「コロシアイは、終わったんだ……」
「ええ…まずは、ボク達のコピー元の方達を助けに行きましょうか。未だに拘束されているようですから」
贄くんのそんな一言で僕達は、プログラムのお陰でかすかに記憶があるという芥原さんの案内で、地下の1階に向かった。
「…あれ?」
しかし、そこには15個の乱暴に壊された鎖があるだけで、後はもぬけの殻だった。
「…さすが悪ガキってことだねー」
根焼くんがさすがに呆れたように言う。
「学園が壊れた隙に全員逃げ出したんでしょうね……これは予想外でした」
「それじゃあさ、彼らを見つけ出して、僕達の手で更正させるっていうのはどうかな?」
僕の提案に、贄くんは少し目を見開く。
「呆れました、と言いたい所ですが…外に出てやることも特にありませんしね……」
僕達は、そのまま地上に出る。
「…遅い」
照翠くんが、僕達を待っていた。地下の部屋に行く時についてこなかったと思ったら、いつの間にか自分の服に着替えている。
ほんとに、奔放だなあ…。もしかして1番更生させるべきは彼なんじゃないのか…?
僕は別館の入口に置いていたはなちゃんを持ち、壊れていた壁へと向かい、後ろを振り返る。
「…芥原さん、本当にいいの?」
「大丈夫です。魔法の使い方も、ちゃんと覚えてます。それに…学園の人達をこの場に置きっぱなしにしておくのは、やっぱりくぐはらの、心が痛みますから」
「…そっか。ありがとう」
芥原さんは、魔法を使うことに決めた。自分は外に出ないということも、彼女自身が決意した。
「それでは…くぐはらの最後にして最大の、極大魔法です」
芥原さんがすうっと息を吸い込む、その動作の一瞬前にぴたっと動きを止めて。
「…さようなら!お元気で!」
僕達に、笑顔で手を振った。
芥原さんのステッキから柔らかい、純白の光が溢れ出す。
眩しくて、思わずぎゅっと目を瞑った。…目を開けた後には、もう視界は開けていた。
芥原さんも、学園も廃墟も、消え去っていて。遠くに小さく、街の光が見えた。
「…よし、今日はファミレスで宗形のおごりな!」
「ええ!?なんで……!?」
「もこ、クリームソーダ飲みたい……」
「私は、芥原さんの好きだったたくあんが食べたいです……!」
「あ、照翠くん、そう言えばお金、回収できませんでした……」
「…巫山戯るな。ツケは高くつくぞ」
そんな話をしながら歩く僕達の頭上から、魔法のように紙吹雪が舞う。
「…綺麗だなあ」
僕は、そう独りごちた。
これから先どうなるかなんて、誰にも分からないけど。
この紙吹雪みたいに僕達の日常が彩り豊かなものになるんだろうなって、確信があった。
急ぎ足でも、ゆっくりでもいい。僕達のペースで前に進んでいこう。
見切り発車の僕らの旅は、ここから始まるんだ。
超特急論破【END】