まぁ、知っている人は知っている元ネタ(尚、原作を読んだことが無い模様)
「此度はライダーの霊基にて現界しました。真名を、太公望!……あ、呂尚でも姜子牙でも姜太公でも、好きに呼んでくれて構いませんよ。しかし、惜しいなァー。キャスターで喚ばれてたら、僕は絶対、グランドキャスターだったろうになァ」
こうして私はカルデアに召喚された。ううん、キャスターだったらグランドだったろうに……そこが残念だ。
さて、マスターに案内されたこのカルデアと呼ばれる拠点……大したものだ。まさか、これ程の大きさを誇る、移動する拠点だとは。更に、数多くの英霊を既に率いているというのだから素晴らしい。今後の戦いにおいても、あらゆる戦術が取れるというのは重要なことです。それに孔明殿、司馬懿殿、陳旧殿、オデュッセウス殿……のような様々な軍師がいらっしゃったとは。今度、ゆっくりと語り合いたいものです。
「それにしても、ここのサーヴァント達は食事を摂るのですね」
案内の際、基本的な場所についてマスターとマシュ殿から聞いたから食堂へ足を運んでみましたが……かなり広いですね。当然ながら、私の時代では見たことの無い料理が沢山あるのだとか。
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おや、何やら視線を感じますね。大方、新参者だから気になっている、と言う所でしょうか。それはそうでしょう。私も同じ立場であれば気になりますとも。
まぁ、それはそれとして……………………………一部サーヴァント達の視線と声が気になりますね。あの角にいる海賊風の大男、別テーブルにいる眼鏡をかけたサーヴァントに水着霊基(?)なるサーヴァント。一体、何の共通点が?
しかも、周囲に人が少ないからか、その声が聞こえるんだよなぁ……
デュフフフフフ……まさか、師叔が来るとは。流石は我がマスターと言ったところですな。
師叔がこんな姿とはね……にしても、眩しいほどのイケメンですわー。
師叔ね……ところで、四不象はどんな姿をしているのかしら……新作のモチーフにしたいのだけど。
噂話になるのも分かります。それから、私がイケメンなのも。四不象が見たいなら後で見せても構いませんよ。しかし、師叔とは……一体。釣りは嗜みますが、弟子を持った訳ではありませんし……聞いた所による李書文殿のように武術を極め、誰かに技を教えた訳でもないですし……何故なんでしょう。宮勤めの時でもあのような奇異の視線は無かったですから、些か慣れないですね。
いえ、こういう時は切り替えましょう。そもそも、食事を貰う為にここへ足を運んだのですから。さて、どうやって頼むかもそうですが、どのような料理があるか席に座って観察でも……おや、料理を作っているのもサーヴァントなのですね。料理を作る専門のサーヴァントなのでしょうか。ということは……キャスターのサーヴァント、でしょうか。
「はい、本日のAセットよ」
「はぁい、ブーディカ。今日も美味しそうね」
「そりゃあ当然よ、マタハリ」
なるほど、料理を担当している方の一人はブーディカさん、ですか。おや、あちらでは男性が料理を作っているのですね。
「こちら、お子様セットだ」
「エミヤおじさま、ありがとう」
「あ、今日はハンバーグがあるんだね!」
「嬉しいわ、嬉しいわ。今日はデザートも付いているのね!」
どうやら一気に三人分作っていたようですが、かなり手馴れているようですね。しかも、先程のAセットにしろ、お子様セットにしろ、トレーの上に乗っている料理は何れも食べられればいいというものではない。何れの料理も美味しそうに見える工夫が見て取れる。これは期待できそうですね。
「あの、すみません」
「食事の注文かね……あぁ、マスターが新しいサーヴァントを召喚したと言っていたが、貴方でしたか。初めてであれば、好みの食材程度のリクエストは構わない。その代わり、多少の時間は頂くが」
なるほど。他の方のメニューは事前に用意しておくことで早めに提供できるようにしているのですね。とは言え、初めてだからと此方を気遣っているのですから、そのご厚意に甘えましょうか。
「それでしたら、魚料理を頂けますか」
「承知した。出来上がりに少し時間を貰うから、席に座って待っていて欲しい」
そう言って、赤い服を纏った男性が調理に戻っていく。出来れば、料理名について聞きたかったですが、出来上がった時に聞きましょう。……おや、中々端正な顔をした侠客がこちらを見ていますね。
「おう、あんたが新たに召喚された、っていうサーヴァントか」
「初めまして。私、真名を太公望と申します」
おや、驚かせてしまいましたか。
「マジか! 同郷って感じはしたが、まさかの超有名人だったとは……これは畏れ入った。それにしても、流石は我がマスターと言ったところだ……こっちは有名でも、ちゃんと人なんだな」
小声でしたけど聞こえましたよ、最後。
「何の話でしょう?」
「あー……それは、その内に分かる話って奴さ」
「ところで、貴方は?」
「おっと、すまねえ……まぁ、俺はあんたと比べたら名も無い無頼漢だがね。燕青ってんだ」
……外見的に見て軍師でもなければ、名の知れた将軍でも無さそうですね。
「すみません。ご存じなくて」
「いやいや、いいのさ。そもそも、俺が英霊としてここにいること自体、イレギュラーな話だからな」
確かに人理の揺らぎが原因で、本来は存在出来ないものも介入することがあるとは聞きますが……このサーヴァントもその例なのですか
「ですが、ここに居る以上、マスターとの縁を持ち、強力なサーヴァントであることには違いないでしょう。ところで、燕青殿にはどのような逸話があるのでしょうか」
「おっと……聞かれたからには答えるが、あんたと違って話せることはそうないのさ。強いて挙げるのなら、水滸伝ってのが俺の出自なんでな。もし、どうしても知りたかったらそれでも読んでくれれば粗方分かるって奴さ。まぁ、今の俺は他にも混じっているんだがな」
書物が出自……それから混じっている、というのはどういう事でしょうか。
「他に何かあるかね。そろそろ頼んだ酒と肴が出来そうなんだが」
……話をしたり、料理を頼んだりで忘れていましたが、相変わらずあの角から視線が気になりますね。かと言って、彼らに直接声を掛けたくは無いし……何より、あんな視線をずっと飛ばされるのも嫌だなぁ……
「……私事なのですが、一つお聞きしたいことが」
「何だい?」
折角だから、今の内に聞いておこう。
「あの辺りにいる一部のサーヴァント達が……私のことを師叔と呼んでいたような気がするのですが、ちょっと心当たりがなくてですね。私、あの者達を弟子にした時なんて無いですよ、ね?」
サーヴァントだから、気が付いたらそんな話が付いている……ということもあるらしいし。
「あっはっはっは……そうかそうか。そりゃそうだよな」
はて、何か笑うようなことでしたか?
「あーいやいや。そういうことじゃないのさ。俺自身にも関わるんだが……所謂、近年の創作の成果って奴らしい。詳しいことはマスターかマシュ、それと図書室にいる別嬪さんに聞けばいいさ。確かあれは……封神演義、だったか。それで分かると思うぜ」
彼はそう言って、それじゃまた、と離れていきましたが……成程、彼のお陰で段々分かってきました。
「……私、それでも呼ばれた記憶が無いような。まぁ、こういうことは聞いてみなければ分からないものですね」
「さて、そこの方。そろそろ出来るからこちらに来て欲しい」
ふむ、私の料理もそろそろ出来上がるようですし、取りに行きましょう。
「こちら、魚のポワレだ。蒸魚にしようと思ったんだが、器材を別の者が使っていてな。手早く出来るものを用意させて貰った」
この方、もしかしてマスター達から真名を聞いているのでしょうか。
「いえいえ、こちらも大雑把な注文をしましたから、気にしなくていいですよ」
さて、釣った魚を新鮮な内に食べるのは美味しいですが……こちらではどうでしょうか。
「さて、いただきますか」
それにしてもポワレ、ですか。西洋の魚料理と聞きましたが……ふむ、これは中々。魚は取れたてを塩焼きにして食べるものと信じてきましたが……皮のカリカリとした食感にしっかりとした食感の魚の肉……このような調理方法もあるのですね。食堂を預かる者達の腕前も高いのでしょうが調理に一工夫、二工夫入れることで、魚の味をより感じられるようになるとは。次の日は別の料理も試してみましょう。
さて、燕青殿が言うにはこの辺りに書庫があるとのことでしたが……うん、名前がかなり独特でしたけど、類を見ない程の書籍がありますね。そして、数だけではなく、種類も素晴らしい。軍略から歴史の本、はたまた魔術の本……それに、絵の付いた本も沢山あるとは。古今東西の書籍がここにある、と言っても過言ではないでしょう。
「こちらはご利用、初めてでしょうか」
なるほど、燕青殿の言う通り、美人さんが受付をされていますね。そうすると、この方もサーヴァントと言うことでしょうか。
「び、美人だなんてそんな……」
おや、何も言っていない筈なんだけど。
「申し遅れました。私、紫式部と申します。どのような本をお探しでしょうか」
「これはご丁寧に。私は太公望と申します」
「まぁ!」
おお、私の名前は知っていましたか。これは話が早そうだ。
「水滸伝があればお借りしたいです。それと……先程燕青殿から、私が師叔と呼ばれている理由について、マシュ殿やマスター、そして貴方などに伺えば分かる、と聞いたのですが」
ふむ、彼女にも思い当たる節があるようですね。
「それはですね……少々お待ちいただけますか?」
さて、探してくれているのでしょうし、暫くここで待っていた方が良いでしょう。……と、思いましたが、割と直ぐ戻ってきましたね。
「ご希望の本はこちらですね」
水滸伝とこれは封神演義ですが……絵本、ですね?
「こちらは漫画と呼ばれるものです。その作品に登場する主人公、太公望は登場人物の殆どの方から師叔と呼ばれております。恐らく、師叔と呼んでいたのはそれが理由ではないでしょうか」
あぁ、それで。
「ええ、どうされますか?」
「そうですね。こちらもお借り出来れば」
「分かりました。少々お待ちください」
なるほど。謂れの無い呼び名でしたが、そういうことでしたか。まぁ、これも良い機会です。そう呼ばれているということは相当に有名な作品なのでしょう。
そう思い一気に借りたのは良いのですが……まさか20冊以上の本を抱えて廊下を歩くことになるとは思いませんでした。
ストックが無いと思ったら、この話だけあった。(只の投稿忘れである)