超特急論破 後編   作:鳶子

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(非)日常編4

✧ ✧ ✧

 

 

「このコロシアイの首謀者は、ボクだからだよ」

 

根焼くんはそう言って、悪魔のような笑みを浮かべた。

 

…根焼くんが、コロシアイの黒幕?そんな、信じられない。彼だって、僕達のかけがえのない、大切な仲間だったはずだ。

しかも、本当に彼が黒幕なら、どうしてそれをわざわざ自分から言ったんだ…?

 

 

「あぁ、どうしてそれを自分から暴露しちゃったのかって思ってる?」

僕の疑問に見透かしたかのように根焼くんがいかにも退屈そうに言う。

 

「なーんか、オマエラ、だんだんつまんなくなってきたんだよ。残りの人数も少なくなってきたし、ぱっとしたヤツが残ってないし。このままグダグダ続けるぐらいなら、ボクがぶっ壊した方が面白いと思ったんだよねー」

「………」

「つまらない…?僕達が?」

あの佐島くんでさえ、表情を微かに歪めた。根焼くんは呆然とする僕達を見て再び笑みを深める。

 

「うぷぷ、それだよ、信じてた仲間に裏切られた〜って感じのその表情!それが見たかったんだよ!いやぁ、今まで黙ってるのも大変だったんだよ?マヌケなオマエラを笑い飛ばさないようにしないとだからさぁ!」

 

両手を広げて楽しそうに話す根焼くんは、今までの彼とは違う冷酷さが見えた。まるで僕達を、最初から仲間だなんて思っていなかったかのような語りぶり。

 

「あっそうそう、揚羽が妄崎サンを殺したのなんて1番笑えたよなぁ、罪もない仲間をぶっ殺した挙句善人みたいなヅラして死んでいってやんの!」

「やめなさいっ!!」

贄くんが大声を出して根焼くんの言葉を遮った。今までの贄くんからは想像もできない厳しい目付きで、彼を睨みつける。

 

「例え今の貴方が何者であろうとも…彼の勇気を嘲る権利はありません。今の発言を取り消しなさい」

 

「そうだよ…!揚羽くんは彼なりに、このコロシアイを終わらせようと、一生懸命戦ってくれてたんだ!」

僕も贄くんの発言に同調する。

 

「そうですよ!天国の揚羽さんに謝るですよ!」

「今のはひどいです、ゆ、許せません…!」

「おにいちゃん…わるくいうの、だめ……」

他のみんなも僕達の加勢をしてくれた。

 

「…あーあ、やっぱオマエラ、つまんねーの」

それまで愉快そうに話していた根焼くんは、急に先程の退屈そうな真顔に戻った。

「正義の味方ごっこってそんなに楽しい?揚羽はコロシアイを終わらせるために殺したから、許されるの?他のヤツらとやったことは同じなのに?」

 

「それは………」

何も言い返すことができない。確かに、揚羽くんは切ヶ谷さんと妄崎さんを殺してしまった。それは許されることではないんだ…。

 

「まぁ、そんなのボクにとってはどうでもいいんだけどねー。アイツが予想通り本当にもう1人殺したのが笑えたっていう、ただそれだけ」

「…君の目的は一体何なのかな」

それまでじっと黙っていた佐島くんが、再び口を開いた。

 

「…目的?」

根焼くんは少し考えるような素振りを見せた。

「ボクの目的は希望に満ち溢れたオマエラを絶望させることだよ。そしてそのザマを笑いながら見ること、かな?」

「かな、って…そんなふわふわした理由でボク達をここに集めたんですか?」

贄くんのやや呆れたような口調に、彼はあっさりと頷く。

 

「うん。目的があってそれを達成するために動くなんてあまりに簡単で面白くないでしょ?結末が分からない方が、思いもよらないナニかがたくさん起こる…そう思ってコロシアイを計画したんだよ、大それた理由がなくてガッカリしちゃった?」

「………」

根焼くんの言葉は、さらにとめどなく続く。

「でもさぁ、オマエラ超高校級とか言ってるクセに思ったより大したことなかったんだよね。だから、ボクがこのコロシアイを面白くしてやろうと思って、こうして水からタネ明かしをしてあげてるってワケ」

 

「ここにオマエラを集めたのも、照翠を殺したのも、笑至を嵌めたのも、月詠も内通者として利用してたのも、一人一人にエキサイティングなおしおきを考えたのも、みーんなボク。どうどう?面白かったでしょ?」

「面白い訳ないだろ!」

僕は思わず、根焼くんに向かって大声をあげた。

 

「人の命をおもちゃみたいに扱って、遊んでるだけじゃないか…!こんなの、最低だよ!」

 

 

「え?当たり前じゃん。だってこれって、ボクによるボクのためのゲームなんだから。」

根焼くんは僕の言うことが理解できないとでも言うように、きょとんと不思議そうな顔をした。

 

「オマエラはボクに遊ばれてるだけなんだよ?飽きたらすぐにゴミ箱行きのオモチャ。だから今から捨てようかなーって」

「す、捨てる…?」

「くぐはら達に何するつもりですか!」

みんなの顔に明らかな焦燥が見える。根焼くんは一体僕達に、何をするつもりなんだ…?

 

「…そう、ゴミ箱にポイする前に、オマエラに1回だけチャンスをあげるよ」

残酷な、凄惨な笑顔で、彼は僕達に宣告する。

 

「3日以内にボクを殺せば、コロシアイはそこで終わり!オマエラを全員ここから卒業させたげる。でも、殺せなければ、オマエラをここで全員殺す。

ボクが命懸けでこのコロシアイを面白くしてやるんだ、イイもん見せてよ」

 

 

「………」

「…………」

もはや、何の言葉も出ない。そんな、自分の命を賭けるようなことがどうしていとも簡単にできるんだ…?自分が殺されるかもしれないのに?

 

「ねぇ、なんでそんな暗い顔してんの?首謀者を殺すなんて、オマエラの大好きな、楽しい楽しい正義の味方ごっこができるんだよ!よかったなぁ、死ぬ前にこんなチャンスがもらえて」

彼はそのまま僕達の顔を覗き込むようにしながら歩き出す。その罪悪感を一切感じていないような表情に、純粋な恐怖心が芽生える。

気がつくとみんなが自然に、彼のために道を開けていた。

 

 

「オマエラが殺しに来るのを、夜でも寝ずに待ってるよ。うぷぷぷぷ……!」

根焼くんは最後にそう言い残して、礼拝堂を後にした。

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