ワールド高校へ入学をした翔、寿也、吾郎、ギブソンJr.の四人。
ギブソンJr.の妹であるメリッサも飛び級で入学をしたが、父親のギブソンのせいで寮の空きがなくホテル住まいとなる。
しかし、メリッサはそれをチャンスと思ったのか強引な説得をし、佐藤家への居候に成功する。
色々と不安もある翔だが、これからワールド高校での野球生活は上手くいくのであろうか。
「さて……と、今日から部活かぁ!」
翔は今日から始まるワールド高校野球部に気持ちの高鳴りを抑えられなかった。
それは吾郎や寿也、ジュニアも変わらない。そして、翔や寿也からすると、吾郎と初めて同じチームで野球が出来るということがとても嬉しかったのだ。
「場所は……ああ! ここ広すぎて覚えられねーよ!」
「えっと、今ここだから……グラウンドはあっちだね」
吾郎は広すぎるワールド高校の敷地にうんざりしていたが、そこは寿也が地図を見て案内するという気遣いを見せる。
「あれ? そういえばメリッサちゃんはいないの?」
「……なんで僕に聞くのさ?」
「いやぁ、だって……ねぇ?」
寿也はいつも一緒にいるメリッサが翔のそばにいないことを不思議に思い、翔に尋ねる。
すぐそばに兄であるジュニアがいるにも関わらず、真っ先に翔に尋ねたことに対して苦笑いを浮かべる翔。
「まぁ……今朝、兄である俺の前で腕を組んでイチャイチャ登校してくる姿を見たときは、さすがに殺意を覚えたけどな」
「それはメリッサが勝手に……ゴ、ゴホン。今日は僕達が終わるまで校内にいるって言ってたよ」
やっぱり知ってるんじゃんという寿也のからかいの言葉を無視して、先に進んでいく翔。
吾郎とジュニアもからかいすぎではと思ったが、翔をイジれるのはこれくらいだとも思っているため、特に何も言わない。
そして寿也は翔をどこまでからかったら怒るかをほぼ正確に把握しているため、そこを越えないようにからかおうと決めていたのであった。
◇
「す、すげえな……」
野球部のグラウンドに着いたとき、吾郎はあまりの凄さに感嘆の声を上げる。
グラウンドは三面あり、室内練習場も完備。ジムなどの設備も完璧に揃っており、野球をするのにこれ以上の環境は無いのではないかと思わせるものであった。
ワールド高校自体は新設校のため、まだ一年生しかいないが、二年後には三学年全員揃うため、人数が増えても問題なく学業や部活に集中できる環境が整えられていたのだ。
「あ、野球部入部希望はこっちだって!」
寿也が看板を発見し、翔達を呼ぶ。看板には、更衣室で着替えた後に第一グラウンドへ集合といった内容が更衣室と第一グラウンドへの地図とともに書いてあった。
ユニフォームはまだ配られていないため、更衣室では自前で用意したものに着替える翔達。
翔を含め、全員の身体は引き締められており、高校一年生の中ではかなり仕上がっている肉体となっていた。
着替えた後、第一グラウンドへ向かうと、そこにはすでに複数名の選手が着替えて待っていた。
国籍はそれぞれ違っており、人種に関わらず実力があるであろうと予測できる者が集められたようであった。
「この人達も……?」
「ああ、俺達と同じくワールド高校に集められた実力者達だろう」
「何人か
寿也の問いにジュニアと吾郎が答える。実際に話したことはないが、試合をしたことがある選手などもいたため、顔見知り程度ではあるが吾郎とジュニアも集められた生徒の何人かは知っていた。
翔達が四人で固まって話していると、少し離れたところから翔達を見て話している外国の生徒が三人いた。
「おいおい! こんなところに
「だなぁ。
「話が違えじゃねえか!
翔達が英語を理解出来ていないと思っているのか、かなり大きい声で話す三人。
そこに話を聞いていたジュニアが止めに入る。
「おい、お前ら──」
「──大丈夫、ジュニア」
しかし、翔が途中でジュニアの言葉を遮る。遮られたジュニアは翔の方を見るが、その迫力に思わず後ろに下がる。
それは翔だけではなかった。さすがの寿也も吾郎も我慢の限界がきていた。
「じゃあこうしましょうよ。僕らと君らで勝負する。それでどっちが上かを決めましょう」
「……はぁ? なんで俺達がお前達なんかと──」
「怖いのか?」
「……なんだと?」
翔が三人を挑発する。それに対して、長い金髪を後ろで括っている生徒が食って掛かる。
それ以上は何も言わずににこやかな表情で静かに怒る翔。その様子に金髪の生徒が怒りの表情で答える。
「……上等だ。
「じゃあマウンドに──」
「何をしている?」
一触触発の雰囲気の場に現れたのは、三十代半ばの男性であった。スーツを着て、片手にA4のバインダーを持っており、
だが、この場に自分達とは年齢が違う人が現れたということは、この男性が何者であるかは誰の目にも明らかであった。
ただ一人を除いて。
「あぁん? 誰だこのおっさ──」
「吾郎君、どう見ても監督でしょ。ちょっと黙ってて」
翔は、先程まで怒りのままに挑発をしていた彼には見えないほど冷静に吾郎を
ようやく監督だと理解した吾郎はすぐに黙るが、途中まで話していた言葉は聞こえてしまっていた。
「悪かったな、おっさんで……これでもまだ三十三歳だ」
十分おっさんじゃねえかと吾郎は思ったが、これ以上何か言うとまた翔達に睨まれてしまうため、黙って男性を見ていた。
誰も何も言わないのを確認した男性は、軽くため息を付いたあと、全員を集め自己紹介をする。
「よし、集まったか。じゃあまずは俺の自己紹介からだな。俺はケビン・スコフィールド。見て分かる通り、野球部の監督だ。
ワールド高校一期生のお前らをこの島国でNo,1にするために来てやった。よろしくな」
上から目線で自己紹介を行ったケビンは、続いて全員の自己紹介をするように促す。
「名前と……希望のポジションだけでいい。じゃあお前からだ」
「は、はい! 自分はギャネンドラ・バッタライ。ポジションはセカンドとショートです!」
「よし、次」
「俺はヴィクター・コールドバーグ。ポジションは外野だ」
「よし、次」
順番に全員が自己紹介をする。翔、ジュニア、寿也、吾郎も自己紹介をし、最後は翔達と揉めていた金髪の生徒であった。
「アルヴィン・ロックハート、ピッチャーだ。
「……なんだ?」
「
あからさまな敵意をぶつけられる翔達。正直にアルヴィンにここまで毛嫌いされる理由など一切無いのだが、だからこそ理由のない敵意には無性に腹が立つのであった。
ケビンはため息を付くと、口を開く。
「はぁ……もう少し仲良く出来ないもんかね? これから同じチームメイトとしてやっていく仲じゃないか」
「少なくとも俺達は
「……お前らがさっき揉めていたのはこれが理由か?」
ケビンはようやく翔達とアルヴィン達が揉めている理由が分かり、再度ため息をつく。
それで少し考えると、アルヴィンに向かって質問をする。
「じゃあ
「……ええ。まぁ万が一にでもそんなことはあり得ないがな」
「それじゃあせっかくだし、今日はお前達で勝負をしてもらおうか。親睦も深まるし、お互いの実力も分かるしで問題ないだろ?」
監督のケビンは翔の方を向き、提案を受けるかどうかを聞く。
翔は吾郎や寿也に聞くこともなく、了承をした。正確には
お互いに頷いたところで、翔と寿也、吾郎対アルヴィンと取り巻き二人──アインスとツヴァイ──で勝負をすることとなった。
(まさか野球部の活動初日に喧嘩売られると思ってなかったけど、ちゃんとステータスを上げておいてよかった……)
四月一日になった直後、いつものようにアナウンスが流れ、D+からC-への成長に必要なポイントが極端に落ちたのであった。
これは高校生になったと判断されたからだろうと思った翔は、春休みというのもあり、ひと晩かけてポイントを割り振っていった。
◇◇◇◇◇◇
【佐藤 翔ステータス】
◇投手基礎能力一覧
球速:150km
コントロール:C
スタミナ:C
変化球:
チェンジアップ:5
スラーブ:4
◇野手基礎能力一覧
弾道:3
ミート:C+
パワー:C
走力:C
肩力:C
守備力:C-
捕球:C
◇特殊能力
【共通】
ケガしにくさC+ 回復C+
【野手】
チャンスC- 対左投手C- 盗塁C-
走塁C 送球C+
チャンスメーカー パワーヒッター レーザービーム
外野手○
【投手】
対ピンチC+ 対左打者C- 打たれ強さC-
ノビC+ クイックC-
ジャイロボール 緩急○ 尻上がり
リリース○
◇コツ
重い球LV3 キレ○LV3 威圧感LV4
◇◇◇◇◇◇
今あるポイントを全て割り振ってもカンスト──全てをC+──にすることは出来なかった。
しかし、いきなりステータスを上げてしまうと身体に大きな負担があると分かっているので、ある意味良かったと思っていた翔。
高校生活は三年間あるため、それまでにカンストを目指し、高校卒業後に振ることが出来るポイントもじっくり貯めていこうと考えていた。
「おーい、翔! そろそろ始めるって!」
「OK! 分かった!」
ステータスを簡単にチェックした翔は、寿也に呼ばれて走っていく。
ここで負けることは野球部にいられなくなるのと同義であると感じているため、是が非でも勝たなくてはならない。
気合を入れた翔は、アルヴィン達との勝負に臨むのであった。
遅くなりまして、大変申し訳ございません。
吾郎sideでもお話しましたが、昨年の投稿再開のすぐ後にPCのデータが全て消えてしまい、ずっとヘコんでいました。
ストックも消えてしまったので、今後の投稿はストックを作りながらゆるゆると行っていきます。
きちんと完結まで書いていきます。