GUNGRAVE -OVER DOLLS-   作:ガロヤ

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タイトルはダジャレ(2回目)
あと、お気に入りが100件を越えたこと、ありがとうございます。


1-10 墓と冥土と冥途

 廃れた教会内に銃声が鳴り響く。

 二体のエージェントによるプラズマ砲の掃射を、グレイヴは柱を遮蔽物にして耐える。

 グレイヴは攻撃の間隙をぬって、柱の陰から駆け出しエージェントを攻撃しようとする。グレイヴの視界に教会の出入り口に立つ一体のエージェント(・・・・・・・・・)が映る。

 

“──!?”

 

 消えた一体の行方。それに気づいた直後に背中に感じた殺気に、グレイヴはとっさに倒れ込む。

 間一髪、倒れたグレイヴの直上を通る弾幕。弾幕のする方を見ると、窓枠の上に立つエージェントがいた。

 

「ちっ、勘がいいですわね……」

 

 攻撃をかわされたエージェントは軽く舌打ちする。

 グレイヴは倒れた状態のまま、両手のケルベロスを二体のエージェントに向ける。二体のエージェントは、グレイヴが引き金を引くより早く身を隠した。

 グレイヴは牽制射撃をしながら起き上がり、反対側の窓から外に出る。

 教会を離れ、周囲を警戒しながら廃ビルへと入る。二階へ上がったグレイヴは、道路を一望できる窓際に立ち、思案する。

 突如、二人になったエージェント。しかし、それがかつてM4やM16から教えられた“ダミー人形”の技術によるものだと、グレイヴは知っていた。

 本体(ホスト)の人形と結びつき、その姿と戦闘能力を模して共に作戦行動をとるダミー人形。

 グレイヴは初めてM4のダミー人形を見た時、その気配のなさを怪しく思いながらも声をかけてしまい、横にいたM4の本体とM16に笑われたことを思い出す。

 性能は本体(ホスト)と同じ。命令を受けて実行するのに時間差がないことも、先程の教会内で身を隠した手際から容易に推察できる。

 厄介だな、とグレイヴは思いながら窓際から外を覗きこもうとし──、突如、壁面が衝撃と瓦礫と共に、砕け散った。

 

“!?”

「隠れても無駄ですわ!」

 

 対面するビルの三階から、二体のエージェントがグレイヴを狙い撃つ。どうやら、隠れるところを盗み見られていたらしいと、グレイヴは推測する。

 グレイヴはビルの奥へと避難する。直後、後方からバチバチと何かが帯電する音が聞こえた。

 その音がエージェントのプラズマ榴弾を発射する前兆であることを知ったグレイヴは、急いで窓から外へと飛び出す。

 発射音。そして、爆発。

 グレイヴがいた廃ビルの二階から爆発と衝撃が発生し、飛び出したグレイヴもそのあおりを喰らう。勢いよく地面へと落下したグレイヴは、道路にあったスクラップの乗用車へと突っ込む。グレイヴと棺桶(デス・ホーラー)の超重量で、車は無残に潰された。

 グレイヴは起き上がる。その刹那、ビルの二階から砲口を向ける二体のエージェントがグレイヴの視界に映る。

 車上を横に飛ぶグレイヴ。直後、潰れた廃車は、エージェントの攻撃により粉々になった。

 受け身をとって即座に立ち上がったグレイヴは、エージェントの弾幕をかいくぐるが、エージェントのエネルギー弾が左肩を掠める。掠れてなお大きく肉を削り、鮮血が噴き出るが、その傷はすぐさま修復した。

 

「大人しく塵になりなさい!死体野郎!」

 

 エージェントの罵声。それを耳にしながらグレイヴは走る。

 二体のエージェントの猛攻の前に防戦一方のグレイヴは──、それでも些かの焦りはなかった。

 エージェントの人形としての身体能力は高く、武装は強力だが、その一方で罵声を発しながら攻撃するエージェントには油断があるように見えるとグレイヴは感じた。

 自らの力を誇示するかのような立ち振る舞い、言動が目立つエージェント。まるで力に酔っている様は、初めて出た銃弾飛び交う鉄火場で、死の恐怖と、敵を撃ち殺した事で生まれてしまった高揚感により、極度の興奮状態になった新米(ルーキー)に似ている、とグレイヴは思った。

 かつてグレイヴはM16から、鉄血工造のAIが人類に反逆し、戦い始めてから半年しか経っていないと聞いている。もしかしたら、実戦経験の少なさ故、精神的な未熟さがまだ目立っているのかもしれないと、グレイヴは推察した。

 

“奴の隙を突く”

 

 グレイヴはエージェントの攻撃をかわしつつ、機を伺っていた。

 

 

 

 

 

“いい加減っ”

 

 エージェントは苛立ち始めていた。

 ダミーとの連携により、反撃の隙を与えず、グレイヴを追い詰めながらも、未だに仕留められていないことが、エージェントの苛立ちを募らせる。

 それだけが原因ではない。本来の使命である、グリフィンの人形たちが回収した第3セーフハウスのデータ(ご主人様が求めているもの)の奪取もまだ達成できていない。エージェントの想定になかったグレイヴとの戦闘で時間を無駄に消費し、下手をすれば、人形小隊の逃亡を許しかねない。

 焦るエージェントのプラズマ砲のエネルギー弾が、走るグレイヴの肩をかすめる。大きく肉を抉るその傷をグレイヴはすぐさま修復させる。

 

“まただっ”

 人間、人形問わず粉々にするはずの自身の兵装の攻撃を喰らってもなおそれに耐え、あまつさえその傷を瞬く間に修復するグレイヴの能力。何度攻撃を喰らわせても、立ち続けるグレイヴに対して、エージェントは不死身の怪物を想起させる。

 

“馬鹿なっ……!ありえませんわ……!”

 

 エージェントは即座にそれを否定する。──不死身などありえない。絶えず攻撃し続ければ、いずれ男は倒れる。

 

「大人しく塵になりなさい!死体野郎!」

 

 エージェントは罵声を発しながら、グレイヴを攻撃する。

 逃げるグレイヴは、近くの廃家へと逃げ込んだ。

 

「無駄ですわ!」

 

 エージェントは先程のビルでの攻防と同じく、自身のダミーと共に足を止め、大口径プラズマ砲のエネルギーチャージを開始し始める。

 バチバチと砲身が帯電し始め、プラズマ榴弾の発射態勢に入る。

 

「吹っ飛びなさい!」

 

 エージェントはプラズマ榴弾を発射させる寸前──、廃家の窓から突如出てきた、ライトヘッドでこちらを狙うグレイヴを見た。

 火を噴くライトヘッド。放たれた銃弾は、エージェントのダミーの帯電するプラズマ砲に当たった。

 

“しまっ!?”

 

 思考する間もなく、エージェントのダミーの砲身が爆発する。蓄積したエネルギーが強大であった為か、その爆発は隣にいた本体をも巻き込む程であった。

 巨大な噴煙を上げ、爆発の中心にいたエージェントのダミーは原型をとどめられない程に、無残に砕け散っていた。

 爆発に巻き込まれたエージェント(本体)もまた、その身体を焼かれ、右半身を大きく損傷させる。右腕、右足は欠損し、地面にうずくまる態勢をとっていた。

 

“やら……れたっ”

 

 エージェントは歯を食いしばる。追い詰めていたはずが、逆にしてやられた屈辱に身悶えする。

 エージェントは自身の状態を確認する。右側プラズマ砲は喪失、右腕と右足は損壊して機動力は大きく低下していた。

 

“だが……まだ……”

 

 エージェントは残った左足だけで立ち上がろうと、膝を立てて──しかし、銃撃で左足も破壊され、うつ伏せに倒れ込む。

 エージェントは頭のみを動かし、銃撃された方向を見る。見えたのは、銃を構えたグレイヴが近づく姿だった。

 倒れるエージェントの頭上にまできたグレイヴは、巨銃の銃口をエージェントの頭に向ける。その姿を、殺意と憎悪を込めて、エージェントは睨む。

 

「クソったれ……」

 

 銃声。エージェントの意識はそこで途切れた。

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