GUNGRAVE -OVER DOLLS-   作:ガロヤ

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前回の更新から間が空いてしまいました。更新不定期タグをつけるかな。


黄昏の破壊者-4

驚くM4とAR-15が見つめる中、男は自身の右側の壁に設置された収納ラックを見る。そこに近づき、ラックの取っ手を掴んで乱暴に開ける。反動で劣化していたラックのカバーの取り付け部分が壊れ、カバーが床に落ちる。その際にカバーの裏側に設置されていたのだろう、何か重いものがカバーから床に跳ねて落ちる。

 それはハンドガンだった。だがその大きさが尋常ではない。目算して全長が約60cmあり、銃身が異様に太い、巨大な漆黒の巨銃。それが2丁もある。そして、銃には十字架のパーツが取り付けられ、それぞれ赤色、白色に分けられていた。

 銃の型式や種類を記憶しているM4やAR-15が見たこともない銃。だがラックの中に掛けられた中身が露わになって、今度はそちらの方に目を奪われた。あれはなに、というのが2人が抱いた共通の疑問だった。

 巨大な髑髏が目を引く人骨をモチーフにしてデザインされたと思われる異形の箱、しいて形容するとしたら‘棺桶’のようなものが出てきた。見ただけでそれがとてつもない重量をもち、人間なら持ち上げることができず、戦術人形の膂力でも苦労しそうだと感じさせる代物だった。

 男はその棺桶の両端に繋がって接続された鎖を持ち、ひょいっと持ち上げ右肩に掛ける。男は棺桶が腰の後ろ辺りで吊るされたのを確認し、それからしゃがみ、床に落ちた2丁の巨銃を拾い、持つ。そして緩慢な動作で歩き始めた。ぎしぎしと音を立てながら、ゆっくりとしたぎこちない足取りでM4たちのいる方、ドアの方へ向かう。外は銃弾が飛び交う戦場でありながら、まるで気にしていない、気づいていないそぶりで歩く。

 M4は男が外に出ようとしていることに気づくが、驚きと混乱の連続で、男を止める行動ができなかった。AR-15も同様であった。

 男は2人を素通りし、遂にコンテナ外へと身を出した。

 

 

 

 

 

 鉄血兵たちがドアの前に出てきた男の姿を確認する。そして、あれほど激しかった銃撃が突如止んだ。

 

(攻撃が止んだ・・?)

 

 AR-15は鉄血兵たちの攻撃停止に疑問を持ちながら様子を見る。

 鉄血兵たちは男を注視し、銃を構えているが、仲間同士で顔を見合い視線を交わしながら、なにかを確認し合っている。どこか困惑しているような印象を受けた。

 攻撃が止んだことを不審に思ったのだろう、外にいたM16とSOPⅡもドア前に立つ死体の男に気づき、同じように驚いていた。

 驚きが場を支配する中、鉄血兵たちは再び銃口をM16のいる方へ向ける。が、ドアの前にいた男は少ししゃがんで、両脚に力を込める。そして一気に飛び上がる、

 男は助走なしで5mくらいの高さまで上がり、自身の前方方向へ跳躍、コンテナからおよそ15mくらいのところで着地する。着地時に地面が雪上だったために、滑りながらも、男はバランスを崩さずに、約5m程のところで停止した。

 男の位置はあっけにとられるAR小隊と鉄血の部隊の中間に挟まれた位置で立つ。男は鉄血兵たちを睨み、自身が持つ2丁の巨銃の銃口を向け、引き金を引いた。

 轟音。それとともに放たれた銃弾がヴェスピド1体の頭に命中し、生体パーツをまき散らしながら吹き飛ばされた。頭が完全に潰れており、銃の威力の大きさが見て取れた。

 仲間がやられたからだろう、男を敵性存在だと認めた鉄血兵たちは銃を向け、一斉射撃する。

 くらえば戦術人形、ましてや人間なら原型を留めることなく絶命する死の弾幕。男はその銃弾の雨をくらい体を揺らしながらも、立ち続け、構えを解いていない。

 男はゆっくりと鉄血兵たちの攻撃を受けながら歩き、2丁の巨銃から弾丸を放つ。歩行しながらも正確な連射で1体、また1体と鉄血兵が倒れていく。

 なんとか男を倒そうとリッパー2体が左右に分かれて射撃しながら男の方へ前進し挟み撃ちする。

 男は向かってくるリッパー2体に腕をクロスさせて銃口を向け、射撃する。攻撃を受けなすすべなくリッパー2体は吹き飛ばされながら機能停止する。

 男の異常な戦闘能力と戦い方にあっけにとられるAR小隊。しかし、ジャガーの迫撃砲の射撃音を聞いたM4は我に返って空を見上げる。男の頭上付近で落ちてくる榴弾を視認する。

 

「危ない!避けて!」

 

 男に回避を促すが間に合わず、男の頭上で榴弾が爆発した。爆発の煙が晴れ、男の身体が見えてくる。爆発で男の身体は無残にも砕け散っ・・・ていなかった。

 男はいつの間にか吊るした棺桶を頭上に持ち上げ、自身の身体を覆い隠し、棺桶で爆発を防いでいたのだ。

 男は榴弾が発射された方を睨む。密集する鉄血兵たちを盾に守られる自走可能のメカの姿。それを確認した男は、頭上に持ち上げていた棺桶を今度は右肩に担ぐ。まるでバズーカの構えの様だとM4たちは感じたが、奇しくもそれを男の近くにいて見ることができたSOPⅡだけは攻撃の為だと確信した。棺桶には巨大なハンドガンの銃身に酷似したパーツがついていたのを確認できたからだ。

 男はジャガーと密集した鉄血兵に狙いを定める。そして、棺桶からエネルギー弾が轟音と共に発射される。その弾はジャガーに着弾して、爆発を引き起こす。その衝撃はすさまじく、近くの鉄血兵たちも爆発に巻き込まれ体のパーツがバラバラとなって飛散した。ジャガーの残骸は炎を放ち、煙を立ち上げながら燃えている。鉄血兵たちも先程の攻撃で全滅したのだろう、反応がない。

 男は棺桶を下ろし、燃え上がる炎を前にして十字架のマークを背負うジャケットの背中を驚愕するM4たちに見せながら佇んでいた。

 

 

 

 

 

 鉄血の反応がなくなったのを確認したM4とAR-15はコンテナの外に出て、それぞれM16とSOPⅡの元へ向かう。

 

「M16姉さん!ダメージは?」

「私なら平気だ・・ペッペッ」

 

 M4の腕を掴み立ちながら、M16は口に入った土やら雪を吐き出す。SOPⅡは、木の陰から出てきて自身の落とした銃を拾ったAR-15から銃を手渡されていた。どうやら問題ないらしい。

 

「それにしてもだ・・」

 

 そう言ってM16は男の背中に目を向けて、警戒を解かずに銃をすぐに男に向けられる体勢をとる。

 死亡を確認していたはずなのに、動き出した男。更には、人間では持ち上げられない馬鹿げた2丁の巨銃と棺桶の様な武装を持ち上げる膂力と、人間では不可能な高さと距離を飛ぶジャンプ力を持つ身体能力、鉄血の最新の兵器の攻撃を受けてなおその身を保ち耐えた馬鹿げた耐久力、その力をもって男は鉄血兵の部隊を全滅させた。

 AR小隊としては男に助けられたかたちで敵が退き、生き残ることができたのは幸運だったが、正体のわからない動く死体の男の異常さを前にして警戒を緩めることができない。

 M4は、男に対して警戒心はあるものの、仲間を助けてもらったという思いが強い為か、銃を向けることをためらってしまう。AR-15とSOPⅡも臨戦態勢に入るものの、M4に対してどう対応するかを視線で訴えていた。

 AR小隊と男の間に緊張が走る。その時、男の方から動きがあった。男の上半身が突然、震え始めたのだ。その震えは足、体全体へと広がり、肩に掛けてあった棺桶を地面に落としてしまう。ずしんと音を立てて棺桶が地面に沈んだ。

 力が入らなくなったのか足から崩れ落ちて地面に膝をつけてしまう。倒れこまないように男は手を地面につけてなんとか支える。

 突然崩れ落ちた男に戸惑うAR小隊の面々。それを見ていたM4は思わず男の方へと走る。

 

「M4!?待て!」

 

 M16の制止の声を聞かずに男の右側の近くまで駆け寄り、しゃがむ。

 

「すいません!?大丈夫ですか!?」

 

 男に声をかけるM4。男は相変わらず震えながら体を懸命に支えている。

 ちらりと、男はM4の方に視線を向ける。息をのむM4。男はじっとM4を見つめる。そして、遂に限界だったのか、男は瞼を閉じ、倒れこんでしまった。

 

 

 

 

 私は倒れてしまった男の状態を確認する。コンテナ内ではなかった男の脈拍と呼吸を今、弱弱しくも確かに感じ取ることができる。でも、皮膚は相変わらず冷たく、おかしなことに死人であることも同時に感じさせた。

 死んでいた男が動き出し、人間を超えた力で鉄血兵たちを撃破し、自分を、仲間を助けてくれた。そして、先程、倒れる前に自分を見た男の目。気のせいかもしれないがどこか男の目には安堵のようなものが浮かんでいた気がする。得体のしれなさに怖いなと思いつつも、どこかでこの人は大丈夫だと思う自分がいた。

 私は意を決して口を開く。

 

「この人を連れて帰ります。」

 

 私の言葉にみんなが茫然となる。しばらくして我に返ったAR-15が言う。

 

「・・・あんた、本気?」

 

 AR-15が言外にこの男は危険だと言っている。AR-15の気持ちもわかってる。それでも助けたい。

 

「リーダーの指示ならしょうがないか~」

「M16!?」

「M16姉さん・・」

 

 M16姉さんが自分に賛成してくれた。

 

「危ないのはわかるんだけどさ、こいつのおかげで命を拾った訳だしな。ほっとくのも癪だろ」

 

 なっ、とみんなを見るM16姉さん。

 

「でもどうするの?応急処置とかなにすればいいかもわからないよ?」

「ペルシカさんなら何とかしてくれるかもしれない、幸いあのコンテナからデータも回収してるしな」

 

 そう言いながらM16姉さんが男を肩に担ぎあげようとする。

 

「M4は先頭で周囲の索敵を行いながら進んでくれ、男と荷物は私たち3人が引き受けた」

 

 男を担ぎ上げたM16姉さんは頼もしく言ってくれた。

 

「全くしょうがないわね」

「重っ!?この骸骨の箱すごく重いよ~、手伝ってAR-15~」

「はいはい、ちょっと待ってて」

 

 あの銃と棺桶もどきはAR-15とSOPⅡが協力して運んでくれることを確認し、私は索敵システムを起動する。

 人形である自分が抱くにはおかしいかもしれない、なにかの始まりを予感しながら。

 




これにて序章が終わりです。自分で読み返すと1話あたりの文量少ないなとか、ここの表現とか文おかしいなとか反省することばかりです。とにかく今は書きまくって中身と量を濃くしていきたい、読んでくれる人が面白いと思ってくれるものにしていきたい。
ドルフロと発売から16年経ってるゲームとのクロスオーバーですが、好き勝手やっていくのでよろしくです。
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