最終的に〇んだ方がマシなTS聖女   作:政田正彦

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中編の前書きに続きがないって事を記載し忘れてしまい、
多くの読者様をさも続きがあるかのように勘違いさせてしまった事、
ここに深く謝罪します。 大変申し訳ございませんでした……。
以降このような事が無いよう、深く反省します。


追記(2020/12/25):

死因を見直しました。
それに伴い内容を少し改めました。


過去話ダイジェストとか要るんですか?(後編)

 

46.【武技の修得が常人の半分の時間で修得出来る】 - 仮に1日で修得出来る武技があったとしたら、半日あれば修得できるが、本人の才によって修得スピードがそもそも違う為、大した基準にはならない。

 

47.【ハゲない】 - 人間種だろうがモンスターだろうが、毛の生える種族だった場合、老化や病によって髪や毛がハゲる事がなくなる。(そもそも毛髪が無い種族である場合は無意味。)

 

48.【解体作業における才能】 - 建物やゴーレム等の解体と、モンスターや獣、魚等(あるいは人)の解体におけるスピードが速くなり、解体後の状態が良好になる。(建物の場合は解体後すぐに再利用可能な状態になる)

 

49.【経験値のストック】 - 経験値を得た際、僅かに経験値が自動的にストックされ、なんらかの魔法やスキルで使用する経験値をここから消費する事が可能で、純粋に自身の成長に使う事も可能。他人に分け与える事は出来ない。レベルカンスト時は、全ての経験値が自動的にストックされる。最大容量は不明。

 

50.【魔道具の使用方法や用途をおおまかに理解できる】 - 説明も無く、本能的に魔道具の使用方法や用途を理解できるが、それがどの程度の効果なのか、どれ程効果が持続するのか、何回使えるのかといった細かな点は分からない。

 

51.【使用する装備が長持ちする】 - 耐久度が減りづらくなる。ガラスで作った剣などといった脆過ぎる武器に関しては殆ど効果を成さない。

 

52.【重傷(HPが8分の1)から生き残ると経験値が手に入る】 - このタレントにおける「生き残る」は、重傷を負った後にHPが3分の2以上まで回復すると生き残ったと判定され、その際に経験値が手に入る。また、重傷は事故や自傷ではなく、他者から受けたダメージでなければならない。他者との同意の上で受けたダメージは自傷とみなされる。

 

53.【座標転移】 - 3つまで座標を登録し、その座標にいつでも転移出来る。

 

54.【鉱脈の存在を探知できる】 - 自分を中心に半径500m圏内にある鉱脈の位置と大きさを大まかに探知が可能。ただしその鉱脈によって得られる鉱石が何かまでは分からない。また既に掘り起こされている物に関しては探知出来ない。

 

 

~(55)~

 

 リーダーを見送ってから20年くらい経った。

 というか、20年しか経っていないのに死に過ぎである。

 今まで運が良かった揺り返しが来たかのようだ。

 

 54回目の転生にて、俺はようやっとレベル100に到達する事に成功した。

 ユグドラシルというゲームの世界ではないのだから、もしかしたら……と思い経験値稼ぎは継続していたものの、どうやらここが俺の成長限界らしい。

 

 なお、現時点での戦力の個人的な評価としては、妥協点に届いているかすら怪しいというのが正直なところだ。

 

 何故かと言えば、この異世界で手に入る武器防具の質がユグドラシル産のそれと比べ、圧倒的に劣る為である。 使っている金属であったり、制作している者の技量や知識の差が大きい。

 

 最近の例でいうなら、十三英雄の一人が使っていた四本の黒い大剣なんかは、魔力を込めれば無属性の爆発を起こせるというだけの剣でしかないのにも関わらず、この世界では再現不可能だ。

 

 今あるプレイヤー産の武器防具は法国に少し、ツアーの管理下に少し、王国に雀の涙程度が保管され、今までに来たプレイヤーの武器や防具の殆どは破損か消失、あるいは、紛失してしまっている物が多い。

 

 ああ、使用回数に制限があって塵かガラクタになったものもあるか。

 

 とにかく、現存しているものは意外と少ないのだ。

 傾城傾国とかはぶっちゃけ滅茶苦茶欲しいけど、コレに働いてもらわなかった場合に何か不都合が起こっても困るしな……ウンウン。

 

 ツアーに借りるのは……アイツ意外とムチャな事要求して来たりするから、借りを作りたくないので、これは最終手段。 っていうかむしろそこまで困ったらいくつかは貸してくれるんじゃないかな? くれるといいな。

 

 と、まぁ、こんな感じで装備品に問題を感じた俺は、それらの問題を改善するために……55回目のこの一生を全て捧げる事にした。

 

 ちなみに、キッカケはその問題に気付いたからというだけではなく、55回目のこの転生で、ドワーフという種族に転生したためだ。

 

 アゼルリシア山脈内部に住んでいる種族で、その生態は……背が小さく、髭を蓄え、強い酒が大好物で、物作りが大得意という……ファンタジー作品におけるドワーフそのもの。

 

 

 俺は今回の転生で【武器防具を創造した際、性能が良くなる】 - あらゆる武器や防具を製造した際に性能が少しだけ良くなる。

 

 という誰かから「武器作れ」と言われているようなタレントを手に入れた。

 

 

 なお、現在ドワーフの国は魔神との闘いを皮切りに王族が一気にいなくなった為、国力が著しく落ちつつある国家および種族だが……俺にとっては、望むレベルの武器が作れればそれで良かったので、かつて住んでいた街を同胞が後にしていく流れに紛れ、一人その流れから離脱。

 

 俺は、山脈をしばらく彷徨った末に、足を滑らせて落下した先にあった断崖絶壁……その壁に穴を開け、広げ、整え、拠点を構えた。

 

 後はもう、ひたすらに……54回目の転生で手に入れた【鉱脈の存在を探知できる】というタレントで探鉱、採掘を繰り返し……手に入れた鉱物で合金の実験を行ったり、装備を製作したり……。

 

 思いつく限りのことは全て試した。

 

 そうして俺は、ルーンの効果や合金によって作られた鋼鉄、魔力を含んだ宝石等を使用し、神器級に差し迫るかもしれないというあたりまで性能を底上げする事に成功した。

 

 ちなみに、アイテムの強さは神器級(ゴッズ)伝説級(レジェンド)聖遺物級(レリック)遺産級(レガシー)...そして、最上級、上級、中級、低級、等の階級に分けられる。

 

 現状俺が作った装備は神器級と伝説級の合間といったところだろうか。

 ルーンや魔石によって底上げしているから、それらの効果が無くなれば聖遺物、悪くて遺産級まで性能がガクリと下がる等のデメリットがあるものの、現状ではこれが一番まともな物だ。

 

 俺はこの結果に満足する事は無く、来る日も来る日も鉄を打ち、ルーンを刻み続けた。

 

 

 こうしている間は、確実に来るであろうその時の事を忘れることが出来た為である。

 

 

 俺は何やらいざこざに巻き込まれて死んだ。

 

 ここの鉱山がいったいどちらの陣営のものなのかという至ってシンプルな事が原因でドワーフ同士で起こった、山を奪い合う小さな戦争、その戦火に巻き込まれたのだ。

 

 死因は爆発だった。

 

 

 

~(56)~

 

 

 手に入れたタレントは【飛び道具を使用する才能】 - 弓やボウガン、手裏剣といった飛び道具を扱う才能に長けるというもの。

 

 9:1で鳥が勝つ見た目の鳥獣人だった。

 

 人面鳥みたいな感じである。

 

 …………あんまりこう、言いたくは無いんだが、キモい。

 

 同族視点から見ると100年に一度の美男子(特に羽根の艶とかが美男子)だが……それを理解出来ている自分に対して違和感を覚える。

 

 長年人型で過ごしてきたから、そのせいで()()()()()()()()()()()()んだろう。

 

 俺は生まれて自我を持ってすぐに前回の俺が作った住居が無事か確認するために転移のタレントを使って転移したところ、どうやらこの拠点の入り口が爆破の衝撃で崩れた崖の瓦礫で埋まってしまっていた。

 

 これならば以前よりもこの拠点が見つかる可能性は下がったので、ある意味好都合だ。

 

 あと、ドワーフたちの姿も無い。

 既に戦争は終わったのか?

 終わったんだとしたら……どういう結果で終わったんだろうか。 

 

 それを確かめるすべは今の俺には無い。

 ひとまず酸素の通り道を確保して、いつでもここに来ることが出来るのを確認した後、その場を後にした。

 

 この代の俺は他に目立ったことは出来なかった。

 今や経験値を必要としないので、戦争に参加する意味も無いのだ。

 

~(57)~

 

 

 入手したタレントは【料理で失敗しない】 - 料理スキルを使用する際においてのみ発動し、ゲテモノを作ろうとすると身体が硬直し、火で焦がそうとしても体が勝手に動く。失敗はしない。ただ、どんな材料でも美味しいものになるという訳でも無い。

 

 転生先は鹿みたいな顔をした亜人。

 牛頭人(ミノタウロス)の鹿版って感じだ。

 

 ちなみに性別はオスだ。

 

 特に戦闘に役立ちそうにないタレントだったので、俺は新しいタレントを使って飲食店を営みつつ、レベルカンストスペックにものを言わせて材料となる魔物や獣を狩る狩人となった。

 

 そんな折、最近この亜人の国で『口だけの賢者』と呼ばれる亜人の事が大きな話題となっていた。

 

 口だけの賢者と言えば……確か、扇風機や冷蔵庫の概念を提案し、手術と言う概念を伝えたが、それらを作る事も作り方を説明する事も出来ないというまさに口だけの賢者であった筈である。

 

 亜人とかは過去何度か割と容赦なく殲滅したりしていたので、ちゃんとこの世に生まれる事が出来たようで何よりだ。

 

 とはいえ彼が居る居ないでそこまで何がどう変わるという訳でも無いのだが。

 

 ……強いて言えばもしそれらの技術を実用段階にまで持っていく事が出来たなら、俺も今後もう少し快適な生活をする事が出来ただろうに残念だ、というべきだろうか。

 

 結局その生涯で件の賢者と出会う事は無かったが、いつか彼の提案した概念を正しく理解出来るようなタレントまたは職業に就く事があったら、自分でその机上の空論を現実のものに出来ればどんなに良いだろうか、と思わずにはいられなかった。

 

 なお、死因は水害による溺死である。

 

 

 

 

 

58.【演技の鬼才】 - 一度自分で演じると決めた人格になりきる事が出来る。その完成度は完璧であるが故に、一度このタレントが発動すると自分の意思で解除することも出来ない。解除には、一度意識を失う(眠る等)必要がある。また、一度演じた人格は消えた後も主人格に作用してしまう。(明るい性格を演じれば元の性格も多少明るくなってしまう)

 

59.【自身のカルマ値を操作出来る】 - やろうと思えば聖人にも大罪人にもなる事が出来るようになり、操作した後のカルマに精神が引き寄せられる。(転生時に0にリセットされるか、種族準拠のカルマ値になる。) 

 

60.【回収した食材が腐敗しない】 - 自分が採取したあらゆる食材が、自身の所有物として認識している限りは腐る事が無くなる。自身の拠点ならば、離れた場所であっても同じである。なお腐敗ではなく発酵するものに限っては例外となる。

 

61.【卓越した剣の才能】 - 長剣、細剣、短剣、あらゆる剣における習熟度が限界を超えて上昇し、自身の修得した職業に関わらず剣を装備することが出来る。

 

 

 

 

 

 

~(62)~

 

 入手したタレントは【他人が持つタレントをコピーして一つだけストックする】 - コピーするためにはその内容を知っている必要がある他、コピー対象に手で触れる必要がある。ストックは場合によっては一度使うと消費されることもある。(また、ストックは転生時に受け継がれない)

 

 ……お前どこの旅団の団長だよ?

 

 俺は今回は人間種の男として生まれた。

 

 前回、剣の才能というタレントを手に入れたはいいが、肝心の身体が虫型のモンスターだったので使えずにいた剣を今回はメインに使っていく事にした。

 

 ネタで作った巨大な鉄の塊みたいな大剣をブンブン振り回せるのには流石に目を剥いた。

 

 まぁあんまり目立つと面倒なのでその鉄の塊はお蔵入りにしたが。

 

 

 この時期になると、原作に登場した舞台であるリ・エスティーゼ王国であったりバハルス帝国、ローブル聖王国やアーグランド評議国が建国したりと、激動の日々が続くようになる。

 

 ちなみに俺が居るのはリ・エスティーゼ王国である。

 

 ……こっからドンドンこの国が腐っていくんだろうなあと思うと既にちょっと憂鬱な気分だが、腐っていく中心である王族や貴族社会にほぼ関係ない出自だったのはむしろ幸運だったと言っていいだろう。

 

 更に、俺はここに来てようやく、原作に直接影響を及ぼす改変に成功した。

 

 冒険者組合設立、その瞬間に立ち会った事で、ほんの少しだけ冒険者の制度に関して口を出すことに成功したのだ。まあ当時20代後半に突入してバリバリ活躍してたからね。そこそこ発言権のある立場になれたのだ。レベルでごり押ししたとも言う。

 

 具体的に言うと、階級を上げる際と冒険者に登録する際に、実力試験を設ける事にしたのである。

 

 ……というのも、原作ではどんなに強かろうが最初は銅級から始まり、依頼をこなし、その貢献度やらなんやらを精査してようやく階級が上がっていくというシステムなのだが……。

 

 その貢献度やらなんやらがあまりにも具体性に欠ける。

 何への貢献だよそれはと突っ込んだらええと、国とか町とか?とこれまた曖昧な回答が返って来たので思わず言葉を詰まらせてしまった。

 

 なので俺は階級ごとに難易度を分けた試験を用意する事で、それを突破出来たら階級を上げる、というシステムにしたらどうかと提案した。

 

 そうなると「でも職業によって出来ることが違うしなあ」という問題があったが、じゃあ職業ごとにも試験を分け、一つのパーティーの人数分それらのうちどれかをこなせば合格としたらいいのではと提案した。

 

 結果……冒険者組合設立が本来の歴史より2年ほど遅れた。

 

 受付とは別に、試験会場となる別館を作らなければならなくなったためである。

 冒険者組合に試験会場を作った際にかかった費用は以前の俺が溜め込んだ備蓄から自腹で払ってあげたんだから許してほしい。

 

 ほんとはもっとこう……階級が上がる事による具体的なメリットがあればもっと良かったんだが……すまん、俺の備蓄も無限ではないのだ。

 

 これによって階級の上げ方が分かりやすくなったし、何より今後俺が転生した際に楽に上位冒険者になれる。

 

 とはいえ今回俺がその上位冒険者にはなることはない。

 

 というのもだ。

 このままこの身体で原作を迎えようとすると、原作開始時には相当な爺さんになってしまうのだ。

 

 【若い肉体を保つ】というタレントを持っているが、それも不老という訳ではないし、ある程度の歳を重ねると一気に老け込むのだ。

 

 そもそも平均寿命の短い世界だしそこまで生きられる保証も無いし、魔法で延命するという手段もあったが、生憎今回は魔法詠唱者の職業は修めていない。

 

 万一原作開始時にまだこの身体が生きていたとしても、出来る事などたかが知れている。

 

 

 ならばせめて今のこの身体で出来る事をしよう。

 

 それから俺は死ぬ気で……というか身体をぶっ壊すつもりで働いた。

 

 自分の跡に続く冒険者の育成……冒険者組合という組織の強化……従業員の教育……資金の調達……貴族へのおべっか……舐められないように功績を上げたり……とにかく、色々やった。

 

 タレントの【演技の鬼才】で疲れを悟らせず、【若い肉体を保つ】というタレントで若い身体を維持しつつ……あとついでに【性的な交渉において相手に確実に快楽を与える】というタレントで色仕掛けにも強くなったし、【ハゲない】で老け始めてもフサフサだった。

 

 ……が、やはり限界は訪れるもので、冒険者組合の力を重く見た貴族……あるいは王族の手の者によって、俺は暗殺されてしまう。

 

 身体に直接的な攻撃を受けたのではない。

 毒による殺害だ。

 

 老いていなければ毒をくらおうとも正しい処置をすれば確実に生き残る事が出来ただろうが……麻痺を併用した強力な毒であった事、自宅、それも深夜であったため周囲に人が居なかったこともあって、俺はしばらくして意識を手放し、そのまま次の転生へと移っていた。

 

 正直……【低位毒耐性】も持ってたし油断していた。

 これを機に、毒に対してもう少し真剣に対策を考える事にした。 

 

 

 死んでからじゃ遅い?

 

 死んでからも次がある俺には関係のない話だ。




長くなってしまったのでここで切りますが、次が無くて申し訳ない……。
もし次があったらとりあえず過去編はこれで最後になる予定だったんですが……。


補足:

時系列的には中編終了時が原作から190年~180年くらい前を想定。
62回目終了時は130~120年ほど前を想定しています。
62回目がやけにイキッてるのは、頼れる上司というキャラで演技した結果性格もそれに寄せられてしまっている為……少年時代には大きな棒を振り回すくらいのやんちゃさが残っていたようです。



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