気ままな短編集(二次創作)   作:久遠の語部

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今年の正月実装鯖は多くのFGOユーザを殺しに来たのではないでしょうか。
私もその内の一人です。
とりあえず、情報を見た後に福袋ではなく、ピックアップに突っ込んだ程。
戦果ですが、無事に召喚出来ました。

それの記念と言うか、何か書きたいなと思ったままに書きました。
ちょっと終わりが雑目なのが気に入らないのですが……纏まらずに投稿しないよりはマシでしょう。



剣を作る者

 今年も色々あったなぁ……ボックスも無事に走り終えて素材も回収した。急いで解決する微小特異点や異聞帯もないのだから久し振りにのんびり出来そうだ。そんな訳でマイルームにマシュを呼んでブーディカとキャットが作ったクッキーとエミヤが淹れてくれた紅茶を飲んでいた時、マシュが忘れてはならないイベントを教えてくれた。

 「え、もう福袋の時期だっけ?」

 「はい、今年も新しいサーヴァント召喚か星5サーヴァントの宝具強化のチャンスですよ、先輩」

最近は忙しかったからすっかり忘れていた。早速ダ・ヴィンチちゃんが作ったであろうカタログを確認しなければ……

 「そういえばこの時期ってさ。福袋の他にも別のピックアップがあったよね?」

 「その件ですが、今回は何と、此方のサーヴァントが召喚出来るかもしれません!」

ドン、とマシュが置いたのは……

 「な、なななな……馬鹿な、早すぎる」

 「ですが、これは現実ですよ、先輩」

ま、マジか。遂にこの時が来たのか、マシュ。

 「行くんですか、先輩」

気が付けば席から立ち上がっていたようだ。

 「うん、別に全ての聖晶石を使い果たしても構わんのだろう?」

 「せ、先、輩?」

行くしかない、この一世一代の大勝負に!

 「先輩~~~~!??」

マシュが何か言っているけど気にならない。今まで手を出そうとして出さなかったピックアップが何度あったか。最近来てくれないという理由で11連位やってみようよぉ、と嘘泣きしながら悪魔の提案をするダ・ヴィンチちゃんから逃げてきたのは何の為だ。全ては今、この時の為だ!

 「外れ……にエミ……ディカ……で来ないと」

 

よし、召喚室はあそこだ。

 「おや、待っていたよ、藤丸くん。もう福袋は決めたのか……」

 「そんな事よりもこっち、お願いします」

ダ・ヴィンチちゃんが何と言おうと、今はこっちが最優先だ。

 「あ~、こっちね。了解了解、けれど福袋用の石は間違っても使わないようにね」

 「はい、その為にも今まで聖晶片を溜めてきたんですから!!」

さぁ、勝負の時間だ。行くぞ!

 

~~召喚タイム~~

 

さぁ、勝負の時。まずは深呼吸してから……行くぞ!

…………

 「11連程度で出るなど思ってないわ、次!」

…………

 「ハァハァ……クソ、聖晶石の在庫が。こうなったら溜めていた聖晶片を使ってでも!」

…………n連目

 「セイバー、千子村正。召喚に応じ参上した。ただの鍛冶師なんだが、疑似サーヴァントってことで、武士の真似事もできるようだ。ん?何だよ、その顔は。訳知り顔のようでもあり、意外そうな顔でもあり──っておいおい。どうして泣き出してんだ、お前さん」

 「いよっしゃぁぁぁぁぁーーーー!!」

成功した、ついに成功したぞ。今回のピックアップ、無事にKOだ。

 「おいおい、本当にどうしちまったんだ、お前さん」

あれ、召喚ルームに誰かが入る音が。

 「あ、先輩……それと村正さん、でしょうか」

ああ、マシュ。やったよ。俺はやったんだ。

 「ああ、そうだ。それで、マスターってのは此処で丸くなっている奴の事で良かったのか?」

 「はい……それで、先輩。そろそろ復活してはどうでしょうか」

流石にマシュに言われては何とか復活しないとな。

 「すみません。俺は藤丸立香です。よろしくお願いします」

 「おうよ。それで、此処は何処なんでい」

そうだ、まだカルデアの案内をしていなかった。

 「はい、今から案内しますけど、良いですか?」

 「おう、頼むわ」

そうして召喚ルームから出た時、村正を見て驚いたダ・ヴィンチちゃんと、何故か此処に足を運んでいた二人が居た。

 「おお、マスターが新しいサーヴァントの召喚に成功したんだ、流石だね。あ、私はブーディカです。よろしくね、新しいサーヴァントさん」

あれ、何でこんな所にブーディカが居るんだろう。

 「別嬪さんに言われちゃあ名乗らねぇとな。儂はセイバー、千子村正。ただの鍛冶師なんだが、疑似サーヴァントってことで、武士の真似事もできるようだ。よろしくな」

あ、ついでにエミヤ。自己紹介をお願いします。

 「……あ、ああ。私はエミヤ。只のしがない弓兵だよ」

ん、何か反応が変だな。村正を案内した後に、話を聞いてみようか。

 「この二人は戦闘も出来るけど、空いた時間で皆に料理を作ってくれているんだ」

 「なるほど。儂は只の鍛冶師だけど宜しくな」

二人と村正が挨拶を終えたのを見計らって、声を掛ける。

 「それじゃあ……案内しますね村正さん」

さて、皆はどんな反応をするだろうか。主に武蔵ちゃんとか。

 「お、了解だ。それにしても……赤いヒラヒラした洋服を着た、アーチャーがいるだろう。オレ、あいつが苦手」

 「え、そうなんですか。挨拶しただけですよね?」

どうしてあの挨拶だけで分かるんだろう。エミヤと村正……顔が何となく似ていそうな事くらいしか共通点は無さそうだけど……

 「見てるとこう──背中がムズムズすんだよ。くっそ……虫使いか何かか」

 「うーん、和食が得意なメンバー、エミヤなんだけどどうしようか」

ブーディカさんは苦手な人がいる中でも作ってくれているので、その点助かっているけど……どうしようか。

 「あー、その辺は気にしないから安心しろ。あいつならその辺、手を抜くとは思えないからな。それと飯の話なら魚も好きだ、握り飯もなあ。酒はやらねえ、団子は食うぞ」

 「多分、その辺りなら用意出来そうです」

 「済まねえな、それにしてもマスターってのも大変だねえ」

さて、案内しないといけないんだけど何処からにしようか……あ、武蔵ちゃん、そんなに村正さんを見てどうしたの、まさか。

 「……まさかと思うけど、騒ぎなんか起こしていないよね?」

 「そんな事はしていません……って、あの時のお爺様だよね!?ちょっと、マスター君いい仕事したじゃない」

武蔵ちゃん揺らさないで、揺らさないで。

 「このお爺様が居るならどんな戦場でも武器には事欠かないってもんでしょう」

 「……ハッ、お前さんは何処でも変わらないな」

 「あー、お爺様が笑った~、何よもう」

あれ、もしかして下総の記憶があるのかな。偶に忘れるけど、通常の武蔵は男だから武蔵ちゃんを知っているはずが無いんだけど。

 「あぁ、俺の数少ない活動記録の中に残っていたんだ。あの風来坊め……最後に行き着く場所に辿り着ければいいんだが」

 「……そうなんですね。実はその時に力を貸してくれたサーヴァントが居るので案内します」

 「お、そうなのか。案内を頼む」

さて、少し村正さんを驚かせてみようか。

 「小太郎、居る?」

お、音もなく姿を現した。流石は風魔の頭領。

 「ハッ、此処に」

本当、何処からでも君たちは現れるよね。何処に隠れているか分からない時があって驚かされる事も多いけど……いつも溶岩水泳部を止めてくれて助かっています。

 「うおっと。これは驚いた。まさか、忍までいるとは」

 「風魔小太郎と申します、村正殿……また味方として肩を並べる時が来るとは……もし分からない事があればお気軽に話して頂ければ、と」

 「おう、そうするとしよう。風魔の頭領」

さて、寄り道も終わったし、そろそろ施設の案内も終わりにしないと。

 

 

 カルデアの案内を始めるマスターの背中を見送ったマシュ、ダ・ヴィンチちゃん、エミヤ、ブーディカ。ダ・ヴィンチちゃんがマシュと話したいことがあると呼び留められたので、二人でキッチンに戻っていた所、ブーディカがエミヤにこんな事を尋ねた。

 「エミヤとあの村正ってサーヴァントは何か縁があるのかい?」

 「いや」

 「それにしては、いつも以上に反応が早い気がするけど……やっぱり何かあった?」

悪戯っぽく笑みを見せるブーディカを見て、降参するようにため息をつく。

 「千子村正と言えば、日本史史上最も有名な刀工名の一つ。斬味凄絶無比と名高く妖刀と呼ばれる刀すら作り上げたその刀名工だ。……その刀名工が数多の鉄を打ちながら求めたものはただ一つの極限、か」

エミヤの評価が想像以上に高かったことから、ブーディカは千子村正と呼ばれた人物に興味が湧いた。

 「へぇ、じゃあ日本人でマスターの時代にも伝わるような人だったんだ」

 「ああ、後の時代の創作にも取り入れられる程の、な。まさか、天下を二分した刀名工が、最後に行き着いたものが精神論とはね。オレには少し、目に痛い話だよ」

 「……それは何の話だい、あの挨拶だけでそれだけ分かるものなのかい?」

 「……まぁ、色々あるのだよ」

明らかに濁すような物言いに、ブーディカが探るような目を向ける。

 「へぇ~、ま、人間一つや二つ内緒にしておきたい事ってあるよね。私達サーヴァントだけど。例えば、疑似サーヴァントと呼ばれるサーヴァント達から露骨な興味を持たれているとか、さ」

 「それは言わないで欲しい」

頭を抱えそうなエミヤを見て、ブーディカがカラカラと笑う。

 「さて、そろそろマスターも案内が終わったかな」

 

 

 うん、施設の説明はこれでいいかな。

 「……施設はこんな感じです。魔術で拡張が出来るそうなんで、後でダ・ヴィンチちゃんにお願いして部屋を確保しますので」

 「お、そりゃあ有難ぇ。鍜治するにもいい場所がないと話にならないからな」

あ、そろそろお腹が減ってきた。

 「お、マスター。腹が減ったかい」

 「はい、此処から場所も近いですし、折角だから一緒に食堂へ行きませんか」

 「お、いいぜ」

此処を曲がって少し歩けば、と。

 「お、もう着いたか」

其処は俺を含めた、カルデア職員の第2の憩いの場である食堂。レイシフトから持ち帰った食材や元々確保していた植物から収穫した物が、ここで料理として提供される。

 「はい、基本は定食という形にしていますが、リクエストがあれば対応する事も出来ます」

 「お、そうか。とは言えど、色んな英霊が居るんだろ。名前を見てもどうせ分からんから、選んで貰ってもいいか?」

 「はい、まずは日本の料理の方がいいかなと思っているので少し待ってくれますか」

さてと、今日のメニューはなんだろうか。あ、焼き魚だ、あれにしよう。

 「エミヤ、キャット。焼き魚の定食を二つお願い」

 「承知した」

 「新しいサーヴァントも居るのだろう。キャットに任せておくのだワン」

さて、料理を待つ間に周囲を見ておこう。あ、アルトリアがいつも通り美味しそうに食べているな。あそこまで美味しそうに食べると作り甲斐があると、エミヤとブーディカが言っていたな、何となく分かる気がするかも。……あれ、アルトリアが村正を見て、いるのかな。あ、でもまた食べ始めた。一体、何だったんだろう。村正も村正で何か思う所がありそうなのは、何でだろう。

 「マスター、出来たぞ」

 「出来たのだワン」

 「ありがとう、二人とも」

無暗矢鱈な深入りは良くないか。まずは村正さんにこの定食を渡さないと。

 「済みません、村正さん、お待たせしました」

 「おう、悪いな……へぇ、いい仕事するじゃないか。厨房にいる奴ら」

彼らには前々から世話になっているから、その彼らを褒められると俺も少しだけ嬉しくなる。

 「ああ、こりゃあ毎日食べに来たがる他のサーヴァントが居ても仕方ねえな」

 「はい、俺も毎回楽しみにしていますから……それじゃあ、頂きます」

 「そりゃそうだな。頂きます、と」

 

 そんな二人の様子を厨房からこっそり見ている三人がいた。

 「うーん、村正さんは魚が好きなのかな」

 「うむ、キャットもそう思うぞ。しかし、村正と言えば有名過ぎる刀工故、洋食は控えた方がいいかもしれないのだワン……」

新しいメンバーに対するメニューを悩んでいた二人だが、それに意見する男が一人。

 「そうでもないだろう。当時の食生活と現在の食生活が変わっているとは言えど、サーヴァントとして召喚されてから新しい趣向に目覚める者もいる。まずは一通り出してみたり、場合によってはマスターに確認すればいいだろう」

その例を認識している二人が、エミヤに同意する。

 「そうだね、一応、マスターには確認しておいた方がいいかな」

 「あぁ、周回の時にそれとなく確認すればいいだろう」

話が一段落ついた所で、ブーディカがアルトリアを見る。

 「それはそうと……どうしてアルトリアが村正さんを見ていたんだろう」

 「何、そんな事があったのか、キャットか、キャットファイトなのかワン!?」

若干興奮しているキャットを宥めながら、エミヤはさもその顔に覚えがないような口振りを見せる。

 「さぁな……ただ、以前にも似たような事があっただろう。今は居ない女神パールヴァティ―や女神アストライア、諸葛孔明……あの千子村正は彼らのような疑似サーヴァントなのではないだろうか」

 「あぁ、それなら……つまり、あの村正さんの躰になっている人は元々アルトリアに関わりがあるって事か」

意識しないまま自分で地雷を踏んだエミヤ、何とか表情に出さないように苦労しつつ返答する。

 「……そ、そうなんだろうな」

 「……?」

ブーディカとキャットが疑問に思うのも束の間、食堂に複数人のサーヴァントが姿を見せた。それと同時に食堂は慌ただしくなり、この話も流されていった。

 

 

 村正の部屋を用意した後、幾つかのミーティングを終えて体の汚れを落とした藤丸は何となく気になることがあって、エミヤをマイルームに呼んでいた。

 「……うん、このお茶美味しいね」

カモミール、だったか。エミヤに淹れて貰ったそれは不思議と落ち着くのだ。

 「ああ、君の口に合ったなら何よりだ。それで聞きたい事とは?」

それはそうと、確認しなければならない事が一つ。

 「うん、単刀直入に聞くよ。エミヤと村正ってどんな関係?」

その質問は答え辛い内容だったのか、エミヤから回答が直ぐには来なかった。ただ、その様子は答えたくないというよりも、どう答えようか迷っているようにも見える。以前、エミヤとイシュタルとの関係を聞いた時も同じような反応だったのだ。

 「もしかして、また縁のある疑似サーヴァント?」

尋ねながらも、その質問には頷くだろうという確信が藤丸にはあった。

 「全く、君には隠せないな。そうだ、あの千子村正のガワとなっている男には、並々ならぬ縁があるのだよ。不服なことにね」

 「じゃあ、一緒のパーティにしたらダメなのかな?」

そう、サーヴァントには意思がある。例え、人理の影法師と言えど、背を合わせて戦いたくない誰かが居るのは仕方がないことだろう。

 「それを決めるのはマスターだ。必要だと思ったら使うといい。それはそうと、マスターの苦手な食材は追加させて貰うがな」

や、やり方が陰湿だ、このオカン……!

 「何か言ったかね、マスター?」

 「な、何でもありません……」

エミヤとクー・フーリンを一緒のパーティにした時に、あれがあったのは気の所為じゃなかったのか……!

 「分かった。もし、致命的に相性が悪い人が居たら言って欲しい。出来るだけ避けるようにするから」

 「了解だ。さて、これ以上は夜更かしになるだろう。ゆっくり休むといい、マスター」

 「うん、お休みエミヤ」

さて、村正の育成も頑張らないと……。




やっぱり終わりが納得いかない……

マイルームボイスネタが若干混じっています。

何となくエミヤは千子村正の事を錬鉄の英雄として尊敬しているものの、自分と同じように究極の1を求めた人間だった事を意外に思っているのではないか、と思っています。(解釈違いだったらごめんね)
付け加えて小僧の霊基なのだから、その心中は穏やかではないでしょう。
何か良い続きが思いつかなかったのでとりあえずここまで。
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