ふと思い付いた物語の冒頭です

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ある世界のお話

 

 それは遠い遠い昔、神話の時代の出来事。

 この国が興るよりも遥か昔、未だ世界に神秘が満ち溢れ、精霊達が人と共にあった神代のお話。

 

 その時代の人々は精霊達と強い絆で結ばれており、人が年頃になると一体の精霊が現れ、その人と一生を共にしたという。また、それが一人前になったと、成人したという証しでもあった。

 そして人々は精霊と協力し合い、争う事もなく、慎ましやかだが餓えや渇きとは無縁の生活をしていた。

 

 しかしそんな時代も永遠には続かなかった。一人の邪悪な心を持った人間が生まれたのだ。後に魔王と呼ばれる存在である。

 

 魔王は全てを手中に納めんと人々を虐殺し、精霊達を捕まえ奪い取っていった。そしてその精霊達をその邪悪な力でもって染め上げ、無理矢理使役したという。

 自然の力の結晶である精霊達はその在り方を歪められ狂っていき、豊かだった大地は荒れ果て不毛の荒野へと変わっていった。

 

 当然魔王に抵抗する者達もいた。しかし、争いを知らぬ平和な世界で育った人々や精霊達は誰も戦い方を知らなかった。そして一人、また一人と勇気ある者達は倒れていった。

 そして魔王の力は世界の殆どを被い尽くし、狂った精霊達は生きとし生けるもの悉くを焼き払い、世界は終焉へと向かっていった。

 

 ほんの僅かに残った人々は最早祈る事しか出来なかった。

「大いなる神々よ、どうか我々をお救い下さい」

 そんな願いが伝わったのか、はたまた世界の終わりに対する抗体なのか、世界の礎となっていた八体の精霊王が目を覚ました。

 火、水、風、土、雷、光、闇、そして命の精霊王達、そしてたった一人になってしまった最後の勇気ある者は協力し、魔王の軍勢と戦った。

 

 その戦いはとても長く、激しいものとなった。如何に精霊王といえど世界の殆どを滅ぼし、その力の全てを平らげた魔王を相手にするのは分が悪かったのだ。しかしそんな劣勢の中でも絶望することなく立ち続ける勇気ある者の在り方を見て、残っていた他の人々も立ち上がった。

 

 長い戦いも終には決着する時がきた。

 最後の勇気ある者の、精霊王達の力を集めたその一刀が魔王を下したのだ。

 

 魔王は奪った力の全てを失い地に伏した。しかし魔王を完全に滅ぼす事は出来なかった。魔王の邪悪なる魂を砕く事で世界に悪意が拡散するのを恐れたのだ。そのため精霊王達はその魂を封印し、世界の外側へと追放した。

 

 ここに平和は成った。

 

 役目を終えた精霊王達は世界へと還っていった。世界には法が布きなおされ、荒れ果てた大地には命が芽生えた。

 

 八体の精霊王達は二度と魔王が生まれることが無いない様に、各々の力でもって八本の楔を造り世界に打ち込んだ。

 楔によって一つだった世界は二つに分かたれた。隣同士であり、繋がってはいるが混じり合う事の無い世界へと。

 一つは精霊界、精霊たちが住まい暮らす神秘によって成り立つ世界。そしてもう一つは今我々が暮らしている物質世界である。

 

 人間と精霊の絆は断ち切られた。第二の魔王が生まれる事はもう無いだろう。

 

 精霊の消えた世界で残った人々途方にくれることとなった。しかし慈悲の心を持った幾許かの精霊たちは物質世界に溶け込み微かな神秘が残った。人々はこれを操る術を見つけそれを魔法と名付けた。

 

 新たな力である魔法によって人類は発展していった。

 新しい時代の始まりである。

 

 目覚ましい発展を遂げる新時代。

 そんな中、最後の勇気ある者、後に勇者と呼ばれる世界で唯一人精霊の力を扱う事を許されたその人は、いつの間にか人々の前から姿を消していた──。

 

 

 

 ………………

 

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 

「……でだ、その勇者の末裔が我々エルフィーリスの民だと言われている。もっともこのクソ田舎の辺境にしか伝わっていない伝承だ、本当かどうかは判らないがな」

 

「……」

 

「しかしながらこの場所は楔が打ち込まれているとされている八ヶ所のほぼ中心に位置している。また、我々の血族のみがこの場所で精霊と契約を結ぶ事ができることからいって伝承に近い事柄があったのは確実だろうな。千年を越える我々の記録でもうちの血族以外が精霊魔法を操ったという記述は見つけられないしな」

 

「…………」

 

「知っているとは思うが魔物は魔王の悪意によって変異した存在であり、魔物が増える事によって人々の心は暗黒面に傾きそれによって更なる魔物が生まれる。その負の連鎖によって最後には追放したはずの魔王を呼び寄せてしまうと言われている。そうならないよう我々エルフィーリスの民は魔物を狩り世界に悪意が満ちるのみ防ぎ、また世界の楔に邪な存在が近付かない様に守護することを使命としている」

 

「………………」

 

「後数日もしたらお前も成人の儀に挑む事になる。エルフィーリスの民としての心構えを忘れずに儀式に挑めばきっと精霊も応えてくれるだろう。そもそもお前はだな──おいっ聞いているのか貴様!」

 

「ねぇちゃん話長いよー。引退した爺さん方にも毎日の様に話されてるのにねぇちゃんにまで話されたら流石に参っちゃうよ」

 

「お前のそのだらけた姿勢がいけないんだろうがっ! うちの一族も数が減ってきて使命を全うするのが難しくなってきているというのに……久し振りの成人がお前では御老公方が心配するのも無理もないだろうが」

 

「ねぇちゃんだって俺とそう変わんないじゃん」

 

「私は族長としてこの地と民を護らなくてはいけないだろうが! まったく──頼むからしっかりしてくれよ……」

 

「はーい」

 

 

 

 

 この時、この少年が新たなる勇者に成るとは誰も創造出来なかっただろう……。




人物設定

主人公
クソ田舎の辺境で自由気ままに過ごしてきた少年。この度16歳になり成人の儀に挑むこととなる未来の勇者くん。

族長
最近親から族長の地位を受け継いだ19歳の少女。主人公とは幼馴染ともいえる関係で姉のように接してきた。
契約している精霊は珍しい二属性をもっており雷と風を自在に操る霊鳥。
本人の戦闘法は槍と刀を同時に扱う一心様スタイル。普通に強い。





適当に思い付いた設定で書いてみた。多分続かない。

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