日頃からご愛読くださっている皆様には感謝の言葉しかございません。
今後ともよろしくお願いいたします。
吾郎と再会した翌週、茂治に呼ばれた翔と寿也は本田家のリビングにいた。
そこには茂治、桃子、吾郎、亜美と高齢の男性がいた。
(なんか……吾郎君のお父さんに似ている感じだな。……吾郎君のおじいさんかな?)
翔の予測は正解であり、茂治が解決する方法として相談した相手が茂治の父であったのだ。
「翔君、寿也君。今日はわざわざ来てもらって悪いね」
「い、いえ。こちらこそありがとうございます」
「ああ、それでな。今日は俺の父にも来てもらっていたんだ。実は税理士をしていてな」
茂治から茂治父に相談をしたところ、修正申告して税金を納めればまだ間に合うということだったので具体的な話をしに来てくれていた。
脱税はやってはいけないことだという点はきちんと伝えた上で、次から絶対にしないことと、すぐに修正することなど色々とアドバイスを受けていた。
「……というところかな。あとは君達のお父さんがどう判断するかだけだと思うが、ここで修正申告をしないようではいずれどこかのタイミングで税務調査が入って大変なことになることを伝えれば良いよ」
「どうしても話を聞いてくれないようであれば、俺と父も行くから安心してくれ」
「「は……はい! ありがとうございます!!」」
翔と寿也は今まで抱えていた重荷が軽くなっていく感覚になり、自然と涙がこぼれていた。
「翔、寿也……」
「あ、あれ…?」
「ご、ごめんなさい…」
2人の泣いている姿を見て、茂治はしっかりしていてもまだ中学三年生の子供なのだと自覚した。
その子供に負担を負わせた2人の父親と海堂高校のスカウトに対して激しい怒りを覚えていた。
もし吾郎や亜美がそういう状況になった場合、誰よりも先に乗り込んでいくはずだと分かっているが、翔と寿也が自身の子供ではないことが茂治の胸の中をモヤモヤさせていたのだった。
「今日はありがとうございました」
「いやいや、気にすることないよ」
翔と寿也はひとしきり泣いて落ち着いたあと、本田家から出ていった。
自宅に帰る途中、2人は公園のブランコに座りながらしばらく黙っていた。
そして20分ほど座っていて、どちらかともなく話し始めた。
「僕さ、ワールド高校に行きたい」
「……僕も」
「でもさ、そのためには父さんを説得しなきゃいけないし、海堂とも敵対するかもしれない」
「うん……」
「たぶん、僕らが1人だったら……きっとダメだった」
「でも……僕らは
「うん、だから何としてもやり遂げよう! 父さん、母さん、僕らや美穂の今後のためにも!」
翔と寿也はブランコを思い切り漕いで、そのまま飛び降りた。
目を合わせたお互いの笑顔は、夕焼けに照らされ真っ赤に染まっていた。
◇◇◇◇◇◇
「あなた……一体これはどういうこと?」
「いや、その……だな」
夕食後、小六になった美穂を加えて佐藤家の全員で話し合っていた。
翔と寿也が「大事な話がある」と伝え、海堂高校に脅されていることを伝える。
初めは両親ともに驚いていたが、原因が父親の不正に関わることだと分かると、顔を真っ青にした父親がいた。
母親にどういうことなのか詰められている様子が、子供達にとってはとても気まずかったが、その場を離れることを許されず、ただただその場で空気に徹していた
1時間ほど問い詰められ、ついに不正を認めた父親。その時の母親の顔はまるで鬼のようであったと後日美穂は語っていた。
大分絞られたところで、翔が助け船を出す。
「とりあえずさ、このままだと僕らは海堂に行かないとといけないんだ。
吾郎君のお祖父さんが税理士をやっているんだけど、相談したら今ならまだ修正申告をすれば間に合うってさ」
「そ、そうか!」
「だからさ、そこら辺の対応をお願いしてもいい? 今のままだと、世間にバラされたら税務署から調査が入って、更に不利になるし、世間的にもかなり良くないんだ。
あとさ……僕らだけじゃなくて、美穂が可哀想だよ」
「……お兄ちゃん」
美穂を心配そうに見た翔は、再度父親に修正申告するようにお願いをする。
父親も家族の顔を見て、決心したのか「分かった」と頷いたあと、全員に頭を下げて謝った。
「本当に申し訳ない……。つい出来心だったんだ。もうこれからはしないようにするから……」
「そうだね。母さんもそれで大丈夫?」
「ええ……ただ、これからは税理士を本田さんにお願いしたほうがいいんじゃないかしら?」
税理士を変えるのは手間がかかり面倒な作業ではあるのだが、この状況をきちんと把握していて、今後も不正がないように見てもらえる信頼できる人が誰かと考えると、選択の余地はなかった。
父親は、その提案に対してすぐに頷き、次の日から経理処理作業に忙殺されていた。
結果、2週間で税理士事務所を変えたり、すべての修正申告をするなどの作業が終わった。
会社としては法人税を追加で払わなくてはいけなくなり、涙目になっていた父親ではあったが、後ろめたいことが無くなったことである意味良かったと、後に語ることになる。
そして、陰でまた翔からお叱りを受け、改めて今後は家族のために誠心誠意働くことを約束させられたのであった。
「いや、もう……本当にごめんなさい」
亜美は茂治と桃子の間に生まれた女の子です。
茂治の父の職業はオリジナル設定となります。
そして今回はかなりシンプルな修正申告という解決方法にしました。
先に言っておくと、脱税は犯罪です。でも中小企業や個人事業主レベルだと、運も絡みますがやろうと思えばバレずに出来てしまうのが今の日本でもあります。
今回は調査が入っていないことから、きちんと修正申告をして、税金を支払ったということで世間的には「脱税ではなく、財務処理上のミス」という名目にしています。
それでも犯罪は犯罪なので、本来なら絶対にダメ。節税と脱税はまったく違います。脱税ダメ!擁護もしないです!
ただ……今回のお父さんの処罰はこれで勘弁してあげてくださいませ。
脱税や滞納などはせずに、税金はきちんと支払いましょう。
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