MAJORで寿也の兄になる   作:ねここねこねこ

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第二十六話

「2対1で横浜リトルの勝ちです!」

「「「「「ありがとうございました!」」」」」

 

 横浜リトルと三船リトルの選手が互いに握手を交わす。

 そして次の試合もすぐに始まるので、挨拶もそこそこに全員がベンチを出るのであった。

 

 横浜スタジアム内にある三船リトルの控室で、吾郎はうなだれていた。

 負けたショックもあるが、三船リトルのメンバーを全国に連れて行くことが出来なかったということが彼の中で後悔となっていた。

 

「本田君……」

 

 小森が心配して吾郎に声を掛ける。

 他の選手たちも心配した様子で吾郎を見ていた。

 

「み、みんな。本当にごめん。最後、打てなかった……」

「本田……」

「お、俺……このままこのチーム(三船リトル)を抜けるなんて出来ないよ! みんなを全国に連れて行くことが出来なかったのに……自分勝手にチーム(三船リトル)を抜けるなんて──」

「──それは違うぞ」

「……え?」

 

 沢村が吾郎の話を遮り、吾郎の前にやってくる。

 

 

「俺らは自分達で選んだんだ! お前とこの秋大会で全国を目指すって! それが三船リトルを抜ける本田への俺達からの恩返しだったんだよ!

俺は……お前がいなかったらずっと小森をいじめて、ヘラヘラして……中途半端なままだった。俺はお前に恩返しがしたかったんだ!」

 

「僕もだよ。本田君がいなかったら、ずっと自分の言いたいことややりたいことを我慢して、沢村君とも本当の友達になることが出来なかったんだ」

 

「俺達5年生もだよ。本田がみんなを引っ張っていってくれたから、野球を真剣にやろうって思えたんだ」

 

「……私も。お前がいたから野球を始めようと思えたし、本田がいなかったらここまで野球が面白いものだとは思わなかった」

 

 

 沢村、小森、5年生、清水が自分達の気持ちを伝えていく。

 吾郎は、自分を責めて辛くなっていた心が軽くなっていくのを感じる。

 

「そうだね。私もだよ。吾郎君が来てくれなかったら、おそらく三船リトルは無くなっていただろうね。

昔の気持ちを取り戻すこともなく、サッカー人気を言い訳にしたままだったよ。

そんな私達に夢を見せてくれたんだ。次は吾郎君自身のやりたいことをやってもいいんじゃないかな」

 

 吾郎は全員の言葉を聞いて、目に涙を浮かべる。

 

「みんな……ありがとう。本当にありがとう……」

 

 椅子に座りながら泣き続ける吾郎を見て、全員一緒に涙を浮かべるのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「よし! 準備できたな! それでは帰るぞ!」

 

 樫本の合図で横浜リトルのメンバーが帰ろうとしていた。

 控室を出て、バスに乗り込もうとしたとき、吾郎が走って向かってくるのが見えた。

 

「か、監督!」

「ん? ああ、本田が来ているのか。いいぞ、行ってこい」

「「ありがとうございます!」」

 

 翔と寿也はバスには乗らずに、吾郎の方へ行く。

 吾郎は翔達を見ると笑顔になる。

 

「翔くん! 寿くん! ……今日は負けたよ。完敗だった」

「ううん、こっちこそ危なかったよ」

「全国、絶対に行ってね!」

「うん、全国で一番になって帰ってくるよ」

「だね! 楽しみにしてるよ。それとね、俺────」

「「え………?」」

 

 吾郎が話した言葉を聞いて、翔と寿也は驚きのあまり叫んでしまうのであった。

 

 

 

 

 

 吾郎との話の後、翔達はバスに乗り込む。

 

「もういいのか?」

「はい! お待たせしました!」

 

 全員がバスに乗ったことを確認した樫本はバスを発進させる。

 翔は吾郎が話したことを思い出して、窓を見ながら笑っていた。

 

「翔、何笑ってるの?」

「ん? ああ。さっきの吾郎君のこと」

「ああ、()()ね。僕、驚いちゃったよ!」

「だよねぇ……でもさ──」

「「吾郎君らしいよね!」」

 

 2人で声を揃えて同じことを言い、笑い合う。

 その様子を見ていた周りの選手が「こんな会話でもハモれるのか……さすが双子!」と軽く驚いていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 その後、横浜リトルは全国に駒を進めることが出来た。

 横浜リトルの選手層は厚く、ピッチャーを江角、菊地、涼子、翔と状況に応じて使い分け、翔はピッチャーとして試合に出てないときは外野手を固定で守るようになっていた。

 寿也もキャッチャーを後藤と一緒に状況に応じて出場しており、全国大会では真島を抜いてホームラン王となっていた。

 

 

 そしてこの年、横浜リトルは全国大会優勝を果たすのであった。

 

 

 

 

「吾郎。横浜リトル、全国大会優勝したって!」

「そうなんだ! 翔くん達優勝できたんだ!」

「あんたも急なんだから……せめて秋大会が終わるまで待てなかったの?」

「ごめん、母さん。俺は少しでも早くここに来たかったんだ。ここで三船リトルのみんなのためにも、もっと上手くなりたいんだよ」

「分かったわよ……これからもちゃんと連絡しなさいよ」

「分かったって! そっちもおとさんと仲良くね! あと今妊娠してるんだから、体調には気を付けてよ!」

 

 吾郎は電話を切って、ため息をつく。

 もう小学四年生なのだ。いい加減子供扱いはやめてほしい──実際はまだまだ子供なのだが──と吾郎は思っていた。

 

『吾郎! 練習に行くぞ!』

「ん? た、たぶん練習に行くって言ったんだよな? 今行く!」

 

 声を掛けられ、グローブを持って走り出す吾郎。

 

『吾郎……ジュニアも気を付けてな』

『分かってるよ! じゃあ行ってくる!』

「行ってきます!」

 

 

 

 

 ギブソンに見送られ、吾郎とジュニアは練習に向かうのであった。

 

 

 

『本田吾郎率いる三船リトルに勝利したのでボーナスポイントを付与します』

『全国大会に出場したのでボーナスポイントを付与します』

『全国大会を優勝したのでボーナスポイントを付与します』

『ジャイロボールのコツLV3を習得しました』

 




はい。実は吾郎君が選んだのはアメリカ行きでした。
これは当初から考えられていたもので、三船リトルと横浜リトルで揺れていた吾郎に対し、ギブソンが第3の選択肢を与えたということです。
アメリカ行きを選んで、そこから茂治や桃子を説得(確実に反対されていたので)し、三船リトルのみんなに話して納得してもらう、ギブソンにも伝えなくてはいけない。
かなり大変だったと思います。でもそれがあったから横浜リトルとここまで接戦になれたのかなとも思うので、彼の選択肢も良かったかなと。


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『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/
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