そういえば最近、漆黒の剣とかが登場するはするけど干渉はしてこないので、原作キャラ非干渉タグを追加しました(えっ今更……?)
森の賢王がモモンの支配下に入ってから、この魔獣の協力もあって薬草採集の成果はこれまでにない程の大成功で終わった。
唯一問題があった事と言えば……折角生かして森の賢王を打倒したというのに、本人がモモンについていくと言い出したことにより、結果としてこの森から森の賢王が居なくなる事になってしまった事だ。
これによって、今まで森の賢王のテリトリーの庇護下にあったカルネ村にモンスターの被害が出るかもしれない、という事だった。
その後、ンフィーレアが「カルネ村を護れるぐらい強くなりたいです! 僕をモモンさんの仲間に入れて下さい!」と言い出す、という一幕があったものの、これに関してモモンはやんわりと断った後「しかしカルネ村を護るという点に関しては力を貸せるし、君の協力を必要とする場面もあるだろう」という事になった。
なおこの際「一応私もアダマンタイト級冒険者なんですが……いえ、なんでも……」とアトリアが小言を呟いていたが些細な事である。
こうして、ンフィーレアの依頼を達成した一行はカルネ村で一泊してからエ・ランテルへと帰還する事にした。
「ここの部屋は使っていないので、自由に使って下さい」
「ありがとうございます」
アトリア達は、カルネ村の中でも現在誰も使っている者が居ない……正確には、居なくなった家を借りて、一夜を明かす事にした。
「ンフィーはどうする? ここで寝る? それとも……家に来る?」
そう聞かれたンフィーレアはどうしようかと一瞬考えた後「そういえばモモンさんに赤いポーションとアインズ・ウール・ゴウンさんの事について聞きたいんだった」と思い返した。
「いや、僕はこっちで……」
「ちょっ、ンフィーレアさん?」
「え?」
嘘だろお前、とばかりに驚いた声を出したアトリアに、何で驚いているのか分からないと言いたげに首を傾げるンフィーレア。アトリアは呆れ顔で「想い人なんですよね? 折角の距離を縮めるチャンス、みすみす逃すつもりですか?」と小声で耳打ちし……ンフィーレアは「想い人? チャンス?」と一瞬その言葉を咀嚼するのに時間をかけた後……ボッ、と音が鳴るのではないかと思う程顔を紅潮させた。
「なっ、え、あ、いや、それは……!!」
「……ンフィー?」
「ンフィーレアさんはエンリさんの家で泊まりたいそうですよ?」
「えっ!? あの、いや……その……ごめん、いいかな、エンリ……?」
「……ごめんも何も、こっちから誘ってるんだから良いに決まってるでしょ? じゃあ、待ってるから。……おやすみなさい、皆さん」
そう言い残して早々と去っていくエンリの後を慌てて追いかけるンフィーレア、それを呆れた顔で見送る1人と、少し遅れて「ああ、そういう事」とアトリアが何を言いたかったのか理解し一人頷くモモン、そしてやはり興味無さげに、粗悪な寝床ね……などと失礼なことを考えているナーベ。
そうした経緯で、夜、ンフィーレアはエンリとネムの家に泊まる事になったのだが……考えて見なくてもこの家にはエンリから話を聞くために昼に一度来ているし、なんならエンリとンフィーレアは所謂幼馴染であり、薬草採集の帰りに寝泊まりする事は初めてって訳じゃ無い。
「(アトリアさんも……気遣いは嬉しいけど、何度も来ている幼馴染の家だぞ? 今更何が起こる訳でも無いし……明日からの事でも考えて、平常心で居よう)」
「ンフィー?」
「は、はいぃっ!!」
「わっ!? び、びっくりした。どうしたの?」
「え!? いや! 全然なんでもないよ! うん!」
「えーっと……夕飯の支度出来たから、来てくれる?」
「う、うん! ありがとう! 今行くよ!(だ、ダメだぁー!! いざエンリの家なんだと思うと、何度も来ているこの家がまるで違う家みたいに感じる! 平常心なんて絶対無理! 何も起こらないって分かってるのに心がざわついて仕方がない!! っていうかもう今のやりとりちょっと新婚っぽくない……? とか考えちゃったりしてる僕!! 冷静になれ!! ただ夕飯食べるだけ! 夕飯食べるだけだぞー!!)」
緊張で無意識にギクシャクとした動きになり、手と足を一緒に出しながら食卓へと向かうンフィーレア。
食卓には、いつもと変わり無い、穀物と野菜のスープが出されていた。
「今日はンフィーも一緒にご飯食べるの?」
「うん、お邪魔させてもらうね?」
「さ、食べましょう?」
全ての食材に感謝しつつ、匙を取ってスープに口をつける。
「……どう? ンフィー?」
「うん! 美味しいよ!(ホントは緊張で味が全然分からないけど)」
「おいしー!」
「そう? 良かった」
しばし緊張しながら食べ続けていたンフィーレアだったが、キャッキャと楽しそうに笑うネムに絆されて段々とリラックスし始め、段々落ち着きを取り戻し始めた。ンフィーレアは心の中でネムに感謝した。
食べ終わる頃にはすっかりいつも通りの調子で、食器の片づけを手伝い、ほどほどの時間で寝室……元々はエンリ達の両親が使っていた部屋で寝る準備を始めた。
もう夜更けとなり、さて寝るか、と思ったその時、ンフィーレアが居る寝室をノックする者が居た。
「ンフィー、まだ起きてる?」
「エンリ? うん、どうしたの?」
「その、ンフィーは明日またエ・ランテルに帰っちゃうじゃない? だから、その前に色々話しておこうかと思って……」
話とは? と首を傾げるンフィーレア。
寝巻の状態……普段と違い髪を下ろした姿のエンリに、少々ドギマギしつつ「とりあえず、座ってよ」と促す。
エンリは部屋にあった椅子に腰かけると、しばし口をつぐんだ。何か聞きにくい事でもあるのだろうか。
「それで……話しておこうっていうのは?」
「……うん、あの……その前に一つだけ確認していい?」
「いいけど……?」
「その……ンフィーってあのアトリアって人の事好きなの?」
「……はぇ?」
意を決したようにそう問うエンリ。ンフィーレアはその内容を理解するのにたっぷり5秒程使い、結果、口から出たのはなんとも間抜けな声であった。痛みなんて無いけれど、何故か頭痛がするような気がして、ンフィーレアは頭を押さえた。
「……待ってエンリ、どうしてそんな事に……?」
「だ、だってあの人とやたらンフィーと距離が近いし……ンフィーも別に満更じゃなさそうだったし、あの人なんかいい匂いするし、美人だし、可愛いし、優しそうだし……」
「ううん……? 良い匂いとか美人っていうのはともかく……距離が近いっていうのは、あの人が防御の魔法を張る時に近くに居ないとその範囲から外れちゃうから、だと思うけど……?」
「そう、なの? でもさっきもなんだか親しそうだったけど……?」
「(さっきの……っていうのは、あの耳打ちの事だよね……?)アレはあの人の気遣いというか……別にやましい事は何にもないよ?」
どうしていきなりそんな勘違いをしたのか、とンフィーレアは首を傾げつつ、しかし、冷静にエンリが言っていた事から推察を始める。
「(つまり、え~と……エンリから見て、久々に村に訪れた僕は、アトリアさんという美人で可愛い女性と一緒で、距離が近く親しげだった事から、僕が彼女に好意を寄せている、と勘違いした?)」
そういう事なら、話は分からないでもない。
確かにアトリアは美人だし可愛いし良い匂いもする。
だが既にエンリという想い人が居る以上、彼女に対してはその外見や人柄を好意的には思うものの、恋愛感情を抱く事は無い。抱くとしたらアダマンタイト級冒険者としてのその実力に敬意を抱く位のものであるが、正直言えばそれもモモンさんという男として憧れの象徴のような存在が他に居る。
「……ホントにあの人とはなにも無いんだよね?」
「うん……ホントになにも無いよ」
本当に何にもない。……エンリの勘違いを正す為に「だって僕エンリの事が好きだから」と言えれば良かったが、流石にそこまで気のまわるンフィーレアではなかった。
やがて何回か同じやり取りをした後「……そうなんだ」と納得したように、どこか安心したように息をつくエンリ。
「そっか……
「えっ? あ、うん、おやすみエンリ……あれ? 結局、話って何だったの……?」
そんな彼の疑問にエンリは答えることなく、足早に部屋を去っていった。
何だったんだろう、と思いながらもンフィーレアは寝床に着き、薬草採集で疲れていたのもあってすぐにその疑問を思考の外に追いやり、眠りにつこうと目を閉じた。
「(……あれ? さっきエンリ、
ンフィーレアは寝床から転がり落ちて腰を強打した。
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場所を変え、エ・ランテル近郊、とある街道にて。
一人は、見た目は一般的な執事服を身に纏った白髪のナイスミドルといった風貌の、ナザリック地下大墳墓の執事であり戦闘メイドプレアデスのリーダー、階層守護者と同格にあるセバス・チャン。
そしてもう一人は、輝くような長い金髪と豊かなプロポーション、そしてその美貌は王国の「黄金」とも称される王女に匹敵する程であり、ドレスに身を包む裕福な貴族風の恰好をした女性は、戦闘メイドプレアデスのうちの一人であるソリュシャン・イプシロン。
更に、銀色の長髪を片方でまとめ、漆黒のドレスを身に纏い、白蝋のような白さの肌と、真っ赤な瞳が特徴的な少女。ナザリック地下大墳墓の第一、第二、第三階層守護者であるシャルティア・ブラッドフォールン。
そしてそのシャルティアの眷属であるヴァンパイア・ブライド。
以上の四名の
「アインズ様が、アダマンタイト級冒険者との交流を持つことに成功した、との報告が入りました」
「……アダマンタイト級冒険者?」
「冒険者の中でも最高位クラスの、英雄の領域に立つ者しか至れないんだそうです。しかもアインズ様が交流を持つことに成功したのはその中でも、たった一人でアダマンタイト級まで至った凄腕だそうですよ」
「流石はアインズ様! 我が愛しの君……! まさか行動を開始してからこんなにも早く目的を達成するだなんて……!」
「ええ、まったく」
興奮気味に頬を紅潮させ、今も別の場所で暗躍中の愛しい御方を夢想しながら胸を抱くシャルティア。早速芳しい結果を得て順調に計画が進んだことを純粋に喜ばしく思うセバス。ソリュシャンとヴァンパイア・ブライドも、こうもあっさりと有力者との交流を持つ事に成功したかの御方の手腕に感動しきりである。
しかし、ふとシャルティアが首を傾げ、疑問を口にする。
「でも、どうして捕獲や誘拐じゃなくて、
確か、目的は「武技という未知の技を使う人間の情報」「食べたり殺したりしても誰も困らない人間の確保」であった。……では、その交流を持ったという人間は「食べたり殺したり」してはダメなのだろうか?
「あくまで情報が目的ですからね……アダマンタイト級ともなると、知名度も高いでしょうし、そんな人物が突然消息を絶ったとあれば他の人間達が警戒してしまうかもしれません、だからではないでしょうか?」
「警戒……? だったら人間なんて皆殺しにしてしまえば良いのでは?」
「シャルティア様……それでは余計に警戒されてしまいます。我々はまだこの世界に来たばかり。まだ見ぬ強敵が潜んでおるやもしれません。アインズ様はそれを警戒していらっしゃるのでしょう」
「ふうん……?」
シャルティアは納得し切っていないような煮え切らない返事ではあったが、とりあえずアインズ様が色々とお考えである事は分かった。
が、頭の中では……その、まだ見ぬ強敵? それが何かは分からないが、それがなんだったとしても、ナザリック、いや、このシャルティア・ブラッドフォールンならその強敵に勝利し、殺し、支配する事が出来る。
もしそのまだ見ぬ強敵とやらが現れたら、八つ裂きにして、かの御方に安心をもたらし、褒めてもらおう。
「(そうすれば、褒美にあんなことやこんなことやそんなこと……ぐへへ)」
と彼女の脳内は大体こんな感じであった。
「……ところでソリュシャン、
「丁度来たようですわ」
ソリュシャンがそう答えると、馬車は突然停止し、見計らったようにドアが叩かれる。
「おい!! 開けろ! さっさと開けねえと皆殺しにするぞ!!」
「良いタイミングですね」
「では、こちらも行きましょうか」
「そうねえ、アインズ様の期待に応える為にも、頑張ってお仕事しないとでありんすねえ」
その後、馬車は盗賊による襲撃を受け、盗賊達は全員「食べたり殺したり」しても良い人間として、ナザリックへと送られたのだった。
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次の日の早朝、ンフィーレアは村の入り口にて荷物を整理していた。まだ出立までは時間があるが……なんとなくエンリの顔が見れず「おはよ」「ご飯と寝床ありがとう」「荷物の整理があるから」「それじゃあまた」と、ほどほどに挨拶や会話を交わした後、いそいそと早めに出て来たのだ。
「あ、ンフィーレアさん」
「……あ、アトリアさん、おはよう、ございます」
「おはようございます……なんだか眠そうですね?」
その後、遅れて起きて来たアトリアと村の入り口で合流し、挨拶を交わす。
そしてそんなンフィーレアの長い前髪からチラと覗く目の下にはクッキリと隈が浮き出ていた。
「ちょっと眠れなくて……」
「ああ……まあ仕方ないですよ、想い人の家に突然泊まるってなったら誰でもそうなります! ……多分」
「はは……」
「おや……早いですね、二人共」
「……」
「おはようでござる! ンフィーレア殿、アトリア殿!」
遅れて、と言ってもまだまだ時間がある早朝に、モモン達も合流した。荷物の整理を済ませ、馬車の用意が出来たらすぐにでも出立出来るだろう。
「それでは、行きましょうか」
「ええ」
「了解でござる!」
予定していた時間になり、歩き始める一同。
「ンフィー!」
「え、エンリ?」
少し歩いた後、後方から大きな声でンフィーを呼ぶ声がした。
振り返ると、村の入り口で、息を切らせたエンリが立っていた。
エンリは息を整えると、また大きく息を吸い、両手を口の横に立てて声を張り上げた。
「
「……うん! また来るよ!」
それからエンリとンフィーはお互いが見えなくなるまで手を振り合った。
その後、彼らは街道沿いに帰路へつき、日が暮れてすっかり夜になった頃、ようやく彼らはエ・ランテルに帰還し、ンフィーレアの店兼自宅まで彼を護送し終えた。
「では、私はこのままンフィーレアさんと薬草の荷下ろしの手伝いをしますので、ここで一旦別行動ですね」
「ええ、私も魔獣の登録が終わったら向かいます」
そう告げて、モモンは森の賢王に跨って冒険者組合へと向かった。
モモンは、冒険者組合に手懐けた魔獣を登録する必要があり、登録には多少時間がかかる事を考えると、荷下ろしよりも先に組合で手続きを行わないと、組合が閉まってしまう可能性があったため、先に手続きを行う為にモモンとナーベは先に冒険者組合へと向かう必要があったのだ。
森の賢王に跨って街を凱旋するモモンの姿は、どう見ても子供向けのアトラクションに乗る良い歳したオッサンだったが、この世界の住人の目には森の賢王は立派な魔獣に見えている。
モモンは自分に「これは立派な魔獣なんだ、誰が何と言おうと森の賢王なんだ」と言い聞かせながら、組合に着くまでに森の賢王の名前をどうするか決めるのだった。
「では早速荷下ろしを済ませちゃいましょうか」
ンフィーレアの作業場兼、薬屋兼、実家である場所へと着いた二人。
早速、倉庫に薬草を下ろす作業に入った。
鍵を開け、中に入ると中は明かりが灯っていない為、ンフィーレアがランタンに明かりを灯す。
「さ、こっちです。……おばあちゃんは居ないのかな……?」
物音がせず、自分達が帰ってきても何の反応もない事から、祖母は留守なのだろうか、と首を傾げるンフィーレアだったが、きっと買い出しか何かで出かけているだけだろうと思い直し、薬草を運ぶ作業に戻る。
「よいしょっと」
「……流石アダマンタイト級冒険者ですね」
「え?」
「ああ、いえ、なんでもないです」
薬草の詰まった袋……それなりの重さのあるそれを四つ~六つを軽々と持ち運ぶアトリアを見て、彼女に対し男として何度目かの敗北感を覚えたりした一幕もありつつ、作業は着々と進められた。
そして……。
「ンフィーレアや~い。戻ったよ~」
「ああ、おかえり、おばあちゃん……あ、モモンさんも一緒だったんですね」
「ええ、組合で偶然会いまして」
「ほお、こりゃ大量だねえ、向こう数か月は採集に出かけなくても良さそうだ」
「某の協力のおかげでござるな!」
程なくして、モモンとナーベとハムスケと名付けられた森の賢王、そしてンフィーレアの祖母であるリィジー・バレアレが合流して、全員で依頼が成功で終わった事、そして、モモンが成した「森の賢王を屈服させ支配下に置く」という偉業を称え、祝い、その場で報酬を支払って解散したのだった。
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……一方その頃、エ・ランテル共同墓地にて。
「今日も平和っすねえ」
「だなあ」
「いっそ何か起こったりしませんかねえ」
「馬鹿、縁起でもねえ事言うなよ」
「へへ、すいません。でもあんまりにも暇だから」
「……とは言ってもなあ、ここ数年の共同墓地はあの方のお陰で驚く程アンデッドの発生率が下がって、平和そのものだからなあ」
「っすよねえ……ルーヴィン様のお陰っすねえ」
共同墓地にて、アンデッドが街に入ってこないか見張る警備の兵士達が口々にそう呟く。
今から十数年前、当時、そこには本来いない筈の男が居た。
男の名はルーヴィン。【紫煙の釘】というソロのアダマンタイト級冒険者であり、アトリアに至る前の身体である。
彼がアダマンタイト級冒険者として成した偉業は『単独での万病治療薬の素の採取に成功』を初め『王国に潜む腐り切った貴族の暗殺』『危険なモンスターの討伐』『八本指と戦い、被害を最小限に抑えた』といったものがあり、その偉業の中の一つに、『秘密結社ズーラーノーンとの単騎決戦』という物がある。
事の発端は、とある理由から暗殺者としてのスキルに秀でていた彼が、王国に巣食う病原菌たる腐敗した貴族達と、彼らに苦しめられる罪なき人々の姿を見て「こいつら潰した方がこの世界の為では?」と考えた事から始まる。
彼はすぐに行動に移すことにした。
まず、正体を隠し、紫煙の釘という冒険者のイメージを『攻撃は空間丸ごと削り取るような大きな孔を穿つ』というイメージを定着させる事から始めた。
行動を起こすにあたって、純粋な毒殺、刺殺、絞殺といった方法を取った際、それが自分によるものであると思わせない為である。
後は、本来は別の事を危惧して取った暗殺者としての技能をフル活用し、正体を隠して彼らが行って来た悪行の数々を詳らかにした。彼らを政治的に、または直接的な意味で抹殺する為に。
貴族の中から腐った者かそうでない者かを見分ける事は【見た者のカルマ値を見破る】というタレントによって簡単に目星を付けることが出来た為、悪人を見つけてからその証拠を集めるという、ほとんど作業のような活動であった。
そうした活動を続けている内に、腐敗した貴族の一人が、当時のズーラーノーンと癒着していたことが判明した。
敵対する貴族に対しズーラーノーンの力を使い『アンデッド発生による事故』という体で始末していたのだ。貴族側はこれによって権力を、そして権力を得た貴族からズーラーノーンは資金源を得るという形で繋がっていたのだ。
ルーヴィンは「まあついでだしヤッとくか」という軽い気持ちで貴族からズーラーノーンの情報を芋づる式に引き抜いて、ズーラーノーンの幹部12名のうち9名と、その部下達、そして彼らと繋がっていた貴族共を一方的に暗殺する事に成功し、彼らの力を大きく削ぐことに成功したのである。
原作でも幹部はあまり登場せず、カジットぐらいしか知らなかった彼にとって、不確定要素であるズーラーノーン幹部達は排除しておくに越したことは無かったのだ。
流石に規模が大きかった為、国から調査の為に兵士が派遣されたが、その凄惨たる有様と、ズーラーノーンが戦闘の為に使ったアンデッドの骸らしきものが大量に転がっていた事から、彼らの死亡原因は奇しくも『アンデッド発生による事故』として処理された。
結果として、現在にどういった影響があったかと言うと、ズーラーノーンはその規模を原作とは比べるべくもない程に縮小し、今もどこかでひっそりと活動は続けているだろうが、間違っても町一つを死で包み込めるほどの物では決してなく、死の宝珠もどこかで怨嗟の声を上げながら転がっているだけ、というのが実情であった。
また、本来は協力者としてズーラーノーンを隠れ蓑に利用するとある人物はと言うと、隠れ蓑としてその組織は不十分であり、そもそも興味すら抱かないという結果に変わった他、彼らと協力関係に無い為、叡者の額冠も盗み出さなかった。
そして法国が今「ニグンを監視しようとした巫女が爆散した!?
唯一本来起こりえる事を知っていたアトリアはこうなるかもしれない、と予想こそしていたものの、念のため「アダマンタイト級冒険者が居るから彼女が現れなかったのかもしれない」と警戒し、今後も何度かンフィーレアの店に訪れる事になるが、それはまた後の話。
……かくして、エ・ランテルが死の都と化す悍ましい計画は、始まる前から誰に知られるでもなく阻止されたのだった。
クレマン「ズーラーノーンとかいう秘密結社(笑)ざっこ。恥ずかしくないの?利用価値のねえ雑魚に用は無いし私は国から逃げるんで、さよなら」
カジット「ぐぬぬ……」
アトリア「ズーラーノーンイベントRTA、はーじまーるよー。それじゃあさっそく、イクゾー!\デッデッデデデデッ(カーン)デデデデッ/タイマーはンフィーレア君とエ・ランテルに帰って来t終わりました。タイムは0.00です。さて、乾燥した間奏ですが、
こ ん な に し゛ に ま し゛ に な っ ち ゃ っ て と゛ う す る の ?
以上です。ご愛読いただきありがとうございました。先生の次回作にご期待ください」
クレマンの鯖折とカジットの黒焼きに期待してた方は申し訳ありませんが、この辺は端から端折るつもりだったのであしからず。だってやっても原作と一緒だしおすし……。
連投は次で終わりです。