青き蝶達は華麗に舞う   作:アポーパイ

7 / 8
星9の評価をしてくださった
「海龍のビルゲニア」様
ありがとうございます!


第七話 人間を超えた存在 ※追記4/12

「あ、あそこだ。」

 

 学校から暫く歩いて、稚さんに教えてもらった道順で歩いて行くと、狭い路地の中に壁掛けの看板に大きく『ラドリオ』と書かれた看板があった。近づくと、喫茶店ならではのコーヒーや、カレー…?の匂いが香ってきて、外観は写真で見た通りレンガ調の壁と手書きのメニューがレトロな雰囲気を醸し出してて老舗って感じがする。

 

 店の中は…お客さんがいっぱいで席が全部埋まっちゃってる…。そんなに人気なのかな…。店員の人も、凄い忙しそうにしてるし。というか、私が入っても大丈夫かな…?店内もオシャレで並んでるお客さんもオシャレな女性の人ばっかで、学生がいっぱいいる喫茶店とかっていうよりは、大人の人達が来るようなお店な感じがして、稚さんに来てって言われたとはいえ並ぶのすらすごい緊張する…。

 

 緊張しながら並ぶ事10分ほど経過した頃、ようやく店内に入ることが出来た。店内は少し薄暗く、流れる洋楽も相まってかとても落ち着いた雰囲気。よく見るとテーブル席に何人か制服を着てる女の子を見かけたので少しホッとした。すると一人の店員さん––––もとい、稚さんがやってきた。

 

「いらっしゃいませ、倉田さん。」

 

「こ、こんにちは…。すごい混んでますね」

 

「ごめんね、いつも平日は混んでないんだけどたまたまね。テーブル席一つ空いてるから閉店まで待ってくれる?もう少しで終わるし、マスターには許可貰ってるから。」

 

「わかりました…。」

 

 そう私に伝えて、持ち場に戻って行った。お店の雰囲気に慣れないせいか、ソワソワしながらぞろぞろと帰っていくお客さんを見ながら待っていると、最後まで残っていたカウンター席の男性が帰ってこのお店には私とお店の人しかいなくなり閉店となった。

 

「ありがとうございました。」

 

 稚さんは、男性にしっかりとお辞儀をしてからエプロンを取り私が座っている席まで歩いてくる。

 

「お待たせ、倉田さん。だいぶ待たせちゃったね。」

 

「いえ、全然大丈夫です。それで…」

 

「…うん、そうだね。ちゃんと話さないとね。」

 

 稚さんは私と向かい合うように座って、真剣な表情で語り始める。

 

「まずは…あの怪物のことから話そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

『オルフェノク』

 

 一度死を迎えた人間が知的生命体として再度覚醒する人類の進化体。

 

 その力は人ならざる力を持ち

 

 その身体は銃弾を貫通させないほどの強靭な肉体を有する。

 

 通常の姿は生前の人間の姿と同じもの。オルフェノク化をしても個体の記憶、人格は引き継がれ身体能力のみが変化する。しかし、オルフェノクになったからといって傷病など体調を崩さないようになるわけではない。通常時は人間と然程変わらない。

 

 そして、自らの意思で人間の姿から灰色の異形へ。

 

 それこそ、オルフェノク本来の姿。

 

 オルフェノクの姿は、その者が意識の奥底に潜在的に抱いている『戦う姿』が具現化したもの。そのため、一人一人のオルフェノクとしての姿は異なる。

 

 オルフェノクの多くは肉体が変化し手に入れた強大な力に溺れ、人間性を喪失し人間社会に紛れながら密かに人間たちを襲っている。しかし––––。

 

「全てのオルフェノクが、人を襲ってるわけじゃないんだ。中には人間との共存を望んだり、人間として生きる穏健派のオルフェノクもいるんだ。」

 

「穏健…派?」

 

 そう、拓海が発言したとおり人を襲わずに人間の時と同じ生活をしているオルフェノクも少なからずいる。穏健派のオルフェノクの多くは、人間としての生活が有意義に感じている人達で、静かに暮らして生きている。

 

 しかし、実際に人間の時のような静かな暮らしを出来ているオルフェノクは僅か。大半のオルフェノクは覚醒直後、とある企業から接触を受け企業に従わないオルフェノクは『裏切り者』と称され抹殺されてしまう。

 その『裏切り者』の対象は「人間を襲わないオルフェノク」「人間として生きているオルフェノク」つまり穏健派のオルフェノクが始末の対象となっている。

そのため、オルフェノクに覚醒し人間と同じ様に生きようと志しても、とある企業に人間を襲いオルフェノクとして生きろと催促され従わずに殺される者が多く、命令に従ってしまったオルフェノクは力に溺れてしまい結局は企業の思う壺になってしまうのだ。

 

「僕は…友人の受け売りなんだけどね、オルフェノクの中にも人間の心を持ったオルフェノクがいる。オルフェノクとして覚醒しても人間の心をを無くしてない。それはもう、人間と同じなんじゃないかなって。そう思うんだ。」

 

「人間と同じ…」

 

「だから、僕も僕の友人も願っているんだ。いつか人間とオルフェノクが共存できるって。」

 

「まだ、ちょっと……私には想像つかないかもです。」

 

「まぁ、そう思うよね。でもそれが普通だと思うよ。誰だってあんな化物……間近でみたら怖がるもんね。」

 

 

 

 

 この時、ましろは拓海の少しの変化に気づいた。

 

 

 

 

(…?稚さん、今、一瞬辛そう(・・・)顔したような……?)

 

 

 

 

 拓海は一瞬、苦笑いをしてそう答えた、ましろは拓海が「化物」と発言したときの表情が悲しんでるような見えた。しかし、瞬きをしたときにはいつもの表情に戻っていた為さっきの表情は気のせいだと感じてしまう。

 

「…どうかした?」

 

「え、あ、そ、そうですね…。そういえば、とある企業って言ってましたけど…」

 

 逆に拓海に心配されてしまったが何とか紛らわせる為に、拓海がオルフェノクの解説中に出てきた企業について質問する。

 

「そうだね、その説明もしなきゃ…。倉田さんはこんなCM見たことあるんじゃないかな。」

 

 拓海は自身の携帯を取り出して、動画投稿サイトを開き一つの動画を流した状態でましろに画面を見せる。そのCMというのは昨日、拓海と圭太郎が見ていたCMと全く同じものが映し出されていた。ナレーションの英語と共に流れる映像、そして最後に現れる会社のロゴ。その会社のロゴと名前を見てましろは驚いた表情をする。

 

「え!?これ…SMARTBRAINじゃないですか。大企業ですよ?」

 

「うん、そのとおり。このスマートブレインがオルフェノクと関与しているんだ。」

 

 

 

 SMARTBRAIN

 

 都内の超高層ビルを本社とする巨大複合企業で、重工業や電子技術を中心に、食品から医療など幅広く事業発展を行っている。このように、TVや世界で閲覧されている動画投稿サイトにも投稿されるほどに社会的に認知度が高い、有数の大企業である。しかし、開発されたほとんどの製品は市場に流通していないとのことから謎に包まれている。

 表向きは、事業発展を行う知名度も高い巨大な企業として。しかし、その実態はオルフェノクだけの世界を作ろうとを企んでいるオルフェノク達の秘密結社である。いわば、人間を襲うオルフェノクの巣窟だ。さらに、新たに覚醒したオルフェノクと接触を図り同種として受け入れるが、会社の管理・支配下に置こうとし先程説明したとおり従わないオルフェノクは抹殺される。そのため、穏健派のオルフェノクが圧倒的に少なってしまうのだ。

 

「オルフェノクだけの、世界って事は人間を殺害しようとしてるんですか?」

 

「殺害…そうだね、ある意味殺害と同じなのかもしれないね。」

 

「どういう、ことですか?」

 

「オルフェノクは、人間をオルフェノクにする事が出来る。」

 

「人間を、オルフェノクに?」

 

「最近、死んだ人間が生き返るなんて噂聞いたことない?」

 

「そういえば、今日の学校でそんな感じのこと聞いたような気がします。」

 

 人間をオルフェノクに。通称、使徒再生と言われオルフェノクが人間の心臓を破壊する行為である。人間の中には『記号』と呼ばれる素質を持っている人物がごく稀にいる。その人間が使徒再生されることにより記号が活性化され、オルフェノクとして覚醒する事ができる。

 が、覚醒できる人間がいるとはいえごく稀。記号を持っていたとしても必ず覚醒するわけではない。

 

「覚醒しなかった人は…どうなるんですか?」

 

「…死ぬ、灰になって。」

 

「そんな…酷い、と思います。」

 

 オルフェノクは人間を滅ぼすついでに同士として迎え入れようと使徒再生を行う。しかし、覚醒する人間は僅か。ほとんどの人間は灰となり命を絶つ。使徒再生は実質殺人行為と同じなのかもしれない。

 

「そうだね、それを防ぐためにオルフェノクを倒すために僕は戦っているんだから。まぁ、正確に言えば人間や人間の心を持っているオルフェノクを襲っているオルフェノクから守っているってのが正しいかな。っと、ここまで色々説明してきたけど、どうだった倉田さん?」

 

「え、えーっと…正直、あまりついていけてないです…。ごめんなさい…」

 

「あはは…だよね。でも、それが普通だよ。普通に生きてきただけなのに突然こんな事に巻き込まれるなんて思う筈もないからね。」

 

 拓海は目を瞑り、少し考える様子を見せると自身の携帯をましろの前に差し出して警告を伝える。よく見ると携帯の画面には拓海の電話番号が表示されている。

 

「……倉田さん、オルフェノクの件で何かあったら僕に連絡をして。」

 

「え?」

 

「多分、オルフェノク……というよりスマートブレインは君がファイズと接触した事を嗅ぎつけて君に危害を加えてくるかもしれない。」

 

「どうして…私に?」

 

「ファイズの正体を知る為に…そして、このベルトを取り返す為にだと思う。」

 

 元々ファイズのベルト、通称『ファイズギア』はアタッシュケースや各アイテムの各箇所に刻印されてる通りスマートブレイン製、つまりスマートブレインが開発した物。ファイズギアはそもそもオルフェノクを倒す為に造られた物。今拓海の手元にあるということは、経緯はどうであれオルフェノクとして、そしてスマートブレイン側としては非常にまずい状態。

 さらにいえば、拓海はまだファイズの正体をバラしていない。そのため、ファイズギアの所持者を特定しようと思っても今の技術でもほぼほぼ不可能な話。しかし、ファイズと接触した人間がいるとなれば話は変わってくる。

 

「……実は倉田さんがここにくる前、僕がバイト入りする前に人を襲っていたオルフェノクと遭遇して、そのオルフェノクに言われたんだ。倉田さんを捕まえて聞き出すって。」

 

 

 

 

 

 

 




次回、回想の中からではございますがオルフェノクとの戦闘となります。


感想、誤字訂正などお待ちしております。



追記(4月12日)
ただ今全然投稿ができておりませんが、一応生きてます。
ちょっと、話の内容を修正しなければならなくなり、投稿が遅れております。申し訳ございません。
とはいえ、今後の展開にはさほど影響はございません。
ストーリーが影響しない程の細かーい設定だとか、前話の内容を少し変更しております。
もう少しかかるとは思いますが、お待ちいただければありがたいです。
もうちょっと、執筆の速度上げたいな……
それでは、失礼します。



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