両方とも楽しんでいただけるように頑張ります。
『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/
翔と寿也は吾郎と野球をしながらも勉強に励み、2人揃って見事
両親はとても喜び、お祝いをしてくれて野球も継続してやっていいと許可も貰った。
そして2人は勉強の傍ら、受験までの間も真剣に野球の練習をして、かなり上手くなっていた。
(んー、そろそろ何か能力上げた方がいいのかなぁ?)
実は、
『
『卒園式を迎えたので、ボーナスポイントを付与します』
きっと何かの課題を達成したり、何かの節目でボーナスポイントを貰えたりするのであろうと翔は予測した。
だが、翔は何を上げるべきか悩んでいたのには理由がある。
それは自分の適正ポジションに迷っていたからだ。
(ピッチャーは吾郎君でしょ。キャッチャーは寿也だから、俺は別のポジションがいいのかなぁ?)
ポジションによって割り振るポイントが変わってくるので悩んでいたが、とりあえず平均的に上げることに翔は決めた。
(キャッチャーは寿也に任せるけど、別にピッチャーやっても問題は無いのか。それならどのポジションが出来てもいいように、平均的に上げていくのがいいかもね)
◇◇◇◇◇◇
【佐藤 翔ステータス】
◇投手基礎能力一覧
球速:80km
コントロール:G+
スタミナ:G+
変化球:なし
◇野手基礎能力一覧
弾道:1
ミート:G+
パワー:G+
走力:G+
肩力:G+
守備力:G+
捕球:G+
◇◇◇◇◇◇
全体的に基礎ステータスを上げることにした。特殊能力も欲しかったが、G+にして球速を80kmにした瞬間に身体が急に重くなり、数日間キャッチボールもまともに出来ないくらいになってしまった。
急にステータスを上げすぎると、身体に負担が掛かりすぎてブレーキが掛かってしまうのだろうと翔は推測した。
(これからは何を上げるかを決めておいて、少しずつ上げて身体を慣らしていこう。寿也にも心配掛けてしまうからね)
寿也は何も出来なくなっていた翔を見てすごい心配していた。
病気になったのではないかと思ったが、本人が大丈夫と話していたことと、数日で元に戻ったことから安心した。
その寿也はパワプロステータスでの成長がないのに、翔と同じくらい上手くなっていった。もちろん吾郎もである。
(さ、才能が怖い……才能が恐ろしい……)
2人の才能に
◇◇◇◇◇◇
「寿也! そろそろ記者会見やるよ!」
「うん! ちょっと待って!」
翔と寿也はメジャーリーグから日本にやってきたというジョー・ギブソンという選手の記者会見をテレビで見ていた。
超大物が日本の東京シャイアンズに来るとあって、日本中の野球ファンは大興奮していた。
「えー、では質問のある方どうぞ」
「ミスターギブソン、あなたは現役大リーガーでトップクラスの選手です。あんなあなたがなぜ今日本でプレーをしようと思ったのですか?
あなたのような全盛期の超一流投手が日本に来たのは初めてといっていいのですが……」
隣にいる通訳の日下部がギブソンに英語で伝える。
ギブソンはその質問に表情を一切変えることなく、淡々と答える。
『金がいいから来たまでだ。700万ドルもくれりゃ、火星の草野球チームにだって行ってやるさ』
日下部は少し困惑したが、ギブソンの言葉をかなり柔らかくして「
「日本のプロ野球について何か聞いていますか? その自信のほどを抱負を含めてお願いします」
『俺はメジャーリーガーだ。マイナーレベルと聞いているこの国のバッターに打たれる予定は入れていない』
日下部は顔面が真っ青になりながら、「と、とにかくチームのために頑張りますと言っています!」と慌てて誤魔化した。
そんな会見を見ていた翔と寿也は──特に寿也だが──不愉快な顔を隠さなかった。
「ギブソンのあの会見は何!? 日本のプロ野球を馬鹿にするにも程があるよね!」
「あれは最低だね。通訳の人が無理やり内容を変えていたけど、そのまま話していたら大変なことになっていただろうね」
実は2人は翔の勧めでもっと小さい頃から英語を習っていたため、大体の内容であれば理解していた。
母親は勉強に関しては積極的だったため、喜んでOKを出した。
その勉強に母親と妹の美穂も巻き込んでいるので、実は父親以外は英語がある程度話せるのだ。
「吾郎君のお父さんに絶対に打ってもらおう! ギブソンなんて簡単に打っちゃうよ!」
「……! そう……だね」
寿也は怒りで興奮していたので、翔の変化に気付かなかった。
翔だけはこの世界で、茂治が今後どうなるのかを分かっていたため、複雑な気持ちでいたのだ。
しかし、ふとあることが翔の頭をよぎる。
(……あ、もしかしてだけど、ギブソンに頭にボールをぶつけられた日に病院に無理やり行ってもらえば、吾郎君のお父さんって助かったのでは……?)
茂治はギブソンにデッドボールを当てられたあと、病院に行かずにそのまま家で亡くなってしまっていた。
それをなんとか覆す方法があるんじゃないかと考えていたのだ。
翔は勉強と野球を両立しながら、何か出来ることはないかと真剣に考える。
◇◇◇◇◇◇
『皆さん、こんばんは。今日は今季初、横浜スタジアムから横浜対巨仁の試合をお送りします』
「お! 始まった!」
翔と寿也はテレビの前に陣取って、試合を注目していた。
なぜかというと、今日は巨仁がギブソンの先発で、茂治が野手としての公式戦初スタメンだからだ。
オープン戦でギブソンの凄さが口だけではないことは分かっていたが、絶対に茂治なら打ってくれると信じていた。
1回表、横浜の先発茂野が三者凡退で調子の良さを見せつける。
そしてその裏の回。ギブソンが大きな身体でゆっくりと歩きながらマウンドに向かって行く。
投球練習後、主審のプレイの声と共にギブソンがゆっくりと振りかぶる。
右足を大きく上げる、その独特なフォームから凄まじいフォーシームがキャッチャーミットに投げ込まれる。
「ストライーーク!!」
電光掲示板に表示されたスピード計には『158km/h』と書いてあった。
その瞬間、横浜スタジアムがどよめき、大歓声が上がる。
『な、なんだ! なんだこれは! ギブソンいきなり158km/hーー! 来日してから公式戦1球目で井良部の持つ日本記録に並んだぁぁ!!』
ギブソンはオープン戦に調整で何試合か出てはいたのだが、いつも150km前後のストレートを中心に投げ込んでいたので、この瞬間を目撃した人たちは同じチームメイト、横浜の選手、審判、解説者、観客やファン。そして翔や寿也も驚きで開いた口が塞がらなかった。
しかし驚くのはこれだけではない。ギブソンの2球目──
『ぬ、抜いたーー!! 159km/h! なんと日本新記録を更新しました! 日本新記録です!!』
このあとギブソンは三者三振で1回の裏を終えたのであった。
150km後半のストレートを連発し、150kmのSFFを投げられると誰も手が出せなくなっていた。
2回になっても両者譲らずだが、ギブソンは6者連続三振で余裕を見せていた。
そして3回裏。横浜の攻撃。
「あ! 吾郎君のお父さんだ!」
「頑張れー!!」
翔と寿也はテレビ越しに応援していた。今の横浜でギブソンから打てるのは茂治しかいないと解説も言っており、2人も友達の父親だからこそ打って欲しかった。
ギブソンが振りかぶって第1球目──
『打ったーーー!! これは大きい! 入るか!?』
茂治が打った球はライトのポールの右に逸れていき、ファールとなった。
距離的にはホームランでもおかしくなかったが、初球であそこまで飛ばした茂治に会場全体で期待が高まる。
第2球目、158kmのフォーシームを打つが、キャッチャー後方に飛んでいきファール。
これでツーストライクと追い込まれ、球が絞れなくなった茂治。
ギブソンの第3球目。低めにボールが投げ込まれ、茂治は手が出せずキャッチャーミットに収まる。
「ボール!」
「うわ!! 危なかったね!」
「うん! 今のはストライクでもおかしくなかったかも!」
ギブソンは160kmのストレートと多彩な変化球だけでなく、コントロールも体格に似合わずに良かった。
そしてワンボール、ツーストライクからの第4球。
インコースに放たれたフォーシームを茂治がバットを振り切る。
『打ったーーーー!!!』
打ったと思ったが、ボールはギブソンのグローブに収まり、ピッチャーフライとなる。
茂治はバットを折られてしまい、悔しそうな顔をしている。
観客は落胆の声を上げるが、これでギブソンの連続三振がなくなったことと、茂治なら次の打席で打ってくれるのではと期待を高める。
6回裏、各チームともに0点の投手戦となっており、ギブソンに至っては現在ランナーをただの1人も出さないパーフェクトピッチングをしていた。
その姿に翔と寿也は野球をやっているからこそ分かる、偉大な野球選手の背中を見ていた。
しかし、この回の最初の打者は茂治だ。なんとしてもこの状況を変えて欲しいと祈る2人。
『7番、ファースト本田』
第1球目。アウトコース低めのフォーシームを茂治が見逃し、ワンストライク。
ここまで茂治にはストレートしか投げていない。
2球目、3球目、4球目とファールになるが、茂治はボールに当てて食らいついていく。
そして第5球目──
ギブソンの渾身のフォーシームがインコースに投げ込まれるが、茂治の思いっきり振ったバットに当たる。
しかし、ボールがどこに行ったのか分からず、誰もその行方を追うことができない。
ゴン!と大きな音が鳴り、その音が鳴った電光掲示板に全員が注目したとき、全てを悟り、観客の大きな歓声が巻き起こった。
電光掲示板のスピード計には『160km/h』と表示されていた。
『は、は、入ったーーーー!!!!! 音が鳴るまで誰も気付かなかった! 本田が! 本田茂治が160km/hの豪速球をバックスクリーン最上段にたたき込んだ!』
茂治がゆっくりとベースを一周している中、ギブソンは後ろを一度も確認することなく、ただ立ち尽くしていた。
その光景を翔と寿也は抱き付きながら喜び、はしゃいでいた。
しかしギブソンはリズムを崩すことなく、後続の打者を三振で抑えて、6回の裏を終えた。
(よし、ここまでは良かった! ……でも問題は次の打席だ。このあと本田茂治を助けるために動くんだ!)
このあと、ギブソンは日本の象徴ともいえるスモールベースボールに翻弄されてしまい、さらに2点取られてしまう。
そして────
『7番、ファースト本田』
『さあ
観客は大歓声で本田コールが舞い上がる。大リーガーであるジョー・ギブソンに対して日本のプレーが通じると分かり、興奮が止まらないのだ。
ギブソンは周りの声が聞こえているのか聞こえていないのか分からないが、明らかに動揺していた。
そんな中、投げたギブソンの第1球目が────
──────茂治の頭に直撃したのだった。
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