結界師 -奇譚- RTA【完】   作:トウカ

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(真・vs守美子)Part.11【完】

 裏ボスを倒しに行くRTA、はーじまーるよー!

 早速動画を再開します、サクサクっとね。皆さんも前置きは短い方がいいでしょう。

 

【戦闘開始。】

【スキル「無想」を発動した。】

 

 まずは小手調べ。

 離れていた期間でどれほど腕を磨いたのか、互いに結界を作りあって審美します。

 墨村家の青色の結界と雪村家の緑色の結界がぶつかりあい、一瞬だけ空色に変わって弾けて消えていきます。

 こうやって後から見返す分には綺麗ですね。

 綺麗だね、後から見る分にはね(大事な事なので二回言いました)。

 

【やはり守美子は強い。彼女の技術がどれほど昇華したのか、一目見ただけでよく分かる。】

【それと同時に、守美子と俺が今、同じ立場同じ目線に立っていることも……よく分かった。】

 

 戦闘中に主人公のモノローグが流れるのは滅多にありません。

 復讐鬼プレイで復讐相手と戦ったり、オリンピック選手ルートで決勝戦に挑んだり……主人公が一つのことに本気で取り組んだ時の本番真っ最中ぐらいでしかモノローグは流れないです。

 つまりホモくん、滅茶苦茶本気です。

 私も本気です、つまり相思相愛だゾ♡

 

 ギアが入ってきた裏ボスの怒涛の攻撃と、それを凌いで反撃に転じるホモくん。

 なんつうか、どっちも人間じゃねぇ……(ドン引き)。

 事前に耐久度馬鹿高な専用バトルフィールドを準備してなかったらとっくに大地が割れているレベルです。お前らはアラレちゃんか?

 

 墨村守美子に実装されている撃破系実績は四つですね。

 その内の一つはゲーム内時間七年前に解除しておりますので、後三つ。

 裏ボスが成人を迎えている状態で撃破することで一つ。

 戦闘中に裏ボスを追い込むことで放ってくる最大技を正面から打ち破ることで一つ。

 成人の裏ボスからの「信」が高い状態で撃破することで一つ。

 以上、計四つになります。

 

「これはどう対処するかしら」

【スキル「波同」を発動した。】

 

 ホモくんの場合は必要になる都度、無想を発動しています。主人公のグラフィックも無想OFFとONでは変化が起こっていましたね。

 しかし裏ボスの場合は異なり、彼女は無想を常時発動している状態です。

 幼少の頃から裏ボスの目は常に黒く影っていてレイプ目です。ハイライトが入っていることはほぼありません。が、それは赤子時代や幼少期の最初を除いてその人生の殆どを無想の境地で過ごしているからです。

 裏ボスが常に無想でいられるのは、生まれついてそれほどの技術を所有していたというわけではなく。生まれついて感情の振れ幅がとても狭かったから、が正確になります。

 心を何事にもさざめかない無の状態にするのは、彼女にとっては容易なことでした。

 彼女だと「無にする」というより「無に戻る」という表現の方が近い気がしますが……。

 

「絡め手はいける?」

【スキル「念糸」を発動した。】

 

 つまり、裏ボスは意識して無想をしているわけではないのです。

 ほぼ生まれつき無想状態なわけで、最早呼吸と同位。

 それが却って彼女の弊害になっています。

 無想が無自覚である彼女には、極限無想を発動できません。

 いやもう殆ど極限無想に成っているようなものではありますが、一応極限無想ではありません。

 そこが付け入る隙となります。

 針の穴に向かってフリスビーを投げて通すレベルですがね!

 

「もっと出力を上げるわね」

【スキル「空身」を発動した。】

 

 このままじわじわ体力と精神力を削っていきましょう。幼少期の対決とは違って、相手のゲージをどちらも下げる必要があります。

 ……ゴジラ対ゴジラみたいなことになってんな……。

 

 ゴッホン。

 

 えー、私が雪村出身の結界師を選んだのは、同年代かつ同業者ならば裏ボスの「信」を稼ぐ機会が多くなるのと、空身が欲しかったのと、結界術が使えるようになるのが目的でした。

 墨村守美子は好感度「好」「嫌」「愛」「憎」、最後に「信」、このどれもが上がり辛く、そして下がり辛い鋼鉄の女です。

 一度に大量の「信」を上昇させるのは不可能といってもいいでしょう、地道に上げるしかないですね。

 空身は現在画面上で使いまくっている通り、裏ボスの超高火力を無効化できる唯一の方法です。

 一撃でもまともに食らえば体力が半分は持っていかれてしまうので、プレイヤースキルとしての回避力を上げるか主人公がこのスキルを身に付けるかの二択。ということで後者。

 

「――――……」

 

 おっと、裏ボスの体力精神力共に四分の一まで減り集中モードに移行しました。

 此処からは原作で龍相手に使用していた空間移動の術を多発してくるようになります、油断=死ですので気を抜かないでください。ここからが本番です。

 ワープとかマジクソ、本当に気力が削られます。二度とやらん(ホモは嘘吐き)。

 

 先程の話を続けます。

 最後に結界術、これは裏ボスを追い詰め易くなります。裏ボスが使用する技術と同じである為、千日手になり得る諸刃の剣ですが、しかし安定して裏ボスの体力と精神力を削ることが可能。

 よって、接触の機会が多い幼馴染みかつ結界師の一族である雪村にするべきだと思いました。

 

 因みに原作では誰からの指摘もなかった為に裏ボスは生涯ほぼ無想のまま生き抜きましたが、結奇ではとあるイベントを熟すことで彼女の無想を解き、人間味を増やすことも可能です。

 (撃破の必要は)ないです。

 彼女は色々と不運な要素が重なって非人間としての道を歩んでいますが、きちんと胸の中に人の心があります。

 時間をかけて向き合っていけば幸せという感情を理解することも出来るのではないでしょうか?

 

【守美子が今までで一番、神経を尖らせているのを感じる。】

【……とんでもないものが来るだろう。】

 

【スキル「極限無想」を発動した。】

 

 裏ボスとステの数値が同格かそれ以上だと警告メッセージが入ります、有り難いことですね。

 ホモくんの最大技、十芒星を真正面から放ちます。

 こ↑こ↓が勝負の分かれ目。

 

【二つの力が激突し、行き先を失った青と緑の力は絡み合いながら放物線を描いて、上空へと流れていく……。】

【〝宵が明けた日〟】

 

「そう……そうなのね」

 

 実績解除。もう一息、踏ん張りどころです。

 裏ボスはこの最終盤でもまったく切れ味が衰えないから本当に辛い。普通のキャラなら驚いたり怒ったり嘆いたり無気力になったりで差はあれど変動するのに。泣きそう。

 

 尚、もしもこの勝負を烏森の傍、或いは烏森で行っていた場合、勝負終了後に二人共々仲良く後付け共鳴者になる……らしいです。

 あくまで後付けであり、赤子の内から浮かびあがり馴染んでいくわけではないことから本来の正当後継者よりも色味が薄いですが、それでもハッキリと四角の印が浮かぶ模様。

 烏森に封印されてる時の殿は面白いことが好きなだけのただの子供ですからね……。

 バケモン同士一切の手加減抜きで怪獣大決戦をド派手にブチかましてれば、そりゃ面白い奴認定されて即お気に入り登録されますわ……。

 

 

「これでおしまいにしましょう」

 

【ああ】

 

 

 最後の瞬間です。

 気張れ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

【〝星砕き〟】

 

【〝二人の明星〟】

 

 

 

 

 

【戦闘終了。】

 

 

 計測完了!

 

 時間は……3時間49分32秒。

 裏ボス撃破RTAを目論んだ人が他にいないので私が世界最速です。

 

 完走した感想ですが……情緒もへったくれもないこと言うと、スタート前の化物型ステの厳選しか印象に残ってません。

 あれが本当に地獄でした。

 それ以外は大体試走や練習通りにいったので、ガバッた時もそこそこありましたがその場限りの怒りや困惑は起こっても終わった今となっては気になりません、良い思い出です。

 ……あっ、淫夢使いのRTA走者としてオリチャーを結局しなかったのはマイナス点ですね、そこは反省。

 チャートもちゃーんと説明できていなかったような気がする……。

 

 じゃ今しちゃお(開き直り)。

 結界力が高め(トップが理想)の化物型ステを引き、裏ボスと同年代の雪村家に生まれて只管修行を重ねて得たポイントは全て結界力に突っ込み、小学校の間に店主イベを引き起こし台詞選択肢で海外に飛び出せるようにしておき、中学生に上がるまでに裏ボスの「信」を挨拶や学校イベと烏森見回りで溜め、実力と海外チケットと「信」が揃ったら一つ目の実績を解除、直ぐに海外出張を起こし社畜化して高難易度クエで経験値を稼ぎまくってステを完成させ、成人を迎える前に日本に帰り裏ボスとタイマン。

 これが今回の裏ボス撃破RTA結界師チャートでした。

 

 裏ボスの「信」稼ぎと幼少期の内に一回倒さなきゃいけない時機調整を考えると、やっぱり出自結界師で姓を雪村にするのが一番いいと思います。

 ですがこれ以外にもうま味なチャートが存在するかもしれませんので、私は座して待ってますね!

 

 

 本シリーズはこれにて終了になります。

 動画の最後にホモくんの最終ステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。ステが映る場面が動画中なかったですし分からないですよね?(ホモの全ては優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――夜が明ける。

 瞼の向こう側がとても眩しくて、暖かい。

 

「……負けちゃったぁ」

 

 真面目だった。

 本気だった。

 真剣だった。

 油断はなく、慢心もなく、倨傲もない。

 それでも……敗北した。

 

 不思議な感覚だ。一度も味わったことのない感覚が、五臓六腑から滲み出てきている。

 何故だか、ひどく目の奥が熱い。

 ああ、なんだ。

 ずっと分からなかったことなのに、この瞬間がいざやってきてみれば、こんなにも簡単に分かることだったのか。

 

「ねえ時祓……私って、思ったよりも人だったみたいよ」

 

 ……そういえば言い忘れていたものが一つあったことを思い出す。

 貴方と私が同じ日に年を重ねるなんて今更なのに、なんだか変な感じがしてきた。

 誕生日おめでとう、時祓。

 

 







「結界師 -奇譚- RTA」、これにて無事に完結しました。これも全て皆様の御蔭です。
更新する度に送られる感想、日々増えるお気に入りと評価、そしてアクセス数……とても現金な性格なので、数値として直ぐに表れるシステムに凄まじく支えられた自覚があります。
ホンットにマジで本気で! 三日坊主で直ぐに熱が冷める性質だったので、今まで五話前後の中編以外を完結させられたことがありませんでした。
しかし今回、ストックがないままこのお話を終わりまで駆け抜けることが出来たのは、間違いなく読者である皆様の力添えの御蔭です。

本当にありがとうございました!!

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