MAJORで寿也の兄になる   作:ねここねこねこ

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寿也sideの高評価、とても嬉しいです。
両方読んで違いを楽しんでくださっている方も多いみたいで、両方書いて良かったなと思っています。

誤字が多いですが、なるべく減らしていきますのでこれからもよろしくお願いします。



第十八話※

 夏休み最終日に日本に戻ってきた翔と寿也は、日下部が手配してくれたタクシーで自宅に戻っていく。

 翔と寿也の両親は、別れの際に日下部にお礼を言っていた。

 そして翔と寿也もきちんと挨拶をする。

 

「日下部さん、本当にありがとうございました」

「大丈夫だよ。こっちこそ先に日本に戻っちゃってごめんね」

「いえ、むしろあれは吾郎君がわがまま言ったのが悪いんですからね」

 

 軽く雑談をして日下部と別れる。

 「なにかあったらいつでも連絡して」と連絡先を教えてもらえたのも、ある程度信頼してもらえたのだろうと翔は思う。

 

 驚いたのは吾郎のことであった。

 ギブソンと話をした次の日、吾郎が急に日本に帰ると言い出したのだ。

 夏休みが始まってすぐにアメリカに来たので、まだ2週間弱残っていたのだがすぐに帰ると言い、実際にその次の日の便で帰ってしまった。

 

 吾郎なりに考えた末の結論ではあったが、急なことだったので日下部も翔達を残してはいけないし、吾郎を1人で帰すわけにもいかなかった。

 ギブソンはある程度予想していたのか、『翔と寿也は責任を持ってこちらで預かって、きちんと日本行きの飛行機に乗せるから大丈夫だ』と言って、吾郎と一緒に帰るように伝えて、日下部も了承したのであった。

 そして吾郎が帰国する日の見送りに行ったときのことだ。

 

「びっくりしたよ。急に帰るって言い出すんだもん」

「本当だよ」

「ああ、ごめんね。俺もこっち(アメリカ)で本当ならもっと学びたかったんだけどさ。まだあっち(日本)()()()()()()が残っていたことに気付いたんだ。

それを終えるまでは、俺は他のことをしている場合じゃないって」

 

 少し名残惜しそうな顔をしていたが、そう言って日本に帰って行った。

 

「吾郎君、結局何も教えてくれなかったけど、どうするか決めたのかな?」

「そうだろうね。次あったときにでも聞いてみようか」

 

 心配する寿也に翔は明るく答える。

 そのまま家の中に入った2人は少し休憩した後、久しぶりにあった妹の美穂と遊んだのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 新学期が始まり、最初の横浜リトルの練習の日。

 全体的に雰囲気が暗かったのに翔と寿也は不思議に思っていた。

 

「佐藤兄弟、ちょっといいか」

「はい。どうしたんですか?」

 

 横浜リトル監督の樫本に呼ばれて、ベンチについていく2人。

 そして樫本がベンチの椅子に座り話し出す。

 

「この夏休み、本田吾郎と一緒にアメリカに行くと言っていたよな?」

「ええ、行ってきましたよ」

「実はな……夏休み最後に行った夏合宿、そこに本田がいたんだ」

「「え!? 吾郎君が!?」」

「ああ、前に軽く話したことがあったと思うが、その合宿は全国のリトルリーグの強豪が集まる合宿になっていてな。

毎日のように練習試合をして、いつも以上に厳しい練習をすることが出来るんだ。

そこに今年三船リトルが来ていてな……そこにいたチーム全てに勝ちやがったんだ……うちも含めてな」

「「……!?」」

 

 翔と寿也は驚きのあまり声を出すことができなかった。

 やり残したことがあると言って先に帰った吾郎が夏合宿に参加していただけでなく、そこにいた強豪と戦って全勝をしたというのである。

 横浜リトルが昨年の全国1位、そして2位以下のチームにも勝っていたということは、全国制覇をしたと言っても過言ではない。

 

「なんなんだ……あの怪物(本田)は……。アメリカで何を習ったらあそこまで進化出来るんだ?」

「えっと、僕らも確かに上手くなったとは思いますけど、吾郎君も僕らと同じくらいなはずですよ?」

「……なに? あいつと同じくらいの実力がお前らにもあるというのか?」

「多分、そのはずです」

「……分かった。じゃあアメリカ帰りのその実力を見せてもらおう。……ちなみにうち相手に本田はノーヒットノーランをかましたがな」

 

 翔と寿也は、吾郎が横浜リトル相手にノーヒットノーランをしたと聞いて、さらに驚いた。

 横浜リトル全体の雰囲気が暗くなっているのも仕方がない。

 そのことを知らなかったとはいえ、吾郎と同じ実力を持っていると言えば樫本も気になるのは当たり前であろう。

 

 

「それでは突然だが、レギュラーチーム対控えチームで紅白戦をする。ただし、佐藤兄弟は今回控えチームでバッテリーを組んでもらう」

 

 急遽始まった紅白戦。

 翔と寿也は吾郎と比べられているのを感じていたが、嫌とは思わず、むしろ横浜リトルのメンバーとの実力差がどれくらいになったのかを知る良い機会だと捉えることにした。

 

 翔と寿也の実力を知っていた彼ら(レギュラーチーム)は、夏休みの間だけではそこまで変わっていないだろうと思っていた。

 だが、それは自分たちの間違いだとすぐに知ることになる。

 

(な……だ、誰1人として前に飛ばすことすら出来ないだと……!?)

 

 樫本は驚愕していた。この夏休みで一軍メンバーはかなり上手くなった自負はある。

 現に毎年、夏休みと合宿で意識を含めて大きく成長する。

 それが秋大会での全国制覇に繋がるのだと感じているのだ。

 

 その一軍メンバー相手に、翔と寿也は完全試合(パーフェクトゲーム)をしたのである。

 アメリカで教わるだけでここまでの差が出るのかと樫本はある意味恐怖していた。

 

「ナイスピッチ、翔!」

「寿也もナイスリード!」

 

 そしてピッチングだけではなかった。

 バッティングに関しても、翔が3打数3安打2本塁打、寿也は3打数3安打3本塁打という完璧な成績を残していたのである。

 ちなみに吾郎も合宿時、横浜リトルを相手に全打席ホームランを打っていた。

 

(本田と翔の実力差はほぼない……おそらくキャッチャーの実力差が出たのだろうな)

 

 樫本は動揺しつつも冷静に分析していた。

 寿也と小森の実力差が、完全試合とノーヒットノーランの差を生んでいたのだと。

 逆に寿也がいることで横浜リトルの優勢は揺るがないであろうとも思っていた。

 

「よし、全員集合!」

「「「「「はい!!」」」」」

「今日の紅白戦で、佐藤兄弟の実力は分かったと思う。合宿時に対戦した三船リトルの本田とほぼ変わらない。

ということはだ……弟でキャッチャーの寿也がいる分、総合的な実力はうちの方が上だ! 今年の秋大会は三船リトルにリベンジするぞ!」

「「「「「はい!!!」」」」」

 

 樫本の話を聞いて、秋大会で三船リトルに負けると思って落ちていた士気が再び戻った。

 翔と寿也はその様子を見て良かったと思いつつも、自分達と横浜リトルの実力差がかなり開いていることに少しだけ驚いていたのであった。

 

 

 

(吾郎君……うち相手にノーヒットノーランをしたと聞いたときはすごいなと思ったんだけど、僕らもかなり上手くなっていたんだな)

 

 家に戻り、お風呂で考え事をしていた翔は自身のステータスを開いてみた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

【佐藤 翔ステータス】

◇投手基礎能力一覧

球速:119km

コントロール:E+

スタミナ:E+

変化球:

チェンジアップ:3

 

◇野手基礎能力一覧

弾道:3

ミート:E+

パワー:E

走力:E+

肩力:E+

守備力:E+

捕球:E

 

◇特殊能力

ノビC-

回復D+

送球C-

外野手○

 

◇コツ

ジャイロボールLV1

 

◇◇◇◇◇◇

 

 確かに今回のアメリカ遠征でポイントを消費していないにも関わらず能力値がアップしていた。

 投手では球速が1km上がり、スタミナがE+となった。チェンジアップも1つ上がっていた。

 野手としては弾道が3に上がっただけだったが、特殊能力がノビと送球がC-に上がり、吾郎に教えたせいもあったのかジャイロボールのコツを掴んでいた。

 

(C-へ上げるポイントはかなり高かったはずなんだけど……この1ヶ月程度でここまで成長出来るとか、本場(アメリカ)の野球はどれだけレベルが高いんだって話だよね)

 

 翔は自分の能力を確かめつつ、すぐ始まるであろう秋大会に向けて気を引き締めるのであった。

 




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『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/
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