気ままな短編集(二次創作)   作:久遠の語部

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アルジュナとおっきーが昼下がりに相席


お題3:【サボりと食事は適切に】

 「あーあーあー、原稿が終・わ・ら・な・い~」

お昼ご飯を食べる為に作業場を出たのはいい、だが、直ぐに部屋へ戻るつもりはない。姫らしくないって。そりゃあそうですよ、何故なら炎を纏った蛇がいるからだ。怖い、戻りたい訳がない。そりゃあ、予定より少し遅れているとは言え、まだ鐘に籠る必要はないはずだ。

何処かで彼女と同じものを、と聞こえた気がしたが、気のせいだろう。嫌だ。まだ時間はある。たまたま先の展開が浮かばないだけなんだ。だから、休憩と言って作業から逃げ……食堂に行けばマーちゃんも居るかなーと思ったけど、現実は甘くないらしい、とほほ。マーちゃんさえ味方につければ何とかなると思っていたんだけど。今はもう、殆ど食べ終えてしまったカレーを掬う素振りで誤魔化すことが精一杯だ。

 「済みません。こちら、宜しいでしょうか」

 「え、あ、その、はい」

あ、新しいイケメンがいるー! そういえば最近、マーちゃんが目を真っ赤に染めて虹色の石を虚空から引き出していたけど……こういうこと?

 「驚かせたならすみません。まだ全員に挨拶が出来ていないようでした」

白ランに褐色肌、い、今までのカルデアでは見たことないタイプ……!

 「私はアルジュナ、アーチャーのサーヴァントです」

わ、わ、姫に自己紹介!?

 「よ、よ、よろしくお願いします~。私はお、刑部姫でーす……」

イケメンオーラが眩しい! というかその匂い、とても辛そうなのですが……

 「オサカベヒメ……マスターの出身のサーヴァントでしょうか。よろしくお願いします」

何このイケメン紳士サーヴァント! 白ラン着ててイケメンとか生徒会長か!

 「カレー、ですか」

 「ええ、スパイスの効いた食事を、と聞いたところカレーならどうか、と言われまして」

なるほど、それでカレー。それにしても、姫が食べていたカレーよりも遥かに辛そうなカレーを汗もたらさず食べるとは。カレーの黄ばみが取れないことが悩みの生徒会長とか思ったが、そんなことは無さそうだし。って、あっと言う間に半分を食べ終えた……?

 「……そういえば、先程」

 「は、はい。何でしょうか」

何故だろう、背筋に悪寒が走る。え、背中に蛇でもいる……?

 「清姫でしたか、確かあなたを探していましたよ」

白ランのイケメンサーヴァントさん、今、あなた何て言いました?

 「確か、休憩が長すぎる……とか。何か知っていますか。オサカベヒメ」

涼やかに聞いてくるな、このイケメン。きよひーが私を探しているのだから、何も知らないはずが無いでしょう。ということは……私は既にきよひーという蛇に睨まれた蛙なのでは。まさか、まさか、ね。水着剣豪の時みたいなことは早々……

 「ああ、こんな所にいたんですね」

ブルっとした。あれかな、あれかナ。きよひーに見つかったお坊さんもこんな気持ちだったのカナ。助けてマーちゃん。

 「お昼ご飯を食べに行くと聞いておりましたが、どうやら既に食べ終えていた様子ですね。ところで、今まで何をされていたのです」

白ランのイケメンサーヴァントさん、私を助け……って、いつの間に食べ終えているんですけど!?

 「いやぁ~、ちょっとね。気分転換もしたくて、ね」

 「それにしては、随分と時間が経っていると思いません?」

時計を見れば、午後の2時30分。やばい、確か、1時には戻るときよひーに言っていたんだった。は、はわわわ……この状況を脱出する為には……

 「い、いや。あのね。ちょっと詰まっていたから、ネタを考えていてね。それでさっきさ、思いついたんだけど、白ラン着た生徒会長とヒロインの物語っていうのはどう、どう?」

あ、目が笑っていない。姫、終わった……

 「あらあら、やる気があるのはいいですね。それじゃあ、早速始めましょうか。もう昼食も終わったのでしょう?」

このままでは、鐘の中で原稿を作るハメに……それだけは避けなければ。ってあれ、何時の間にイケメンサーヴァントはブーディカと話をしているの……?

 「ええ、先程彼女も食べていたというカレーも美味でした。あなたの時代でもこのような食事があったのですね」

 「いやー、実はここに来て知った、というか。さっきのカレーはエミヤくんって言うサーヴァントに作り方も教えて貰ったものなんだ。昼頃にマスターと一緒に出掛けちゃったけど、彼の料理は皆から人気でね。直ぐに無くなっちゃうことも少なくないんだ」

 「そうですか。是非彼の料理も味わってみたいものです」

 「そうねー。そこにいる刑部姫もそのカレーを食べていたし、お願いすれば作ってくれると思うよ」

……あ、姫、死んだかも。

 「しかし、私一人の為だけにそのような……」

 「マスターもエミヤのカレーが大好きだからね。今日は別の料理を食べていたから、お願いすれば、その内作ってくれると思うよ。彼、何だかんだマスターに甘いからね」

 「なるほど、ではその時を楽しみにしましょう。それはまた今度頂くとして、もう一杯カレーを頂いても良いですか?」

 「お、気に入ってくれたかな。お姉さんサービスしちゃうよ」

ああ、SOS、SOS。マーちゃん、きよひーの顔が怖いです。

 「おっきーに質問です。わたくし、怒っているように見えますか?」

 「あ、あわわわ……」

 「……懲りないですね、おっきーも」

ああ、どうかあの鐘だけは勘弁を。マーちゃん、助けて……

 「ご想像の通り、これからおっきーには道成寺鐘に籠って原稿に専念していただきまーす♪」

 「ぞん゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 

 「おや、オサカベヒメは何処に行ったのでしょうか。まだ物足りない様でしたので、二皿用意したのですが。折角ですので、私のガラムマサラの感想を聞きたかったのですが……」

 

きよひーに連行されて食堂から去る時に、残念そうに呟く声を聞いた気がした。

 

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