それは突然のことだった。
『一定の年齢、一定の身体能力になったので、ステータスを開放します』
翔の頭の中にアナウンスのようなものが流れて、ステータスが表示された。
◇◇◇◇◇◇
【佐藤 翔ステータス】
◇投手基礎能力一覧
球速:50km
コントロール:G
スタミナ:G-
変化球:なし
◇野手基礎能力一覧
弾道:1
ミート:G
パワー:G-
走力:G-
肩力:G-
守備力:G-
捕球:G
◇◇◇◇◇◇
(うお! なんだこれ!? ……ってそういえば神様の特典としてパワプロの成長ステータスを貰っていたな。それにしても完全にど素人丸出しだ)
翔はため息をついた。一生懸命に努力をしていたつもりだったのだが、ステータスでは完全にど素人だったからだ。
ただ、吾郎の球が捕れるからか、捕球はGとなっていることに少しだけ安堵した。
『ステータスが解放されたため、習得のためのポイントも付与します』
今度は筋力などの数値が現れ、各項目にポイントが割り振られている。
翔はこれを使ってステータスを上げていくのだなと納得した。
(せっかくだし、少しだけ上げてみるか。とりあえずど素人からは抜け出さないといけない気がする)
そう思い、バランス良くポイントを割り振っていく。
◇◇◇◇◇◇
【佐藤 翔ステータス】
◇投手基礎能力一覧
球速:50km
コントロール:G
スタミナ:G
変化球:なし
◇野手基礎能力一覧
弾道:1
ミート:G
パワー:G
走力:G
肩力:G
守備力:G
捕球:G
◇◇◇◇◇◇
一旦、翔は全部をGになるように上げてみた。
まだ少しだけポイントは余っているが、特殊能力も見てみたいと思っていたので、確認してみる。
(え、なんか表示されている特殊能力が少ないな。しかも習得ポイントも高いし)
特殊能力はまだほとんど解放されておらず、何か解放条件が必要なのではと推測する。
それはステータスが解放されたときも、〈一定の年齢〉と〈一定以上の身体能力〉が必要だったというところから予測していた。
翔は自身の能力がどれくらい上がったのかを早く確かめたくて仕方ない様子だったが、それを見ていた寿也から可哀想な目をされていたのには気付いていなかった。
◇◇◇◇◇◇
「よし! いくよー!」
吾郎がボールを転がし、翔が捕球して寿也に投げる。
寿也も問題なくボールを受け取り、5歳の子供なりに立派な野球の形になっていた。
「翔くん、上手くなったね! 凄い!」
「え、そうかな? なんかそう言ってもらえると嬉しいな」
ステータスを上げてから、翔の身体は前よりも動きやすくなっていた。
初めはその動きに頭が付いていかず、ギャップを埋めるのに時間が掛かったが、さすが子供なのか適応してからの動きは以前よりもかなり良くなっていた。
寿也は翔の動きを見て、羨ましい反面、自慢の兄のような誇らしさを持っていた。
「寿くんも上手くなっているし、俺も頑張らないとだよ!」
「え……僕も上手くなってるかな?」
「寿也もかなり上手くなっているよ。僕も必死だもん」
置いていかれたような気持ちになっていた寿也だったが、実は翔がコツなどを教え込んだりしているうちに自然と上達していた。
(やばいな。これが本田吾郎と佐藤寿也の才能か。パワプロ特典が無かったら、置いていかれるのは俺だったかもしれない)
吾郎と寿也は練習しているだけでどんどん上達していく。
それが効率の良い練習なら尚更上達スピードが高まっているのである。
翔は焦りを覚えつつも、自慢の弟と自慢の友人が2人で良かったと感じていた。
「じゃあねー! また明日野球やろうね!」
「あ、ごめん。明日はスイミングスクール行かないとなんだ」
「お母さんとの約束で、勉強と水泳はきちんとやるのが野球をやってもいい条件なんだよ」
吾郎にそう伝えると残念そうな顔をしていたが、「明後日また野球しようね!」と翔がフォローすると、吾郎は笑顔で帰っていった。
翔と寿也も家に帰り、お風呂に入ってご飯を食べる。
2人には3歳下の妹である美穂がいるのだが、2人にすごい懐いていて、2人もとても可愛がっていた。
「おにいちゃ。あそんで!」
「いいよー! 何して遊ぶ?」
「んー、お馬さんごっこ!」
翔と寿也は交代で美穂を背中に乗せてやり、はしゃぐ美穂を見て楽しんでいた。
両親も兄弟が仲良くしているのを見て微笑んでいる。
(こんな日々が続くといいんだけどなぁ……でも長くは続かないよな)
翔には分かっていた。転機は小学校6年生ごろに来るのだと。
最悪は寿也も翔自身も置いていかれてしまい、それが寿也のトラウマになってしまうということを。
(まずはそのことを防ぐことから始めたい。最悪原作と同じく寿也が置いていかれた時は、俺が一緒に苦しんであげればいい)
まだ子供の翔にはどうすれば良いかは分かっていない。
でも苦しみを分かち合えるのは双子の兄である自分しかいないと理解しているので、今のうちから覚悟しているのだ。
それでも野球からは絶対に離れてはいけないと思い、寿也に笑顔で教え続けるのであった。
そして約10ヶ月の月日が流れ……ついに吾郎にとって最悪の日が来てしまうのであった。
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