つまり何をしたかったのか、大体察して欲しい。
趣味(マギ☆マリ)について吐かせようにも、既に第2特異点で自分からバラしているんだよね、ロマニ……だから、熱々の大根をあげるね。
あ、どちらでもイメージできるように書いていますがどちらかと言えば視点はぐだ子寄りかも。ついでに出てくるサーヴァントはプレゼントボックス基準です。
前置きとして、必要な情報は……第2特異点攻略後から第3特異点突入の間をイメージしています。そのため、おでんが好物な方は出てきません。悪しからず。
何故かある醤油、何故かある昆布や鰹節は気にするな!
けど、結構保存期間が長いみたいだから、使われない何処かにあってもいいんじゃないかな!?
第2特異点を修正した私達は第3特異点に向けた準備と休みを貰っていた。幸い、清姫とブーディカが来てくれたお陰で食事周りの状況が改善されたのはいいことだけど……そろそろ強力な攻撃が出来るサーヴァントが欲しい、と思う。
「うーーーん……」
マスターとして出来ることをしたい、と思いつつも私には出来ることが少ない。だから、少しでも役に立てるようになるために、筋トレを始めた。世界史はあまり詳しくなかったけど、英霊を知る為にライブラリを見る時間が増えた。魔術については……ドクターからはあまり向いていないと言われた。付け焼刃で出来るものでもないから、効果が出ない可能性が高いとも。
「…………」
でも、それでいいのだろうか。他の職員達はいつも忙しそうにしている。最近はカルデアスの爆発後の処理も終わったから、多少は休めていると言うけれど……私がレイシフトしている間はドクターやダ・ヴィンチちゃんを中心に私の存在証明をしてくれているのだ。ただでさえ、こんな施設の運用をしながら私の存在証明を行う……その労力や精神的な疲労はどうだろうか。
「…………」
気が付けば、深夜なのに食堂へ足を運んでいた。料理と言えば学校の授業や一人の時にしかやったことはないけれど、簡単な料理であれば私でも出来る。
「おや、マスターじゃない」
「あ、ブーディカさん」
あ、そうか。召喚された後、進んで台所事情をやってくれているんだった。
「どうしたのこんな夜に。もしかして眠れない?」
折角だし、話してみようかな。別の人からの意見も欲しい。
「似たようなものですね……その、自分には何が出来るんだろうって、思っていて」
「……ふんふん、それで?」
「筋トレを始めたり、英霊について知ることを始めたんですが……ドクターや他の皆も頑張っているのに、私は皆にいつも助けられてばかり。だから、他に何か出来ないかと思いまして……」
思えば、私はここに来てから時間が浅い。ここがどんな場所かもあまり分かっていない。そもそも誘拐されたんだけど、もうそんなことも言ってらいれない状態だ。
「偉いね、よしよし」
へ?
「だって、君も頑張っているのに、ちゃんと周囲の人も見ているんだもん。忙しかったり、自分に余裕が無かったりすると、大体は自分のことだけで精一杯になっちゃうんだから。だけど君は自分だけじゃなくて、他の人もこともちゃんと見ている」
「そう、でしょうか?」
ブーディカさんの穏やかな声に釣られて、張り詰めていた気持ちが少しだけ緩んだような気がした。
「そうよ。じゃあ、何が出来るか一緒に考えてみよっか?」
「いいんですか?」
「ええ、いいわよ。私も、朝の仕込みが終わったからね」
とても有難い提案だ。
「……ありがとう」
「いいの、いいの。さ、何が出来るか一緒に考えよっか。それで、君はどうしたいの?」
そう言われると、結構迷うな……
「えっと……普段から皆にはお世話になっているから、お礼とかしたいなぁって」
「なるほどね」
……そうだ、ブーディカさんなら分かるかな?
「そう言えば、他の皆って何時ご飯を食べているんですか?」
「そうねぇ……私も来たばかりだけど、皆ばらばらかな。それぞれやることがあるから、皆でご飯を食べることは滅多にないんじゃないかな。全員は把握できないけど……今は1日3食が多いんだっけ。でも、1食抜いている人もいると思うな」
ダイエットをしているなら兎も角、この状況でそれは……
「特にあの……ほら、ピンクの髪をした」
「……ドクターですか?」
「うんうん。彼、殆どこの食堂に来ないんだよね。部屋で食べているか、作業場で食べているんだと思うけど」
ドクター、ケーキとか和菓子とか食べている印象があったけど、それ以外はもしかして殆ど休んでいないんじゃあ…………決めた。
「お、決まった感じだね。折角だから、時間を見てお姉さんも手伝うよ」
「ありがとうございます。でも、今日はもう遅いんで、明日相談に来ても良いですか」
「うん。私もそう言おうと思っていた所。私はご飯時の時間を少し外してくれれば大丈夫よ」
「ありがとう。それじゃあ、お休みなさい」
「はい、しっかり寝るんだよ」
うん、ブーディカさんは第2特異点でもお世話になったけど、お母さんのように安心できる人だ。急な思い付きとは言え、相談できて良かった。
「…………」
さっきの話を思い返しながら、廊下を歩く。うーん、とりあえず何を作ろうか、何ならドクターは食い付くだろうか。そもそも、ここには何の食材があるんだろう。
翌日、いつも通りの時間に起きた私は、早速ダ・ヴィンチちゃんの元へ行く。
「おや、どうしたんだい。マシュもいないということは……私に秘密の相談かい?」
「はい、ちょっとお聞きしたいことがあって。少し前にライブラリの閲覧方法を聞きましたけど……そのカテゴリの中に料理ってありますか?」
「勿論だとも、古今東西の様々なデータがあるからね。もしかして、レイシフト先で料理をする為かい?」
やっぱりあるんだね。それは良かった。
「いえ、実は…………」
自分のこの行動を、ダ・ヴィンチちゃんはどう思うのだろうか。
「いい。実にいいんじゃないかな。特にロマニが聞いたら、感動して涙を流すんじゃないだろうか」
「そ、そんなにですか?」
「ああ、そうだとも。それだったら、私も協力しよう。皆の予定もあるから、準備が整ったら教えて欲しい。その時はロマニの首を引っ張ってでも連れてこよう。まぁ、本人から来たがると思うけどね」
おや、私以外に誰かが入ってくる音が。
「あ、先輩。ダ・ヴィンチちゃんの所にいたんですね。おはようございます」
「おはよう、マシュ。今日も元気がいいのは良いことだ。開口一番で申し訳ないんだけど……一つ、藤丸君に協力して欲しい」
「はい。先輩のファーストサーヴァントとして頑張ります!」
「うん、その意気だ。よろしく頼んだよ」
「了解しました!」
嬉しいけど、そこまで気合を入れなくても大丈夫だよ。
ダ・ヴィンチの部屋を離れて、マシュと二人で廊下を歩く。
「ところで、勢いで協力すると言ってしまいましたが……私はどんな手伝いをすれば良いのでしょうか」
「うん、ドクターが殆ど食堂でご飯を食べていないって聞いたのと、職員達がばらばらのタイミングで食事を摂っている、って聞いたから大人数で食べる料理を作りたいんだけど……材料があるかを知りたいんだよね」
朧気だけど、外は相当に吹雪いていた記憶がある。きっと、とても寒い場所にあるんだと思う。幾ら空調が効いているとはいえ、そういう場所だからこそ美味しいと感じる食事はどうだろうか。
「…………」
あれ、マシュ?
「素晴らしい……素晴らしい提案です、先輩!」
「改めて、私マシュ・キリエライトも全力でお手伝いいたします!」
あ、ありがとう。
「それで、食料って何処に在るのかな。勿論、つまみ食いとかじゃなくて、何があるかを知りたいんだ」
「それでしたら地下倉庫ですね。食堂も近いですし、厨房を担当されている職員に聞いてみましょうか?」
「そこについては当てがあるんだ」
さて、ブーディカさんはいるかな。
「おや、マスターにマシュだね。おはよう。食事はどうする?」
「ブーディカさん、おはようございます」
「頂きます。だけど、その前に……」
「おや、昨日の続きかい?」
話が早くて助かります。
「はい、地下倉庫……にどんな食材があるか教えて頂けますか?」
「うん、そういうことなら構わないよ。マシュも話を聞いている感じかな、それだったら一緒に来る?」
「はい、ご一緒させて頂きます」
「分かった。それじゃあ二人共近くに座って待っていてね」
よし、まずは朝食を食べてから、と。
ブーディカさんの食事を食べて一息つき、本題の地下倉庫へ……何だけど、さっきから震えが止まらないんだ、何でだろう。
「おや、マスターには寒かったかな?」
「何か掛ける物をお持ちしましょうか?」
「い、いや、大丈……」
何と言うか、この寒気は……
「ま・す・た・ぁ♡」
「うわぁ!」
何かそんな気はしていたよ、していたよ……それでも、心臓に悪い。
「…………ごめん、全く気付けなかった」
「私も、です」
清姫は気配遮断スキル……持っていなかったよね?
「ところで、お三方はここで何を為さるので?」
「ああ、それは……」
これまでの事情を掻い摘んで説明すると、何故か清姫が涙を流し始めた。
「私、ますたぁの心遣いに感激致しました。この清姫、全力で協力させて頂きます!」
清姫 が 仲間 になった。
「ああ、それでそろそろ確認したいんだけど、マスターは何を作るつもり?」
そう言えば、言っていなかったね。
「おでんを作るつもりです」
「おでん?」
やっぱり、ブーディカさんは分からない、か。
「おでんですか。いい選択だと思います」
「清姫は知っているのかな?」
「はい。私が生きていた頃には無かったものですが……日本の冬の時期に食べられているものです。ポトフのような煮込み料理ですわ」
「えーと、おでんおでん……あ、これですね」
「あ、マシュ。私にも見せて」
マシュとブーディカさんがおでんについて調べている間に、調味料を見ておかないと。
それにしてもカルデア、思ったよりなんでもあるな。でも、流石に……スタッフに日本人が少ないから、醤油とか出汁は無いよ、ね。とりあえず全体をざっと見るとして……うん、とりあえず缶詰がある。まぁ、保存食が多いのは分かっていたけど、それにしても数が多い。調味料は……塩、砂糖、香辛料、オリーブオイル、アンチョビがある。常温でイケて長期保存が出来る食材を置いているのかな。そうなると料理酒やお酢は冷蔵室かな。……見れば見る程、見慣れない調味料や缶詰ばかりなんだけど本当に大丈夫かな、これ。
「うーん…………じゃあ、何か代案も考えないと、不味いかなぁ」
「先輩、何を探しているんですか?」
「調味料を探しているんだけど……醤油とか昆布、鰹節って分かる?」
反応を見る限り、マシュもブーディカさんも分からない感じか。聖杯の知識もそこまでは対応していないみたいだね。
「清姫に聞いてみよう。おーい、清姫」
「はい、何でしょう」
来るの、早!
「醤油とか昆布、鰹節がここにあるか、分かるかな?」
「ブーディカさん、此処が調味料の場所なんですよね」
あれ、清姫は分かるんだ。何でだろう、助かるけど。
「うん、そう聞いているよ。まぁ、ここにあるのは未開封のものだけど」
「ここも随分と広いですから、手分けして探してみるしかないですね。私とブーディカさんで冷蔵室にあるか見てきますので、マスターとマシュ様はここで探してください」
多分、冷蔵室は広い上に冷えるから、気を遣ってくれたんだろう。
「ありがとう。助かるよ」
「いえいえ。ますたぁが風邪を引いてしまってはいけませんので……いえ、それはそれで介護イベン……」
「はい、決まったならいくよー」
「あーれー……」
母は強し。バーサーカーしそうな清姫が、為されるままに連行されていく。
「先輩、それでは頑張って探しましょう!」
それから探すこと数分、結局探している物は見つけられないかと思ったんだけど……
「あれ?」
下段の棚を気にしながら探していたからか、気が付けばあまり人が立ち入ら無さそうな場所に迷い込んでいた。あれ、どうやって来たんだ、ここ。何かとても暗いし……端末も灯りも無いから気を付けないと……
「せ…ぱい……すかー……」
今のはマシュの声?
「マシュ?」
早い所、マシュと合流しないと。それにしてもまさか、食糧庫で迷う日が来るとは。
「あた!」
何かに足が引っ掛かった。やば、こんな何処に何がある所で転ぶってことは上から……
「あ、先輩こんな所に!」
……そんなことは無くて良かった。
「それにしてもこんな場所があったとは。よく見つけられましたね」
「気が付いたら、ここにいてね。本当、どうやって入ったんだろう」
「え……先輩が先に入っていたんですよね?」
「そうなんだけどね。おまけに、暗いから何も視えなくて」
「……何にせよ、見つかって良かったです。折角だからここも探してみま……先輩?」
マシュが持っていた端末から光が出て……あ、あ、あ……
「あったーーーーーーー!」
大声が出てしまったことを許して欲しい。まさか、無いと思っていた醤油、昆布、鰹節が揃いも揃ってこんな場所に沢山保管されていたとは。食料棚の間を埋め尽くすように置かれたこれらを見るに、準備こそしていたけど普段から使うレパートリーに無かったから、何かの機に仕舞われたのかな。
「これらがマスターの探していた調味料ですか?」
「うん、まさかこんなにあるとは……よし、早速二人にも連絡しよう!」
まぁ、そうして早速、施策をしようと思ったんだけど……まだまだ壁はあったんだ。
早速、食堂でおでんを試作しようと思ったんだけど、清姫に言われるまで忘れていた大きな問題があった。
「ところでますたぁ、練り物についてはどうするつもりですか?」
「……あ゛」
そうである。ちくわやさつま揚げ、と言った練り物の存在を完全に存在を忘れていたのだ。
「練り物?」
「ええ。魚の身を水に晒して余分なものを落とした後、水分を落とすことで練り物の元が出来るのですが……」
「成程、後は小麦粉みたいにパスタとか、ピザ生地のような形に成形して使うのね」
流石はブーディカさん、今ので理解してくれましたか。
「このカルデアにいる職員全員分をやるには、それなりに手間がかかります。しかし、それをする為の設備がここにあったかと言われると……」
「……そうだった」
失念していた。醤油や出汁の材料が見つかって満足していたけど、せっかく材料の元はあるんだから練り物も入れたい。冷凍された魚も結構あるんだし。
「うーん……とりあえず、一つ一つやっていく?」
「人数分を考えると出来なくもないけど……やるしかないか」
カルデアでは、スーパーのように既製品は売っていないのだ。無ければ、作るしかない。
「……おやおや。随分と話し込んでいるようだけど、何かお悩みかな?」
この声は!
「ダ・ヴィンチちゃん!」
「やぁ、今朝ぶりだね、藤丸君。それで、私で良ければ話を聞くけど?」
ダ・ヴィンチちゃんなら、どうにか出来るかも!
「ありがとうございます。その……朝に話していた、職員の皆さんに料理を作る話なんですけど、何を作るのかを決めた後、それを作る元があることまで確認したんです」
「ほうほう、それは先行きが宜しい。しかし、どうして困っているんだい?」
「実は、材料の一つである魚を使ってちくわとかつくねとかを作りたいんですけど……作る道具が無くて困っていた所だったんです」
「……ちくわ、つくね、か。今までの話からすると、藤丸君の故郷の料理なのかな?」
しまった、ダ・ヴィンチちゃんだから分かると思って、説明を飛ばしていた。
「そうです。すみません、気が急いちゃって」
「いや、何か思いついたらやって見たくなるのは私もよく分かる。気にしなくていい。それより、ちくわやつくねはどう作られるのかな」
「それは……」
先程の清姫の言葉を使って、たどたどしく説明したが理解してくれただろうか。
「私はあらゆる芸術を嗜んできた身だが、食品一つにかなりの工程を通すんだね。そう言えば、ちくわやつくねはsurimiなんだろう。召喚された後に知ったが、そのまま国際語になっているんだとか。ロマニぐらいしか日本食を食べないから奥に保管されたのかな……私も実際に食べたことは無かったな。ふむ、その練り物を作る機械、簡単な物で良ければ作ってあげようか?」
とんとん拍子に話が進むとは……流石は、ダ・ヴィンチちゃん。
「いいんですか。忙しそうにしているのに」
「いいとも。それに、偶には違うこともやってみて、新たな発明の鍵にすることも大事なんだぜ。とは言え、だ。ちょ~っと味見くらい、させてくれよ?」
「はい!」
何と言うか、やはりダ・ヴィンチちゃんは万能の人であった。
ダ・ヴィンチちゃんに試作を渡してお墨付きを得た3日後、夕食に合わせておでんの仕込みを続けていた。
「……よし。それにしても、事前に準備していたとしても、ここまでの大作業になるとは」
家でやった時はもう少し手軽だったような。
「……ここは家庭、と呼ぶには人数が多いし、鍋の種類もあるからねぇ」
「そうですね。私も疲れました」
数が増えたのは仕方ない。魚が食べられない人も考慮して、肉を使ったおでんの鍋も作ったからだ。
「後はじっくりと煮込むだけだから、そろそろ休もうか」
清姫とブーディカさんには感謝しかない。マシュも途中まで手伝ってくれたけど、バイタルチェックは仕方ない。それに、話を聞いていて、手が空いていたスタッフも手伝ってくれたお陰で、かなり早く準備が終わったと思う。
「ほら、マスターにはもう一仕事あるでしょ?」
「へ?」
だって、料理の準備はもう終わったよ?
「さっき、ダ・ヴィンチが、折角作ってくれたんだから、挨拶は藤丸君にやってもらおうかなって、言っていたよ」
………………何、だと?
「今すぐ、考えて、きます」
「マシュも何か聞いているんじゃない、一緒に考えたらどう?」
「そう、します……」
うぐ……マシュは何か良いアイデアを持っているかなあ……
他の職員達が続々と集まってくる。あの爆発事故でかなりの人数が亡くなった。その事後処理にもかなりの負担があったはずだ。
「大丈夫ですよ、先輩」
私の緊張を察したか、マシュが声を掛けてくる。
「そ、そうかな」
「はい、だって、別のミーティングやバイタルサインの時に職員達と話をしていましたが、この時を楽しみにしていたんですから」
こちらまで明るくなるような笑顔だ。そう言われたら、こちらも気合を入れるしかない。何せ、日頃からお世話になっているのは私の方なのだから。
「全く、君が遅れそうになるとは何を考えているんだい、ロマニ」
「う……面目ない。機材の点検をしていて、気が付いたら」
「全く……折角二人がこういう催しを企画してくれたのに、失礼じゃないか」
何か、いつも通りだな、ドクターは。お陰でこっちも肩の力が抜けたというか。
「ドクターも仕方ない人ですね」
「そうだね」
おや、ダ・ヴィンチちゃんが食堂の中央に来たぞ。
「さて、諸君。改めてだけど、第2特異点までの修正お疲れ様だ。少ない人数で在りながらここまでやれてこれたのは、間違いなく君たちのサポートのお陰だ。これからも引き続き大変なことが起きるだろうけど、変わらない支援を頼みたい」
あ、これ。もうじき来るぞ。
「さて、朝に伝えたが、今日は我らのマスターが皆に料理を作ってくれた。これを機にお互いの交流を深めることが出来たら幸いだ。既にお腹を空かしている人も多いだろうが……ロマニ!」
「うわぁ!ど、どんなのかなぁ~って気になっただけだよ」
………………ドクター。
「全く、君というやつは。さて、藤丸君。今日の料理を企画してくれたのは君だろう。手短で構わないから、君からも一つ、挨拶を貰おうか」
「先輩、ファイトです!」
マシュが小声で声を掛けてくれる。
「……私はここに来て短いですが、色々なことがありました。何とか今日までやって来られたのは、間違いなく皆さんのお陰だと思っています。まだまだ特異点も残されているので、これからもご迷惑を掛けることがあるかと思いますが、よろしくお願いします。まだまだ未熟な身ではありますが、これからもよろしくお願いいたします」
うわ、皆から拍手が!
「さぁ、折角マシュと藤丸君が作ってくれた料理なんだ。出来立てを頂こうじゃないか!」
ワッと声が上がり、小さな晩餐会が始まった。
「お疲れさまでした、先輩」
「うん、マシュのおかげで助かった」
原稿、殆ど作ってくれていたんだよね。本当に助かった。
早速食べようかと思ったんだけど、職員達の様子も気になってしまった。それはマシュも同じだったらしい。私と共に、振り分けられた鍋を回ることにした。
「藤丸、これは何だい」
おや、早速声が。
「それはちくわと言って、魚の身をソーセージみたいに形を整えたものです」
「そうなのか、この味は初めて食べたけど、美味しいな」
「それは良かったです。他にも色々あるんで食べて下さい」
「ありがとう」
お、隣も見ればマシュも質問されているね
「マシュ、この透明なのは何?」
「それは大根ですね」
「大根ってあの根菜だよね」
「はい、それをその鍋のつゆにつけてじっくりと煮込みました」
「それで、こんなに透明なのね……」
おでんの大根は正義、なのです。変わり種として、ハンバーグやシュウマイの入った鍋もあるし、折角だから食べ比べしてくれると嬉しいな。さて、そろそろ私達も……おや、ドクターが。
「いやぁ、まさか僕達の為に料理を作ってくれるなんて思わなかったよ」
「いつもお世話になっていますので。それとドクター、偶には休んで下さい」
いつもみたいにのらりくらりと逃げられるかと思ったけど。
「そ、そうだね。正直、やることがまだまだ沢山あるんだけど……ここまでしてくれた君に言われてはしょうがない。今日は大人しく休むとしよう……それでこの鍋料理、とても美味しいんだけど、料理名とかあるのかい?」
日本食を食べると聞いていたけど、あまり詳しくはないのかな。
「おでんと言います。カルデアは寒い場所にあるから温かい方がいいかな、と思って」
「……って、熱々のODENだって、南極条例違反じゃないか!」
何だろう、この反応。まるで、マギ☆マリについて話す時みたいにテンションが高いんだけど。
「どうしたんだい、ロマニ?」
一緒にいることが多いダ・ヴィンチちゃんすら不思議に思っているようだ。うん、ドクターは何を言っているんだろう。
「……あれ、折角二人が作ってくれたというのに、僕は何を言っていたんだ?」
よく分からないけど、よく分からないことが分かった。とりあえず、おでんが嫌いという反応じゃないから食べてくれるだろう。あ、折角だから食べさせてみよう。変なことを言った罰だ。まずはこの熱々の大根を……
「ドクター、その歳になって好き嫌いはいけないですよ。はい、あーん……あ」
「あ」
「おや」
あ、口に入れるつもりだった熱々の大根がロマニの頬に。
「熱っついぃぃ!」
この小さな晩餐会は、盛況の内に幕を下ろした。普段から話す職員達と機会を作れたのはとても良かったと思う。終わってからも色々な方からお礼を言われたし……うん、次回はもう少し、料理について詳しくなろう。
それと、特異点の攻略も!