MAJORで寿也の兄になる   作:ねここねこねこ

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今日も投稿します。
毎日投稿は出来るのですが、ちょっと質が落ちている気がするのでいつまで続けようか悩んでいます。

皆さんの高評価やお気に入り登録の期待に、少しでも面白い話を書きたいなと思ったりしてます。



第十九話

「それでは秋大会に向けて背番号を配るぞ。1番、江角!」

「はい!」

「2番、後藤!」

「はい!」

 

 どんどん背番号が配られていく。

 

「10番、佐藤翔!」

「はい!」

「11番、佐藤寿也!」

「はい!」

 

 翔と寿也はレギュラーの背番号ではなかった。

 理由はいくつかあるが、まず夏休みの練習に参加をしていなかったことが大きい。

 実力があってもチームとしての連携に関しては、江角と後藤の方が経験豊富なので、そこを考慮されていた。

 

 他にも江角と後藤は今年でリトルを卒業なので、その配慮もなされていた。

 これは樫本から翔と寿也に直接伝えられていたことであり、本人達も納得していた。

だが、リトルリーグの規定では2試合連続で投げることは推奨されていないこと、そして同じ日に2試合あった場合はその日は1試合のみしか投げてはいけないとなっているので、翔と寿也にも出番があると伝えられていた。

 

 

 

 そして、翔達にとって初めての公式戦が始まったのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「あれ?  三船リトルはこっちじゃないんだ?」

「うん、別ブロックだから、もう1つのグラウンドみたいだよ」

 

 開会式の日、吾郎に久しぶりに会えると思っていた2人は残念がっていた。

 アメリカで別れてから吾郎とは連絡が取れなくなっていた。

 電話をしても留守番電話になっており、茂治や桃子にも繋がることはなかった。

 

 しかし、茂治は横浜の試合に出ているので、そこまでは心配していなかったのだが。

 

「宣誓! 我々選手一同はスポーツマンシップに則り、正々堂々フェアプレーで頑張ることを誓います!」

 

 横浜リトル真島の選手代表の挨拶で始まった秋大会。

 全員が気合いを入れて優勝するつもりでいたのであった。

 

 横浜リトルはシードのため、2回戦からの戦いになる。

 先発は背番号通り江角である。翔と寿也の出番はなさそうなので、応援を頑張ることにした。

 結果は、15対0でコールド勝ちだった。

 

 2回戦を突破した横浜リトルは、次の3回戦のために準備を始めていた。

 

「よし! じゃあ次はバッティング練習を始める!」

「「「「「はい!」」」」」

「翔、投げてくれ」

「はい!」

 

 翔がバッティングピッチャーをしているのには理由がある。

 今の横浜リトルには他のチームとの対戦にさほど興味を持っていなかった。

 今どうしても勝たないといけないのは、次に当たる予定の本田吾郎率いる三船リトルである。

 

 1回戦、2回戦と全く苦戦することもなく、ノーヒットノーランと完全試合(パーフェクトゲーム)で終わらせた吾郎は、試合中も全く油断することなく投げていたと偵察に行った樫本の言葉である。

 翔と同じ、もしくはそれ以上のスピードで活きた球を投げてくる吾郎には、バッティングマシンではもはや対応しきれないので、同じ実力を持つ翔の球と寿也のリードを打ち破ることで吾郎対策を練っていた。

 

「う、打てねぇ……」

 

 翔は肩や肘を壊さないように調整しつつ投げているが、それでも真島を含めて横浜リトルのメンバーは全く打つことが出来なかった。

 これには理由もある。まだ完璧に習得できてはいないのだが、翔にはジャイロボールのコツを習得していた。

 コツだけとはいえ、通常のストレートと若干違う軌道に全員が対応出来ていなかったのであった。

 しかも寿也のリードのお陰もあり、バットに当てるだけで精一杯だった。

 

「なんだお前ら! 誰も翔の球を打てないじゃないか!」

「「「……」」」

「寿也! お前なら打てるのか?」

「え? ……分からないですけど、挑戦はしてみたいです」

 

 全く打てないメンバーに樫本は怒鳴り、全員が何も言えずに俯く。

 そこで翔の球を日頃から捕っている寿也であればどうなのか気になり、対戦をしてみることとなった。

 代わりのキャッチャーは後藤である。

 

「おいおい……佐藤兄弟の対決だぜ」

「初めて見るな」

 

 全員が注目する中、翔と寿也の対戦が始まった。

 

「翔はストレートとチェンジアップを投げられるんだったよな」

「はい」

「分かった。とりあえずサインを決めておこう」

 

 サインと決めながらも翔の顔は笑っていた。

 弟である寿也と全力で戦えるチャンスがまさかくるとは思っていなかったのである。

 そして寿也も同じ気持ちなのか、笑っていた。

 

(寿也と初対戦か……こりゃあ負けられないな!)

 

 寿也が打席に入り、バットを構える。

 翔は後藤のサインに頷き、振りかぶって全力のストレートを投げる。

 ボールはど真ん中に入り、ワンストライク。

 

(しょ、初球ど真ん中とはやるね……しかし、翔の球は何百球、何千球と捕ってきたけど、打席に入るとこんなにも違うのか)

 

 2球目。翔は外角低めに投げ、寿也がそれをカットする。

 次はチェンジアップを投げるが、見送ってボール。

 

(次はどっちだ……? ストレートか? それともチェンジアップか?)

 

 寿也は狙い球を絞れずにいたが、翔の性格を考えて判断することにした。

 

(うん、ストレートだな。翔なら絶対にストレートでくるはずだ!)

(……って思っているんだろうなぁ。正解だよ、寿也!)

 

 翔は今日イチの豪速球をど真ん中に投げる。

 寿也は待っていた球がど真ん中に来たことで不意を突かれるが、そのままバットを振り抜く。

 大きな音が鳴り、ボールはセンターのフェンスを越えて場外ホームランとなった。

 

「おおおおおお!!! 兄弟対決は寿也が勝った!」

「あいつもやっぱりすげえな!」

 

(……マジか。今まで投げたことないくらいの本気で投げたんだけどなぁ。……才能は怖い)

 

 翔は自身の全力を打たれたことを悔しいと思っていたが、それを打ったのが寿也だったので嬉しくもあったのだ。

 寿也は打てたことに驚いていたが、確かに何かしらの手応えを感じていた。

 

「寿也! ナイスバッティング!」

「えへへ、打てちゃった」

「このやろ! 僕だって悔しいんだぞ!」

 

 じゃれ合う佐藤兄弟を見て、全員が笑う。

 樫本もこの光景を見て、三船リトルには絶対に負けないと感じるのであった。

 

 

 そして次の日曜日。三船リトルとの対戦が横浜マリンスタジアムで行われるのであった。

 




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『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/
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