気ままな短編集(二次創作)   作:久遠の語部

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下らないことで喧嘩する天草とジーク君




お題12: サンタアイランド仮面……?

 ジークフリートやシグルドに剣術を習いながら、忙しない日々を過ごしていると、不思議な充足感がある。きっと、全てが終わって世界の裏側でただ待つだけの日々を過ごす俺では得られない経験がここにあるからだろう。

 「さて、今日はどうしようか」

シグルドとの訓練はないから、地下の図書館に行って様々な英雄に関する本を借りてこようか。それとも、以前の聖杯戦争で関わったサーヴァント達の元へ行ってみようか。

 「ふふ」

俺が巻き込まれた聖杯戦争で助けてくれたアストルフォやジークフリート、そして当時は敵対していた赤の陣営のサーヴァントとも、此処では味方として一緒にいることが出来るとは思わなかった。いつも思うが、此処は不思議な場所だ。

 「英霊がこんなに沢山いるとは」

あの聖杯戦争以外の様々な英霊がいて、そんな人たちと話が出来るとは思わなかった。それにしても……

 「いい匂いがするな」

俺が食堂を使うとしたら水を飲む程度だけだろうと考えていたが、まさか味覚が鈍い俺でも美味しいと感じられる料理を食べられる日が来るとは。ブーディカに猫のようなサーヴァント、エミヤといった食堂で料理を作ってくれる方々には感謝しかない。

 「次のイベントは……え、ボックスイベント。それ本当、マシュ!?」

まぁ、そんな場所だからか、それらの恩恵以上に理解を超える出来事が度々起きるのだが。……そういえば、俺も似たような事をしたのだったな。やったことは拉致そのものだが、それがあったからこそ此処に居られるというのも不思議な話だ。

 「……何だ?」

食堂に着いたと思えばいつもとは様子が違うようだ。具体的に言えば、様々な装飾が施されている。

 「なるほど、クリスマスの時期だったか」

あれはナーサリー・ライムと黒のアサシンだったか。浮足立っているのが遠目でも分かる。

 「嬉しいわ、嬉しいわ。今年のプレゼントは何かしら」

 「お母さんにお願いしなくっちゃ。今年のサンタさんからのプレゼントは、解体したい時に解体出来るプレゼントが良いって」

プレゼント、プレゼントか。

 「……そうか、クリスマスと言えばサンタさんのプレゼントだったか。毎年サンタが変わるようだが、今年は誰になるのだろうか」

俺は何が欲しいだろうか。うーん、こうして存在しているだけでも十分なのだが……。

 「……ん?」

見知った顔が横切った気がしたが気のせいだろう。そう言えばこの時期、何故か天草四郎が変な仮面を付けて張り切っているが、そんなキャラだっただろうか。まぁ、マスターに害が無ければいいか。聖杯を奪う、という事も無さそうだし。

 「……うん、また騒がしくなるな」

また一騒動起きるのだろう。此処に来た時は驚きの毎日だったが、最近は何かが起きない時の方に違和感を持ち始めているとは。世界の裏側で彼女を待ち続ける日々が、此処では全くの無縁なのだから、不思議なことだ。

 「……ん?」

先程横切った者の服装や髪型に嫌と言う程見覚えがある。何故仮面を付けているかは分からないが、あれはやはり天草四郎か。この時期に限ってサンタアイランド仮面と名乗っているようだが、サンタアイランド仮面を付けたとしても天草四郎である事に変わりはないのでは。まさか、微小特異点修復の隙を突いて聖杯を狙っている、とかか。

 「そこ、聞こえていますよ。そして、冬木の聖杯クラスでもない限り、そんな事はしません」

 「済まない、気が付かない内に口から出ていたようだ。天草四郎」

先ほどの子供サーヴァント達と話をして何かを渡していたようだが、今年のサンタはお前ではないだろう。

 「私はサンタアイランド仮面ですよ、いいですね」

 「そのサンタアイランド仮面とやらを付けた所で、お前が天草四郎であることには変わりないだろう」

咳払いした、隠せていないじゃないか。

 「……クリスマスのこの時期は、子供たちに夢とプレゼントを渡すサンタアイランド仮面なのです」

何故、そこに拘るのだろうか。その昔、聖杯で検索を掛けたが、元々のサンタさんは白い顎髭を蓄えたご老人だと結果を出したはずだ。

 「あの時奪った聖杯で、お前はそんな事をしていたのですか」

恨めしい顔をされても困る。世界の裏側へ持って行った後、何もずっと眠っていた訳ではないんだ。

 「ああ、流石に待ち続けるだけの時間が長いし、世の中の行事について多少は知っておいた方が……って何だ、やはり天草四……」

 「サンタアイランド仮面」

 「……そ、そうか」

何だ、俺の知っている天草四郎と違い過ぎて反応に困る、姿も記憶も変わらないのに。あの時とは違う謎の圧がある、何故だ。あの仮面にはサンタの支援をする呪いでも掛かっているのだろうか。

 「そんな事はありませんよ。これはあくまで一時のものです」

 「……何だそれは」

訳が分からない。ただ、天草四郎相手に退くと言いようの無い敗北感が出るため、出来れば退きたくないのだが……む、誰かが食堂に来るようだ。

 「あ、いたいた」

マスターか。どうしたんだ。

 「クリスマスが始まったから、出撃するよ!」

 「ああ、分かった。と言う事は、今年のサンタが現れたのか?」

 「うん、今年は……」

おや、何時の間にか天草四郎が居ない。まぁ、聖杯を奪いに来たら対処するとしよう。それと、よくは分からないが小さいジャンヌの世話も進んでやっている辺り、天草四郎なりにクリスマスという行事を楽しんでいるのかもしれない。まぁ、フユキの聖杯クラスがカルデアに現れたら話は変わるのだが。

 「ところで、マスター」

 「ん、何かな。ジーク」

俺は邪竜、決して良い子などではないが……

 「サンタさんからプレゼントを貰えるのだろうか」

とは言ってみたものの、何が欲しいかなど決まっていないのだが。

 「貰えるよ。もし貰えなかったら、こっちからお願いしてみるから心配しなくていいよ、ジーク」

 「何時の間に口に出ていたか。心遣い済まない、マスター。しかし、いざ何が欲しいかと言われると、何も浮かんでこないんだ」

此処に居ること自体がある意味、奇跡だからな。これ以上何かを望むのも可笑しな話だ。

 「うーん、そこは今年のサンタの采配に期待、かな?」

 「そうか。ではそれを楽しみにしておこう。ところで出撃だろうか、マスター」

此方はいつでも準備が出来ている。

 

──その後、出撃を通して、未熟な俺自身でも十分に戦えるのだ、という自身が持つことが出来た。例え未熟な身だとしても、これから変わって行けばいい。ジークフリートはその事を教えたかったのかもしれないのだから。




下らない喧嘩がメインな筈なのに途中から変わっている、って?

しょうがない、下らない喧嘩を長引かせることが出来なかったのです。
加筆修正して4,000文字いくかなぁ……って思っていたけど、そんなことは無かった。

まぁ、変に加筆修正してぐちゃぐちゃになるよりはいいよね。(当SSはシグルド幕間ネタ、2020クリスマスイベネタを含みます←前書きに書け)
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