次の日、学校にて
昼休み、彰は屋上で昼食を取っていた。
教室は騒がしく、うまく考え事が出来ないためである。
その反面屋上に来る人はまずいない。なので一人でいることがほぼ確定するのだ。
そんな素晴らしい環境で思考を落ち着かせるために、彰はまず空を見た。だが、
「どうした~?今日は一層浮かない顔してるぞ~」
いきなり視界の外から、焼きそばパンを咥えながら摩耶は彰の顔を覗きこんできた。
「急に来て余計なお世話だよ…てか何で僕の場所が分かった?
もしかしてストーカーなのか?」
「誰があんたのストーカーすんのよ(笑)
ただ最近屋上に行く事多いじゃん?
何かあったのかなーって思ってさ」
…こいつの観察力には脱帽する。
「まぁそれは良いとして、物を口に咥えながら喋るな。」
「ほいほーい。
まぁ外で落としたら食えないもんね
ナイスアドバイスッ!」
「アドバイスしたつもりはないのだが…」
いつものように謎めいたポジティブシンキングで話す摩耶に少し溜め息を漏らす。
「でさ、マジで何かあったのか?
良かったら相談に乗るぜ?」
くそっ、さっきの話題を覚えていたか…
彰は心の中で舌打ちをした。
だがクラスには、いや学校内には摩耶ほど信頼出来る人物はいない。
だが学校内で一番ふざけているのも摩耶しか考えられない。
俺は一瞬心の中で葛藤したが、疲れて誤った判断をしてしまったのだろう、摩耶に相談することにした。
「…ちょっと考え事しててな」
「マジで考え事?らしくないな~
ひょっとして一週間分の献立悩んでるとか?」
相変わらず冗談が尽きないな。一体どこからそんなジョークが湧き出るんだ?
彰はさっきの判断を若干後悔しながら、そして冗談を無視しながら本題に入る。
「今まで知りたかった事実を知れる機会が来たら、お前だったらどうする?」
「…続けて?」
先ほどのおちゃらけた雰囲気が消え、摩耶は真剣な表情をして続きを促す。
「うまく言葉に出来ないんだが…
……もしもだ、トラウマみたいに忘れたい嫌なことでも、何があったのか原因とかを知りたくなった。だが、今の今までそれを知れる機会が無いとするだろ?
そんなとき、急に真実を、すべてを知れる機会が目の前に現れたら…」
「私だったらどうするかって聞きたいわけだ」
摩耶は少し笑って彰の意図を見透かした。
だがいつものおちょくる時の笑顔ではなく、なんというか人を安心させるような笑顔だった。
「で、彰は実際突然そんな機会が来ちゃったのね
そりゃ他の人に質問したくなるわな」
な、なかなか察しがいいな…
呆気に取られている彰をよそに、摩耶は立ち上がって答えを返した。
「私だったら、真実を知って踏ん切りをつけるかなぁ
何も知らずにいるよりも全部知っている方が、自分がこれからどうすれば良いか、少しは見えやすくなるからさ」
摩耶は清々しい笑顔で答える。
「それにさ、ウジウジしてたって得することは無いんだからさ。
貰えるもんは貰っとけ!」
だが最後は結局いつもの調子に戻るのであった。
しかしなぜだろう、いくらか心持ちが軽くなった。
先程まで胸の中で蠢いていたモヤモヤはほとんどが消えていた。
相談した相手が良かったのか、それは関係ないのか。
そんなことはどうでもいい。今はただ、彼女に感謝する。
だが、あの摩耶があんな真面目な顔でな…
彰が少し吹き出すと、摩耶は不思議そうな顔で覗いてくる。
「何だー?」
と摩耶が聞いてきたので、彰は笑顔で感謝の意を述べる。
「摩耶、ありがとう」
「なっ、~~~~~~ッッ///」
するといきなり顔を赤らめ、摩耶はそっぽを向いてしまった。
その動きを見、彰はツボに入ったのか笑ってしまった。
「な、何が面白いんだよ!!」
照れながらこちらに大声を張る彼女を見、さらに吹き出してしまう。
「んぬ~、許さねえ…!」
と言うと、摩耶は彰の弁当のおかずを取り上げ食べ始める。
「ちょ、何するんだよ」
「私のこと笑うからだ~(ニヤニヤ)」
「僕も全然食べれてないんだぞ、返せよ」
「やなこった!お前のおいしい弁当全部食ってやる!」
「褒めてるのか挑発なのか…」
摩耶と彰は楽しげな会話を始めた。
この後二人は、はしゃぎすぎてチャイムの音に気づかず、五時間目の授業に遅れてしまったのであった。
◆
その日の放課後…
僕はまたあの小路に来た。
あの死神に助けられた場所だ。あの時近くの公園の木も燃えていたが、全くと言っていいほど何も変化はない。
そう考えていると、どこからか熱気を感じた。
その熱は次第に強くなり巨大な炎となる。
炎は僕の前に降り、人の形を作り上げていく。
その姿は以前の死神と同じ姿をしていた。
「やぁ、来てくれたか」
死神は気軽な雰囲気で話しかけてきた。しかも表情も明るい。
「ここに来てくれたってことは…」
「教えなければならないことって何だ」
明るく話す死神に対し、彰はキツい口調で問いかける。
「早く教えてくれないか」
「せっかちだなぁ、じゃあ早速本題に入るか
とその前に…」
もっと勿体ぶられるかと思えばすんなりと本題に入ろうとする死神に、彰は呆気に取られる。
そして死神はどういう意図があってか手を差し伸べた。
「私の手を掴んでくれ」
…はぁ?
彰は更に呆気に取られる。
なぜ急に死神と手をつながなければならないのか。
いや、もしかしたら友好的であるという証明かもしれない。
だとすれば応対しないのは無礼になってしまう。
そう考えた彰はその死神と握手を交わす。
そして手を離そうとすると、死神は全く手を離す気配を見せなかった。
「ちょ、なんなんだ」
「大丈夫だ、深草くん。
少し場所を変えるだけだ。」
またもや意味不明なことを言い、死神は笑う。
すると彼女は鎌を取りだし、良い音を立てながら柄を地面に打ち付ける。
すると彰と死神の二人を包みこむように何かが出てくる。
「な、何が!?」
「落ち着いて、大丈夫だからさ」
死神はこの光景に慣れているような口振りで彰に伝える。
「ほんとう、か…?」
急に意識が薄れていく。だが死神の声はちゃんと聞こえてくる。
力が抜け外れそうになったのか、死神は彼の手を力強く掴んだ。
「もう少しの辛抱だ!頑張れ!」
周りから変な音が聞こえてきたからか、彼女が大声を上げ意識を保つよう伝える。
だが、彼の意識はほとんど消えていた。
そして手に残る強い感触を感じながら、ついに彼は力なく倒れていっ…… …………
◆
……
……ーい…………
おーーぃ……………
何か、呼び声のようなものが聞こえる。
(誰を呼んでいるのだろう?てか、その誰かも返事してやれよ…)
…
急に耳元で聞こえてきた大声に、その誰かが自分であることに彰は気づく。
大声と共に視界が、意識が明瞭になる。
「良かった~,どうやら何ともなさそうだね」
目の前にはホッとした顔色の死神がいた。
「……」
「…ん?どうした?」
彼女が疑問を投げ掛けたので、彰は答える。
「…顔、近すぎます」
それを聞くと、彼女は一瞬不思議そうな顔をし、納得したように顔を離す。
何故か、髪で隠れた顔の部分を必死に押さえて。
「いやぁ、すまないすまない。
女性がこんなに近づいたら気まずいよな…アハハ」
死神にも性別ってあるのか。
そう思いながら彼は辺りを見渡す。
周りを霧のようなものがたちこめている。先程の小路とは全く違う場所だ。
ここはどこかと聞く前に、彼女が先に口を開いた。
「フフ、ちょっと困惑してるようだね
まぁ仕方ないか。ここは普通の人間は来れないからね」
と、どんな場所であるかをはぐらかして伝える。
普通の人間では来れない…
死神は自由に(?)来れる…
つまり、ここは。
「死んだ後の、世界…?」
彰の出した結論を聞き、彼女は少し笑う。
「まぁ、大体は合ってるね」
そういうと彼女は彼の前を歩き、そしてまた鎌を手に取って霧を払う。
すると目の前に、大きな建物を取り囲むように並ぶ街並みが見えた。
そして彼女は彰の方に向き直り、笑顔で彼を歓迎する。
「ようこそ!死神の世界へ!」
相変わらず不定期で申し訳ないです…
しかもこの作品も他の作品も、自分の中では結構長いストーリーになりそうなので、不定期投稿であるなか、これから若干不安な気がしてしまいますが…
なるべく早め早めに投稿を心がけるようにするので、応援お願いします!!!