そこはこの世とは違う場所。現在、そこにあるある部屋では秘密裏に会議が行われていた。
革張りの高級感漂う椅子に座る一人の恰幅の良い男が言った。
「……本当かね?」
それに対して白衣を着て眼鏡を掛けた如何にも学者然とした痩せた男が答える。
「はい、間違いありません。小鳥遊六花、彼女とその一派は先の【45・8戦争】で戦死した第八世界のトップの『最被干渉者』達です」
白衣の男は手に持っていた紙の束を、その場の全員に配る。
それを見た者たちは皆揃って唸った。
「ダークフレイムマスターと邪王真眼の使い手だけでなく、ミョルニルハンマーの使い手やモリサマーまで揃っているとは……信じられない」
「それだけではありません。この四人、全員が干渉指数がAランク越えでして、邪王真眼とダークフレイムマスターに至っては何と4Aランクです」
その瞬間、室内がざわめきに包まれる。
「……決まり、ですね」
「本人達には申し訳ないが、仕方あるまい」
「あの、イガニール様。それとそのダークフレイムマスターの同級生に実は……」
そこで白衣の男が言葉を切る。
「続けろ」
イガニールと呼ばれた先程の恰幅の良い男が先を促した。
「実は、魔王が……」
「なっ!?」
先程よりも大きく室内がざわめく。「魔王だと?」「そんな……」「最後に出たのは相当前だぞ!」「あり得ない」
「静まれ。……赤城、その情報は確かか?」
「はい。諜報部も何度も確認しましたが、確かに魔王です」
「そうか……」
イガニールはものの数秒沈黙したのち、一つの決断を下す。
「……彼ら、仮称『極東魔術昼寝結社』をここ……第零世界本部へと招く」
この会議、これがのちに世界中を巻き込む【全界大戦】のきっかけとなるのだが、それを知る術を彼らは持っていなかった。
とある日の朝。
二人は現在、学校への登校途中だった。
「勇太勇太」
「……六花、どうしたんだ急に」
勇太の返事は何時もよりも何故か間が広かった。
「なんか、こう、急にビビッと何かが頭を過った。きっと何かが私達を狙っているかもしれない」
六花のいつも通りの中二病発言。
何時もであれば「何だよビビッとって」や「何を狙うっていうんだ」などとツッコミをいれるところだ。
だが、勇太はその発言にツッコミを入れなかった。
否。
入れられなかったのだ。
何故ならば、
「ああ…………俺も、感じた」
勇太もまた、六花と同じように何かこう「ビビッ」とする何かを感じていたからだ。
これは勇太と六花にとって本能からの『警告』だったのだが、それを知る術を二人は持っていなかった。