駐車場にバイクを取りにいった後、そのまま圭太郎さんの店に無事に着いて、今はお互い背中合わせでアイロンをかけながら話している。
「いやー、助かるよ〜たっくん!やっぱり持つべきものは友だよ!」
「そんな大袈裟ですよ。」
「ううん!バイト入ってる時以外で、最近みんな構ってくれないし僕だけ仲間外れにされるからたっくんがきてくれて嬉しいよ!」
「あはは…」
うーん……真里さんと優一さんが構ってくれないのって多分––––。
〜♪
「あ!
「…」
大丈夫って、今仕事してる最中ですよね…?まあ、多分2人が避けてる理由ってこれだと思うけど…。実は圭太郎さんにはお付き合いしている彼女さんがいる。ネットから知り合ってそこから圭太郎さん曰く、「運命的な出会いをした」…らしいです。自分も詳しい事は聞いてないからわからないですけど。
多分ですけど、今みたいに(裏での)仕事中に電話とかメールを受け取ったらいつもああいう風に結花さんにデレデレになるらしい。真里さんと優一さんはいつも隣でニヤニヤしている圭太郎さんを見てイライラしてるんだと思う。というかこの間2人して僕にその事を愚痴ってきた。その時、「拓海が何とかしてくれ」なんて言われたけどどうすればいいっていうの…。
とりあえず声かけないと。このままじゃ一向に仕事が進まないまま日が沈んじゃうので、圭太郎さんの肩を軽く叩いて電話の邪魔にならないように小声で話しかける。
「あの…圭太郎さ「ごめんたっくん、後でにしてもいいかな。もしもし?ごめんごめん」……」
…駄目だこれ。まぁ、こんな感じで結花さんの事になると圭太郎さんには手がつけられなくなる。とりあえず僕だけでも仕事に戻ろ。圭太郎さんはそのうち戻ってくると思うしね。
ちなみに、圭太郎さんが戻ってくるまでに40分かかった。お婆さんの長電話だと思ったのは内緒の話。
「ふぅ、これで一通り終わったかな?お疲れたっくん。」
「お疲れ様です。」
はぁ…疲れた。何とか夕暮れ時に終わらせることができた。アイロンがけ(7割)やってお客さんも当然くるから接客したり。しかも今日は休日だから来客する人も多くてかなり疲れた。けど、たまにはこういう忙しい時間があっても悪くはないかな。
にしても今日は、中々濃い1日だった気がする。昼間に公園で倉田さんとばったり会って、一緒に昼食をとってそのあとは圭太郎さんのお手伝いして。なんかいつもと違って楽しかったなぁ。
「はい、たっくん。」
「あ、ありがとうございます。」
圭太郎さんから、コーヒーを貰って僕たちはソファに座って一息つく。あー、コーヒー飲むと落ち着くなぁ…。圭太郎さんはテレビをつけると僕を呼びテレビの方を指さす。テレビの方に視線を向けると、見たくもないのに妙に見慣れCMが流れていた。
『Life is frail.』
『Life is limited.』
『So why don’t you think about true life.』
『Be smart,true life is your start.』
そのCMは、とある企業の紹介を示す内容で、時折1人の女性が青い蝶と写り込み、次に水面に浮かぶヒツジグサから、カメラやバイク、お酒などの映像が浮かび上がってくる。恐らく、このような商品を展開しているという方針を表しているのだろう。そして最後に女性の指に蝶が止まり会社のロゴが出てくるという少し変わったCMだ。
そのCMを拓海と圭太郎、主に拓海は強く睨み付ける。何故、2人は今流れたCMを睨んだのか、その理由はまた別のお話……。
すると、玄関のドアが開き見知った人物が疲れ切った顔立ちで入ってきた。圭太郎はテレビの電源を切り、入室したきた人を出迎える。
「あ、真里ちゃんお帰りなさい!」
「ただいま〜…あ、拓海きてたんだ。いらっしゃーい。」
「お邪魔してます。」
彼女が『
バイトを掛け持ちしている理由としては、彼女は美容師になる事を夢としているため美容師としての修行を積むためにバイトを掛け持ちしている。
「あ、拓海今日ご飯食べてく?」
「え?良いんですか。」
「そうしなよ!折角来たんだからさ!」
遠慮しようかなと思ってたけど、2人が了承してくれるなら食べていこうかな。そうなると家に電話しないとな、後で美奈に連絡入れとこう。
「それじゃあお言葉に甘えて。」
真里さんが晩ご飯の支度を、圭太郎さんが向かいで携帯を弄ってニヤニヤしてる。おそらく結花さんだろう。僕は、ただ座ってコーヒーを飲んでいるだけ。流石に何もしないってのもあれだから真里さんのお手伝いでもしようかな。
「真里さん手伝いますよ。」
「ああ、いいよいいよ。私やるから、拓海はさっきまで圭太郎手伝ってたんだから休んでて。圭太郎ー?あんたは手伝……って、あの状態じゃ無理か…はぁ。」
真里さんは圭太郎さんを見てため息を吐く。
「…やっぱり、手伝いましょうか?」
「…お願い。」
苦笑いしながら顔を見合わせて、共に晩ご飯の準備に取り掛かる。真里さんも苦労してるんだなぁと感じる僕であった。
…あれ、そういえば優一さんは?
「真里さん、そういえば優一さんはどうしたんですか?」
「え?
「そうなんですか。」
ここで、僕はもう一つ思い出したことがあった。
「ところで真里さん、あれからどうなってますか?」
「何が?」
「優一さんとの距離は近くなりましたか?」
「へっ!?」
真里さんは両手に持っていた鍋を離して自分の足に落としてしまった。あまりの痛さに悶えていた。
「〜っ!!」
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけ、ないでしょ…!」
赤面しながら僕のことを軽く睨み付けてくる。真里さんと優一さんこと『
2人は同級生で小さい頃から一緒にいて仲が良かったらしくて、優一さんは昔から真里さんのことを想っていた。真里さんは中学ぐらいの歳に好意を抱いたらしい。
それと多分、今の反応から察するに全然進展してないんだろうな。そんな事言っている自分もそもそもそういう相手が身近にいないんだけどね…。
「はぁ…全く変なこと言って驚かせないでよ。」
「ごめんなさい、でも気になってつい…。」
「罰として、今日は予定を変更して鍋にしようかなぁ〜!」
「えぇ!?ちょっと、それはあんまりですよ!」
ここに「2人して何騒いでるの?うるさいよ?」と圭太郎さんも乱入してきて更に騒がしくなってしまいこの後、お隣さんに怒鳴られてしまった。
ちなみに、晩ご飯の鍋化は止められませんでした。
◇◆◇◆◇◆
一方その頃、太陽はもうすぐ隠れ切るぐらいまで沈みかけて外は辛うじて明るく、街頭が機能し始めた住宅街の道路に、よろよろと不規則的な歩き方をする男が一人。この男は昼間に商店街にいた男だ。男の目は相変わらず虚の目をしていて今何処へ向かおうとしているのか把握できない。
T字路に差し掛かったとき、左側の道路から歩いてきた中年の男性2人とぶつかってしまい男は倒れてしまった。
「おぉいにいちゃぁあん!どこ見て歩いてんのヒック。」
「怪我したらどうすんのぉ!?」
異様なテンションで男に話しかける2人。どうやら酒の飲み過ぎで酔っ払っているようだ。最初に話しかけてきた男性が、男の胸ぐらを掴んで無理やり起き上がらせる。
「ちゃんと前をッ向いて歩きなさいっ!わかりましたねぇ!?」
「何か言いなさいよ!えぇっ!?」
酔っ払い2人の言葉を聞いた男は両腕を2人の前に持ってくる。そして顔を上げて言葉を発しようと口を開ける。
「…お…前らも、主人の……家来と…な、れ。」
男にしつこく絡んでいた酔っ払いの男性2人がなんの脈絡もなく地面に張り付くように倒れる。
そして次の瞬間、男性2人の全身が
男は、その光景を見て舌打ち打ち再び不安定な歩き方で前へと進む。が、彼の目の先に人影が見える。それを確認した男は、ニヤリと奇妙な笑みを浮かべその人影に近づく。
距離を縮めていくと、だんだんと人の姿が鮮明に見えるようになる。
透き通るような銀髪で、空色のような淡い青色のワンピースをきた女の子が、片手に買い物袋持ちながら歩いていた。
次回、この物語の歯車がようやく動き始めます。
何が巻き起こるのか、把握している方もしていない方もその時が来るまでお待ちいただければと思います。
追記(3月16日1:12)
3月15日に投稿する予定でした『赤い閃光』諸事情により17日に変更いたしました。本当に申し訳ございません。詳しくは活動報告をご覧ください。
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