野球人生は終わらない   作:中輩

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 アンケートの結果を省みて、とりあえず18時に投稿してみました。

瞬鋭0001 1
帝王実業0001 1


 四回裏 1アウト・ランナー1塁の状況です。
 


五月一週目《VS瞬鋭高校④》

 

 四回裏

 同点タイムリーを放った江久瀬を1塁に置いた状況で、続くバッターは四番の蛇島。更に畳み掛けたい帝王打撃陣であったが、烏丸はクサイところにボールを投げ四番との勝負を避ける。

 四球で蛇島を歩かせ、1アウト・ランナー1・2塁と言う場面で打席に立つのはピッチャーの友沢。

 勝ち越しのチャンスに友沢は初球から一二塁間に鋭い打球を放つが――。

 

「しゃあッ!ゲッツー!!」

 

「ナイスだ、小平!!」

 

 良い位置にいたセカンドの小平が打球を処理し、4・6・3の併殺打に。

 この回の帝王の攻撃は同点止まりで終わった。

 

 

 

 五回表

 試合も中盤になり徐々に疲労が見え始める友沢は、先頭打者の六番白石に粘られフォアボールを許す。続く七番の高峰をサードゴロに打ち取るものの進塁打となりランナーは2塁へ。更に続く八番の香川が三遊間を破るヒットを放ち、局面は1アウト・ランナー1・3塁に。

 

 ――だが、ピンチを迎えた場面で友沢も粘りを見せる。

 

「ットライーク!バッターアウトッ!!」

 

 フルカウントからスライダーをゾーンに決め、九番の戸村を見逃し三振に仕留めた。

 2アウトまで漕ぎつけたところで瞬鋭の打線は三巡目に。打席に立つのは先程、好守を見せた小平。

 

(…一打席目はアウトローの直球を叩き付けられ内野安打。二打席目はスライダーで三振、か……なら――)

 

 ここまでの小平との対戦を振り返りながら、要は配球を決める。

 サインを交わし、友沢はセットから投球モーションに移行し、ボールを投じる。

 指先から離れた白球は、山なりの軌道を描きながら小平の外角へと向かうが――。

 

「ボール!」

 

 初球のカーブは僅かにコースを外れる。

 小平にも平然と見送られたため、彼の狙い球も読めない。要はチラッと一塁ランナーに視線を送ってから、友沢とサインを交わす。

 

(――アウトコースに真っ直ぐを)

 

 友沢はクイックから要求通りのアウトコースへとストレートを投じる。だがその瞬間――。

 

「スチール!」

 

(――ッ!ここで走って来るか!!)

 

 一塁を守る高川がファーストランナーの香川が動き出したのを見て声を上げる。

 打席に立つ小平も高川の香川の盗塁をアシストするようにバットを振るう。

 

「ットライーク!」

 

(間に合うかッ――!?)

 

 バットの軌道を通り過ぎミットに収まった白球を、要はすぐさま右手に持ち替える。ランナーが好スタートを切った事もあり刺せるかはかなり際どい。

 

 二塁のカバーに入った中之島へ向けて右腕を振りかぶる要――その瞬間、三塁側の吉田から声が上がる。

 

「……ら、ランナー、スタートッ!!」

 

 三塁ランナー白石のディレードスチール。

 

「――ッ!させねぇッ!!」

 

 腕を振るい切った要であるが、白球は手のひらの中に収まったまま。三塁ランナーの動きに反応し、咄嗟に二塁への送球をキャンセルしてみせた。

 

「――な、マジか!?」

 

 奇策を封じられ慌てたように帰塁する白石。

 要もすかさずサードの吉田へ向けて送球した。

 

「ッ、セーフ!」

 

 間一髪で白石の手がベースに届く。際どいタイミングであったがタッチプレーであったため、アウトにすることは出来なかったが――。

 

(これで、少しはこっちにも流れが来る。大漁水産戦(前の試合)で痛い目見といて良かったぜ。ともかく――)

 

 サインを交わし、要は小平の内角に構える。

 

(ランナーの茶々入れは無くなった。確実にバッターを仕留めるぞ)

 

「くッ!!」

 

 友沢は歯を食いしばりながら渾身のストレートを投じる。

 インハイの甘いところに来たボールに小平も力強く踏み込んだ。

 

 キィンという軽い金属音と共に打球は浮き上がった。

 

「――セカンッ!!」

 

 要の指差す先で蛇島がほぼ定位置で捕球体制に入り、難なく白球をキャッチした。

 

「スリーアウト!チェンジッ!!」

 

 ピンチを乗り切り、小さく拳を握った友沢は小走りでベンチに戻った。

 

 

 

 五回裏

 帝王実業は六番の高川から下位に向かう打順。

 だが、先程の回とは一転して太々しさの戻った烏丸の投球の前には下位の打者では手も足も出ない様子。

 

「ナイスピッチ。最後はよく投げ込んでくれたよ」

 

 そんななか、ベンチの奥に座り休息を取る友沢に要はドリンクを渡しながら声をかけた。

 

「はぁはぁ……ああ……」

 

 ドリンクを受け取る友沢の反応は薄い。

 息を整えようとする彼の姿に、要は僅かに顔を顰めた。

 

(汗が凄いな……ここまで飛ばして来ただけあってさすがに消耗が激しい)

 

 体力の限界も近い友沢をどうリードしていくか、要は思考を巡らしてゆく。

 

(……せめて、ベンチで少しでも休めると良いんだけど――)

 

 そんな、ほのか期待を抱きながらグラウンドを見つめる要だが、彼の期待とは裏腹に烏丸は快投を披露する。

 

 

「ストライーク、バッターアウト!スリーアウトチェンジッ!!」

 

 結果は六番、七番、八番の下位打線を三者凡退。ものの数分で帝王実業の攻撃を終わらせた。

 

(……くそ、終わんの早すぎだろ)

 

 ネクストバッターボックスで待っていた要はプロテクターを着けながら思わず悪態をついてしまう。要は悔しげに顔を歪めながら、帽子を脱ぎながら自陣ベンチに戻る烏丸の姿を目で追った。

 

烏丸(あの人)は、これまで下位の打者は打たせて取り、中之島さんや蛇島さんのような上位のバッターはあからさまに警戒しながら投げていた。けど、この回――)

 

 要が思い浮かべるのは、今までとは違う五回裏の烏丸のピッチング。六番の高川を空振り三振、七番の吉田をショートゴロ、八番の遊佐を見逃し三振とし、打者三人中二人から三振を奪った。

 下位の打者には手を抜いていた烏丸が一転して全力でねじ伏せに来たのだ。

 

(あの人もここが勝負所だと分かっているんだ……だから力を惜しまなかった)

 

 ここまで拮抗した投手戦を見せて来たが、友沢の方は側から見てもガス欠寸前である。加えて、次の六回表は先程ホームランを放った才賀に確実に打順が回る。そんな全体の流れを読んで、烏丸は速攻で帝王の攻撃を終わらせたのだ。

 

(――投球術にスタミナの使い方、ここ一番での集中力、そして全体の流れを読む力……くそっ、こんなピッチャーが何で甲子園も出てねぇんだよ)

 

 改めて感じる烏丸のレベルの高さに思わず苦笑いを浮かべてしまう要。

 

(……ただ唯一、弱点があるとすれば――)

 

 そんな格上である烏丸も完璧ではない。

 先程、四回に一度だけリズムを崩している。そこでランナーを出した事により、江久瀬の同点打に繋がった。

 なぜ烏丸のリズムが崩れたのか、それは――。

 

(やっぱ勝つには、()()()の出来次第か)

 

 この一戦に勝つためのポイントを見定めた要はプロテクターを着け終え、グラウンドへと戻った。

 

 

 

 六回表

 瞬鋭は二番の宮城から始まる上位打線。

 だが、迎え撃つ友沢は先程の回以上の制球難に苦しむ。

 

「――ッ!!」

 

 キィンという音とも打球はセンター前に綺麗に弾かれる。カウント0―2となり甘く入ったストレートを宮城に痛打され、状況はノーアウト・ランナー1塁。

 打席に立つのは、三番の高松。

 

「くッ……!」

 

「ボール!」

 

 初球。兵藤がインコースに要求したストレートは高松のバントの構えを見せる揺さぶりを受け、外に大きく外れた。

 続く二球目。外角のスライダーが枠にギリギリ収まり、カウントは1―1に。

 

 そして三球目。

 再びバントの構えを見せた高松のインローにツーシームを投げ込むが――。

 

「――サードッ!!」

 

 高松はバスターに切り替え、懐に迫る白球を強引に引っ張った。

 だが打球は三塁の吉田の正面。5・4・3の併殺を取れるかに思えた打球であったが――。

 

「しまっ――」

 

 か細い声を漏らす吉田。ここに来て痛恨のファンブルをしてしまう。急いで二塁に投げるべきか、それとも確実に一塁に投げるべきか、そのような迷いが手元を狂わせた。

 結果的には、オールセーフ。ノーアウト・1・2塁というピンチでバッテリーは再び四番の才賀に挑まざるおえなくなった。

 

「――すみません、タイムを」

 

 絶体絶命とも言うべきピンチを前に、要は友沢の立つマウンドへ再び行く。

 

 共に窮地を乗り越えるために――。

 

 

 ♢

 

 

「すまん、友沢ッ!」

 

「はぁ……はぁ……い、え……」

 

 先程エラーをし、ピンチを拡大させてしまった吉田が友沢に頭を下げる。

 荒い呼吸を続ける友沢は軽く手を挙げ、問題ないという意思を吉田に示した。

 

(簡単に出塁を許したのは俺だ……それもよりによって次のバッターは――)

 

 友沢の視界の端に映るのはネクストバッターボックスから歩いてくる才賀の姿。

 先程の打席、才賀にはウイニングショットであるスライダーを完璧に捉えられた。多少コースが甘かったとは言え、球威で押し切れなかった時点で実力差は明白である。

 

中学(シニア)の時は、アレだけ上手く内角のボールを捌けてはいなかった……)

 

 パワー、ミート技術、選球眼など凡ゆる点でこれまで友沢が対戦して来たバッターとは一線を貸す実力を有すまで成長を遂げた。

 それこそ、友沢の自信を折りかねないほどに――。

 

(今の俺では、才賀には……)

 

 突きつけられた敗北感に疲労も重なれば、友沢と言えどメンタルは限りなくマイナス寄りになる。

 そんな時に脳裏に過ぎってしまうのは――。

 

『――儂が求めるものはただ一つ、勝利という結果のみだ。だが仮に明日の試合で敗北するようなことがあれば、貴様等を二軍に落とす。夏が終わるまでは一軍に昇格もさせん』

 

 守木からバッテリーに告げられた厳しい条件。

 監督の言葉を思い出し、友沢は自身の不甲斐なさに歯を食いしばる。

 

(俺だけが二軍に落ちるなら納得できる……だが――)

 

 結果を残せなかった自分が下に落ちる事は諦めがつく。

 

(兵藤は、俺の力を引き出そうとしてくれた……アイツがいなければもっと点を取られてもおかしくは無かった)

 

 実力不足の己が、ここまで投げることができたのは捕手(兵藤)がいてくれたから――。

 

(兵藤は一軍に残るべき人材だ……今、俺が大人しくベンチに下がれば――)

 

 友沢の中にあった火が消えかけていた。そんな時――。

 

「――すみません。タイムを」

 

 兵藤はピンチの状況とは思えないほど、余裕のある笑みで友沢へと歩み寄った。

 

 

 

「なかなか厳しい状況になりましたな」

 

「……悪い」

 

 ヘラヘラとしながら述べる兵藤に友沢は素直に謝罪をした。

 まさか謝られるとは思っていなかった兵藤は目を見開く。

 

「……謝るなよ。むしろこんな状況でも監督が動かないって事は、それだけ俺たちが信頼されてるって事だろ」

 

 試合の流れを決めかねない分水嶺。

 そんな状況でも交代をさせようとしない守木であるが、それを信頼と捉える事は今の友沢には出来なかった。

 

「――兵藤。お前は、こんな状況でどうして笑っていられる?何が、お前をそこまで強くしているんだ」

 

 友沢の問いかけ。

 本来、試合の最中にすべき話では無いが、友沢の瞳から何かを感じた兵藤は自身の本音を告げる。

 

「俺だって怖ぇよ。あんなのが同学年(タメ)なんて信じられないし。けど――」

 

 それは、紛れもない兵藤の本心。

 

「俺は一人じゃ無い……捕手()には投手(お前)がいる。だから、戦えるんだ」

 

 告げられたその言葉に、友沢は――。

 

(――どうして、お前は……お前の言葉は俺を奮い立たせるんだ)

 

 無理だと諦めてしまった、その筈なのに――。

 

(お前の隣に立ちたいと、そう思ってしまう)

 

 身体の奥底に熱いものが蘇る。

 重かった筈の手足が少しだけ軽くなった気がした。

 

「……才賀を抑えられると思うか、俺に」

 

「ったく、何度も言わせんな。俺()()に、だ」

 

 友沢の問いに、不敵な笑みを浮かべて答える要。彼は友沢に向けてミットを差し出しながら告げた。

 

「お前は俺のミットだけ見て迷わず投げ込んで来ればいい」

 

 向けられたミットに、友沢も自身のグラブを重ねる。

 

「ああ……分かった」

 

 バッテリーは覚悟を決め、再び才賀に挑む決意を固めた。

 

 

 

 兵藤とサインを交わし、友沢は打席に立つ才賀を迎え撃つ。

 

(凄まじい集中力だ……だが――)

 

 これまで以上の威圧感を正面から受け止める友沢であるが、彼はその先を見つめ、微かに笑みを溢した。

 

(やっぱり、ミット()が大きいな)

 

 軸足をプレートにつけ、膝を上げる。

 

(俺だけなら……ここまで辿り着けなかった)

 

 グラブの中にある白球は人差し指と中指が一本の縫い目にかけられていた。

 

(お前がいてくれて良かった)

 

 前足が踏み込まれ、全身の力が振るわれる指先に乗る。

 

(――ありがとう)

 

 投じられたのは、先程ホームランを放たれたインコースへのスライダー。

 

 その一球は、先程以上のキレで――。

 

「ットライーク!!」

 

 バットに掠る事も許さず、才賀の内角を抉った。

 

 

 ♢

 

 

 その一球を受け取った要は、僅かな興奮と共に鳥肌を立たせていた。

 

(――ここで、今日イチのスライダー。冗談抜きで震えたぜ)

 

「ナイスボールッ!!」

 

 鼓舞するためではなく、心の底からの賞賛を込めてボールを返球する要。

 

(――ファーストストライクは取れた。これで勝負になる)

 

 続いて要が構えるのは、アウトコース。空いている彼の右手は、この試合で何度も示してきた腕を触れというジェスチャーを行う。

 

(緩急を付けるとは言え、腕は緩ませるなよ)

 

 二球目は外角に投じられたのは山なりに線を描くカーブ。

 才賀もピクッと反応をしますが、僅かにボールゾーンであるためバットは動かない。初球を振ったとは言え、彼の選球眼は揺るがない。

 

(やっぱゾーンで勝負するしか無いか……なら――)

 

 続けてアウトコースに要は構える。

 頷きで応じた友沢から迷いなく振るわれたボールは、外角のボールゾーンから――。

 

「ッ……!」

 

 急激にストライクゾーンに食い込んでくるスライダー。

 ボールゾーンから侵入してくるバックドアのボールに、才賀も咄嗟に反応し無理矢理バットを当てた。

 

「ファールッ!」

 

 打球はファールゾーンを勢いよく走り抜ける。

 これで、カウントは1―2。追い込んだ上にボール球にも余裕があり、バッテリー有利の状況。

 

(――遊び球は無しだ。此処に投げ込んで来い……!!)

 

 笑みを浮かべる要が求めたサインは、胸元へのストレート。

 駆け引き無しの真っ向勝負に友沢も釣られて笑みを溢す。

 

「ぐッ――!!」

 

 歯を食いしばりながら友沢が投じるは文字通り、全身全霊の一球。

 一直線の軌道を描きながら内角に迫る直球に、才賀も全力でバットを振り抜いた。

 

 ガギィンという衝撃音と共にライト方向へと飛ぶ打球。

 グラウンドに立つナイン。見守る観衆が上空を見上げるなか、ライトの守備につく江久瀬の足がネット際で止まった。

 

「――アウトッ!!」

 

「ランナー、タッチアップッ!」

 

 球威で押し切り、才賀をライトフライに打ち取ったが――瞬鋭のメンバーもタダで終わらせない。

 二塁ランナーである宮城が捕球と共にスタートを切った。

 

「蛇島ッ!」

 

 キャッチと共に江久瀬は即座に中継の蛇島に送球するが――。

 

「チッ……」

 

 既に辿り着いたランナーの姿を見て蛇島は静かに舌打つ。

 

 四番である才賀を抑えたが、状況は1アウト・ランナー1・3塁。未だピンチを脱したわけではない。

 

 ――だが、此処で要が動く。

 

「は……?」

 

 キャッチャーボックスから立ち上がり、内野陣にブロックサインを示す要の姿に中之島が驚きの声を上げる。

 それもその筈、ベンチに座る守木からは何もサインが出ていない。あくまで選手達の判断に委ねられている状況なのだ。

 

 これはつまり、要の独断。

 二つのアウトを取るためのゲッツーシフトで構える内野陣に、絶対に一点を奪わせない前進守備を指示した。

 

 戸惑いを示す内野陣に向けて、前に出ろと言わんばかりにもう一度サインを強調する要。

 

「はっ、生意気だな。小僧が」

 

 呆れたような笑みを浮かべて前に出た中之島。彼に促されるように他の内野手も前進守備に移った。

 

「友沢!此処で取るぞッ!」

 

「……!」

 

 要が内野陣を動かしたのは、友沢に示すため――。

 

(――投手(お前)は、一人じゃない)

 

 そんな彼等の姿を見て嘲笑うような笑みを浮かべた烏丸が打席に立った。

 

「俺も舐められたもんだな……あんなヘロヘロのピッチャーに本気で抑えられると思ってんのか?」

 

「本気ですよ、俺もアイツも」

 

 即座に言葉を返した要に烏丸は「チッ」と忌々しげに舌打つ。

 あからさまに苛立ちながらバットを握った烏丸の後ろ姿を、要は一瞬だけ見てからサインを交わした。

 

(――ここまで、この人には温存してきた一球……!)

 

「ッ……!!」

 

 友沢から投げられたボールは、一直線に烏丸の内角に向かい――。

 

「くそ、がッ――!!」

 

 ベース直前で急激に沈む。

 感情に任せて無理矢理引っ張ろうとした烏丸の打球は芯を外され、前に走り出した中之島のもとへ。

 

「――しっかり取れよ、兵藤ォッ!!」

 

 素手で捕球した中之島はそのままホームに立つ要へと送球する。

 

「アウトッ!」

 

「高川さんッ!!」

 

 ボールを受け取った要はホームに突っ込もうとした宮城をタッチし、更に素早く一塁ベースに足をつけた高川へと送球する。

 

 烏丸の足と要の送球、ほぼ同着であったが――。

 

「――スリーアウトッ!チェンジッ!!」

 

 フォースプレーを競り勝ったのは要。

 

 ノーアウトのピンチを切り抜けた二人は――。

 

「「らァッ!!」」

 

 同時に吠えながらガッツポーズをするのであった。

 

 中盤最大の山場を越え、試合は終盤へと差し掛かる。

 

 




 
 一応、話の終わりにもスコアボードあった方が分かりやすいかなと思ったので載せます。もし、やかましいと思う方は教えていただければ嬉しいです。

瞬鋭000100 1
帝王実業00010 1


 次回は六回裏の帝王実業の攻撃からです。
 よろしくお願いします。


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