超特急論破 後編   作:鳶子

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(非)日常編3

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「見てー、宗形。変な手紙見つけた」

根焼くんがぴらぴらと手に持った紙を見せびらかす。少し黄ばんでいる、古びた紙だ。

「机の上に置いてあったんだ、ボクこんなのいらないから宗形にやるよ」

そう言って根焼くんはその紙を僕に手渡すと、別の場所を調べに行った。渡されたものを読んでみる。

 

 

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なかなかの達筆だ、僕のおじいちゃんもこんな感じの字を書いていた気がする。書かれているのはまた怪しいことだけど…。

それにしても、"特技にちなんだ殺され方"って──背筋がぞくっとした。

手紙はまだあるようなので急いで読み進める。

 

 

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手紙はこの3枚で終わりだった。最後の手紙の下の方の字だけ、筆跡が違う。これは手紙を受け取った人が書いたんだろうか…?

ということはこの手紙を書いた人がΣ博士、受け取ったのがM博士という人なのか。

 

「おにいちゃん、これも読んで…」

掃気さんが僕に1枚のメモ用紙のようなものを差し出す。

「つくえの引き出しの、奥の方に入ってたの…みつけた……」

「ありがとう、掃気さん」

掃気さんはやっぱり他の人が見つけられないところにあるものを見つけてくれるなあ…。早速読んでみることにする。

 

 

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「…遺書」

そんな単語が、するりと出てきた。しかもこの筆跡、さっきのM博士の字と同じように見える。

この人も、『16番』に殺されてしまったんだろうか…。

 

「発達した科学は、魔法と区別がつかない……」

贄くんが書いてある言葉を、ゆっくりと咀嚼するように繰り返す。

魔法。覚醒。その単語を見て、ふと今朝の芥原さんの姿が思い浮かんだ。この遺書も、この場所の謎を解く重要なヒントになりそうだ。

 

「………?」

荒川さんが部屋の端の方で何かを凝視していた。

「何か見つけたの?荒川さん」

「あ、宗形さん!これがたまたま床に落ちてて…」

荒川さんが見せてきたのは、会社員の人とかがつけている、紐がついてて首から下げる形のネームプレートだ。透明なホルダーの中に横長の紙が入っている。

 

 

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「なるほど。M博士のMは、悲劇という意味の英単語、MiseryのMだったんですね」

贄くんが感心したように言った。今注目すべきはそこではないような…。

「この人、苗字が"あざみ"なんだね…」

これは…偶然なんだろうか。

 

中に入っていた紙は荒川さんに預かってもらうことにして、僕達も机の上を調べてみることにした。

いくつか資料が乱雑に置かれている中で「残部」と書かれた付箋が貼られているものを僕は手に取った。

 

 

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「更生プログラム…?」

「今まで見てきたプロジェクトとやらは、この更生プログラムにはとても見えませんね…」

贄くんは眉をひそめた。その資料の下には、「参加者資料」と書かれた、ホッチキスで綴じられた紙の塊があった。

試しにぺらっと捲り…僕は息を呑んで、その用紙を見つめる。

 

 

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その資料には、僕にそっくりな男の子の写真が貼られていた。手の震えを押さえつけるように、また一枚めくる。

 

 

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「………」

写真には、贄くんにそっくりな男の子が写っていた。

「これは……」

贄くんも言葉を失ったようだ。資料をじっと見つめている。

その後も、めくってもめくっても、出てくるのはこの学園で見知った顔だった。

 

「こむぎくん、何かあったの?」

月詠くんが唖然とする僕達を見て心配に思ったのか、こちらに近寄ってくる。

だめだ。こんなものを他の人に見せたら。

「な、何もない…よ」

僕はこっそりと後ろ手で、資料の山の中に紙の塊をうずめた。

 

「…そろそろ、3時間ですね」

贄くんが、話題を逸らすように言った。

「モノケンを呼んで再審の願い立てをしましょう」

「…うん。そうだね」

 

「あれ?ボクを呼んだかな?」

僕達の言葉をどこで聞きつけたのか、モノケンがぽんっとその場に現れた。

 

「モノケン。学級裁判を開きなさい。ボクは自分が処刑されたあの裁判の、再審を要求します」

「ええー。どうしよっかなー」

モノケンは露骨に嫌そうな態度を見せた。贄くんが説得にかかる。

「このままでは芥原さんに学校が破壊されてしまう。貴方としてもそれは本意ではないでしょう?」

 

「ちぇっ。まあそうだけどさー」

モノケンはふてくされたようにそう言うと、突然どこからかメガホンを取りだした。

「あー、あー。テステス。只今から、臨時の学級裁判を始めます!生徒の皆さんは全員、裁判場前まで集合してくださーい!」

 

メガホンは校内のスピーカーと連動しているのか、その声がそこら中に響き渡った。

「それでは、エレベーターの方に向かいましょうか」

贄くんが出口へと足を進める。その凛とした横顔は、強い意志を秘めているように見えた。

 

階段を昇って地上に上がると、芥原さんが既にエレベーターの前で僕たちを待っていた。

「…芥原さんも裁判に参加するの?」

「当たり前です。くぐはらも生徒の1人ですから」

そう言って芥原さんは、エレベーターが開くと真っ先にその中へ乗り込んだ。

 

 

 

全員が乗り終えると、扉がゆっくりと閉まる。

どこかがらんとしたエレベーターの中は、幾度目かの沈黙に包まれた。

 

「………………」

いよいよこれで、全てが決着する。

 

真実を見つけ出すのは正直、怖い。怪しい資料もたくさん見つけたし、自分にそっくりな彼が何者なのかもまだ分からない。

それでも、僕達は真実と向き合わなくちゃいけない。それがどんなに残酷なものだとしても、今までみんなと約束してきたんだ。絶対に終わらせてみせるって。

 

僕達は、亡くなったみんなの思いまで背負って戦っているって思っていた。そして、その重さに何度も押しつぶされそうにもなった。

でも、違った。その思いは重石なんかじゃなくて、僕の背中を力強く押してくれる力なんだ。彼らと、今ここに仲間がいるから、僕は頑張れる。

 

だからこそ、辛い真実にも向き合える。仲間を、自分を信じて立ち向かおうって、僕はこの学園生活を通して思えるようになったんだ。

そんなものを簡単に破壊して終わりにしたり、悲劇で終わらせたりしたくない。

僕はちゃんと自分達の手で、このコロシアイを結末に導いてみせる…!

 

 

エレベーターの扉が開く。みんながまばらな足取りで裁判場へと進んでいく。

これが、僕らの最後の裁判だ。

 

僕はぎゅっと拳を強く握りしめて、最後の舞台へと足を踏み入れた。

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