告、ありがとうございます。

皆様は自粛中ストレスは溜まっていませんか?
無意識でもモヤモヤしているときがあるかもしれないので、ご無理はなさらないようにしてくださいね!



第十二話

「それじゃあよろしくお願いします」

「はい、息子さん達を確かにお預かりいたします」

 

 タクシーで迎えにきた日下部に連れられ、吾郎を途中で拾ってそのまま空港に向かう一行。

 空港に着き、人生初めての飛行機に乗る翔達は気持ちを高揚させながら出発時刻を待っていた。

 

「アメリカとか行くの初めてだからワクワクするね!」

「あ、そっか。寿くんも初めてなんだもんね」

「そうだよ! オールスターを目の前で観れるとか最高だよね、翔!」

「そうだね! これは吾郎君に感謝しないとだよ! ありがとうね!」

 

 この中では翔だけが事情を知っているが、それを言うつもりもないので吾郎に感謝を告げる翔。

 寿也にも感謝されて、吾郎も悪い気はしないので少し照れる。

 そして、野球の話をしていると搭乗時刻が近づいていた。

 

「ほらみんな。搭乗時刻になったから行くよ。はぐれないようについてきてね」

「おじさん、俺らもう小学四年生だよ? 迷子になったりなんてしないよ」

 

 日下部に子供扱いされたのが気に食わなかったのか、言い返す吾郎。

 それに対して、苦笑いで謝る日下部だが、飛行機の搭乗時間が過ぎてしまうとまずいので話を変えて乗ることを優先した。

 

(おお! 椅子がでかい! しかもフカフカだ!)

 

 ギブソンから貰ったのはスタジアムに入るチケットだけでなく、飛行機のファーストクラスのチケットも入っていた。

 飛行機代くらいは自分で出そうと思っていた茂治はとても驚いたが、ギブソンに感謝をして甘えさせてもらうことにしたのだ。

 翔は前世で飛行機に乗ったことはあるが、ファーストクラスどころかビジネスクラスにも乗ったことがなかったので、内心でとても興奮していた。

 

 吾郎と寿也は飛行機自体に乗るのが初めてなので、ファーストクラスがどれくらい凄いのかあまり分かっていなかった。

 むしろ吾郎に至っては、今後このクラスが飛行機の標準だと思ってしまうレベルである。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 サンフランシスコに着いた一行は、レンタカーを借りたので日下部の運転でドライブを満喫していた。

 翔が上手く誘導したので、全員飛行機内できちんと睡眠を取ることが出来て、時差ボケにも特になることもなく初めてのアメリカを楽しんでいた。

 

「日下部さん、今日はどんな感じの予定ですか?」

「えっとね、試合は明日だから、今日はシスコ市内を軽く観光しようか。案内するよ」

 

 翔の質問に日下部は優しく答えてくれる。

 雑談をしながら車を走らせていると、右手にスタジアムのような建物が見えてきた。

 

「おじさん、あの建物って何? 照明みたいなのが立ってるけど」

「え?ああ、あれはキャンドルスティックパーク・スタジアムだよ。ギブソンのいるサンフランシスコ・ガンズのホームスタジアムさ」

「「「へー! そうなんだ! ギブソンのホームスタジアム!」」」

「まぁ明日のオールスターはあそこじゃないけどね」

「じゃあギブソンの家もこの近くなの?」

「そうだよ。あれ? 本田選手から聞いてないの? 今日はそのギブソンの家でお世話になるんだよ」

「「「え……ええええええええええ!?」」」

 

 吾郎の質問から意外な事実が分かり、驚く3人。

 これはギブソンの好意を茂治がサプライズとして隠していたのであった。

 翔は原作通り高級ホテルに泊まるとばかり思っていたので、特に驚いていた。

 

 

 

 その後、サンフランシスコの市街を観光する一行。

 

「あれはアルカトラズ島っていって、昔に凶悪犯を収容していて、脱獄不可能と言われた刑務所だよ」

「まさに島流しだったんだ……」

「あそこから脱獄する映画かなんかを観たことあるよ、俺」

 

 美味しいものを食べたり、フェリーに乗ってみたりなど観光を堪能したあとは、車でギブソン邸まで向かう。

 ギブソン邸に到着して、呼び鈴を鳴らしたときに出てきたのはギブソンの妻のローラと娘のメリッサだった。

 

『あら、いらっしゃい。ようこそアメリカへ!』

『ありがとうございます、ミセスギブソン。吾郎君のことだけは知っていましたよね? この子達は双子で──』

『──ええ、もちろん知っていますわ。翔君と寿也君……ですよね?』

『はい、ミセスギブソン。僕は佐藤翔といいます』

『初めまして。佐藤寿也です』

『あらあら! その年で英語が上手ね! うちのメリッサとも仲良くしてね』

 

 翔と寿也は英語が問題なく話せるので、ローラに対して英語で挨拶していた。

 吾郎だけは英語が一切分からないので、ポカンとした表情で見ていた。

 

『じゃあ早速我が家へ上がってくださいな。おもてなしの準備も出来ていますから』

 

 メリッサの案内でギブソン邸に入った一行は、ギブソンと息子のジュニアが待つリビングに向かった。

 リビングに入った4人をギブソンは温かい言葉で迎えてくれた。

 

『日下部、良く来てくれた! 吾郎、翔、寿也もよく来てくれたね。ゆっくりしていってくれ』

『ありがとうございます。そしてお久しぶりです、ミスターギブソン。今回はお世話になります』

 

 ギブソンの言葉に代表して日下部が感謝の言葉で返す。

 吾郎は言葉が分からないので、翔が通訳してくれていた。

 ジュニアも吾郎と会うのは久しぶりなので、嬉しそうな顔をしていた。

 

『じゃあ私はちょっとこれから仕事があるので、この子達をお願いしてもいいですか?』

『ああ、もちろんだ。またスカウト業務かい?』

『ええ、こっちにいるスカウトと来年の新外国人選手に関する打ち合わせがありまして……大体20時頃には戻れると思います』

『分かった。あとは任せてくれたまえ』

 

 ギブソンに3人を託し、出かけてしまう日下部。

 夕食まで時間があるので、遊ぼうと言うジュニアに押されて全員が庭でキャッチボールをする。

 ギブソンとローラは微笑ましそうにその様子を眺めていた。

 

 夕食時、明日のオールスターに関しての話が中心になる。

 ギブソンは先発予定で、2回までは最低でも投げること、それが終わったら少し野球を見てもらえるなどの約束をしていた。

 ジュニアとメリッサは元々仲が良かった吾郎だけでなく、英語が話せてきちんと意思疎通が取れる翔と寿也とも仲良くなっていた。

 

『ははっ! メリッサは翔が気に入ったのかい?』

『え、それは嬉しいですけど、なんか恥ずかしいですね』

 

 やたらと懐いてくるメリッサとそれをからかうギブソン一家に少し照れながらも、嫌な気持ちにならずに受け入れる翔。

 

『翔と寿也とは本当に久しぶりだな。茂治の病室で翔に叱られたとき以来か』

『や、やめてください、ミスターギブソン……別に叱ったつもりは……』

『いや、でもあのお陰で今の私がいると言ってもおかしくないからね。今でも感謝しているよ……うちのメリッサはやらないけどね!』

『ちょ、ちょっと! からかうのはやめてくださいよ!』

 

 翔をからかうギブソンに、その場にいるメリッサ以外の全員が笑う。

 翔は照れ臭そうにしていて、メリッサは『翔のこと好きだよ?』というアピールが激しすぎて、余計にその場を盛り上げてしまう。

 楽しい時間が過ぎていき、話題は吾郎の現状についての相談になっていた。

 

『ふむ……吾郎としては茂治がいたチームと今の友人がいるチームのどちらにすれば良いか悩んでいるということだね』

『う、うん……正直にどうしようか悩んでいるんだ……』

『まぁそれは今日決めなくてもいいさ。とりあえず明日の俺の試合を楽しんでからまた話そう!』

 

 ギブソンは真剣に悩んでいるのを知っていて、あえて明るく吾郎と話していた。

 自分が出来ることは背中を押してあげることだけだということを分かっているのだ。

 そして、ギブソンから驚くべき提案がされる。

 

『もし全員がいいと言ってくれるならだが……少しの間だけこっち(アメリカ)で本場のベースボールを学んでみないか?』

 




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『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/
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