いつも感想ありがとうございます。
皆様の感想や評価がとても嬉しくて結構書くスピードが上がっています。
こんな状況下で大変だとは思いますが、これからもぜひよろしくお願いします。
それと話数の横に「※」が入っているときがあります。
翔のステータスを載せたときに入れてありますので、参考にしてくださいませ。
『もし全員がいいと言ってくれるならだが……少しの間だけ
突然の申し出に固まる翔と寿也。吾郎は英語が分からないので翔達とギブソンの顔を行ったり来たりしている。
「えっと……翔くん。ギブソンはなんて言ってるの?」
「あのね、僕らに少しの間だけアメリカで本場のベースボールを学んでみないかと言っているんだよ」
「えーー!!!? そうなの!?」
吾郎はあまりの衝撃で驚くが、顔はとても嬉しそうだった。
野球好きなら断るのも勿体無いくらいの申し出だ。
翔と寿也も内心では嬉しいのだが、その理由──翔はある程度勘付いているが──が知りたかった。
『ミ、ミスター。その話はとても嬉しいのですが、なぜ急に僕らにそのような話をされたのでしょうか?』
『急ではないのだよ。茂治からこの話を貰ったときから考えていてね。本人達の実力を見てから決めようと思っていたのだが、さっきジュニアと軽く練習をしているのを見て大丈夫だと判断した』
吾郎に同じことを伝えると「やりたい!」と考えもせずに即答する。
アメリカでベースボールを学ぶことはとても有意義になるということを理解しているのと、たとえアメリカだったとしても同年代の選手には絶対に負けないという自信があるのだ。
「翔……僕らはどうする? 一応お父さん達にも聞かないといけないよね」
「そうだな。期間を聞いてから、相談しようか。吾郎君も一旦おじさんに相談してからにしようね。おばさんは特に心配するだろうし」
翔がすぐに決めないように促すも、「えー! 大丈夫だよー!」と言って勢いで決めようとする。
まぁどちらにしても吾郎は英語を話せないことと、あとで茂治に電話させれば良いと考えてからギブソンに返事をする。
『一応両親に確認を取らないといけないのですが、期間はどれくらいになりそうでしょうか?』
『そちらが許す限りいてもらっても構わないよ。とても良い経験になるだろうし、その反面自信を無くすこともあるかもしれないがね。それに──』
『──え! 翔がずっといてくれるの!? やった!!』
『メリッサもこうやって喜んでくれているからね。ただ、男女の交際はまだ早いと思うが……』
そう言いながら笑い出すギブソン一家と寿也。吾郎も寿也から聞いてから笑い出す。
メリッサは嬉しそうな顔をしていたが、翔は苦笑いで返すしかなかった。
『なんにしても、明日のオールスターを観ながら考えてもらって大丈夫だよ。せっかくだからまずは本場のメジャーリーグを生で楽しんでくれたまえ』
『わ、分かりました』
一旦保留にして考えることにしたが、魅力的な提案を断ることはしないだろうと全員思っている。
しかも滞在中の費用は全てギブソン持ちだというのだから断る理由はない。
夕食を食べて、お風呂に入った3人は明日に備えて寝ることにした。
その際、メリッサが翔と一緒に寝たいと言い出したので、これにはさすがのギブソンや妻のローラも焦った。
ギブソンは『ちょっとやりすぎたか……』と翔をからかったことを反省していた。
◇◇◇◇◇◇
メジャーリーグオールスターゲーム当日。どのテレビ番組をかけても、話題は今夜行われるオールスターについてばかりであった。
特に一番話題になっているのは、今日先発予定のギブソンについてだ。
ギブソンは朝ご飯を一緒に食べたあとは、スタジアムで調整やアップを行うので早めに自宅を出ていた。
翔達は試合開始まで家でのんびりしたり、ジュニアも含めてキャッチボールをしたりして時間を潰していた。
メリッサはそこまでベースボールに興味がないので、その間はとても退屈そうにしていた。
それでも練習が終わって、お昼ご飯中などはずっと翔に話しかけていた。
『でね! エミリーやエリザベスとお母さん役とか選んで、一緒にご飯作ったり食べたりして遊んだりしてるんだ!』
『そうなんだね。日本にもそういう遊びあるよ。日本語で
『オママゴト?』
『そう! メリッサは日本語も上手になりそうだね!』
『ほんと!? じゃあメリッサ、日本語も勉強する!』
翔は前世の分の年齢も重ねているため、メリッサの扱いも慣れていた。
ただ、メリッサの好きアピールには困っていたりもしているのだが。
(さすがに……メリッサは可愛いけど、まだ美穂と同じ一年生だもんな。まぁ大きくなればメリッサの気持ちも変わるか)
一年生の女の子と付き合うとかそういったことはさすがに考えられないので、翔はメリッサを妹のように可愛がることにした。
メリッサとしては翔が構ってくれるので、さらに好きになっていた。そして翔はそれに気付いていなかったのである。
数時間経ち、そろそろスタジアムに行く時間となった。
本当であればローラとメリッサは観に行かない予定だったのだが、メリッサが行きたいと駄々こねたため一緒に向かうことになった。
場所は関係者席のため、ギブソンであればローラとメリッサの分の席を確保するくらい問題はない。
スタジアムに向かう際にも翔と離れたくないとわがままを言うメリッサに、ローラは珍しいと思いつつ叱らずに翔に一緒にいてあげるようにお願いをし、同じ車で向かうことにした。
◇◇◇◇◇◇
『皆さん、こんばんは! こちらカリフォルニア州のオークランドスタジアム。
いよいよ世界中のベースボールファンが待ちに待った夢の球宴、メジャーリーグオールスターゲームが間もなく始まります』
「ふーん、人数すごいね。でも遠くてあんまり選手の表情まで見れないね」
「どうだい? メジャーリーグスタジアムに来た感想は?」
「……内野まである天然芝は綺麗だね。ここでメジャーのスター達が試合をするって思うとわくわくするね」
日下部に感想を聞かれた吾郎は率直に答えた。
翔も寿也も同じ感想であり、ファンであれば誰もが生で観たいと思う試合に本日の主役の招待で来ることが出来る幸せな日本人は自分達以外はいないであろうとも思っていた。
国歌斉唱の後に始球式も終わり、これから試合が始まる。
『さあ、始球式も終わって、いよいよ試合が始まります!
マウンドにはア・リーグの奪三振王であるランディ・ジョンソンが上がります。迎え撃つは年棒5億、フィリップスのスーパースターであるダイカストラ』
ギブソン率いるナ・リーグは先攻のため1番打者のダイカストラが打席に立つ。
プレイボールがかかり、ランディがファストボールを内角に投げる。
その初球を狙っていたのかダイカストラが打ち、センター方面へ強い打球が飛んでいく。
このままヒットになるかと思ったが、ショートのリブキンがダイビングキャッチをし、膝をついたまま一塁へ送球をする。
ダイカストラも全力で走るが、間一髪間に合わずアウトになってしまう。
『アウトーー!! いきなり素晴らしいプレーが出ました! 名手、鉄人リブキンのスーパープレー!!』
「……すっげぇ」
「さすがだね。なかなか日本人には真似できないプレーだ」
驚く3人に対し、冷静に解説する日下部。
2番のグインが三振となり、次はバリー・ボーンズの打順である。
サンフランシスコ・ガンズの強打者で足も速いバリーも初球を打ち、ライトの横を抜ける。
バリーは俊足を活かし一塁を蹴って二塁へ向かう。
しかし、ライトのビケットがボールを捕ってそのまま二塁に向かってダイレクトで送球をする。
矢のような送球がショートのリブキンに届き、バリーもヘッドスライディングをするも間に合わずにアウトになった。
『アウト! 刺した! 刺しました! これがメジャーだ! 打ちも打ったり、守りも守ったり!いきなり魅せますメジャーリーグベースボール!』
「どうだい、3人とも。これがメジャーリーグだよ」
「すごいね」
「ああ、めちゃくちゃ上手い」
「だな。ようやくアメリカに来たって気がしてきたよ」
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『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/