超特急論破 後編   作:鳶子

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エピローグ

✧ ✧ ✧

 

「………クソッ!」

 

勢いに任せて、廊下の壁を力の限り蹴る。裁判が終わってからどうしようもなかったむしゃくしゃした気持ちが一時的に、足にじんじんとくる痺れで覆い尽くされる。

納得いかない。あの裁判も、あいつの言葉も、あの顔も、納得いかない。

綺麗事のように済ませるな。本性を暴き出してやったのに、最後には全部背負って、さも善人のように振る舞って、死んで。何もかもが気に入らない。今までに感じたことの無い苛々と虚脱感が、頭の中を我が物顔で蠢く。

 

「やあやあ、随分とご立腹だね、根焼クン!」

 

歩く気にもなれず壁にもたれかかっていると、あの不愉快な声が聞こえてきた。しぶしぶ顔を上げると、真正面にモノケンが立っている。

 

「…何」

「イライラが止まらないのかな?うぷぷ、早めの更年期障害かもね!…そんな怖い顔しないでよ、根焼クンにはいいニュースがあるんだからさ!」

「………」

 

反射的に罵倒の言葉が出そうな口を、無理やりに抑えつける。

あー…クソ。ボクはこんな熱くなるような性格じゃない。もっとクールに、頭を冷静に…。

 

「今まで君の研究教室って鍵をかけてたでしょ?それを開けてあげたんだ!せっかくだから見に行きなよ!あ、行くなら1人の方がいいと思うよ?」

「…そう。それでボクの才能がわかるってワケ?」

「そうだね!学園長のボクは、優秀な生徒であるキミには期待してるんだよ」

「優秀な生徒だなんて初めて言われたなぁ、お褒めに預かり光栄でーす」

そんな言葉と共に、わざとらしく頭を下げてみる。少しずつ頭が冷めてきた。いつもの自分が戻ってくる感覚。ぬいぐるみにも、イライラって感情はあんのかな?

 

「まあ、キミにとっては有益なものだと思うよ。今後の自分の身の振り方も考えられることだし、ね」

皮肉をものともせず、最後にそう言い残してモノケンは煙のように消えていった。

アイツの言うことを正直に聞くのは癪に障るけど今の気持ちのままだらだらと過ごすよりは、さっさと新しいことをした方がマシだろう。

 

階段を昇って4階へ向かう。薄暗い廊下を歩くと、すぐに目的地の前に着く。

16番目の、最後の研究教室。ボクに割り当てられてた部屋。

洒落た装飾のついたドアノブを捻ると、前とは違いするりとドアが開いた。

…目に飛び込んできた光景は、予想していたモノとはまったく違っていた。

 

 

「……………」

優秀な生徒。

今後の自分の、身の振り方を考える。

 

 

へー、そういうことね。

 

 

【4章 END】

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