鬼の子の物語   作:おにこ

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orz

 かまくらと毛皮。モリアの言った通りとても暖かかった。心地よい朝日を拝みながら、伸びをする。

 

「くぅー、よく寝たぁー」

 

 モリアは家庭教師と勉強していた。

 

「つまり硝酸作りのためには発酵が肝心であり、暖かい土地でなければ難しいと」

「なるほどな。鈴後では銃は期待できないか」

「下手に道具で近道しようとせず、剣を極めることが結局は力となります」

「侍か。いいだろう。一から鍛えさせるのも悪くねえ」

 

 俺が近づくと、二人は俺に気付く。

 

「てんめえ! やっと起きやがったか! 怒鳴っても全く起きる気配がねえし、どんだけ太ぇ神経してやがんだ!」

「いやー。さすがに俺も生命の危機を感じたら起きるよ?」

「チッ。起きたならほら、おめぇーも勉強しろ。領地経営には必要なことだ」

「いいよー。チビ人間がどんなこと勉強してるのか、興味あったし」

 

 コンブは現在、武器の作り方を教えていた。銃は鉄の筒に鉛玉と火薬を詰め込んだもの。火薬は硝酸と硫黄。火縄で温度を上げると火薬が爆発し、鉛玉が飛び出す。大砲は銃と同じ仕組みで、鉛玉の部分がさらに火薬玉になっている。刀は鉄の塊。しかし銃に使う鉄の筒と異なり、一方だけ固くする。こうすることで斬る硬さと衝撃を受け止める柔らかさの両方を手にいれられるようになる。また、高温で鉄を作った後に職人が叩いて鍛える。そして研磨を行う。この質が高いほどよい刀となる。その上で、使い手の質がよければ、黒刀という上等な刀になりうる。ワノ国は刀作りで有名な国だが、黒刀を作れるほどの腕の持ち主は現在いないという。

 長い話で期待させて落とすとは。なんかガッカリだ。

 勉強は昼まで続いた。昼は食事の準備と休憩時間がもらえるので、しばらく解放される。俺はまた牛の肉を食べ、モリアは森で山菜やら果物やら採って食べている。そして余った時間で、宝探しに出発。

 

「キシシシシ。黒刀を作れる鍛冶師、コウサブロウは海外に違法出国したらしいぜ」

「へー、鎖国してるとは言え、結構出てる人いるんだね」

「いいや、出国する人間は珍しい。話に聞いたのはコウサブロウだけだ」

「あっ、そうなんだ。でもよく外に出れたよね。やっぱ刀鍛冶だから船作りも上手かったのかな」

「黒刀作れるとなりゃ金も持ってただろうしな。航海士は雇ったのかもしんねえ」

「ああ、コウサブロウ1人で出たってわけじゃないんだね」

「そりゃそうだろう。家族も一緒だったはずだ」

 

 などと話していると、目的地に到着する。やはり一面雪だ。昨日俺が歩いた場所は足跡がついているが、雪で半分くらい消えている。

 

「さあて、この地図だと、山の頂上があそこで、方角はこっちで、距離は400里ってところか。あの辺か?」

 

 俺はモリアが指差す方に歩いていく。

 

「もうちょい前、もうちょい前。ほいストップ。よしこの下でいいはずだ。掘ってみろ」

「ほいきた」

 

 俺は巨大な手でガバッと掘ってみる、と? あれ? なんか感触がおかしぞ。ふわっとした雪の中に、手でかきわけられない硬い何かがある。この感触は土ではない。

 

「なんか氷の塊みたいな物が……」

「それだ! キシシシシシ」

 

 ガサッ、ガサッと何かの周りの雪を取っていく。見えた。角? 頭? でっかいなあ。さらに雪を掻き分ける。身体もめちゃくちゃデカい。これは、鬼か? いや、鬼より一回り大きい。もしかしてこれがモリアの言っていた魔人? 宝って魔人のことだったの? というかこいつって、俺達の伝説の先祖である……。

 

「オーズ!」

「さすがの俺も圧倒されるぜ。これほど完全な形で肉体が残っているとな」

「圧観だね」

「キシシシシ。この世の不思議だな」

「でもさ、これが宝なの? 死体なんて見つけても」

「キシシシ。俺の能力があれば、こいつが最強の兵器になるのさ」

「ああ、そっちね」

 

 なんとも言えないなあ。見つけた感動はあったけど、求めていた宝探しの感動ではなかった。

 しばらく感慨に耽った後、死体を傷つけないよう丁寧に雪を払っていく。下の方は土や氷が混じっており、すぐには進まない。作業しながらモリアと会話する。

 

「オーズと言えば、俺達の中でも歴代最強の戦士。この大きさを考えると、確かかもね」

「聞くところによると、子孫が残っているそうだが」

「オーズジュニアってのと、その子どものリトルオーズジュニアってのがいるね。そいつらは俺達より少しだけ大きかった。でもこのオーズほどではなかったかな」

「キシシシシ。そうそう最強の魔人がいても困る。こいつは俺達の秘密兵器だからな。問題は、こいつを鈴後の外に持ち出すためにはデッカい氷も一緒に運ぶ必要があるってことだが」

「そうしないと腐るから?」

「そうだ。船も氷ごと乗せられるくらい巨大なものにしないとなあ」

「あー、そりゃあ大変だなあ」

「科学者を捕まえて、できるだけ効率的に作らせるべきだろうよ」

「科学者?」

「熱やら鉄やら生物やらいろいろ研究してるやつがいるんだよ」

「へー」

 

 などと言っているうちに、全身を掘り出せた。

 

「せっかくだしうちの領地に持っていくぞ。と言っても、監視のジジィに見つかるのもまずいからなあ。森に隠すか」

 

 俺が運ぶのは嫌だなあとか思っていたら、モリアが自分の影を入れた。そして、魔人は復活する。

 

「キシシシ。どうだ、見事なもんだろ?」

「確かに。実際に動くところを見ると、また違った感動があるね」

 

 というか、若干恐い。自分が大人くらいの身長になってから、村の鬼にも恐怖を感じなくなっていたけど、こいつらは大人よりさらに一回り大きい。こうなると昔の感覚を思い出して、恐くなってしまう。

 

「さすがのお前もビビってるみたいだな。キシシシシ。いいもん見れたぜ。どうだ? 肩慣らしに相撲でもしてみるか?」

 

 相撲か。マルオが生きてる頃はよくやったなあ。

 

「いいよ。やってみよう」

「キシシシシシ。適当に丸い線を引いとくぜ」

 

 オーズが雪を掘って土俵を書いていく。円ができると、俺と対面する。大きいな。俺の倍よりさらに大きいと思う。

 

「そんじゃあ見合って見合って、そら、はっけよい!」

「オラァ!」

 

 手加減したらボロ負けしそうなので、全力で体当たりしてみる。ガツン、とまだ若干凍っている腹にぶつかる。この衝撃で、海王類でも吹き飛ばせそうなものだけど、こいつはダメだな。ちょっと足が滑ったくらいだ。雪の上なのにすごい踏ん張り。

 

「キシシシシ、それで終わりか?」

「ふんぬぬぬぬぬぬぬっ」

 

 押してダメなら持ち上げてみる。俺達は自分より大きな海王類を持ち上げてきたのだ。身長2倍強のこいつならわけない。

 

「くっくくく」

「こいつを持ち上げる怪力には驚いたが、怪力はこいつの十八番だぜ」

 

 が、それは向こうが何もしなかった場合。俺と同じ力で向こうも俺を持ち上げようとすると、動かなくなる。俺より強い力で向こうが持ち上げようとすると、俺が持ち上がり、さらには投げ飛ばされてしまう。

 

「うわあっ、ぐっ」

 

 俺はモリア操るオーズに投げ飛ばされ、久しぶりに宙を舞った。そのまま落下し、痛い思いをするかと思ったが、雪でふわっと着地しただけだった。

 

「ほい、これで一勝な」

 

 オーズ中指を立て、小刻みに折り曲げ、来てみろというように挑発している。

 

「相撲ってのは、力だけじゃ決まらないんだよ」

「キシシシ。やってみろ」

 

 見事に挑発に乗った俺は、もう一度突っ込む。軽く受け止められ、足で転ばされる。もう一度、今度は足に突っ込む。足に到達する前に上から押さえられ、そのまま沈む。もう一度、今度は横から。今度はスピードを全力で。さらにもう一度……。

 

「うおおおおおおおお。くっそがああああああああ」

 

 結局一勝もできなかった。クッソムカつく。あー、腹立つ。モリアの勝ち誇ったような顔がさらに腹立つ。お前の実力じゃない癖にー。

 

「お前、相撲が下手すぎる。工夫しているようで、バレバレでは意味がない。浅知恵は俺に通じんぞ。本当の技術が上がってねえ」

「ガーッ、もういい。黙れ! 俺はしばらく修行する! 1年だ! この1年で逆転してやるから震えて待て!」

「キシシシシ。楽しみにしとくわ。お前の泣き顔を拝むのをな」

「んだとオラァ!」

 

 俺はモリアに軽くでこピンしてみるが、モリアは軽く腕で受け止めた。逆に俺の手を抱え、上手い具合にねじりあげ、全身で抱え込むように動く。俺の身体はよく分からないがモリアの小さい身体に潜り込まれて、持ち上げられて、宙に浮く。

 

「キシシシ」

「え? 嘘ォ」

 

 そのまま一回転し、地面に叩きつけられた。

 この身長差、力の差がありながら、俺がモリアに投げられただと? 信じられん。何という、技術。

 

「俺の影の経験は持ち主に帰ってくる。そうでなくとも、あんだけ見てればこれくらいはできるようになるのさ。天才である俺ならな」

 

 こいつ、いくらなんでも器用過ぎるだろ。マジで天才かもしれないな。俺は衝撃のあまり怒りを忘れてしまった。




orz(オーズ)に負けてうな垂れるポーズがorz
でもoarsが正しいらしい
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