▼昨日の夜
寿也side:総合日間ランキング1位
吾郎side:総合日間ランキング8位
▼今日の朝
寿也side:総合日間ランキング3位
吾郎side:総合日間ランキング1位
驚きすぎて、思わずスクショ撮ってしまいました(笑)
もうありがとうございます!としか言えません!
これからも面白いと思っていただける話を書いていこうと思いますので、よろしくお願いいいたします!
全国高等学校野球選手権東東京大会。参加校は141校。
ワールド高校は初参加でシードではないため、七回勝利することで甲子園への出場が決定する。
「トーナメント表が届いたぞ」
ケビンが更衣室で着替えている選手達に届いたばかりのトーナメント表を持ってくる。
やはり試合相手は気になるようで、全員が集まってくる。
「初戦はどこだ?」
「翔! 読めないぞ! どこにあるんだ!?」
「えっと……僕らはBブロックだね。初戦は〝戸川高校〟ってところだね」
「聞いたことないな? 強いのか?」
「いや、マキシマムはどこの高校だって知らんだろうがよ」
初戦の相手は〝戸川高校〟。昨年の夏の大会で初戦敗退した都立高校。
ケビン含めて全員が日本語を読めないため、キャプテンの翔に読んでもらおうとする。
しかし、マキシマム含めて誰も対戦した高校以外の名前を知らない。実はケビンが五十試合も練習試合をさせたのには、日本の高校を少しでも知ってもらおうとしていたという意図もあった。
「昨年に初戦敗退して……いるね」
翔はスマートフォンを取り出して、昨年の夏大会のデータを確認する。
そこまで強くないと分かった段階で、全員の空気が緩くなる。
その緩んだ空気を感じたケビンは、全員を引き締めるように話す。
「とりあえずこの初戦で負けないことが大切だ! 〝野球界の黒船〟などと呼ばれていても初戦で負けたら大叩きされるからな!」
「おおっ!!」
「よし! 練習だ!」
ケビンの言葉に全員が頷き、グラウンドに練習しに行く。
大会前だとしても練習内容を変えることはしない。
いつもの練習に自信があるし、慣れない特別な練習をして怪我をさせたくないというのもあるからだった。
(みんな、最後まで頑張ってね!)
メリッサはボールが入ったケースを運びながら、全員を応援するのであった。
◇
大会前日。今日もいつも通りの練習を終え、着替えて全員がそれぞれの家に帰っていく。
大体の野球部のメンバーは寮かワールド高校周辺に住んでおり、自宅から来ているのは吾郎、寿也、翔、そして佐藤家に居候しているメリッサ。
吾郎と寿也は自転車で通学しているため、帰りに電車で帰るのは翔とメリッサの二人だけ。
「今日も混んでるね〜」
「うん、大変だね」
登校も下校もラッシュで毎日混んでいるため、数ヶ月もすればメリッサも慣れてしまっていた。
しかし翔からすると、妹の美穂と同い年のメリッサと逸れてしまうわけにはいけないので、電車内では手を繋ぐようになっていた。
(翔って……電車内だと積極的なんだよね……)
メリッサは電車内だと積極的になっている翔のギャップには、まだ慣れていないようであった。
くり返すが、電車内の翔は妹と同い年のメリッサが迷子にならないように手を繋いでいるだけである。
「明日、試合だね」
「うん、そうだね」
「が……頑張ってね!」
「まぁ出られるとは限らないけどね」
ワールド高校は〝第一レギュラー〟と〝第二レギュラー〟と分かれているため、初日にどちらが試合に出るかは当日まで分からない。
それはキャプテンの翔にも決定事項を伝えられることはなかった。
「あのさ……」
「ん?」
「このあと、少しだけ時間取れたりする?」
練習で疲れていて、大会前日の翔に本当であればわがままは言いたくなかった。
だが、メリッサはどうしても二人きりになりたかった。
「うん、いいよ」
翔は考える素振りも見せずにすぐにOKを出し、最寄り駅に到着すると自宅近くの公園に行く。
公園内に入ったメリッサはブランコへ走っていく。
「ほら、翔もおいでよ!」
ブランコに座ったメリッサは翔を呼び、彼はメリッサの隣のブランコに座る。
それから少しの間、沈黙の時間が続いた。しかし、それが決して気まずい雰囲気になることはない。
数ヶ月も一緒に暮らしているので、もう沈黙に慣れたというのが正しいのかもしれない。
「あのさ、翔?」
突然メリッサが翔を呼ぶ。
「私達が初めて会ったときのこと、覚えてる?」
翔とメリッサが初めて会ったのは、彼がまだ小学校四年生の夏。ジョー・ギブソンの家に行ったときに玄関で会ったのが初めての出会いだった。
そのときのメリッサは大勢の男性が来たことに加え、人見知りもしていたのもあり、最初は黙っていた。
しかし、翔が彼女に優しく話し掛け続けたことで心を開き、それからは翔と常に一緒にいることを望んでいた。
「うん、覚えているよ」
二人はお互いに初めて会ったときのことを思い出していた。
翔は妹の美穂を可愛がるように接し、メリッサからするとそれが初恋であった。
「あれから手紙のやり取りも何回もしたよね」
吾郎だけがアメリカで野球をすると言ったとき、なぜ翔は来ないのかと憤慨もしていた。
翔が中学生となったとき、お祝いに日本へ行きたいと言ったが、両親に反対されてふてくされもしていた。
「あれからもう六年が経つんだね……懐かしいなぁ」
翔がなかなか会いに来てくれないことに我慢が出来なくなったメリッサは勉学に励み、日本語も覚え、家族に反対させないだけの結果を残して日本へと来ることが出来た。
全ては目の前の
(まぁ……きっと気付かれていないか、美穂ちゃんと同じように妹扱いされているんだろうなぁ)
メリッサは気付いていた。まだ翔が自身に恋愛感情を抱いていないということを。
翔は寿也と同じく女性人気が高い。可愛らしい童顔のルックスだけでなく、スポーツも出来て頭も良い。
佐藤兄弟はまさに〝瓜二つ〟という言葉が本当に正しいくらい似ているのであった。
それでもメリッサが寿也ではなく、翔の方に惹かれたのには理由がある。
そのことを彼女が口にするのは当分先になるかもしれないが、心の奥底にはいつも秘めていた。
「明日からの大会、絶対に勝ってね!」
「え、だから明日は出られるか分からないって──」
「──そうじゃなくて」
メリッサはブランコから飛び降りると、翔の前に立つ。
新月の空には天の川が流れ、その満点の星々に負けないほど彼女は美しかった。
そんなメリッサの笑顔に、翔は目を奪われていた。
「私を絶対に甲子園に連れて行ってね!」
翔の頬に唇が触れ、彼女は一人公園を出ていく。
ブランコで頬を押さえていた翔はただ呆然とするのであった。
【小話:その後……】
メリッサ
「(わわわっ! しょ、翔にキスしちゃったぁ! 勢いでなんてことしちゃったんだろう……)」
翔
「…………」
メリッサ
「(恥ずかしくて公園を飛び出してきちゃったけど……一人で帰るのはちょっと怖いなぁ……)」
翔
「…………」
メリッサ
「(あ、翔! まだブランコで固まってる! は、早く来てくれないかなぁ……でも一緒に帰るの恥ずかしいし……)」
寿也
「あれ? メリッサちゃん?」
メリッサ
「わっ、わああっ! って寿也か〜! 脅かさないでよ!」
寿也
「別に脅かしてないけど……って翔は?」
メリッサ
「あの……えっと……その……」
寿也
「(あー、そういうことね……) とりあえず翔はあのままで大丈夫だから、先に家に帰ろう。このまま一緒に帰っても気まずいでしょ?」
メリッサ
「(う、うぅ……気付かれてる……) う、うん。ごめん、お願いしてもいい?」
寿也
「分かったよ (……ようやく二人の仲が進展しそうかな?)」